30代の平均貯金額はいくら?貯金なしから1,000万円到達はできる?

30代を迎えると、結婚や出産などを経験し、ライフステージが変わる方も少なくありません。独身のうちは、お金をためるという意識をあまり持っていない方もいるでしょう。とはいえ、今後訪れるさまざまなライフイベントに向けて、しっかりと貯金はしておきたいものです。
そこで、今回は30代の人たちがいくら貯金しているかを紹介します。また、今後のライフイベントに向けたお金のため方や、ためておいたほうが良い金額などについて説明していきます。
- 私が書きました
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- 主なキャリア
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生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
30代の平均貯金額は?独身と夫婦でいくら違う?

同年代の人たちがどのくらい貯金をしているかを知ると、自分が貯金をするときの励みにできるのではないでしょうか。まずは、30代の人たちがいくら貯金をしているのか、2019年に金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに確認していきましょう。
30代独身の平均貯金額は176万円
30代独身の平均貯金額は176万円。また、株式や投資信託など、他の金融資産を加えた保有額全体で見ると、359万円と約2倍の金額になります。
30代夫婦の平均貯金額は266万円
結婚している世帯の平均貯金額は266万円。他の金融資産を加えた保有額全体では529万円と、30代夫婦世帯でも2倍近くの金額を保有しているようです。
約4割は貯金額がゼロ
ここで紹介した金額は、30代の独身世帯および夫婦世帯の平均貯金額ですが、なかには貯金をしていないという世帯もあります。同調査によれば、30代独身世帯の約4割は、貯金がゼロという状況です。
一方で、「金融資産を500万円以上保有している」という世帯も4割近くを占め、貯金している人としていない人で2極化していることがわかります。
【独身・夫婦共通】知っておきたい30代以降に必要な費用
ライフステージの変化は人それぞれですが、一般的には30代に入る頃からさまざまなライフイベントが訪れます。これらのライフイベントに、いくらお金がかかるのか確認してみましょう。
結婚にかかる費用
株式会社リクルートパートナーズが公表している「ゼクシィ結婚トレンド調査2019」によると、挙式や披露宴・披露パーティにかかった費用の総額は、平均354万9,000円でした。挙式や披露宴などにかかる費用は、招待客人数や料理や引き出物などの質・量、衣装や小物などによって大きく変動しますが、数百万円といった大きな金額になることが多いようです。
一方で、結婚式でもらうご祝儀の総額は平均224万3,000円となっています。挙式や披露宴・披露パーティを催した際の自己負担額は平均149万5,000円なので、新郎・新婦で折半する場合は、1人あたり約75万円の出費になる計算です。家族から援助を受けられる人もいるかもしれませんが、自分たちである程度の貯蓄をしておくことが必要といえるでしょう。
出産にかかる費用
公益社団法人国民健康保険中央会が公表している「出産費用 平成2年度(2016)」よると、2016年度における出産費用の妊婦合計負担平均額は約51万円です。この負担額のなかには、入院料や室料差額、分娩料、検査・薬剤料、処置・手当料などが含まれています。
子どもが産まれる前には、産着やおむつ、ベビーベッド、乳母車など、多くのベビー用品をそろえる必要があり、費用がかかるものです。出産すると、原則として健康保険から42万円の出産一時金を受給できますが、それだけでは賄いきれない可能性があることを知っておきましょう。
子どもの教育資金
住宅購入資金
家族が増えると、マイホームの購入を検討する方もいるかもしれません。「教育資金」「住宅購入資金」「老後資金」は人生の三大資金といわれますが、教育資金と住宅購入資金を準備する時期は重なることがあります。物件価格の相場を知り、計画的に準備していきましょう。
住宅金融支援機構の「2018年度フラット35利用者調査」よると、フラット35の申込みをした方々の住宅の平均購入価格は、建売住宅の場合が約3,442万円、マンションの場合は約4,437万円でした。価格は、エリアや新築か中古かによっても異なるので、居住地の不動産広告などに目を通して相場をつかんでおくことをおすすめします。
「緊急予備資金」と「老後資金」はためよう
ここまで、一般的なライフイベントの必要資金を紹介しましたが、ライフスタイルは人それぞれです。人によっては、必要のない費用もあるでしょう。しかし、「緊急予備資金」と「老後資金」は誰もが準備しておきたいところです。それぞれ、安心できる金額の目安を確認しておきましょう。
緊急予備資金
緊急予備資金とは、病気で働けなくなる場合や、会社の倒産などで収入が途絶える場合に生活を立て直すための資金です。予備資金の目安は、3~6ヵ月分といわれていますが、景気動向は誰にも読むことができません。万一のことを考えて、6ヵ月分~1年分を目安に用意できるとよいでしょう。1ヵ月の生活費で20万円を必要とした場合は最低でも60万円、できるなら120万~240万円分の貯金を確保しておくと安心です。
老後資金
いつからを老後ととらえるかは人によって解釈が変わりますが、経済面では生活資金として預貯金や公的年金などを使いはじめる時期を指すことが多いようです。
