住宅ローンの「がん団信」とはどのような商品?一般的な「がん保険」とどっちを選択?

2023/10/04最終更新

住宅ローンの「がん団信」とはどのような商品?一般的な「がん保険」とどっちを選択?

住宅ローンを契約する際、「がん団信とがん保険、どっちを選択するべき?」と悩む方もいるかもしれません。

がん団信とがん保険には、それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあります。そのため、契約者の生活状況や経済状況を十分に考慮したうえで、加入を決めることが大切です。

今回は、がん団信の概要や、がん団信とがん保険のメリット・デメリットなどについて解説します。

※このコラムで紹介する団信の特約は、一般的な商品の説明です。りそなの取扱う団信の特約とは異なる点にご注意ください。

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住宅ローンにおける「がん団信」の特徴

がん団信とは、がん団信の被保険者が「がん」と診断確定された際、住宅ローンの残高が0円になる「がん特約」のことです。

住宅ローンを契約する際、契約者は一般的に団体信用生命保険(以下、団信)に加入します。

団信とは、住宅ローンの契約者が死亡・高度障害状態になった際、保険会社が契約者に代わり金融機関に住宅ローンの残高を支払うことで、住宅ローンの返済が不要になる保険です。

がん団信とは団信にがんの特約を付加したものを指し、死亡・高度障害状態のほか、所定のがんと診断確定された際も保険が適用されます。

住宅ローンの「がん団信」に関する基礎知識

ここからは、がん団信のくわしい内容について解説します。

加入条件

がん団信の加入条件は、以下のとおりです。

  • 住宅ローンの契約をする方
  • 保険会社の審査に通った方

がん団信の加入は、これから住宅ローンを新規契約する方や、借換えをする方に限られます。保険会社の審査に通らない場合は、がん団信に加入できません。

がん団信の加入条件は、金融機関によって異なります。詳細は各取扱金融機関へお問合わせください。

保険料の負担

住宅ローン契約者の死亡・高度障害状態を保障する団信の保険料負担者は、金融機関です。一方、がん団信の保険料は、住宅ローンの金利に上乗せされるため、住宅ローンの契約者が保険料を負担します。

審査ポイント

がん団信に加入する際には、保険会社による所定の審査があります。がん団信は生命保険の一種のため、契約者の職業や健康状態の告知が必要です。

くわしい審査基準は保険会社によって異なり、住宅ローンの借入金額が高額な場合や告知内容によっては、健康診断結果証明書の提出を求められることがあります。

事実と異なる申告は告知義務違反になるため、ありのままを正直に申告することが大切です。

がん団信の審査に落ちたらどうする?

がん団信の審査に落ちたらどうする?

がん団信に加入できなかった場合、以下のような方法があります。

  • 一般団信の加入可否を確認し、加入が難しい場合はワイド団信を検討する
  • 審査に落ちた保険会社以外を引受保険会社とする金融機関に申込む

ワイド団信とは、一般的な団信よりも引受条件が緩和されている保険を指します。ワイド団信の特徴は、既往歴や持病などの理由により、一般的な団信に加入できなかった方でも加入しやすいように設計されていることです。

また、ワイド団信には加入しやすいメリットがあるものの、金利が上乗せになる場合があるため注意が必要です。

住宅ローンにおける「がん団信」のメリット

がん団信は、メリットとデメリットを把握したうえで加入を検討することが大切です。まずは、がん団信のメリットについて見ていきましょう。

家計への負担や精神的負担が軽減される

がんと診断確定され、仕事を続けるのが困難になり収入が減ると、住宅ローンの支払いが厳しくなることが想定されます。

がん団信への加入では、万一がんと診断確定されても、その後の返済が免除されるため、家計への負担や精神的負担が軽減されます。

保険金額に対する保険料はがん保険よりも割安な傾向にある

がん団信の保険料の特徴は、がん保険に比べ、保険金額に対する保険料が割安な傾向にあることです。

がん団信の保険料は、住宅ローンの適用金利・借入額・借入期間などによって異なりますが、がん保険よりも割安な保険料でがんに備えられる可能性が高くなります。

適用基準が明確

団信の代表的な特約に「3大疾病保障特約」があります。

3大疾病保障特約における脳卒中と急性心筋梗塞の適用条件には、「医師の診断を受けた日から60日以上所定の状態が継続したと診断された場合」などがあります。

そのため、59日以内に状態が回復し、労働制限がなくなると保険は適用されません。

一方、がん団信は、がんと診断確定された時点で保障が適用されるため、適用基準が明確でわかりやすいメリットがあります。

住宅ローンにおける「がん団信」のデメリット

次に、がん団信のデメリットを解説します。

契約後の内容変更ができない

がん団信の契約後、基本的に保障内容の変更や中途解約はできません。契約後の内容変更を希望する場合は、借換えのタイミングで入り直すのも一つの方法です。

住宅ローンの返済が終了したら保障期間も終了する

がん団信の保障期間は、住宅ローンを返済している期間のみです。がん保険に未加入、かつがんに備える場合は、住宅ローンの返済終了後にがん保険に加入しなければなりません。

