最低限揃えておきたい防災グッズとは?災害に備えて補償は必要?

近年、日本では台風や地震、豪雨など、これまでは予想しなかった規模の自然災害が多くなっていますが、みなさん準備は万全ですか?私自身、「いざというときに備えておかないと…」と思っていながら、防災グッズや災害保険を見直したのは東日本大震災がきっかけです。いざ、リサーチしながら準備を始めてみると、「防災グッズに入れておく現金は小銭も必要」、「地震によって家が燃えてしまったとしても、火災保険では補償されない」など、はじめて知ったことも。ここでは、「これだけは用意しておきたい」という必需品の種類や量をご紹介します。万が一の被災に備えて、みなさんも保険の種類も事前にチェックしてくださいね。

私が書きました
主なキャリア

生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

  • りそなグループが監修しています

災害の備えで用意すべき防災グッズはどんなもの?

最初に準備しておきたいのは、非常用持ち出し品です。必要なものを確認し、自宅にないものがあれば購入しておきましょう。

非常用持ち出し品とは?

避難時に自宅からまず持ち出すべきものを「非常持ち出し品」と呼びます。

非常用持ち出し品は、災害発生時にすぐ持ち出せるようにリュックのような両手が使えて持ちやすいバッグに詰め、寝る場所の近くや玄関先に置いておきましょう。

また、非常時に1人が持ち出せる量は限られています。各個人が持ち運べる分量は10kg~15kgが目安となりますので、必需品を中心に準備し、リュックが複数個になる場合には、「誰が何を持ち出すか」について家族で担当を決めておきましょう。

  • 横須賀市「非常用持ち出し品・非常用備蓄品の準備」

持ち出し袋に入れておきたい防災グッズ

災害時に最低限必要なものは以下になりますので、持ち出し袋に入れておきましょう。

  • 飲料水
  • 食料(アルファ米、カップ麺、ビスケット、チョコレート、乾パンなど)
  • 貴重品(現金、印鑑、預金通帳、健康保険証や免許証のコピーなど)
  • 防災ずきん、ヘルメット
  • マスク
  • 軍手、手袋
  • 救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬、お薬手帳など)
  • 懐中電灯(予備電池も)
  • 携帯ラジオ
  • 携帯電話の充電器
  • 衣類、下着
  • 毛布、タオル
  • くつ、スリッパ
  • 洗面用具、使い捨てカイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ
  • ろうそく、ライター
  • めがね(ないと困る場合)
  • 笛(居場所を知らせることができる)
  • 筆記用具(紙、ボールペン、油性マジックなど)

上記のほかに、可能であれば次のものも用意しておくと便利です。

  • 万能ナイフ
  • ビニール袋
  • ビニールシート
  • 毛抜き(とげ抜き、ピンセットとして使える)
  • 雨具
  • くし、ブラシ、鏡
  • 化粧品
  • ゴム(避難時に髪を洗えない場合に、髪の毛をくくると不快感が薄れます)

家族構成によって異なる防災グッズ

家族の人数や性別、乳幼児や高齢者がいるかどうかによって、非常用持ち出し品の種類や量は変わります。家族構成や状況に合わせて、次に紹介するものを防災グッズに加えましょう。

女性がいる場合
  • 生理用品
  • 防犯ブザー
  • カップ付きインナー
乳幼児がいる場合
  • 哺乳瓶、粉ミルク、離乳食
  • 紙オムツ
  • おしりふき
  • おもちゃ、絵本
  • 母子健康手帳のコピー
高齢者がいる場合
  • 老眼鏡、入れ歯
  • 常備薬
  • 介護用品
  • 大人用おむつ

災害の備えで用意すべき水・食料の量、種類とは?

避難生活を送るうえで必要となる水や食料などの物品を「非常用備蓄品」と呼びます。大災害が起こると、ガス、水道、電気、通信が止まる可能性があるため、ライフラインがなくても自力で過ごせるように、非常用備蓄品を普段から準備しておきましょう。

用意すべき食料の量はどのくらい?

