葬儀費用の平均相場はどれくらい?知っておきたいポイントあわせて解説

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別れはある日突然やってきます。しかし、悲しみのなかでもお金の心配はついて回ります。「葬儀費用にどれくらいかかるのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

ある調査では、「平均で約208万円必要」という結果も出ています。思った以上に費用がかかると感じる人もいるかもしれません。

万が一の際に慌ててしまわないためにも、葬儀費用がどれくらいかかるのかを知っておく必要があります。そこで今回は、葬儀形式や平均的な相場、そして葬儀費用の負担を抑える方法を紹介します。

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ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそ、お客様にとってのメリットを最大化するプランを提案することができることを強みとする。保険だけ、投資だけに片寄ることなく、今の生活も将来の生活も可能性に満ちたものにするようアドバイスすることを心がける。

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葬儀費用の平均相場は約208万円

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葬儀費用平均208万円

“終活”で最も気になることのひとつが、「葬儀費用はどれくらい用意しておけばいいのか」ではないでしょうか。株式会社鎌倉新書が2年に1回行っている「お葬式に関する全国調査」には、葬儀費用についての項目も含まれています。

2020年3月に実施した「第4回お葬式に関する全国調査(2020年)」によると、葬儀にかかった合計費用は、全国平均で208万200円でした。さっそく内訳を確認してみましょう。

お葬式にかかった費用:119万1,900円(平均)

※火葬場使用料および式場使用料を含む(飲食・返礼品費用・お布施は除く)

お葬式一式にかかる費用です。ここに含まれるのは、火葬場使用料・式場使用料などで、会葬者(参列者)の人数によって変わる飲食費用・返礼品費用は含まれていません。

お葬式の費用は、「どのような形式の葬儀にするのか」「どれくらいのグレードで執り行うか」によって大きく変動します。

葬儀の飲食にかかった費用:31万3,800円(平均)

葬儀関連の飲食費用は、おもに「通夜振る舞い」「精進落とし」「その他飲み物代」などにかかるものです。会葬者が多くなるほど金額は高くなります。

葬儀の返礼品にかかった費用:33万7,600円(平均)

会葬者への返礼品や香典返しにかかる費用です。「会葬者の数や香典を受け取るかどうか」によっても大きく変わります。

お葬式のお布施(お寺・教会・神社など宗教者への御礼):
23万6,900円(平均)

お葬式のお布施とは、お寺・教会・神社などへの御礼として納めるものです。具体的には、読経料・戒名料・心づけなどがあります。地域性によっても相場が変わってきます。

以上が、一般的な葬儀にかかる費用の内訳となります。なお、会葬者から受け取る香典の平均額は、71万1,400円です。

葬儀費用の平均額(208万200円)から香典の平均額(71万1,400円)を差し引くと、136万8,800円となります。つまり、香典を受け取った場合でも、100万円以上の急な費用が必要になることが予想されます。

ただし、葬儀費用は葬儀形式の内容によって大きな差が出てくるため、葬儀形式についての基本的な知識も知っておきましょう。

費用相場は「葬儀形式」によって異なる

葬儀費用は、おもに「葬儀」「飲食」「返礼品」「お布施」に分けられますが、葬儀形式が違えば会葬者数も違ってくるため、葬儀費用が大きく変動します。

ここでは、葬儀にはどのような葬儀形式があり、また、それぞれの葬儀形式ではどれくらい費用が変わるのか、確認していきましょう。

一般葬

一般葬とは、家族・親族だけでなく友人・知人・職場関係の人にも参列してもらう葬儀形式です。一般的に、通夜と告別式を執り行います。

どれくらいの会葬者が訪れるのかが予想しづらく、想定以上の人数が参列するケースもあり、当初の見積もりよりも葬儀費用が高くなることも少なくありません。前述の「第4回お葬式に関する全国調査(2020年)」によると、葬儀費用の平均は149万3,624円です。

家族葬

家族葬は、「家族・親族」「親しい友人」などの限られた人数だけが参列する、小規模な葬儀形式です。一般葬と同じく、通夜と告別式を行います。

会葬者が少なく、式場も小さくなるため、葬儀に関する費用が全体的に抑えられる傾向です。ただし、会葬者が少ない分、香典も少なくなります。葬儀費用の平均は96万4,133円です。

一日葬

一日葬は、通夜を行わず、1日で告別式と火葬までを行う葬儀形式です。葬儀にかける日数が1日だけで済むため、遺族や親族の時間的な負担が少なくなります。

費用面でも通夜を行わない分、会場費用や飲食代を抑えられるため、少額となる傾向です。葬儀費用の平均は85万1,461円です。

直葬・火葬式

直葬式・火葬式は、火葬のみを行う葬儀形式です。通夜・告別式は行わず身内だけで葬儀を済ませます。日数がかからず、葬儀会場も借りなくて済むため、費用は最も抑えられるでしょう。

