NISAとiDeCoはどちらを始めるべきか?それぞれの制度の特徴や選び方を解説!

資産形成の制度として、よく耳にするNISAとiDeCo。
これから始めるなら、どちらを選べばよいのでしょうか?今回は、制度を選ぶ際のポイントをご紹介します。
- 私が書きました
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- 主なキャリア
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銀行で資産運用提案業務等を経験後、資産運用会社にて投資商品・サービスの企画および投資教育セミナー・研修等の講師を多数担当。現場で培ったお客さま目線をもとに、一見わかりにくい資産運用の世界を「翻訳」し、疑問や不安を払拭することで、すべての人に資産形成を広めることを目指している。
- ※りそなグループが監修しています
NISA(一般NISA、つみたてNISA)とiDeCo、それぞれの違いと共通点
NISAとは?
NISAとは、株式や投資信託などでの運用益が非課税になる制度のこと。
NISAには、一般NISAとつみたてNISAの2種類があります。
iDeCoとは?
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことで、将来に向けて毎月掛け金を掛け、自分で年金を作る制度。こちらも、通常の金融商品にかかる運用益が非課税となります。NISAとの税制上の大きな違いとして、掛金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税の節税効果が得られる点が特徴です。また、資産を受け取る際にも、「退職所得控除」や「公的年金等控除」の対象となります。
NISAとiDeCoの共通点
どちらも、運用して得た利益を非課税とすることで、より資産形成を始めやすいように国が作った制度です。
運用益が非課税となるメリットというのが、ピンとこない方もいるかもしれません。
たとえば、外国株式に投資を行う投資信託で過去10年運用していた場合を見てみましょう(下図)。100万円の元本に対し、10年後には資産が356万円に増えているという結果になりました。もし、非課税制度を使わずに運用をしていた場合は、利益に対し20.315%の税金がかかることになりますので、256万円×20.315%=約52万円も税金がひかれ、手元に残る資産は304万円になってしまいます。これが非課税になるということは、手元に356万円がそのまま残るということです。
運用益が非課税になるメリットは、とても大きいことをお分かりいただけたかと思います。
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(出所)ブルームバーグのデータよりりそなアセットマネジメント作成
外国株式:MSCI-KOKUSAI(配当込み、円換算ベース)
手数料は考慮していません。
NISA(一般NISA、つみたてNISA)とiDeCoのどちらを選ぶべきなのか?

それでは、どの非課税制度を選ぶのがよいでしょうか。
一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの3種類から考えてみましょう。
まずは、一括で運用するか、積立で運用するかによって、使える制度が変わってきます。
一括で運用する場合
つみたてNISAとiDeCoは、積立での運用しか行うことができません。このため、まとまった資金を一括で運用したい場合は、一般NISAを使うのがよいでしょう。ただし、一般NISAも、一年に使える非課税枠は120万円までという制限があります。それ以上の金額で投資をしたい場合は、120万円を超える元本部分からの運用益は課税対象となるので、注意しましょう。
積立で運用する場合
では、積立で運用したい場合は、つみたてNISAとiDeCoのどちらを使えばよいでしょうか?こちらは、資金を貯める目的に応じて使い分けるのが良いでしょう。
上述の通り、iDeCoは運用益が非課税になることに加え、掛金も全額所得控除となるという税制メリットがあるため、非課税メリットの点ではつみたてNISAよりも大きくなります。しかし、非課税メリットの大きさだけで選ぶのには注意が必要です。
iDeCoは、自分の年金を作るための制度なので、原則60歳まで資金を引き出すことができません。一方、つみたてNISAはいつでも資産を売却して手元に戻すことができます。60歳までの間に、いざ資金が必要となったとき困らないよう、資金の置き場所を考えましょう。老後資金であればiDeCoを優先的に使い、10年後に住宅資金、20年後に教育資金など、60歳までに引き出す可能性のある資金については、つみたてNISAで運用するのが良いでしょう。
資産形成には、NISAとiDeCoの併用がおすすめ
ちなみに、NISAとiDeCoは別々の制度なので、併用することが可能です。
一般NISAとつみたてNISAは同じNISAという制度なので、一人で両方は使えず、どちらかを選ばないといけませんが、一般NISAとiDeCo、つみたてNISAとiDeCoなど、iDeCoとの併用は可能となっています。
例えば、手元のまとまった資金を一括で運用しながら、老後に向けてコツコツ毎月貯めたい方は、一般NISAとiDeCo。まとまった資金は無いけど、将来に向けて非課税制度をフル活用した積立を行いたい方は、つみたてNISAとiDeCoを活用するのが良いでしょう。
iDeCoとNISA、どちらか一方を使っていれば十分かというと、必ずしもそうではありません。なぜなら、どちらの制度も非課税枠に上限があるためです。iDeCoで毎月掛けられる上限金額は、加入者の職業などによって異なりますが、例えば会社員や公務員の方の場合は毎月の上限額が1.2~2.3万円程度となっている場合があります。掛金が1.2万円であった場合、iDeCoに加入してしっかり老後資金を貯めていたつもりでも、仮に加入期間を20年とすると、20年で拠出した金額は合計288万円となります。運用でうまく増やせていたとしても、数百万円程度の資金にしかならず、老後に十分な金額とはいえないかもしれません。
このため、毎月の収支に余裕がある方は、iDeCoとNISAを併用し、非課税制度をフル活用しながら資産形成を行っていくことがお勧めです。

