iDeCo(イデコ)の掛金額変更・停止・解約の方法と注意点
公開日:2022/11/29
更新日:2025/03/24

これからiDeCo(個人型確定拠出年金)への加入を検討している方や、すでに加入している方のなかには、掛金額の変更や途中解約ができるのか、疑問・不安を抱いている方もいるかもしれません。
iDeCoに加入したあと、掛金額の変更や拠出の一時停止をすることは可能です。ただし、原則として解約はできないことに注意しましょう。
本記事では、iDeCoの掛金額を変更する方法や、掛金額の変更・停止・解約に関する注意点を解説します。iDeCoについての知識を深めたい方は、ぜひご覧ください。
- 私が書きました
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- 主なキャリア
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生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
- ※りそなグループが監修しています
iDeCoの掛金額や拠出タイミングは年1回変更できる

iDeCoの掛金額は、毎月5,000円を下限額として、1,000円単位で自由に設定が可能です。一度設定した掛金額は、1年に1回限り、12月から翌年11月までの間で変更できます。例えば、4月に掛金額を変更した場合、次に変更手続きを行えるのは同じ年の12月以降です。
また、掛金を拠出するタイミングも、「毎月」と「年単位(年1~12回)」のいずれかを選択できます。年単位の場合、年1回や年2回でまとめて拠出することや、毎月定額を拠出しながら特定月のみ多く拠出することも可能です。
拠出回数を減らせば、掛金拠出時の手数料を抑えられます。ただし、国民年金の第2号被保険者のうち、企業型DC(企業型確定拠出年金)やDB(確定給付企業年金等)に加入している方(公務員含む)が選択できるのは、毎月拠出のみです。
なお、掛金を変更する場合でも「最低月額や1,000円単位であること」「上限額を超えないこと」などの決まりは変わりません。掛金の上限額は職業(被保険者区分)等により異なりますので、ご自身の拠出可能額を事前に確認しておきましょう。iDeCoの上限額について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
iDeCoの掛金額を変更するならいつが良い?
iDeCoの掛金額を変更するタイミングとしては、収入や支出に変化があったときや、ライフステージが変わったときが適しているといえるでしょう。
掛金額の変更方法には、主に「掛金額を減らす」「掛金額を増やす」「毎月拠出から年単位拠出に変える」の3パターンがあります。
例えば「転職して収入が増えた」「子どもが独立して支出が減った」という場合は、掛金額を増やすのがおすすめです。逆に「勤務先の経営が悪化して収入が減った」「マイホームを購入して支出が増えた」という場合は、掛金額を減らすことで家計への負担を抑えられます。
また、年単位拠出を選択する場合は「ボーナス月のみ掛金額を多くする」など、いつ・いくら拠出するかを柔軟に設定するとよいでしょう。これにより、家計への負担を抑えつつ、将来に向けてできるだけ多くの金額を拠出できます。
iDeCoの掛金額の変更方法
(1)掛金額変更届を入手する
まずは、「加入者掛金額変更届」を加入しているiDeCoの運営管理機関(金融機関)から入手します。入手方法は金融機関によって異なり、「Webサイトからダウンロードする」「電話で取り寄せる」などの方法で入手が可能です。
なお、変更届は国民年金の加入区分ごとに様式が異なるため、入手の際は間違えないように注意しましょう。拠出タイミングも変更する場合は「加入者月別掛金額登録・変更届」も併せて入手します。
(2)掛金額変更届を提出する
「加入者掛金額変更届」や「加入者月別掛金額登録・変更届」を入手したあとは、記入見本を参考に記入していきます。記入見本は、iDeCo公式サイトで閲覧が可能です。
書類が完成したら、指定された送付先に郵送します。提出が遅れると掛金額が変更される時期も遅れてしまうため、早めに郵送しましょう。
(3)掛金額の変更を確認する
提出書類が金融機関に到着したら、金融機関が内容を確認してから国民年金基金連合会に提出し、その後、国民年金基金連合会によって登録が行われます。
登録後に掛金額が変更されますので、指定時期に掛金額が変更されていることを確認しましょう。
iDeCoの掛金を一時停止・解約することは可能?
続いて、iDeCoの掛金の一時停止や解約について解説します。
iDeCoの掛金の一時停止は可能
失業や転職、病気など、iDeCoの掛金の拠出が困難になってしまった場合は、掛金拠出を一時的に停止することが可能です。拠出を一時停止する際は、加入している運営管理機関(金融機関)に「加入者資格喪失届」(様式K-015号)を提出しましょう。
掛金の拠出を停止すると、加入者ではなく「運用指図者」となって、それまで積み立てた額の運用を続けます。そのため、掛金を停止しても毎月口座管理手数料がかかることに注意してください。
また、掛金の拠出を再開する際には、再度加入申込み手続きが必要です。
りそなのiDeCoにご加入の方はこちらをご覧ください。
iDeCoの中途解約は原則不可
iDeCoは、原則として60歳になるまで中途解約ができません。これは「解約して今までに積み立てた掛金を引出すことは、原則60歳まで不可能」という意味です。
ただし、例外として以下3つのケースに当てはまれば中途解約が可能とされています。
- 加入者が亡くなった場合(死亡一時金を受取る場合)
- 加入者が高度障害状態となった場合(障害給付金を受取る場合)
- 脱退一時金を受取る場合
なお、脱退一時金を受取るためには、iDeCoに加入できない方(企業型DCの加入者は除く)で、通算拠出期間が5年以下または個人別管理資産の金額が25万円以下など、複数の要件を満たす必要があります。詳しくは、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
iDeCoの掛金額変更・
停止・解約する際の
3つの注意点・ポイント