2019年6月に金融庁が公表した「高齢社会における資産形成・管理」によると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職高齢夫婦では、公的年金以外にも1,300万~2,000万円程度の老後資金が必要とされています。
現役時代の働き方や収入などによって受給できる公的年金額は異なるので、必要額の幅が広くなっているようです。経済的に安心できる老後生活を送れるよう、堅実な貯蓄をしていく必要があるでしょう。
【独身・夫婦共通】30代におすすめ!賢く貯金・積み立てする方法3選
次々に訪れるライフイベントには、多額の費用がかかることを理解できたのではないでしょうか。ここでは、具体的にお金をためる方法を3つ紹介します。
積立式定期預金
積立定期預金は、毎月の預金口座から自動的にお金が定期預金口座に積み立てられる仕組みの金融商品です。積立額や積立日などは後日変更することができるので、まずは少額からでも申込みをしてみましょう。なお、積立開始後に中止することも可能です。
積立定期預金には、次のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
- コツコツとためやすく、手間がかからない
- 定期預金なので、普通預金よりも若干ながら金利が高いケースが多い
- すぐにお金を下ろすことができ、緊急時などに対応しやすい利便性がある
- 預金保険機構の対象となり、ひとつの銀行で「元金1,000万円+利息」まで保証される
【デメリット】
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、任意で加入申込みをして、老後資金をためる私的年金制度です。定期預金、保険商品、投資信託のなかから商品を選び、法律で定められている上限範囲内で毎月の掛金を積み立てて運用します。積み上げた資産は、60歳以降に年金または一時金で受取ることが可能です。
iDeCoには、次のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
- 積み立てた金額はすべて所得控除の対象となる
- 運用益が非課税になる ※通常の金融商品には20.315%(復興所得税を含む)かかる
- 受取時に公的年金等控除(年金として受取る場合)または退職所得控除(一時金の場合)が適用され、所得税が軽減される
【デメリット】
- 積み立てたお金は原則60歳まで引き出せない
- iDeCo専用口座の開設・維持に手数料がかかる
つみたてNISA
つみたてNISAは、年間40万円の範囲内で、国が定めた基準を満たした投資信託商品を購入し積み立てていくと、「最長20年」にわたって分配金や売却したときの利益が非課税になる制度です。
つみたてNISAには、次のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
- 少額で投資をスタートできる
- 毎月自動積立されるため、値動きを見て購入のタイミングを計る必要がない
- 安定的な資産形成を目指す投資信託がラインナップされている
【デメリット】
- 売却しても、一度使った「つみたてNISAの投資枠」は再利用できない
- 1人1口座に限定されているため、金融機関でひとつしか利用できない
【独身・夫婦共通】30代貯金なしの蓄財シミュレーション~1,000万円は可能?~
前述したように、「家計の金融行動に関する世論調査」では、「30代独身世帯の4割程度は貯金をしていない」と回答しています。現在貯金をしていない方は、まず緊急予備資金をためる必要があるでしょう。1ヵ月の支出が20万円の場合、1年間の緊急予備資金として240万円が必要になります。
他にもさまざまなライフイベントでお金がかかることあります。まずは目標を1,000万円と決め、貯金ゼロからスタートしても達成できるかどうか確認してみましょう。
金利の異なる商品で積み立てる場合に、どのぐらいの期間がかかるかをシミュレーションしてみましょう。
年利0.002%のシミュレーション:35歳時点で貯金なし
りそなの積立式定期預金で年利0.002%を用いてシミュレーションしてみます。
商品例:積立式定期預金
- 1.毎月3万円、年間36万円の積み立てをする場合
- 2.毎月5万円、年間60万円の積み立てをする場合
- 3.毎月7万円、年間84万円の積み立てをする場合
- 4.毎月9万円、年間108万円の積み立てをする場合
毎月3万円 | 毎月5万円 | 毎月7万円 | 毎月9万円 | |
---|---|---|---|---|
40歳時点 | 180万89円 | 300万148円 | 420万207円 | 540万266円 |
45歳時点 | 360万357円 | 600万595円 | 840万833円 | 1,080万1,071円 |
50歳時点 | 540万806円 | 900万1,343円 | 1,260万1,880円 | 1,620万2,417円 |
55歳時点 | 720万1,434円 | 1,200万2,390円 | 1,680万3,346円 | 2,160万4,303円 |
60歳時点 | 900万2,243円 | 1,500万3,738円 | 2,100万5,233円 | 2,700万6,729円 |
65歳時点 | 1,080万3,232円 | 1,800万5,386円 | 2,520万7,540円 | 3,240万9,695円 |
