サラリーマンの平均年収はどれくらい?平均貯金額と賢い資産運用を解説
2024/01/04最終更新
たとえ同じ収入を得ていたとしても「既婚なのか、独身なのか」「子どもがいるのか、いないのか」など、立場や状況、家族構成で毎月の支出額や貯金額は大きく変わります。
また、将来的にマイホームの購入を考えた場合は住宅ローン、子どもの進学を考えた場合は教育ローンの検討も必要です。さらに、昨今話題になっている老後の資金不足問題についても考えなければなりません。
人生にはあらゆるライフイベントが存在します。将来かかるお金はどれくらいなのか、おおまかな総額を知れば先々に備えることが可能です。
今回は、サラリーマンの平均年収、貯金額、ライフイベントにかかるお金について解説します。また、30~40代のサラリーマンにおすすめの資産運用も併せて紹介しますので、今後のライフプランにお役立てください。
- 私が書きました
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東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。
- ※りそなグループが監修しています
サラリーマンの年代別平均年収
年収・手取り額・貯金額などは、いずれも勤務先の企業や職種、肩書、勤務年数などによって大きく異なりますが、平均値がいくらなのかは気になるところです。
2021年9月に国税庁が発表した「令和2年分民間給与実態統計調査」 によれば、1人当たりにおける年代別の平均年収は以下のとおりです。55歳までは年齢を重ねるにつれ上昇する傾向にあり、55~59歳の平均年収が最も高いことがわかりました。
また、一般的な目安ではありますが、給料から社会保険料・所得税・住民税が控除されるため、手取り額は上記の平均年収の8割ほどと考えられます。これらを考慮したうえで1人当たりにおける年代別の平均手取り額を算出した結果が、下表です。
- <年代別平均年収・平均手取り額>
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年齢 平均年収 平均手取り額(概算) 20~24 260万円 208万円 25~29 362万円 289万6,000円 30~34 400万円 320万円 35~39 437万円 349万6,000円 40~44 470万円 376万 45~49 498万円 398万4,000円 50~54 514万円 411万2,000円 55~59 518万円 414万4,000円 - ※国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」年齢階層別の平均給与
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30代・40代のライフイベントでかかる金額
30代、40代に想定されるライフイベントの種類と、それにかかる費用についても確認しましょう。将来必要になる資金の目安を知れば、目標をもって貯金できます。
30代、40代のライフイベントでは、結婚や出産の可能性を考慮し、結婚費用や住宅資金、教育資金の用意が必要です。
さらに、マイホームを購入した場合には、年月の経過により住宅の老朽化にともなう修繕費など、まとまった費用が必要になる可能性があります。さらに、老後の生活費や介護費用も忘れてはなりません。
ここでは、30代、40代のおもなライフイベントと、それにかかる平均費用の例を紹介します。
結婚費用 | 約393万円(結納・婚約から新婚旅行までにかかる費用総額)※1 |
---|---|
教育資金 | 子ども1人当たり約950万円(幼稚園から大学まですべて公立の場合にかかる学習費用総額)※2 |
住宅購入費 | 約3,443万円(2021年度における住宅の全国平均購入価格)※3 |
老後の生活費 | 1ヵ月当たり約24万円(夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦無職世帯の家計収支・消費支出)※4 |
介護費用 | 1ヵ月当たり約14万5,750円(介護保険受給者1人当たり費用額)※5 |
緊急資金 | 約60万円(1ヵ月の生活費が20万円と想定し、生活費の3ヵ月分~1年分を確保する)※6 |
- ※1株式会社リクルート「ゼクシィ 結婚トレンド調査2021 調べ」
- ※2文部科学省「家計負担の現状と教育投資の水準」大学卒業までにかかる費用