iDeCoの掛金額変更や一時停止、解約などを検討されている方は、以下3つの注意点やポイントを理解しておきましょう。
iDeCoのメリットを
活かしにくくなる
iDeCoは、掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になる点がメリットです。しかし、掛金を減額すると、課税所得から差し引ける金額がその分減るため、税の軽減効果が薄れてしまいます。また、掛金の拠出を停止した場合、その分の所得控除も受けられません。
そもそも、iDeCoは長期での運用を前提とした仕組みです。長期的に運用すれば、資産を効率的に増やせる「複利効果」が期待できますが、掛金を頻繁に減額・一時停止すると、長期運用しても結果的に得られる運用益が減ってしまうため、複利効果が薄れてしまいます。
iDeCoを停止しても
手数料はかかる
先述したように、掛金の拠出を停止したあとは運用指図者として運用を続けるため、運営管理機関手数料(口座管理にかかる手数料等)の支払いが必要です。運営管理機関手数料の内容や金額は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、iDeCoの運用商品で投資信託を選択している場合は、「信託報酬」という手数料もかかります。これらの手数料を超える運用成果を得られない場合、年金資産が目減りすることになりかねません。
iDeCoを解約する前に掛金額の変更・停止を検討する
先述のとおり、iDeCoは原則として60歳まで解約ができませんが、いざというときには拠出額の変更・停止が可能です。
また、年単位拠出により拠出スケジュールを柔軟に設定することもできます。家計への負担が大きい場合、まずは掛金の下限額となる月5,000円に設定するとよいでしょう。それでも拠出が難しい場合は、拠出を停止することも選択肢の一つです。
ただし、iDeCoの税制メリットや手数料による年金資産の目減りなどを考慮すると、無期限に停止することはおすすめできません。やむを得ず停止する場合は、再開の予定時期や拠出額など、あらかじめ目途を立てておきましょう。
まとめ
iDeCoは、加入後でも年1回掛金額や拠出タイミングを変更できます。また、万が一の際は拠出の一時停止も可能です。ただし、中途解約は原則できないため、拠出を停止した場合のデメリットも考慮しながら計画的に利用しましょう。
りそなのiDeCoには、運営管理機関手数料が無料のプランがあります。家計への負担を抑えながらiDeCoで上手に老後資金を準備したい方は、掛金額や運用商品の変更などについて、お気軽にご相談ください。
- ※当記事は2025年3月24日現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
最後に、お客さまにご質問です。