NISA、iDeCo、それぞれどんな商品で運用すればいい?
NISAもiDeCoも、購入または加入する金融機関によって、取扱い商品は異なりますので、ここでは商品を大きなカテゴリーに分けて説明していきます。
まず、商品を選ぶうえで、確認したいのは「運用できる期間」です。
一般的に、運用できる期間が長ければ長いほどリスクを取れると考えられています。これは、運用できる期間が比較的長い場合は、一時的に損失が出ても運用を継続して価格の回復を待つことができるためです。反対に、運用できる期間が短い場合は、大きな損失が出た時に運用をやめなければならない可能性があるため、リスクの大きな運用を避けた方が良いと考えられています。
もちろん、運用期間に関わらず安定的な運用が良い、という方もいらっしゃると思います。
安定的な運用を希望する場合、または運用期間が短い場合は、リスクが抑えられた安定的なバランスファンド等での運用をお勧めします。
しかし、長い運用期間をかけて、ローリスクの運用を続けていた場合は、将来に必要な金額まで資金を貯められない可能性があります。このため、10年以上などの長期間おろす予定のない資金などは、長い期間を利用して比較的高いリターンで運用して増やしておきたい、という方も多いと思います。この場合は、高リスク・高リターンである株式ファンドや、株式資産の比率の高いバランスファンドなどを選ぶとよいでしょう。
一方、おろす時期が近づいた時に、ハイリスクの運用を続けていると、受取直前に資産が大きく下落してしまう可能性もあるため、注意が必要です。iDeCoでは、最近「ターゲットイヤー型」という商品が導入されているケースが多くなっています。これは、目標の年に向けて、徐々にリスクを抑えた資産配分に自動的に変更してくれる商品になっています。自身で商品を変更したり、動きを見ながらおろすタイミングを考えるのが面倒、という方は、このような商品を選んでおくのもお勧めです。


まとめ
NISAやiDeCoなどの資産形成制度が充実した一方で、どれを使ったらよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。
一括の場合は一般NISA、積立の場合はつみたてNISAやiDeCoを活用し、積立でも目的が老後資金であればiDeCo、老後までの間に出すかもしれない資金はつみたてNISAなど、運用方法や目的を決めれば、ご自身に合った制度や商品が見えてきます。非課税制度をフル活用し、お得に資産形成を始めてみましょう。
投資信託でどの商品を購入するか迷っている方は、こちらのシミュレーションもご参考ください。
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本記事は2021年4月6日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。
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