- ※3住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」
- ※4総務省統計局「総世帯及び単身世帯の家計収支」
- ※5厚生労働省「令和2年度 介護給付費等実態調査の概況」
- ※6日本ファイナンシャル・プランナーズ協会「主なライフイベントにかかる費用の目安」
結婚費用にはブライダルローンなどの目的別ローン、教育資金なら教育ローン、住宅取得資金なら住宅ローンの利用が考えられます。
しかし30代、40代でローンの返済をしながら貯金をするのは、簡単なことではありません。子どもが独立して教育費の負担がなくなってから、老後の資金をためようと考えるケースも想定されます。
仮に老後に向けて資金をためようとしても、病気やケガで働けなくなったり、急なリストラにあったりと、予想外にお金が必要になる可能性も考慮しなければなりません。思っていた以上にお金をためるのに時間がかかる可能性もあるため、資産形成の準備はできる限り早くからはじめることが大切です。
また、厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査」によれば、2019年度の1世帯当たり世帯主の年代別平均貯蓄額と、年代別平均借入金額は以下のとおりです。
比較すると、住宅ローンや教育ローンの負担がかかる世代では、借入額が貯蓄額をはるかに超えることがうかがえます。
- <年代別平均貯蓄額・平均借入額>
-
年代 平均貯蓄額 平均借入額 29歳以下 179万8,000円 248万円 30~39歳 530万円 1,071万1,000円 40~49歳 650万9,000円 1,002万7,000円 50~59歳 1,075万4,000円 546万8,000円
それぞれの平均値は上表のとおりですが、実際は世帯ごとに内容が大きく異なります。自分自身の収入額や貯蓄額と照らし合わせて、必要があれば支出の見直しを図りましょう。
サラリーマンの平均年収推移と今後の展望
30代や40代で迎えるライフイベントでは、まとまった資金が必要になるとわかりました。無事にライフイベントを迎えるためにも、今後の年収にどのような変化が考えられるのか把握しておくことが重要です。
ここでは、サラリーマンにおける平均年収の推移などを紹介します。その結果から、今後予想される変化などについて考えていきましょう。
平均年収はピーク時よりも減少している
厚生労働省「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」 によれば、日本の平均年収のピークは1990年代であることがわかります。ピーク時と比較すると、2018年の平均年収は約40万円減少しているのです。
出典:厚生労働省「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」
その原因の一つとして、雇用形態の変化が挙げられます。平均年収のピークを迎える前後に起こったバブル崩壊により、雇用抑制などの対策が講じられました。その後、正社員よりも非正規雇用者を増やしたことで、低所得層が増加したと考えられます。
また、バブル崩壊後の経済成長率は低下し、雇用形態の多様化なども見受けられました。“成長”よりも“安定”が定着し、現状の年収額が低い人は、今後も大きな変化を得られることなく時間が過ぎていく可能性が高まっています。
生涯支出は増加傾向
厚生労働省「令和3年簡易生命表」によれば、平均寿命は過去と比較して延びていることがわかります。寿命が延びるということは、その分の生活費が必要ということです。生涯支出が上昇することを理解しておかなければなりません。
横スクロールできます。
平均寿命 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1960年 | 65.32歳 | 70.19歳 |
1980年 | 73.35歳 | 78.76歳 |
2000年 | 77.72歳 | 84.60歳 |
2020年 | 81.64歳 | 87.74歳 |
参考:厚生労働省「令和3年簡易生命表」
しかし、前述したように、平均年収は減少傾向にあります。年収と支出に生じるギャップを解消しなければ、将来的に生活の維持が困難になるかもしれません。また、事故や病気など、予期せぬトラブルによって急に働けなくなる可能性も考えられます。時間に余裕があるとは考えず、万が一の状況に備えられるような対処が必要です。
サラリーマンが資産を増やす方法として挙げられる選択肢
