確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)とはどんな制度?
公開日:2021/09/04
更新日:2025/03/24

「iDeCo」や「企業型DC」という言葉に聞き覚えがある方もいるのではないでしょうか。
これらは「確定拠出年金」と呼ばれる年金制度で、税制優遇を受けつつ、将来に備えることが可能です。一方で、60歳までは原則として引出せないなどの留意点もあります。
今回は、確定拠出年金の概要や確定給付企業年金との違い、確定拠出年金の種類、メリット・留意点を中心に解説しますので、参考にしてください。
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元銀行員。若年層から高年層まで幅広い資産運用の提案を行なう。メディアを通じて、より多くのお客様に金融の知識を伝えたい気持ちが強くなり、退職を決意。
現在は、編集者として金融機関を中心にウェブコンテンツの編集・執筆業務に従事している。
- ※りそなグループが監修しています
日本の年金制度の仕組み
最初に、日本における年金制度の仕組みについて押さえておきましょう。日本の年金制度は3つの年金で構成されているため、「三階建て」といわれています。
まず、一階部分とされているのが、20歳以上の国民が全員加入する国民年金です。これは、加入期間の長さによって受取れる金額が決まります。
次に、二階部分となるのが、会社員・公務員等が加入する厚生年金保険や、自営業者・フリーランス等が加入する国民年金基金です。厚生年金保険は強制加入のため、選択の自由はありません。なお、公務員等は従来共済年金に加入していましたが、2015年に厚生年金保険に一元化されました。一方で、国民年金基金は任意加入の年金です。加入すると追加で掛金の負担が生じますが、将来受取れる年金額は増加するメリットがあります。
最後に、三階部分とされるのが、従業員を対象に企業が独自に運営する企業年金制度です。企業によっては、高額の年金が受取れる場合もあります。また、公務員は年金払い退職給付が受けられる仕組みです。
これらの年金制度に加え、アメリカの「401k」を参考に設計された確定拠出年金が登場しました。
「老後資金は自分で準備するもの」という考え方の下、401kが広まりました。日本でも、老後の生活に備える手段として、確定拠出年金に対する関心が高まってきました。
確定拠出年金と確定給付
企業年金の違い
確定拠出年金を理解するためには、確定給付企業年金との違いを押さえる必要があります。両者の違いを解説しますので、確認しておきましょう。
- 確定給付企業年金:企業などが支払った掛金を金融機関(生命保険会社・信託銀行等)が運用します。掛金払込・受給の状況、金融機関の運用成果に左右される部分はあるものの、将来受取れる年金の額がある程度約束されているのが大きな特徴です。保険会社が提供する個人年金保険や学資保険をイメージするとよいでしょう。従来、年金といえば、この確定給付企業年金を指すのが一般的でした。
- 確定拠出年金:毎月、企業や加入者が一定額の掛金を拠出し、自分で運用します。支払った掛金が自分の口座に積立てられ、運用によって得た給付金が将来的に戻ってくると考えれば、容易に理解しやすいでしょう。そのため、運用の結果次第で将来受取れる年金額が変わってきます。
確定拠出年金で将来もらえる給付金とは
確定拠出年金に加入すると、将来的にどのような給付金が受取れるのでしょうか?給付金には次の3種類がありますので、覚えておきましょう。
- 老齢給付金:原則として60歳から(※)、年金または一時金として支給される
- 障害給付金:高度障害時に、年金または一時金として支給される
- 死亡一時金:死亡時に一時金として支給される
- ※50歳以降に加入した場合など、60歳までの通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受取れる年齢が引上げられます。また、60歳以降に加入する場合、60歳までの通算加入者等期間がない方は、加入日から5年を経過した日から受取りが可能です。なお、ここでの通算加入等期間とは、企業型確定拠出年金および個人型確定拠出年金における加入者期間と運用指図者期間を合算したものを指します。
- ※ほかの制度からの移換がある場合、通算加入者等期間は他の企業年金制度の加入期間を含みます。
確定拠出年金の種類は企業型と個人型の2つ
確定拠出年金には、次の2種類があります。
- 企業型DC(企業型確定拠出年金)
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
どちらも将来の資産形成に活用できますが、違いもあります。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
企業型DC
(企業型確定拠出年金)
企業型DCを導入している企業の従業員が加入できる制度で、掛金の拠出方法によって次の3種類に分けられます。
- 企業が拠出するタイプ
- 企業の拠出に従業員が掛金を上乗せするタイプ(マッチング拠出)
- 従業員が自分の給与から拠出するタイプ(選択制タイプ)
