一昔前とは様変わり?!60代のお金事情、平均貯蓄額は?
できることから始めたい老後への備え

一昔前とは様変わり?!60代のお金事情、平均貯蓄額は?できることから始めたい老後への備え

つい一昔前までは、60歳で定年を迎えた後、退職金や年金を頼りに悠々自適のセカンドライフを送る人も多くいました。しかし今では、退職後のお金事情や仕事など、60代をめぐる状況は大きく様変わりしています。
そんな中、世の中の60代はどれくらい蓄えを持っているのか、今からできることはあるのか、といった60代の疑問や不安にお答えします。

私が書きました
主なキャリア

大手生命保険会社、証券会社勤務を経て、2019年りそな銀行入社。私生活では1男1女の父。プレリタイア・リタイア世代の皆さまを応援したいとの気持ちを込めて記事を執筆しました。

10年でこんなに変わった退職金、年金、仕事

10年前に比べて60代をめぐる状況がどのように変わっているのか、退職金、年金、仕事の3つについて、具体的なデータで見てみましょう。

退職金は10年間で▲264万円

退職金は10年間で▲264万円

出所:厚生労働省「賃金事情等総合調査」
※大学卒業後ただちに入社し、定年まで勤続した場合の退職金額

老後の備えとして、多くの人にとって大きな柱となるのが退職金ではないでしょうか。
その退職金の平均的な水準は残念ながら低下傾向となっています。厚生労働省の「賃金事情等総合調査」によると、例えば大卒者の定年退職金の水準を2009年と2019年の調査で比較すると、この10年間で約264万円も減少しています。

かつては60歳からもらえた年金は65歳から

横スクロールできます。

生年月日の違いによる年金の受け取りパターン

出所:日本年金機構

1985年の法律改正で厚生年金の受給開始年齢は60歳から65歳に引上げられましたが、一方で「特別支給の老齢厚生年金」の制度が設けられ、性別、生年月日に応じて、実質的な受給開始年齢は段階的に引上げられてきました。
例えば、2011年4月2日に満60歳を迎えた男性(=1951年(昭和26年)4月2日生まれ)は、60歳から特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受け取ることができました。これに対して、ちょうど10歳年下に当たる2021年4月2日に満60歳を迎えた男性(=1961年(昭和36年)4月2日生まれ)は、60代前半に特別支給の老齢厚生年金を受け取ることはできません。

働く60代は10年間で10ポイント以上も増加

60代の就業率(男性)
60代の就業率(女性)

出所:厚生労働省「労働力調査」

以前に比べて退職金は減少傾向、さらに年金を受け取れる年齢も後ろ倒しとなる中で、政策的な後押しにより、働く60代の割合(就業率)は大きく増加しています。

男性の場合で2010年と2020年の60代就業率を比較すると、60代前半(60~64歳)は70.6%から82.6%と12ポイント上昇、さらに60代後半(65~69歳)は46.8%から60.0%と13ポイント上昇しています。60代前半(男性)の就業率は2010年時点でもおよそ7割と比較的高くなっていましたが、2010年時点では50%に満たなかった60代後半(男性)の就業率も2020年には60%に達しています。

60代女性の就業率についても、男性と同様に10ポイント以上の上昇となっています。

すでに65歳までの雇用確保が法律上、企業に義務付けられていますが、2021年度からは70歳までの就業機会の確保が努力義務となりました。60代以降で働くことを希望する場合には、以前に比べると就業しやすくなっているといえそうです。

60代の平均貯蓄額

60代の平均貯蓄額

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](2019年)

金融広報中央委員会の調査(2019年)によると、60代世帯の平均貯蓄額は1,635万円、中央値は650万円となっています。平均値と中央値(大きい順に並べたときの真ん中となる水準)は大きく離れており、半数以上の人は平均に達していないことが窺えます。
60代は、退職金を受給することが多い世代でもあり、世代別でみると平均値も中央値も最大となっています。
平均的な水準にあたる1,635万円を多いとみるか少ないとみるかは、どれくらい老後資金が必要なのかによって異なるといえそうです。

老後資金はいくら必要?

