遺産分割協議書とは?具体的な書き方や作成時のポイント

2022/06/23最終更新

遺産分割協議書とは?具体的な書き方や作成時のポイント

遺産相続の手続きで必要となる「遺産分割協議書」ですが、どう作れば良いのかわからないという方も多いでしょう。

遺産分割協議書とは、相続人全員で遺産をどう分けるのか話し合った結果が明記された書面です。遺産分割協議書がないと、金融資産や不動産などの名義変更ができず、相続手続を進められない可能性があります。

今回は、遺産分割協議書とはなにか紹介したうえで、具体的な作成の流れや注意点をわかりやすく解説します。

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主なキャリア

元銀行員。相続や遺産分割の手続きを通じて、多くのお客さまの相談業務に携わる。相続では「自分の想いを伝え、大切なものを守るため」に生前から準備しておくことが大切だと考える。現在は、編集者として金融機関を中心に、ウェブコンテンツの編集・執筆業務を行う。

「遺産分割協議」に関する基礎知識

遺産分割協議書を作成するために、まずは遺産分割協議の内容を確認しましょう。

相続人全員での話し合いのこと

遺産分割協議とは、「被相続人」つまり故人の財産について、法定相続人全員でどう分割するか話し合うことです。

法定相続人とは、民法で定められた被相続人の遺産を相続できる人です。具体的には、被相続人の配偶者や子、父母などが該当します。いずれもいないときは、被相続人の兄弟姉妹も法定相続人となります。
子がすでに亡くなっている場合は孫が、法定相続人である兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は甥姪が、代襲相続人となります。

これら法定相続人全員で遺産分割について話し合った結果を、書面にまとめたものが「遺産分割協議書」です。預貯金や不動産、株式、債務などの相続財産について、誰がどれだけ相続するかを記載します。

書面に残すことで、遺産相続の内容について相続人全員が合意したことを証明できるのです。

遺産分割協議が行われるタイミング

遺産相続は、大きく2つのパターンに分けられます。

遺言書がある場合

遺言書どおりに相続財産を分けます。どう分割するかは被相続人が残した内容が反映されるため、遺産分割協議は原則必要ありません。

ただし、遺言書と異なる遺産分割を行うときや、遺言書に記載のない相続財産があるときは、遺産分割協議が必要です。

遺言書がない場合

相続財産を誰がどう相続するのか決めるために、遺産分割協議を行います。相続人が1人しかいない場合は原則必要ありません。

遺産分割協議書はなぜ必要?

遺産分割協議を行った場合は、原則「遺産分割協議書」として話し合いの結果を残さなければなりません。

民法では法定相続割合、つまり、法定相続人がそれぞれどのような割合で相続するのかが定められています。しかし、遺産分割協議を行えば、法定相続割合とは異なる相続ができる場合もあります。

例えば、相続人が被相続人の配偶者と子ども2人、相続財産が預貯金と自宅だったとします。この場合、民法では2分の1が配偶者、4分の1ずつが子どもの法定相続分です。自宅は物理的に分割できないため、配偶者と子ども2人の共有財産となるでしょう。

しかし、遺産分割協議で合意すれば配偶者が自宅を単独で相続し、預貯金を配偶者と子ども2人で分割することも可能です。このときに話し合った結果を対外的に証明するために、遺産分割協議書が必要です。

ただし前述のとおり、遺言書がある場合や相続人が1人の場合は、遺産分割協議書は原則必要ありません。

【4ステップ】遺産分割協議書を作成するまでの流れと注意点

【4ステップ】遺産分割協議書を作成するまでの流れと注意点

遺産分割協議書を作るまでの具体的な手順と、注意点を見ていきましょう。

ステップ1:
相続人を明らかにする

遺産分割協議書は、法定相続人全員が合意したうえで作成しなければなりません。

そのためには、誰が法定相続人に該当するのかを明確にする必要があります。被相続人、つまり故人が出生してから死亡するまでのすべての戸籍を取り寄せ、法定相続人を確認してください。

