親が認知症になったら…代表的なお金の管理方法とよくある金銭トラブル

高齢化の進行とともに、認知症の高齢者も増加していく懸念があります。もしも自分の親が認知症になってしまったら、心配なことのひとつとして「金銭トラブルに巻き込まれる可能性が出てくること」があるのではないでしょうか。そこでこの記事では、認知症高齢者でよく聞くお金のトラブルとともに、家族が知っておきたい金銭管理の注意点などを紹介します。

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認知症の高齢者によくあるお金のトラブル例

まずは、認知症の高齢者によくあるお金のトラブルにどのようなものがあるかを知っておきましょう。

金銭管理が正しくできなくなる

計画性や判断能力が低下するため、年金支給と同時にすべて使ってしまうなど、家計に必要なお金を使いこむ傾向があります。また、欲求のコントロールができず、高額な商品を次々購入することもあるのです。

高齢者を狙った悪徳商法や特殊詐欺に遭う

高齢者の消費者トラブルは、増加傾向です。国民生活センターによると、架空請求や通信販売、訪問販売、電話勧誘販売によるトラブルが多い傾向で、家族が気づかないうちに繰り返し被害に遭うこともあります。

お金を盗られたと思い込んでしまう

お金を払う必要がなくてもそのことが理解できなくなり、財布を持っていないことが不安になる傾向です。そのため、家族や知人がお金を盗んだと思い込んでしまう「物盗られ妄想」が起こりやすくなります。

家族内の1人が金銭を管理することで、親族間でトラブルになる

親族間の揉めごとに派生することもあります。例えば、認知症になった当人のお金を管理している者のお金の使い道などをめぐる争いが起こりやすい傾向です。

銀行の本人確認手続き煩雑化により、家族でも預金を引出すことが難しくなる

銀行は、原則家族であっても本人以外からの預金引出には応じてくれません。

医療・介護費用を家族が自己資金で立て替えざるを得ない場合もある

本人の預金が引出せなければ、家族が医療費や介護費の立て替えをせざるを得ません。介護の種類や認知症の進行度などによって異なりますが、2018年度の介護費用として必要となる平均額は一時金で69万円、月々7.8万円という調査データがあります。同年の平均的な介護期間は、約4年7ヵ月となっており、単純計算すると69万円+7.8万円×55ヵ月で約498万円の費用が必要です。

認知症の家族の金銭管理を行う際の注意点

金銭トラブルを避けるためとはいえ、家族が金銭管理をするうえで注意しておきたいこともあります。

無理やりお金や財布を取り上げない

親自身がお金を管理する権利を奪うことは、自尊心を奪うことになります。小銭を入れた財布くらいは持てるような気遣いも必要でしょう。

家族全体が認知症への理解を深め、接し方に気をつける

相手が認知症でも、頭ごなしの否定や家族の常識を押しつける行動は控えたいものです。本人の希望をいかに実現させてあげられるか検討し、接し方に気を配りましょう。

もしもの場合に備えて家族全体で話し合いをする

判断能力が低下した場合、日常生活や医療・介護などのお金の管理をどうするか、事前に家族全員で対策を練っておきましょう。

認知症の家族のお金・預金の管理方法~成年後見制度とは?

認知症になった際には「成年後見制度」を利用することもできます。

成年後見制度とは?

認知症などで判断能力が不十分になり、契約締結や財産管理を行えない人を守るための制度で、「法定後見」と「任意後見」の2つに分けられます。

  • 法定後見:すでに判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所に選任された後見人等が財産を管理するもの
  • 任意後見:本人の判断能力があるうちに、将来への備えとして後見人等となる人を自ら事前に決めておくもの

法定後見制度の手続きの流れ

申立てから後見登記までの流れは次のようになります。

  • 家庭裁判所へ申立て
  • 審理:各種書類の調査や申立人・本人・後見人候補の調査、また親族の意向照会など
  • 審判:鑑定や調査の終了後,家庭裁判所により成年後見等の開始の審判、成年後見人等の選任
  • 審判確定:審判の内容は申立人、本人、成年後見人等に書面で通知
  • 法務局に後見登記

成年後見制度利用の注意点

金銭トラブルを防止するうえで成年後見制度は有効ですが、注意点もあります。

  • 後見人等は行った職務の内容を毎年あるいは随時に家庭裁判所に報告する義務がある
  • 弁護士や司法書士など家族以外が後見人等に選任されても異議申立てができない
  • いったん後見人等がつくと、家族の意向で後見人等を交代、除外することが難しい
  • 財産の管理は後見人等の権限となり、家族や本人の意向が反映されにくい
  • 申立てには概ね10万円超の費用がかかり、申立人が支払わなければならない
  • 後見人等には報酬を払う必要があることが多い

報酬は、被後見人等の財産から支払われます。管理財産が多い場合は、基本報酬も増えていく傾向です。その対策も考えておく必要があるでしょう。

《主な費用》
申立手数料及び後見登記手数料

3,400円分(内訳:800円分+2,600円分)

送達・送付費用

後見申立て:3,270円分

保佐・補助申立て:4,210円分

鑑定費用

10万~20万円程度

参照:東京家庭裁判所「申立てにかかる費用・後見人等の報酬について」

成年後見制度以外のお金の管理方法

成年後見制度のほかにも認知症高齢者のお金の管理方法があることも知っておきましょう。

  1. 1.日常生活自立支援事業のサポートを受ける

    社会福祉協議会の日常生活自立支援事業のサポートを受けることも可能です。「日常的金銭管理サービス」として週1~2回、預金を引出してもらい自宅で受け取れるサービスがあります。また、「書類等預かりサービス」では年金証書や通帳、権利書、実印などを預けることが可能です。ただし、サービス利用には条件があり、また有料です。詳しくは、お住まいの市町村へ問い合わせてみましょう。

  2. 2.資産承継信託を利用する

    資産承継信託とは、万一に備えて資金を銀行などに預入れ、あらかじめ設定した条件のもと本人や家族がお金を引出せるようにしておくサービスです。本人の意思を尊重しながら家族が主導となり資産を守れるメリットがあります。

まとめ

認知症高齢者を金銭トラブルから守る方法には、成年後見人制度や日常生活自立支援事業、資産承継信託などがあります。各制度やサービスのメリット・デメリットをしっかりと押さえたうえで、自分の家族に最適なものの利用を検討してみましょう。りそな銀行の資産承継信託「マイトラスト」「ハートトラスト」なら、ご自身や大切なご家族の万一に備えて、最適な資産管理や銀行手続きの代行、資産の譲渡が可能です。加齢による判断能力低下など、将来に不安を抱いた際、事前に家族間でお金の管理の話し合いをしておきましょう。

詳しい情報はHPまたは店舗で案内しています。ぜひ検討してみてください。

介護・認知症対策信託 ~資産承継信託~

本記事は2020年3月時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

續 恵美子(つづき・えみこ)
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保有資格:
日本FP協会認定CFP(R)

生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。