平均年収の減少や生涯支出の増加を考慮すると、生活を維持する対策の一つとして、資産の増加が有効と考えられます。
ここでは、サラリーマンが資産を増やす方法を紹介しますので、自身に適した方法を確認しましょう。
昇進を目指す
現在の職場で資産を増やすためには、昇進を目指す努力をして年収を増やす方法が有効です。現在よりも高い役職になれば、基本給のアップだけでなく、役職手当も期待できます。毎月の収入が増えることで、貯金に回す金額を増やすことも可能です。
しかし、企業ごとに昇進の基準は異なるため、自身の意思だけではどうにもならない要素でもあります。また、年功序列の傾向が強い会社の場合は、能力が正しく評価されない可能性があることも考慮しなければなりません。
年収の高い職場への転職を検討する
現在の職場で年収を上げるのが難しい場合には、転職を検討するのも有効です。以前までは「転職すると不利になるのでは」と、不安になる人もいたかもしれません。現在では、新たな目標に挑戦するステップととらえる傾向もあるため、ネガティブな印象ばかりではないと考えられます。
しかし、転職活動をはじめて、すぐに転職先が決まるという保証はありません。そのため、転職先が決まるまでは、生活が不安定になることを考慮する必要があります。
資産管理の知識を深める
たとえ年収の良い人でも、すぐ使ってしまい貯金がない人もいます。つまり、年収アップを目指しても、ためようと思う気持ちや適切な資産管理の方法を理解していなければ、資産を増やせるとは限りません。
着実に資産を増やしたい場合は、年収が増加したとしても余裕があるとは考えず、支出の見直しや貯金を行いましょう。これまで、どのようなものにどれだけ支出していたのかを把握することは、自身が目指す理想的な資産管理の第一歩になり得ます。
サラリーマンが貯金上手になるための方法とは
サラリーマンは比較的毎月の収入が安定しているため、計画を立てればしっかりと貯金を増やすことが可能です。
しかし、毎日の食費を節約したり、特売品を購入したりするなど、細かい節約を意識していても「知らないうちにお金がなくなり貯金にまわせるお金がない」といったことがありませんか?そうならないためにも、まずは今すぐできる収支の見直しから取り組んでみましょう。
保険の見直し
生命保険や傷害保険など、重複した保障がないかを見直しましょう。保険は加入したときからそのままになっていたり、知り合いから勧められて付き合いで加入したりするケースもあるからです。
そのため、加入している保険を「死亡保障」「年金保険」「がん保険」「傷害保険」のように分類し、現状の保障と支払い金額を確認してみてください。
また、保障金額は年齢や家族構成によっても異なるため、定期的に見直すことが大切です。自分で精査するのが苦手な場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。
住宅ローンの借換え
住宅ローンの金利水準は、これまでと比べて下がっています。そのため、世帯によっては現在適用されている住宅ローン金利よりも、他の金融機関の住宅ローン金利が低くなっていることもあり得るのです。その場合は、借換えを検討することで支出を大幅に削減することもできます。
借換えをする際は、「金利差が1%以上ある」「残高が1,000万円以上ある」「返済期間が10年以上残っている」などを目安にしましょう。
りそなグループのように、土・日・祝日でも相談ができる銀行もあるので、一度借換えのシミュレーションをしてもらうのがおすすめです。毎月の支払い金額や、総返済金額を減らせるかなど、具体的な金額がわかります。
家計の支出を計算する
毎日つけるのが面倒な家計簿ですが、毎月の収支を把握するのには最適な方法です。家計簿で毎月の貯金額を支出に入れれば、計画的な貯金が実現できます。給与天引きの保険料のように毎月の支出に決まった貯金額を組込み、貯金専用の口座を作って入金する方法もあります。
「あまったら貯金にまわそう」と思っても、貯金の習慣がついていない人の場合、ある分だけ使ってしまうことが想定されるため、「あまらないから貯金できなかった」となりかねません。
そのため、はじめから貯金を支出として見込んでしまい、そのお金はないつもりで別口座に入金すると、少しずつでもお金がたまっていきます。
このような方法で貯金にまわす、お金を作る人が貯金上手といえるのです。無理をせずコツコツとお金をため、貯金分を少しずつ増やしましょう。
サラリーマンが資産運用でお金を増やすには?
