NISAとiDeCo 上手な使い方は??

2024/1/4最終更新

NISAとiDeCo 上手な使い方は??

現在、資産運用への機運が高まっています。

2024年に大幅拡大された「NISA」と、より多くの人が加入可能になった「iDeCo」。これらの税制優遇されている制度を活用すれば、通常の口座よりも有利に資産を運用することができます。うまく使いこなせるかどうかで資産形成に大きな差が生まれるかもしれません。

本稿では、両制度の特徴やメリット、あわせて上手な使い方や注意点をご紹介します。

私が書きました
主なキャリア

ライフプランや企業年金・iDeCo、公的保障を得意とする経済エッセイスト。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題について解説している。

  • りそなグループが監修しています

NISAって何??

そもそもNISAとはどういった制度なのでしょうか。

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をすると、売却益や配当に対して約20%の税金がかかります。NISAは、こうした運用益が非課税、つまり税金がかからなくなる制度です。

もちろん、無制限に非課税で運用できる訳ではありません。非課税となる期間や、投資できる金額には上限が定められています。

これらの上限が、2024年の改正で大幅に拡充されました。

2024年以降のNISAのポイントは以下の3つです。

①最大1800万円まで投資できる

②非課税期間が無期限

③制度が1本化され、使いやすい

具体的にみてみましょう。

①最大1800万円まで投資できる

非課税保有の限度額は1800万円。現在のつみたてNISAの投資限度額(最大800万円(※1))と比べ、老後資金をよりカバーできる制度へと生まれ変わりました。1年間で投資できる金額も変わりました。非課税枠には、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠があります。これらの枠は併用可能で、「つみたて投資枠」は年間120万円、「成長投資枠」は年間240万円、合計すると年間360万円まで投資できます。なんと2023年までのNISAの3倍(成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円)に拡大されるのです。

この非課税限度額の1,800万円に、運用益は含まれません。あくまで元本(簿価)ベースですので、長期間運用すれば多くの資産を作ることが可能です。

②非課税期間が無期限

非課税期間が無期限です。以前のつみたてNISAの非課税期間は最大20年でした。より長期で投資しやすい環境が整ったといえます。

③制度が1本化され、使いやすい

2023年までNISAには、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA…と3の制度があり、併用することはできませんでした。それぞれの制度設計も異なっており、分かりづらいという声もありました。2024年から、制度が一本化、ジュニアNISAは廃止されました。

(※1)つみたてNISAで年40万円×20年間投資した場合。

NISAとiDeCoの違いは?

一方の「iDeCo」はどういった制度なのでしょうか。

iDeCoは、一言でいうなれば、公的に認められている「じぶん年金」です。加入者は、国民年金や厚生年金に上乗せする形で、自分で掛金を積立てて運用します。

iDeCoのメリットは、税制の優遇措置にあります。

優遇措置は3つあり、①掛金が全額所得控除される(所得税・住民税の負担が減ります)、②iDeCo内での運用益は非課税となる、③受け取り時にも控除の対象となります(※3)。

【ワンポイント】iDeCoは、公的な年金制度なので原則20歳以上65歳未満の「国民年金被保険者」だけが利用できます。また、積立てたお金は、「老後資金」なので60歳まで引き出せないことが特長です。

掛金の上限は職業などによって異なり、会社員であれば勤務先の企業年金(DC・DB)の有無によって月1万2000円〜2万3000円、自営業者は月6万8000円、専業主婦・夫は月2万3000円となっています。

「運用益が非課税」という点でNISAと比較されることもありますが、iDeCoはあくまで年金制度。非課税で運用できるNISAとは制度の内容は大きく異なることがお分かりいただけたでしょうか。

図:NISAとiDeCo 制度の違い

iDeCo NISA
対象者 65歳未満の国民年金被保険者 国内に住む18歳以上の人
年間の投資上限額 14万4000円〜81万6000円(職業等によって異なります) つみたて投資枠 120万円
成長投資枠 240万円
合計360万円
運用できる商品 投資信託・保険・定期預金など つみたて投資枠
→金融庁の基準を満たした投資信託
成長投資枠
→株式・投資信託(一部対象外商品あり)など
引き出し 60歳になるまで原則不可 いつでも可能
手数料 口座の運営・運用にかかる 無料
税制優遇 掛金が所得控除の対象(※4)
運用益が非課税
受け取り時に控除あり
運用益が非課税

(※3)一時金として受け取る場合には「退職所得控除」、年金で受ける場合は「公的年金等控除」が適用されます。

(※4)所得税・住民税の軽減効果は、ご本人の課税所得・掛金額により異なります。第3号被保険者など課税所得がゼロの方の場合、所得税・住民税の軽減効果はありませんので、ご注意ください。

NISAとiDeCoの併用がおすすめ!

もちろんこの2つの制度は併用できます。それぞれのライフステージやプランに合わせて、両制度を活用するのがベストです。

NISAで運用する資金はいつでも引き出せますので、結婚・出産・教育・住宅購入などライフイベントに応じて柔軟に活用できます。一方のiDeCoは老後資金の準備が目的なので、60歳まで割れない貯金箱として活用できます。誰しもに訪れる老後への備えをiDeCoでコツコツと積立て、その上でライフイベントに応じた資産形成にNISAを活用するのが制度の特長を活かした資産運用方法になるのではないでしょうか。

また、職業や年収によって優先順位を変えるのも一案です。

iDeCoの掛金は所得控除の対象となるため、所得の高い人ほど、税制上のメリットが大きくなります。会社員・自営業者の人は、まずiDeCoに加入し税制メリットを受けながら、余裕資金で、NISAで運用するのも良いでしょう。

反対に、専業主婦(夫)でもともと所得税や住民税を支払っていない場合には、所得控除のメリットがありません。その場合は、NISAを優先的に検討してみるのはいかがでしょうか。

NISAでは年間最大360万円まで投資できます。一方、人生100年時代と言われる昨今、60歳以降もバリバリ働かれる方も多いのではないでしょうか。iDeCoなら65歳になるまで所得控除を活用しながら老後資金を準備できます。

このようにライフステージやライフプランに合わせてNISAとiDeCoを併用できれば、両者の税制メリットを活用しながら上手に資産形成できますね。

iDeCoについて詳しくはこちら
NISAについて詳しくはこちら

まとめ

老後へ備えは「iDeCo」、住宅購入費や子どもの教育費などの中期的な積立てには「NISA」を活用することで、税制優遇を最大限活用した資産運用ができそうです。

老後はいずれ誰のもとにも訪れます。少額でも構いませんので、早いうちからiDeCoで年金を上乗せしておくと安心です。昇進や子どもの独立などをきっかけに、iDeCoの掛金を増やしていけるとなおよいですね。

本記事は2024年1月4日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

iDeCoのお申込み

オンラインでかんたん!

相談しながら

目次に戻る

  • Line
  • このページのURLをコピーする

あわせて読みたい