iDeCo(イデコ)に関する「変更」の手続きあれこれ

2023/06/06最終更新

iDeCo(イデコ)に関する「変更」の手続きあれこれ

老後資産の形成手段として注目度が高まっている個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))。10年、20年といった長期で加入し資産運用を続けていく中で、掛金の金額や運用商品の変更、転職や引っ越しなどによる届出情報の変更など、さまざまな場面で手続きが必要になるかもしれません。そこで今回は、どのようなケースでどのような変更手続きをすればよいのか整理しておきましょう。

掛金額を変更したい

長期で運用を続けていると、家計の状況やライフプラン、投資に対する考え方にも変化が出てきます。途中でiDeCo(イデコ)の掛金額を「増額」あるいは「減額」したいときはどうすればよいでしょうか。

iDeCo(イデコ)では、毎年1月引落分から12月引落分までの間で1回に限り、掛金額を変更することができます。(会社員から自営業になるなど「被保険者種別」が変わると、掛金の上限額が変わります。この場合の掛金額の変更は、「年1回の変更」には該当しません)。

具体的な手続きとしては、自営業者等(国民年金の第1号被保険者)、会社員・公務員(第2号被保険者)、専業主婦等(第3号被保険者)ごとに「加入者掛金額変更届」が用意されているので、必要事項を記入して、加入している金融機関(運営管理機関)に提出します。その後、金融機関によって書類がiDeCo(イデコ)の運営主体である国民年金基金連合会に送られ、変更の審査が行われます。審査が通れば、その翌々月から変更後の掛金を納付できるようになります。

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掛金の拠出を休止したい

iDeCo(イデコ)への掛金の拠出を一旦休止しなければならない状況が発生するかもしれません。たとえば、子どもができて教育費を優先しなければならなくなったり、ケガや病気によって一時的に収入が減ってしまったりした場合です。iDeCo(イデコ)は一度加入したら原則、解約・脱退することはできませんが、掛金の拠出を休止することは可能です。

具体的には、「加入者資格喪失届」を金融機関(運営管理機関)から取り寄せ、必要事項を記入して、金融機関に返送します。前述の掛金額の変更と基本的な流れは同じです。掛金拠出を休止すると、「加入者」から「運用指図者」に立場が変わり、掛金の拠出は行わず、これまで積み立てた資産の運用を続けることになります。なお、運用指図者である期間も手数料がかかります。

掛金拠出を再開する時は、「個人型年金加入申出書」をあらためて提出して、運用指図者から加入者に戻ります。iDeCo(イデコ)の掛金は全額所得控除の対象となり税負担が軽減されます。このメリットを生かすためには、状況に余裕が出たら掛金拠出を再開することをおすすめします。

所得税・住民税の軽減効果は、ご本人の課税所得・掛金額により異なります。第3号被保険者など課税所得がゼロの方の場合、所得税・住民税の軽減効果はありませんので、ご注意ください。

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職業(加入者種別)が変わったら

就職や退職に伴い公的年金の被保険者種別が変更となった場合、iDeCo(イデコ)でも所定の手続きが必要です。

たとえば、専業主婦でiDeCo(イデコ)に加入していて、その後企業型確定拠出年金(企業型DC)のない会社に就職した場合は、iDeCo(イデコ)をそのまま継続します。ただし、国民年金の「第3号被保険者」(扶養される立場)から「第2号被保険者」(厚生年金や共済組合の加入者)に立場が変わるので、この場合は、「加入者被保険者種別変更届」を金融機関(運営管理機関)に提出する必要があります。

また、第3号被保険者から第2号被保険者に変わった場合、iDeCo(イデコ)の掛金額の上限も月額2万3,000円から月額1万2,000円(勤務先に企業年金制度等がある場合)まで減額となる場合があります。専業主婦時代に月額1万2,000円より多く拠出している場合は、掛金額の変更手続きも必要です。なお、会社に企業年金制度等(確定給付企業年金・厚生年金基金等)がなければ、掛金額の上限は2万3,000円のままです。

会社を辞めてフリーランスになった場合は、第2号被保険者から第1号被保険者となります。第1号被保険者の掛金上限額は月額6万8,000円なので、手続により掛金を増額することができます。

運用商品を変更したい

iDeCoは金融機関が用意した金融商品の中から、自分で選択して運用します。運用期間は長期にわたるので、元本確保型の定期預金などで運用しようと考えていた方が、少しリスクを取ってでも資産を増やしたいと考えたり、受取時期が近づいた方が値動きの少ない商品に変更しておきたいと考えるなど、運用方針が変わることもあるでしょう。このような場面で行う手続きが、「配分変更」や「スイッチング(預け替え)」です。

配分変更とは、毎月の掛金で購入する運用商品の割合を変更することです。たとえば、毎月の掛金で商品Aに50%、商品Bに40%、商品Cに10%という割合で投資していたものを、商品Aを30%、商品Bを30%、商品Cを40%に変更します。