対象にならないがんがある

がん団信には保障の対象にならないがんがあり、この基準は保険会社によって異なります。

例えば、一般的ながん団信では、上皮内がん(大腸粘膜内がん・食道上皮内がん・非浸潤がん・子宮頸がん0期など)は保障対象外です。

一般的な「がん保険」のメリット

ここからは、一般的ながん保険のメリットを解説します。

給付金を受け取れる

がん保険の被保険者が「がん」と診断確定されたら、がん入院給付金・がん手術給付金・がん診断給付金(一時金)・がん死亡給付金(保険金)などの給付金を受け取れます。給付金の使い道は自由のため、がんの治療費のほか、生活費としても使用可能です。

一般的に入院給付金の日数制限がない

一般的に、がん保険の入院給付金には、日数制限がありません。ただし、多くの医療保険には、1回の入院に対し日数制限が設定されています。がん保険は、がん治療の長期化や再発に備えることが可能です。

一般的な「がん保険」のデメリット

一般的ながん保険のデメリットについても見ていきましょう。

免責期間がある

免責期間とは給付対象にならない期間を指し、一般的ながん保険の免責期間は90日です。なお、免責期間はがん保険だけでなく、がん団信にも設けられています。

がんにしか適用されない

がん保険はがんにしか適用されないため、医療保険のようにケガやがん以外の病気には対応していません。幅広い保障を求めるなら、医療保険への加入が必要です。

「がん団信」や「がん保険」は必要?不必要?

ここからは、「がん団信」や「がん保険」の必要性や、それぞれに適している方の特徴について解説します。

死因の第一位はがん

下記の表は、厚生労働省が発表した死因順位と、それぞれの死因に対する人口10万人あたりの死亡人数を表しています。死因の第一位は悪性新生物「がん」です。

横スクロールできます。

死因順位 死因(男女) 死亡数
(男女・人口10万対)
1 悪性新生物(腫瘍) 38万5,787人
2 心疾患(高血圧性を除く) 23万2,879人
3 老衰 17万9,524人
4 脳血管疾患 10万7,473人
5 肺炎 7万4,002人
6 誤嚥性肺炎 5万6,068人
7 不慮の事故 4万3,357人
8 腎不全 3万740人
9 アルツハイマー病 2万4,860人
10 血管性および詳細不明の認知症 2万4,360人

がん団信の加入をおすすめできるのはどのような人?

がん団信に向いている方の特徴や条件は、次のとおりです。

  • 住宅ローンの借入金額が高額な方
  • 万一の際の住宅ローンの返済による家計負担を軽減したい方
  • 子どもの教育費などの出費がかさむ時期に住宅ローンを組む方

がん保険の加入をおすすめできるのはどのような人?

がん保険は、次のような方におすすめです。

  • がんに罹患したときにまとまった給付金を受け取りたい方
  • 日々の治療費を受け取りたい方
  • 住宅ローンの完済後もがん保障を受けたい方

がん団信とがん保険は、目的や加入上限年齢などの特徴が異なり、それぞれにメリットやデメリットがあります。

住宅ローンの契約においては、「どちらの選択が適切」ということはありません。住宅ローン契約時に各々の状況を考慮し、加入の有無を決めることが大切です。

がん保険やがん団信を検討する際の注意点

がん保険やがん団信を検討する際の注意点

最後に、がん保険やがん団信を検討する際の注意点を解説します。

目的を明確にする

がん保険やがん団信に加入する際は、加入の理由や目的を明確化させましょう。万一のときの家族の生活保障のため、医療費や入院費のためなど、加入の理由や目的をはっきりさせることで、必要な保障額や保障期間を決定しやすくなります。

定期的に見直しする

医療技術の進化にともない、がん治療は年々変化しています。そのため、がん保険やがん団信の加入後は、定期的に内容を見直すことが大事です。

ひと昔前のがん保険では、自由診療や通院治療に対する保障がない可能性も考えられます。なお、がん団信の内容変更は原則できないため、借換えのタイミングでの見直しを検討しましょう。

まとめ

がん団信は、がんと診断確定された際に住宅ローンの残高が0円になる団信の特約です。

がん団信には、適用基準が明確、がん保険よりも保険金額に対する保険料が割安といったメリットがあります。

ただし、契約後の内容変更ができない、住宅ローンの契約終了とともにがん団信の保障も終了する、などのデメリットも考慮しなければなりません。

「がん団信」と「がん保険」の選択では、それぞれのメリットやデメリットをふまえ、加入を検討することが大切です。

また、「がん団信」より保障範囲の広いりそなの団信革命(特定状態保障特約付団信)は、責任開始日以後の障害または疾病を原因として、保険期間中に所定の高度障害状態に該当する場合、仕事に復帰しても住宅ローン残高が0円になる保険です。

  • りそな銀行・埼玉りそな銀行
  • 関西みらい銀行

住宅ローンやがん団信についてお悩みの方は、お気軽にりそなへご相談ください。

  • 団体信用生命保険の保険金のお支払いには制限がございます。お申込みにあたっては保険会社所定の「団体信用生命保険重要事項に関するご説明(契約概要・注意喚起情報)」を必ずお読みいただき、詳細をご確認ください。
    (登)C21E6196(2022.1.6)

本記事は2023年10月4日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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