そもそも確定拠出年金とは?
年金というと厚生年金や国民年金といった公的年金がまず思い浮かぶと思います。「確定拠出年金」とは、個人や企業が自主的に積立てる制度で、公的年金に対して私的年金と呼ばれています。
2020年の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳となり、共に過去最高を更新しました。そして公的年金だけでは老後(資金)が不安だと考える方たちが、私的年金として個人型の確定拠出年金をはじめることが増えてきました。
確定拠出年金について詳しくは下記記事をご覧ください。
「確定拠出年金(401k)」とはどんな制度?
個人型と企業型の基本的な違いとは?
確定拠出年金には、個人型確定拠出年金(以下iDeCo(イデコ))と、企業型確定拠出年金(以下企業型)の2種類があります。
iDeCo(イデコ)は個人が加入するのに対して、企業型は基本的に会社が退職金制度として導入しており、掛金や納付方法など色々な面で違いがあります。
簡単に比較できる表を載せていますので、両者の基本的な違いをまずは押さえてみましょう。
個人型確定拠出年金 (iDeCo) |
企業型確定拠出年金 | |
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運営主体 | 国民年金基金連合会 | 企業型確定拠出年金規約の承認を受けた企業 |
加入対象者 | 国民年金被保険者※1 | 企業型確定拠出年金を導入している企業の従業員 |
掛金 | 本人負担※2 | 会社負担 |
掛金納付方法 | 本人口座から振替※3 | 会社より納付 |
運用商品 | 金融機関により異なる | 会社共通の商品ラインアップ |
手数料 | 本人負担 | 会社負担(一部本人負担) |
税制メリット |
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年末調整(確定申告) | 要※3 | 不要 |
iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)は私的年金の制度のことで、確定拠出年金法に基づいて実施されています。原則、国民年金保険料を納めている国民を加入対象者としています。掛金は自分で積立てる必要がありますが、所得控除の対象となっており、他に運用益非課税や年金受給時の控除も適用されるなど、税制優遇措置が受けられます。
企業型確定拠出年金
企業型は企業が掛金を拠出し、従業員が運用する制度です。企業型の場合、確定拠出年金制度を導入している会社に入らないかぎり、加入対象とはなりません。会社が導入するため、基本的に利用する金融機関を個人で指定することはできません。
運用方法については加入者本人が決められます。掛金は基本的に会社が負担しますが、加入者本人により上乗せできるケースもあります。
個人型と企業型の併用は可能?
iDeCo(イデコ)と企業型は、条件を満たしていれば併用できます。利用できる方は併用し、iDeCoの税制メリットを活用して老後資金を準備しましょう。
企業型でマッチング拠出を選択している場合や、掛金額が毎月定額拠出になっていない場合など加入できないケースもあります。
企業型加入者の方がiDeCo併用を検討される際は、「企業型DCとiDeCoの併用についてもっと詳しく」をご参照ください。
企業型から個人型へ移換するには
企業型を導入していた会社から他の会社に転職した場合、企業型確定拠出型年金で積立てた資産はどうなるのでしょうか?
転職先が同じように企業型を導入していれば、これまでの企業型から転職先の企業型へ移換することができます。転職先に企業型が導入されていない場合は、iDeCo(イデコ)に移換をすることができます。移換をする際には、転職前の企業型で利用していた金融機関のiDeCoに申し込むか、新しい金融機関のiDeCoへ申し込みをしましょう。
転職時の手続きの流れや注意点について詳しくは下記をご覧ください。
転職時の確定拠出年金の手続きは?iDeCo(イデコ)への移換手続きを忘れずに!
個人型から企業型への移換はできる?
iDeCo(イデコ)を利用していた方が、企業型DCのある会社に転職をした場合は、企業型へ移換することができます。その場合、新しい勤務先で移換手続きをすると、これまでにiDeCoで積立てた資産を企業型へ移すことができます。
転職にかかるお手続きは必要ですが、引き続きiDeCo(イデコ)を利用することもできます。
企業型と個人型の特徴
企業型は会社、個人型は自分の意思が前提となっているところが特徴です。
他にも、企業型は会社に勤務している人が対象の制度で、将来に備えた年金、または退職金を作る事を目的としている点が大きな特徴と言えるでしょう。一方、個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は個人が自分の意志で掛金を拠出する制度であるという特徴があります。
個人型・企業型、運用はどちらも自分で行う
確定拠出年金法の改正により幅広い年齢の人が加入できるようになりました。個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)や企業型拠出年金(企業型)どちらの場合でも、掛金を運用するのはあくまで自分自身という共通点があります。必要に応じて金融機関や専門家に相談しつつ、より自分の意思が反映されるiDeCoでの運用を検討してみましょう。
※当記事は2022年10月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。