人生にはあらゆるライフイベントがあり、そこには当然のようにお金がかかります。長い将来を考えると、できるだけ若いうちから「お金をためる・増やす」ことを意識したいものです。
しかし、「金融機関に預けても低金利だから、貯金してもあまりお金が増えない」と不満に思う方がいるかもしれません。
また「お金をふやす」方法として考えられる資産運用も、専門知識がないという理由でなかなか手を出しにくいと感じることも考えられます。資産運用商品にはリスクがありますが、「NISAを活用した積立投資信託」ならリスクを軽減しながら資産運用が可能です。
それでは、サラリーマンにおすすめの資産形成方法として「積立投資信託」と「NISA」を詳しく紹介します。「お金を増やしたい」と考える方はぜひ参考にしてください。
積立投資信託
積立投資信託なら、毎月定期的に決まった金額で金融商品を購入し、資産形成を図ることが可能です。少額の資金を長期間、分散投資することでリスクが軽減できるおすすめの運用方法です。
長期的に投資金額を増やしていくため、短期間では大きなメリットを得られません。しかし、長期運用による複利効果(運用で得た利益をふたたび投資することで得られる効果)により、次第に利益が積み重なっていくことが期待できます。
給与から無理のない金額で貯蓄できるため、リスクを抑えながら資産運用したいと考えるサラリーマンに適した商品です。
もっと詳しく知りたい方は、次の記事もぜひご覧ください。
NISA
運用益が非課税になる「NISA」は、積立投資信託と同じく、長期分散投資が可能で、リスクを軽減して運用ができるおすすめの制度です。
NISAを利用した積立投資信託は少額から可能で、分散投資による長期間での資産形成ができます。NISAを利用することで、投資信託から得られる利益が非課税で受け取れるというメリットがあります。
もしまとまった資金がある方はNISAの成長投資枠を利用した投資信託での運用もおすすめですが、運用が初めての方や、毎月無理なく少額から投資して資産を増やしていきたい方はNISAを利用した積立投資信託がおすすめです。
NISAは非課税期間が無期限で、NISAで運用している投資信託を売却すると、翌年以降非課税投資枠が復活するため、ご自身のライフステージにあわて、一生涯利用できる制度といえます。売却タイミングは自由のため、子どもの学費や住宅購入、老後資金など目的に合わせて資産形成ができます。
iDeCo
iDeCoは任意で加入する私的年金制度で、毎月積み立てる金額や運用方法などは加入者自身で決めることが可能です。この制度が生まれた背景には、景気の悪化や少子高齢化などがあります。従来のような退職金による保障では、人生100年時代を支えることが難しくなったと考えられるでしょう。
国民年金保険料を支払っていない人や農業者年金に加入している人など、加入できないケースもありますが、原則として20歳から64歳の人であれば加入できます。運用益の非課税、掛け金が全額所得控除になるなど、メリットの多い資産運用です。
これまでは、企業型DCの規約により、iDeCoに加入できない方もいました。しかし、2022年10月からは、企業型DCの定めに関係なく、原則iDeCoへの加入も可能です。
「積立投資信託」「NISA」「iDeCo」ともに、金融商品へ投資することに変わりありません。運用状況によっては値下がりで元本割れしてしまうこともあります。メリットとデメリットをよく理解したうえで賢く活用することが大切です。
まとめ
30代から40代へと年を重ねていくにつれ、収入は上昇していく傾向にあります。しかし、結婚や出産、マイホーム購入、子どもの教育費など、ライフステージに合わせて出費が増えることを考慮しなければなりません。会社からの給与など月々の収入で補えない資金は、あらゆるローンを活用して家計をやりくりする必要があります。
しかし、サラリーマンは毎月の安定した収入が見込めるため、計画的に収入や支出をコントロールして資産運用することも可能です。ライフイベントにはまとまったお金が必要ですが、いきなり大金をためることはできませんので、無理をせずにコツコツとお金をためて将来に備えましょう。
りそなグループでは、土・日・祝日でもセブンデイズプラザで専門家にお金の相談が可能です。「資産運用」「住宅ローンの借換え」「家計の見直し」などは、最終的には自分で行うことが大切ですが、どこから手をつけていいかわからないといった場合には、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。
住宅資金の相談から保険に関わる相談、家計の見直しなど、自分では整理しにくかった内容も、専門スタッフがあなたのライフスタイルに合わせて一緒に考えます。
積立投資についても
詳しく見てみましょう!
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本記事は2024年1月4日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。
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