大規模災害が起こった直後の3日間は、人命救助が優先されます。そのため、この3日間は公的支援を期待できない可能性が高いと考え、「3日分×家族の人数」を目安として、水や食料品などの備蓄をするのが理想です。

  • 首相官邸「防災の手引き」

飲料水は1人につき何リットル用意すればいい?

水は、人間の生命維持に欠かせないものです。人間が生命を維持するために必要な飲み水は、成人の場合で1日2~2.5リットルといわれています。災害の備えとしては、これに少し余裕をもたせた3リットルを1日あたりの備蓄量と見積もっておきましょう。

理想は3日分の備蓄ですから、1人あたり「1日3リットル×3日分」で9リットルが目安です。しっかりと家族の人数分の備蓄を心がけましょう。大災害時には1週間分の備蓄が望ましいとされ、なかには住民に対して7日分の飲料水の備蓄を推奨している自治体もあります。

  • 首相官邸「防災の手引き」

災害の備えで用意する水の注意点

飲料水だけでなく、断水時の対策として、トイレなどに使う生活用水のことも考えておかなければなりません。

トイレ、洗濯、掃除に使う水は飲料水とは違い新鮮である必要はないため、普段お風呂に入ったあとの残り湯をそのまま浴槽にためておくのもおすすめです。ためた生活用水は、火災発生時の消火用にも使えます。

災害時に自治体の救護体制が整うと、各拠点で給水を受けられますので、ふたのできるポリ容器を数個、各家庭で用意しておきましょう。

災害の備えで食料を用意するときのポイント

災害時にライフラインが止まると、調理ができなくなる可能性があるため、調理が不要なアルファ米やレトルトご飯、缶詰や、そのまま食べられるチーズやかまぼこ、栄養補助食品、お菓子を備蓄しておくのもおすすめです。

避難場所で配給される食料品は、食べやすいおにぎりやパンなどの炭水化物が中心となることが多くなります。しかし、健康状態を維持するためには、災害時でも栄養のバランスを考えることも大切です。魚や野菜の缶詰、冷凍食品など、タンパク質や食物繊維を摂取できるよう最低限揃えておきましょう。

電気やガスが止まることを想定し、カセットコンロやラップ、アルミホイル、缶切りやハサミとしても使えるマルチツールも用意しておくとより安心です。

備蓄ルールとローリングストック

家族の人数によっては非常用備蓄品の量が多くなることが考えられます。たとえば、5人家族の場合では「1日3食×3日分×5人分」となり、45食分もの食料品の買い置きが必要になります。飲料水であれば「1人3リットル×3日分×5人分」で45リットルが必要で、2リットル入りのペットボトルなら23本程度です。

  • 首相官邸「防災の手引き」

これらをまとめて購入するのは費用がかかるうえ、ストック場所や賞味期限の問題もあります。このような問題を解消するのが「ローリングストック」です。ローリングストックとは、普段から食べている食材や加工品のなかで備蓄できそうなものを少し多めに買い、食べた分だけ買い足していく方法です。

この方法だと、常に一定量の食材を備蓄でき、消費と購入を繰り返すため鮮度も保つことができます。ローリングストックは、食料品だけでなくトイレットペーパーや乾電池、常備薬、ビニール袋、カセットコンロ用のガスボンベなどほかの備蓄品にも応用できるので、非常時に備えて日用品もストックしておきましょう。

防災グッズ以外にも確認を!
災害が起こる前にチェックしておきたいこと

一人ひとりが自分の身の安全を守れるよう、家のなかの安全対策も忘れずに。

自宅内の家具・小物の移動

まず、自宅内の家具、小物の配置を確認しましょう。枕元には懐中電灯やスリッパを置いておくことで、就寝中に災害が起こってもスムーズに避難しやすくなります。また、枕元にかけ時計や額縁がある場合は、揺れが起こったときに頭上に落ちないよう、落ちても安全な場所へ移動させておくと安心です。