緊急予備資金240万円をためることを考えると、月々3万円の積み立てでは5年以上かかります。5年以内にためたい場合には、毎月5万円の積み立てできるように頑張りましょう。毎月5万円の積み立てを続けていくと、50歳の時点で1,000万円のゴールが見えてきます。50歳までに貯金1,000万円を達成したいのであれば、毎月7万円は積み立てていかなければなりません。
年利3%のシミュレーション:35歳時点で貯金なし
一般的には、投資利回り3%を目指すと良いといわれています。利回り3%を継続できるものと仮定してシミュレーションしてみましょう。
商品例:積立式投資信託
- 1.毎月3万円、年間36万円の積み立てをする場合
- 2.毎月5万円、年間60万円の積み立てをする場合
- 3.毎月7万円、年間84万円の積み立てをする場合
- 4.毎月9万円、年間108万円の積み立てをする場合
毎月3万円 | 毎月5万円 | 毎月7万円 | 毎月9万円 | |
---|---|---|---|---|
40歳時点 | 193万9,401円 | 323万2,336円 | 452万5,270円 | 581万8,204円 |
45歳時点 | 419万2,243円 | 698万7,071円 | 978万1,899円 | 1,257万6,728円 |
50歳時点 | 680万9,181円 | 1,134万8,634円 | 1,588万8,088円 | 2,042万7,542円 |
55歳時点 | 984万9,060円 | 1,641万5,100円 | 2,298万1,140円 | 2,954万7,180円 |
60歳時点 | 1,338万235円 | 2,230万391円 | 3,122万548円 | 4,014万704円 |
65歳時点 | 1,748万2,107円 | 2,913万6,844円 | 4,079万1,582円 | 5,244万6,320円 |
利回り3%で毎月3万円ずつ積み立て運用しても、5年間(40歳時点)では約194万円となり、緊急予備資金240万円をためることはできません。しかし、利回りが高い場合には複利効果が活かされ、65歳時点で毎月3万円の積み立てでも約1,748万円と、2,000万円に近づいていることがわかります。
長い時間をかけて運用すれば、少額からでも充分に資産形成できるため、早いうちから取りかかるようにしましょう。
年利5%のシミュレーション:35歳時点で貯金なし
同じ投資信託でも、投資対象によって高い利回りを目指している商品もあります。ただし、利回り(リターン)が高い商品はリスクも高い傾向があります。年金運用においてプロの投資家でも年5.5%の利回りは達成できていない状況を鑑みると、年利5%を目指すのは難易度が高いといえるでしょう。
商品例:積立式投資信託
- 1.毎月3万円、年間36万円の積み立てをする場合
- 2.毎月5万円、年間60万円の積み立てをする場合
- 3.毎月7万円、年間84万円の積み立てをする場合
- 4.毎月9万円、年間108万円の積み立てをする場合
毎月3万円 | 毎月5万円 | 毎月7万円 | 毎月9万円 | |
---|---|---|---|---|
40歳時点 | 204万182円 | 340万304円 | 476万426円 | 612万547円 |
45歳時点 | 465万8,468円 | 776万4,114円 | 1,086万9,760円 | 1,397万5,405円 |
50歳時点 | 801万8,668円 | 1,336万4,447円 | 1,871万226円 | 2,405万6,005円 |
55歳時点 | 1,233万1,010円 | 2,055万1,683円 | 2,877万2,357円 | 3,699万3,030円 |
60歳時点 | 1,786万5,291円 | 2,977万5,485円 | 4,168万5,680円 | 5,359万5,874円 |
65歳時点 | 2,496万7,759円 | 4,161万2,932円 | 5,825万8,104円 | 7,490万3,277円 |
年利5%でも、緊急予備資金240万円をためようとすると毎月3万円では5年以上かかります。しかし、55歳時点で毎月3万円の積み立てでも約1,233万円と、1,000万円を上回ることができます。ただし、利回りが高い商品はリスクも高いため、注意が必要です。
リスクを抑えながら、できるだけ少額で資産形成をしたい場合には、早い時期から貯金をはじめることが大切です。
まとめ
結婚、子どもの出産・養育など、30代に入る頃から、さまざまなライフイベントが訪れる可能性があります。それぞれのイベントで多額の費用が必要になるので、早い時期から貯金をしておきましょう。確実に将来の資金を用意しておきたいのであれば、目的に合わせてコツコツと積み立てできる商品を選ぶことをおすすめします。高めの金利で複利効果を得られるように、長い時間をかけて運用していくのがよいでしょう。
りそなでは、積立式定期預金やiDeCo、つみたてNISAの金融商品がそろっています。「自分に合った商品がどれかわからない」というときには、りそなに相談してみてはいかがでしょうか。また、通常iDeCoは運営管理機関手数料がかかりますが、りそなでは2年間の手数料が0円になります。
将来必要になる老後資金を、備えはじめてみてはいかがでしょうか。
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本記事は2020年7月時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。
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