いずれのタイプも、従業員が企業型DCの対象商品から自分で金融商品を選び、運用を行います。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、加入者自身が掛金を拠出・運用する制度です。
企業型DCは企業の従業員しか加入できませんが、iDeCoは加入できる方の範囲が広いという特徴があります。
加入資格者となるのは、国民年金において次の被保険者種別に当てはまる方です。
- 自営業などの第1号被保険者
- 会社員や公務員などの第2号被保険者
- 専業主婦(夫)などの第3号被保険者
- 任意加入被保険者
ただし、国民年金保険料の納付が免除されている場合には加入できないなど、いくつかの要件があります。
また、iDeCoは自分で金融機関に加入手続きを行わなければなりません。金融機関によって手数料や選択できる金融商品が異なる点も、確認しておきましょう。
企業型DCとiDeCoは併用できる
2022年10月より、企業型DC加入者がiDeCoを利用する際の要件が緩和され、企業型DCとiDeCoは原則、併用できるようになりました。
ただし、企業型DCに加入してマッチング拠出(加入者が掛金を上乗せすること)をしている場合は、iDeCoを利用できません。
iDeCoへの加入を検討する場合は、お勤め先における企業型DCの有無や制度の詳細などを確認してみましょう。
確定拠出年金の
税制優遇措置
確定拠出年金では、掛金の拠出時、運用時、給付時の3段階で税金が軽減されます。
拠出時の税制優遇措置
iDeCoや企業型DCにおけるマッチング拠出の掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象です。
例えば、お勤め先に企業年金がない会社員(年収500万円)が、iDeCoで毎月2万3,000円の掛金を拠出すると、年間5万5,200円の減税が期待できます。
ただし、年収や掛金によって税負担軽減額が異なります。所得がない方は、拠出時の税制優遇の恩恵を受けられないため注意しましょう。
また、選択タイプの企業型DCで拠出する場合、掛金分は給与と見なされません。その分、課税所得が減るため、所得税・住民税の軽減につながります。
運用時の税制優遇措置
株式投資や投資信託の運用益には、一般的に約20%の税金が課されますが、確定拠出年金の運用益は非課税です。
なお、運用中の年金資産には約1%の特別法人税が課される規定がありますが、1999年より凍結されているため、現在は課されません。
給付時の税制優遇措置
給付時の税制優遇措置は、以下のように給付方法によって異なります。
- 一時金で給付を受ける場合:退職所得控除の対象
- 年金で受取る場合:公的年金等控除の対象
金融機関によっては、一時金と年金を併用できる場合があります。お勤め先の退職金や年金の金額など、ご自身の状況に応じて受取り方を検討するとよいでしょう。
確定拠出年金に加入する際の3つの留意点
確定拠出年金はメリットもある一方で、留意点もあります。留意点への理解も深めたうえで、加入を検討しましょう。
60歳まで引出せない
確定拠出年金は、60歳まで原則引出せません。そのため、急な現金化はできませんが、途中で使い込む心配がなく、計画的に将来の資産を積み立てられます。
また、確定拠出年金で積み立てた資金は法律で保護されるため、万が一自己破産しても差し押さえの対象外です。
手数料がかかる
確定拠出年金では、加入時手数料や口座管理手数料などが発生します。一般的に、企業型DCでは企業が負担しますが、iDeCoでは個人が負担しなければなりません。
手数料は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
なお、りそなのiDeCoは、運営管理機関手数料が0円です。
- ※信託報酬も業界最低水準となっており、コストを最大限抑えながらお得に運用できます。
- ※代表的な資産のインデックス(パッシブ)ファンドの信託報酬が0.132%~0.22%(税込)です。
加入者が運用リスクを負う
確定拠出年金は、加入者が1つ、あるいは複数の金融商品を選んで運用する制度です。
自分の年齢やリスク許容度に合わせて柔軟に設計できる一方で、運用結果次第では年金額が減るリスクもあります。元本割れが起こらないか、不安な方もいるでしょう。
りそなのiDeCoでは、安全性を重視した「元本確保型」の商品や、分散投資を専門家に任せられる「おまかせ運用タイプ」の商品も選べます。
また、加入後の運用に関するサポートも充実しているので安心です。
まとめ

確定拠出年金は年金制度の三階部分に当たり、運用結果次第で将来の年金額を増やせます。
引出す際の年齢制限はあるものの、途中で引出してしまう心配もないため、計画性をもって資産を準備できるのは確定拠出年金ならではといえるでしょう。税制優遇措置もあり、税負担を抑えながら資産形成できる点も魅力です。
りそなのiDeCoは加入後もサポートが充実しており、安心して資産形成ができます。運営管理機関手数料も無料なので、お得に運用したい方は加入を検討してみてください。
- ※当記事は2025年3月24日現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。