老後の収支(月間)に関する参考データ

生命保険文化センター 2019年度「生活保障に関する調査」
ゆとりある老後生活費 36.1万円
最低日常生活費 22.1万円

※夫婦2人の老後

総務省 家計調査年報(2019年)
実収入 237,659円
うち公的年金給付 215,288円
実支出 270,929円
収支 -33,269円

※夫65歳以上で妻60歳以上の夫婦、無職世帯

厚生労働省「令和3年度の年金額改定について」
夫婦2人の標準的な年金額 220,496円

※平均的な収入[平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円]で40年間就業した場合に受け取りはじめる年金[老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)]の給付水準

老後資金がいくら必要かは、老後の月々の収入(年金など)から支出を差し引いて毎月の不足額を算出し、平均余命などももとに生活期間を掛け合わせて算出するのが、もっとも簡単な方法です。2019年に話題となった老後に約2,000万円が必要という金融庁の試算もこのような考え方によって算出されています。

総務省の家計調査によると、無職の高齢夫婦世帯の家計収支は月間で約3.3万円の赤字となっています。ただし、これはあくまで平均であって老後の収入や支出には個人差があります。ゆとりある老後生活費としては約36万円必要との調査結果もあり、この場合は約22万円となっている標準的な年金額からは10万円以上の開きがあります。

例えば、毎月の不足額が10万円、期間を20年とすると、下記のような計算になります。

10万円×12カ月×20年=2,400万円

60代の貯蓄額の平均1,635万円を保有している人が、毎月10万円ずつ不足額を取り崩していくと仮定すれば、およそ13年で蓄えが底をつく計算になります。
このようにみると、「人生100年時代」と言われる中では、平均的な水準に達していたとしても心もとない印象です。ちなみに、65歳の平均余命をみると、男性が20.05年、女性が24.91年ですので、平均的にはそれぞれ85歳、89歳まで生きるということになります。(厚生労働省、2020年「簡易生命表」)。また、90歳まで生きる人の割合をみると、男性が28.4%、女性が52.5%となっており、意外に長生きという印象を持つ方も多いのではないでしょうか。

今からできる老後資金の貯め方、増やし方

60代の平均貯蓄額

これまで見てきたように、今の60代は一昔前に比べると老後に対する不安材料が多い状況ではありますが、そんな中にあっても今からできることはまだまだあります。

働けるうちは働く

「働けるうちは働く」メリットとして、その間は老後の蓄えを取り崩さずに済むという点はあえて言うまでもないかもしれません。
一方、年金との関係でも「働けるうちは働く」ことで大きなメリットが生じます。60歳以降も厚生年金に加入し保険料を納め続ければ、もらえる年金額が増えていきます。

また、働いて収入のある間は年金を受け取らず、年金の受け取りを遅らせれば(繰り下げ受給)、さらに年金額を増やすことも可能です。例えば、65歳から受け取れる年金を70歳まで繰り下げると年金額は42%増えます。また、2022年4月以降は最大75歳まで繰り下げ可能となり、その場合は84%も増えます。

完全リタイアまでの間に積み立てる

60歳以降も働いて給与などの定期収入があり、月々の生活費を差し引いて余剰資金が多少なりとも生じるのであれば、定期的な積み立てに回すことにより知らず知らずのうちにお金がたまっていくことが期待できます。
このような「資産形成」を税制優遇により後押しする制度が近年拡充されていますので、これを利用しない手はありません。
例えば、毎年一定金額までの運用益に対して非課税となるNISAやつみたてNISAは年齢にかかわらず利用できます。また、60歳までしか加入できなかった個人型確定拠出年金(iDeCo=イデコ)も2022年5月以降、国民年金被保険者であれば、65歳になるまで掛金をかけることができるようになりました。

これまでに蓄えた資産の活用

60代は退職金などまとまった資金を手に入れる機会も多くなります。これまでに蓄えた資金を無理のない適切な範囲で運用して増やすことも考えられます。
退職金運用について更に詳しく知りたい方は下記の記事もお読みください。

また、資産は預金や有価証券といった金融資産に限ったものではなく、自宅などの不動産も老後に備えて活用できる資産のひとつと言えます。近年の不動産価格の上昇によって思いがけず資産価値が増えていることも考えられます。その場合は、自宅に住み続けながら、その自宅を担保に老後資金を借りることができる「リバースモーゲージ」の活用なども選択肢となるでしょう。

まとめ

退職金、年金、仕事などに関して、60代がおかれている状況は一昔前とは大きく様変わりしています。
60代の平均貯蓄額は1,635万円。「人生100年時代」と言われる中、たとえ平均的な蓄えができていたとしても、安心できないという人は多いものと思われます。
とはいえ、今からできることはまだいろいろあり、有利な制度等も活用してセカンドライフに備えることが可能です。
りそなでは、セカンドライフへ向けた備えについてご相談を承っております。お気軽にご相談ください。

60代になったら考えたい「お金のセカンドライフ」

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いくら必要?

本記事は2021年10月21日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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