ただし、直葬式・火葬式の場合でも葬儀社に依頼し、火葬の手続きを行う必要があるため、葬儀費用はかかります。葬儀費用は平均で44万5,376円です。

葬儀費用の負担を抑える3つの方法

葬儀費用の負担を抑える3つの方法

では、葬儀費用の負担を抑えるにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、3つの方法を紹介します。

小規模な葬儀形式を選ぶ

まずは、費用負担が小さくなる葬儀形式を選択することです。先ほど説明したように、一般葬が最も費用が高いため、「家族葬」「一日葬」「直葬」などに変更すれば費用を抑えられます。

ただ、葬儀は「最後のお別れ」という側面もあるため、故人の遺志を尊重しながら、検討しましょう。

複数社から見積もりを取る

次に大切なのが、複数社から見積もりを取ることです。葬儀の準備は、時間の余裕がないことが多いため、見積もり金額が適正かを確認できないまま、葬儀社を決めてしまう可能性があります。

しかし、葬儀社によって費用が異なるため、複数の業者に問い合わせて相見積もりを取ることで、見積もり金額が高すぎることがわかるケースもあります。費用の内容をしっかりと精査するためにも、相見積もりで内訳を確認しておきましょう。

補助・扶助制度を使う

3つ目は、葬儀費用を軽減する補助・扶助制度を利用することです。

国民健康保険(後期高齢医療制度を含む)に加入していた場合は、自治体から「葬祭費」を受けることが可能です。東京都23区では一律7万円が支給されますが、加入している自治体によって金額は異なります。

協会けんぽ(全国健康保険協会)などの社会健康保険に加入していた場合は、「埋葬料」として5万円が支給されます。申請先は社会保険事務所、または該当の健康保険組合です。

この葬祭費や埋葬料は葬儀後、2年間で時効となるため、注意が必要です。また、直葬の場合、自治体によっては葬儀とみなされず葬祭費が支給されない場合があります。

さらに、生活保護を受けている人の場合は、「葬祭扶助制度」を利用することが可能です。一般的に、最低限の葬儀を行うための費用として支給されるため、直葬での葬儀となります。

葬儀費用であらかじめ知っておきたいポイント

葬儀費用のなかでも事前に知っておきたいポイントを3つ紹介します。

葬儀費用は誰が負担するべき?

葬儀費用は、喪主が負担するのが一般的です。「誰が喪主になるか」「誰が葬儀費用を負担するか」については、法律では定められていません。しかし、配偶者や血縁関係のある実子が喪主となるケースが多い傾向です。

葬儀費用は故人の預貯金から支払える?

葬儀費用は、故人の資産から支払うこともできます。ただし、故人の資産を無条件で使えるわけではありません。

故人が亡くなったことを金融機関が知ると、口座の入出金ができなくなります。

しかし、2019年7月1日の民法改正によって「相続預貯金の仮払い制度」が新設され、この手続きを行うと凍結中の口座が解除され、一定額までなら遺産分割確定前に故人の預貯金から引き出せるようになりました。

この制度により、仮払いを受けることができる上限金額は下記になります。
・相続開始時の預貯金の額(口座基準)×3分の1×法定相続分
ただし、一つの金融機関から払い戻しを受けられるのは150万円までとなります。

なお、利用には払い戻しの請求を行う相続人の「法定相続分のわかる戸籍謄本などの書類」が必要となるため、実際は相続後すぐに引き出せない場合もあります。

資産承継信託に加入しておくのも一つの手

以上のように、葬儀は予期せぬタイミングで訪れることもあり、また、その際には手元にまとまったお金が必要になってきます。

葬儀費用の急な支払いに困らないようにするためにも、生前から「資産承継信託」に加入しておくことも一案です。

資産承継信託は介護・認知症対策にもなる信託商品で、あらかじめ指定した受取人が医療費・介護費・葬儀費用などを引き出すことが可能です。

まとめ

葬儀費用は、「どのような葬儀形式を選択するか」で大きく金額が変わってきます。そのため、葬儀に関連する費用の内訳を理解しておくことが大切です。

もし、葬儀費用の支払いが困難な場合は、相続預貯金の払戻し制度を活用して、金融機関などに申請することができます。

老後生活から葬儀までの「終活」という視点で考えるなら、自分自身や両親が要介護状態や認知症になった場合にも備えられる「資産承継信託」を利用するのもおすすめです。

さまざまな制度やサービスを利用して、納得のいく終活ができるようにしておきましょう。

本記事は2021年4月6日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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