タンス・本棚・食器棚では重いものを下に、軽いものを上に入れるようにすると重心が下に移動し、災害時の転倒防止につながります。

家具の置き方

避難経路がふさがれないように、大きな家具は出入りの少ない部屋にまとめて置いたり、出入口から離れたところに置いたりしましょう。ベッド上への転倒防止のため、寝室には家具を置かないのが理想です。どうしても置きたい場合は、家具をしっかり固定してください。

避難経路、避難場所の確認

豪雨、津波、火山噴火など、災害の種類によって安全な避難場所が変わってきます。防災マップやハザードマップは、自治体や国土交通省のホームページから入手できますので、居住している環境に応じて起こりうる災害をイメージし、避難経路や避難場所を確認しておきましょう。

安否確認方法

災害は、家族が揃っているときに発生するとは限りません。学校、職場、買い物時など、家族が別々の場所にいるときに災害が発生した場合を想定し、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板の使い方、集合場所を家族で事前に話し合っておきましょう。

加入を検討すべき?いざというときのための災害補償

不運にも被災してしまい、自宅が全焼・全壊してしまったら…、あなたはどうしますか?リフォームでまかなえる程度か、新しく建築・購入しないといけないレベルか、被災状況に応じて考えることになると思いますが、いずれにしても莫大な費用がかかるでしょう。まだ住宅ローンが残っている場合は、新しく建てる自宅分とあわせて、二重で住宅ローンをかかえることになる可能性もあります。

そんなときに備えて、火災保険や地震保険が用意されていますが、未加入の方もこれから加入される方も、具体的にどこまで補償されるかを確認しておかないと、被災後に途方に暮れてしまうことも。万が一のときの不安を解消するためにも、前もって確認してから申込しましょう。

自然災害で自宅が被害を受けたときの補償としては地震保険や火災保険がありますが、それぞれに補償の対象となる自然災害の種類が異なります。自然災害のなかでも、日本は地震や火山の噴火が多い傾向がありますが、地震、噴火、津波による火災・倒壊・流出などは地震保険の対象で、火災保険では補償されません。

住宅ローンを組むときには、ほとんどの場合は火災保険に加入しますが、地震保険への加入状況もあらためて確認しておきましょう。

たとえば、りそなの「自然災害サポートオプション」のように、被害状況に応じてローン返済への補償を受けられるサービスを用意している金融機関や保険会社もあります。既に住宅ローンを組んでいても途中加入・解約できるので、今一度災害保険の加入状況・補償内容を確認したうえで、手厚い補償が受けられるように準備しておくと、いざというときの不安も少しは軽減されるのはないでしょうか。

まとめ

地震や台風、豪雨などの自然災害がいつ起こるかわからないこの時代、防災グッズのほかに地震保険や上記でご紹介した災害関係のオプションサービスへの加入で、大切な自宅や家財の災害リスクに備えることも重要です。
火災保険や地震保険への加入を検討されている方は、どこで申込みをすればいいか迷ってしまうかもしれません。そんな時は、物件の不動産屋、信用度の高い大手銀行にご相談してみてはいかがでしょうか。窓口相談では一人ひとりの異なる状況に合わせて具体的にアドバイスをしてもらえるので、より一層の安心につながるでしょう。

災害で被害を受けてしまった場合でも、金融機関に相談できることは多くあると思います。
たとえば、りそなでは2019年8月の前線に伴う大雨被害によって、印鑑や預金通帳を紛失されたお客さまに対して預金払い戻しの対応サポートをおこなっています。また、同じく被害にあわれたお客さまに、買いかえ・住みかえ・修繕など住宅関連の必要資金や復旧に必要な生活資金をサポートするために修繕復旧支援融資制度を制定しています。

災害にあわないのが理想ですが、不測の事態を想定をして、防災グッズや災害保険・オプションサービス等を検討する必要がある時代になってきたのかもしれません。

本記事は2019年9月時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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