注意したいポイント

被相続人に子どもがいない場合は、被相続人の両親、さらには祖父母の戸籍が必要なケースもあります。また、兄弟姉妹や甥姪が相続人となる場合は、調査に多少時間がかかるかもしれません。

ステップ2:
被相続人の遺産を調査する

遺産分割協議書には、被相続人が所有していた財産を明記する必要があります。現金や預貯金、不動産、株式はもちろん、借入れも相続の対象であるため、漏れがないように調査してください。

調査方法としては、自宅にある通帳や書類を調べるほか、被相続人と取引があったであろう金融機関や保険会社などに問い合わせするなどが挙げられます。

インターネット銀行・証券など、相続人が知らない取引があるかもしれないため、被相続人のスマートフォンやパソコンも調べるとよいでしょう。

不動産は、市区町村で管理されている名寄帳をもとに調査できます。名寄帳を取得するには、不動産がある市区町村ごとに申請が必要です。

注意したいポイント

名義預金口座も相続財産として扱う必要があります。名義預金口座とは、口座の名義人と、実際に預金した方が違う口座です。例えば、被相続人が子・孫名義の口座で毎月1万円積み立てていたものは、名義預金口座に該当する可能性があります。

口座の名義人がその口座の存在を知らない、あるいは贈与されたと認識していないなどの場合は、基本的には名義預金口座として相続財産に該当します。

名義預金は、分割協議の対象に含めるか否かなど取扱いの判断が難しいことが多いため、詳しくは専門家に相談することをおすすめします。

ステップ3:
遺産分割の協議を行う

法定相続人と相続財産が明確になったら、どう分けるのかを話し合いましょう。

遺産の分け方は、法定相続割合に関わらず自由に決められます。相続人全員が同じ場所に集まれない場合は、電話や郵送での話し合いでも問題ありませんが、協議内容には全員が合意する必要があります。

特に、不動産などの分割しにくい財産は、誰がどう相続するのが望ましいのか、慎重に考えましょう。

注意したいポイント

相続割合を決める際は、今回の相続だけではなく、将来起こるかもしれない二次相続を考慮したいケースもあります。

二次相続とは、相続人となった方が亡くなったときに発生する相続です。例えば、配偶者と子どもが相続し、その後配偶者が亡くなり子どもがすべて相続するケースが二次相続です。

分割方法によっては、一次相続・二次相続の相続税負担の合計が異なる場合もあるため注意が必要です。

また、相続人に認知症の方や未成年者がいる場合、成年後見人や特別代理人を選任する必要があり、協議に時間がかかるかもしれません。

なお、相続税の申告と納税の期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内です。遅れると加算税や延滞税がかかることもあるため、注意してください。

ステップ4:
遺産分割協議書を作成する

相続人全員が合意できて協議が終わったら、「遺産分割協議書」として書面にまとめます。書面には相続人全員が署名・実印を押印し、全員分の印鑑証明書とともに各々が所持します。

注意したいポイント

書面に記載された内容が不明確だと、提出先から訂正を求められる場合があるため、作成時には内容に不備がないか念入りに確認しましょう。

また、相続財産のうち借入れを誰が引き受けるかは、金融機関などの債権者の同意を得なければなりません。

なお、財産配分がない遺産分割協議書に署名押印することと、相続放棄は異なるため、混同しないように注意してください。

遺産分割協議は、あくまでも相続人同士の話し合いです。相続放棄をする場合、相続の開始を知った日から3ヵ月以内に、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所へ申述しなければなりません。