一方、スイッチング(預け替え)は、今まで積み立てた資産の資産構成を変えることです。商品Aを売却し(商品Aの比率を下げる)、その資金で商品Bを購入する(商品Bの比率を上げる)ことにより、構成比を調整します。

「配分変更」や「スイッチング(預け替え)」は、加入者サイト(インターネット)でいつでも手続きできます。また、コールセンターでも受け付けています。

iDeCo(イデコ)を
やめたい

iDeCo(イデコ)は、60歳未満での途中の解約・資金の引出しは原則として認められていません。「脱退一時金」を受取れる場合もありますが、全ての要件を満たすのは非常に難しいため、基本的には脱退はできないと考えておいたほうがよいでしょう。

【脱退一時金の受給要件】

  • 60歳未満であること
  • 企業型確定拠出年金加入者でないこと
  • 国民年金保険料免除者、外国籍の海外居住者等のiDeCoに加入できない者であること
  • 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
  • 通算拠出期間(※1)が1ヶ月以上5年以下、または個人別管理資産額が25万円以下であること
  • 障害給付金の受給権者でないこと
  • 最後に企業型確定拠出年金加入者又はiDeCo加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと
  • ※1掛金を拠出していない期間は含みません。「退職一時金」や「企業年金(※2)」から確定拠出年金へ移換があった場合、それらの期間も含みます。
  • ※2企業年金とは、「厚生年金基金」、「確定給付企業年金」および「適格退職年金」をいいます。

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脱退するための手続きとしては、「脱退一時金裁定請求書 兼 個人別管理資産移換依頼書」を金融機関に提出します。その後、国民年金基金連合会が脱退要件を満たしていると判断すれば、残っている資産を「脱退一時金」として受け取れます。しかし、前述の通り脱退要件を満たすのは非常に困難なので、もしも掛金の拠出を止めたければ、脱退ではなく前述の運用指図者になる選択をするのが現実的です。

iDeCo(イデコ)の資産を企業型DCに移換するには

iDeCo(イデコ)の加入者が転職して、転職先に企業型確定拠出年金(企業型DC)がある場合は、iDeCo(イデコ)の資産をそのまま企業型DCに移換できます。この場合、iDeCoの加入資格を喪失することになるので「加入者資格喪失届」内の資格喪失理由欄で「運用指図者となるため」を選び、金融機関(運営管理機関)に提出します。

転職先の会社で行う手続きとしては、勤務先から「個人別管理資産移換依頼書」を受け取り、担当部署に提出します。なお、これまでのiDeCo(イデコ)の資産は一度現金化され、会社側が指定する運用商品などに配分されるので、新たな運用商品で運用をはじめるためには、スイッチングを行う必要があります。

また、iDeCo(イデコ)の資産を企業型DCに移換せず、iDeCo(イデコ)口座でそのまま掛金を積立てて運用を続けることも可能です。口座管理手数料については企業型DCでは会社が負担してくれますが、一方、企業型DCではこれまでよりも掛金額が少なくなってしまう場合は、iDeCoを併用して資産形成していくことも検討しましょう。

住所や掛金引落口座を変更したい

引越しで住所が変わったら、金融機関(運営管理機関)に「加入者等氏名・住所変更届」を提出します。個人払込で掛金を拠出している場合、毎年10月以降に「小規模企業共済等掛金納付証明書」が郵送されます。年末調整や確定申告の際に添付する重要な書類です。受取りそびれることのないように、引っ越したら必ず変更手続きをしましょう。

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掛金の引落口座を変更したい時は「加入者掛金引落機関変更届」の提出が必要となります。こちらも、加入しているiDeCo(イデコ)の金融機関(運営管理機関)に提出します。

給付を受けるための手続き

iDeCo(イデコ)の老齢給付金は、原則60歳以降75歳になるまでの間に、給付の請求手続きをして受取ります。

ただし、60歳から年金資産を受け取るには、60歳到達時点での「通算加入者等期間」が10年以上必要です。10年に満たない場合は、受給開始可能年齢が最長65歳まで引き上げられます。通算加入者等期間と受給開始可能年齢との関係は、以下の通りです。

【通算加入者等期間と受取開始可能年齢の関係】

  • 10年以上:60歳以降
  • 8年以上10年未満:61歳以降
  • 6年以上8年未満:62歳以降
  • 4年以上6年未満:63歳以降
  • 2年以上4年未満:64歳以降
  • 1月以上2年未満:65歳

60歳以降に新規でiDeCoに加入し、60歳までの通算加入者等期間がない方は、加入日から5年を経過した日から受取りが可能となります。

「通算加入者等期間」とは、企業型DCおよびiDeCo(イデコ)の「加入者期間」および「運用指図者期間」のうち、60歳未満の期間を指します。企業型DCの加入にあたって、他の企業年金制度から資産を移換した場合は、移換前の制度の加入期間も含みます。

お手続きは面倒に感じられるかもしれませんし、忙しいとつい後回しにしがちです。忘れずに確実に行いましょう。

当記事は2022年11月29日時点の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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