仮に、遺産分割協議書で一切相続しない旨を明記しても、家庭裁判所に対して相続放棄の手続きをしなければ、債務の返済義務が生じる可能性があります。

【イラスト付き】遺産分割協議書の書き方

実際に、遺産分割協議書の記載例を見ていきましょう。

【イラスト付き】遺産分割協議書の書き方

パソコンと手書きどちらでも作成可能

遺産分割協議書は決まった様式がなく、パソコンと手書きどちらで作成しても有効です。とはいえ、相続人分作成する必要があるため、パソコンで作成するほうが便利でしょう。

ただし、作成するすべての遺産割協議書に相続人の氏名を各々が手書きで記入し、実印を押印します。

遺産分割協議書に記載する内容

記載すべき内容は、次の4点です。

  • 被相続人の最後の住所や氏名、死亡日
  • 相続人全員が合意している旨の内容
  • 分割する相続財産の詳細
  • 相続人全員の氏名と住所、実印の押印

添付書類として、実印であることを証明する印鑑証明書も用意しましょう。

印鑑証明書の発行日付は、遺産分割協議書の日付より前である必要があります。印鑑証明書に有効期限はありませんが、提出先によっては期限が定められている場合もあるため注意してください。

遺産分割協議書を作成するときの4つのポイント

遺産分割協議書を作成するときの4つのポイント

ここでは、遺産分割協議書の作成時に気を付けたいポイントを、4つ押さえましょう。

1協議は相続がわかった時点で早めにはじめる

遺産分割協議書の作成に期限はありません。とはいえ、相続手続には期限があるため、相続開始がわかった時点で早めに協議を始めましょう。

相続税の申告・納付期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内と決まっています。また、相続放棄をしたい場合は相続の開始を知った日から3ヵ月以内に上記のとおり家庭裁判所への申述が必要です。

2遺産は漏れがないよう正確に記載する

現金・預貯金・不動産・株式などはもちろん、保証債務・借入金・ローンなどのマイナス財産も漏れがないようにしましょう。遺産分割協議書の作成時には、どの財産か特定できるように、正確に記載します。

特に、土地や建物などの不動産に関しては、登記事項証明書に書かれているとおりに記載しましょう。

万が一、記載が漏れたり誤ったりしていると、意図したとおりの遺産分割ができない可能性もあります。場合によっては、遺産分割協議書を作り直す必要も出てくるかもしれません。

3作成後の変更は難しいため、慎重に協議を行う

遺産分割協議書の作成後に内容を変更したい場合は、相続人全員による新たな合意が必要です。また、遺産分割協議書を再作成するとなると、不動産の登記手続や相続税申告などが遅れ、トラブルに発展しかねません。

このように、遺産分割協議書の内容変更は問題が起こりやすいため、後日変更点が出ないよう内容を慎重に話し合ったうえで、作成しましょう。念のため、作成後に新たに相続財産が見つかった場合の取扱い方も明記しておくと安心です。

4全員で保管する

遺産分割協議書は1通でも問題ないとされていますが、トラブルを防ぐためにも相続人全員分を作成し、それぞれが所持しておいてください。

作成時に遺産分割協議書を人数分用意し、それぞれが自筆で氏名を記入し実印を押印します。一般的に、不動産の登記や金融機関の手続きで、印鑑登録証明書の提出が求められるため、相続人全員分の印鑑登録証明書も用意しましょう。

まとめ

遺産分割協議書とは、遺産分割について相続人で話し合った内容を書面にまとめたものです。相続人同士のトラブル防止としてはもちろん、相続手続を行ううえで、その内容を明らかにするためにも必要な書類です。

遺産分割協議書は個人でも作成できますが、遺産や法定相続人を調べ、不備のない遺産分割協議書を作るには手間や時間がかかります。遺産分割協議書の作成に不安があれば、専門家への相談を検討しましょう。

りそなの「遺産整理業務(相続手続代行サービス)」であれば、りそながお客さまに代わって相続人を確認し、相続財産の調査を行うため、遺産分割協議書の作成をスムーズに進められます。

遺産分割手続の実施や相続税の納付代行などもお手伝いできるため、もし相続の手続きでお悩みであれば、ぜひ一度ご相談ください。

本記事は2022年6月23日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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