確定拠出年金のマッチング拠出とは?上限額撤廃とiDeCoとの違い

公開日:2021/09/04
更新日:2026/06/08

確定拠出年金のマッチング拠出とは?上限額撤廃とiDeCoとの違い

企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入している企業に勤めている場合、「マッチング拠出」を利用できるケースがあります。しかし「どう活用すればよいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

マッチング拠出は、会社の掛金に上乗せして自分でも給与から掛金を拠出できる制度です。この記事では、マッチング拠出の仕組みとメリット・デメリット、上限額、iDeCoとの違いについてわかりやすく解説します。

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マッチング拠出とは?

税制優遇のメリットを受けながら老後の資金を用意できる制度の一つ、「マッチング拠出」の仕組みや利用条件を確認しておきましょう。

マッチング拠出の仕組み

マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している従業員が、会社が拠出する掛金に上乗せして自分でも給与から掛金を拠出できる制度です。上乗せとして拠出した掛金は全額が所得控除の対象になるため、税負担を抑えながら老後資産を積立てられます。

2012年1月の法改正で導入され、掛金は原則として60歳以降に一時金または年金として受け取りが可能です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)との関係

マッチング拠出は企業型DCの枠組みのなかで成り立つ制度です。企業型DCに加入していることが前提であり、企業型DCを実施していない会社では利用できません。

なお、企業年金連合会の調査(2025年3月公表)によると、企業型DC実施企業の51.9%がマッチング拠出を導入しています。マッチング拠出を導入している企業のうち、加入者掛金を拠出している加入者の割合(マッチング拠出の利用率)の平均は35.3%です。

マッチング拠出を利用できる条件

マッチング拠出を利用するには、以下の条件が必要です。

  • 勤務先が企業型DC制度を導入していること
  • 勤務先がマッチング拠出制度を規約で定めていること

利用は任意であるため、加入を強制されるものではありません。まずは勤務先の担当部署に、制度が導入されているかを確認してみましょう。

マッチング拠出の
3つのメリット

マッチング拠出には、掛金の所得控除・老後資産の効率的な積立・運用益の非課税という3つのメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

掛金が全額所得控除の対象になる

上乗せとして拠出した掛金の全額が所得控除の対象として扱われます。具体的には「小規模企業共済等掛金控除」に該当する形です。控除された分だけ課税所得が下がるため、所得税と住民税の負担が軽減されます。所得税率が高いほど節税効果は大きくなり、資産形成にも役立つでしょう。

老後資産を効率よく増やせる

会社の掛金に上乗せすることで、自分だけで積立てるよりも有利に老後資産を形成できます。掛金は給与天引きで自動積立されるため、払い忘れがなく、管理の手間もかかりません。掛金は年1回変更でき、停止・再開も可能です。

運用時・受取時ともに税制優遇がある

通常、投資で得た運用益には20.315%の税金がかかります。しかし、企業型DC口座内での運用益は非課税のため、売却益・利息・配当・収益分配金をそのまま次の運用に回すことが可能です。長期運用ではこれらの差が積み重なることから、最終的な資産額への影響は無視できません。

また、受け取り時にも税制優遇があり、一時金の場合は「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金等控除」が適用されます。

  • 控除額を超えるお受け取り額には原則として税金がかかります。詳しくはこちら

マッチング拠出の
デメリットと注意点

マッチング拠出は税制メリットが大きい一方、利用前に把握しておきたい注意点もあります。

原則60歳まで引き出せない

企業型DCに拠出した資金は、原則として60歳になるまで引き出せません。資産額や資格喪失期間などに関する一定条件を満たせば中途解約できる場合もありますが、基本的には途中解約できないものと考えておきましょう。

住宅ローンの頭金や教育資金など、近い将来に使う予定のある資金は別途確保したうえで、余剰資金の範囲で掛金を設定することが大切です。

元本割れのリスクがある

運用商品は、元本が確保される「元本確保型」(定期預金・保険など)と、価格変動のある「元本変動型」(投資信託)に大きく分かれます。

定期預金・保険は元本が確保される一方、大きな資産増加は期待しにくい面もあるのが特徴です。一方で、投資信託は高いリターンも見込めるものの元本確保がなく、運用結果によっては元本を下回るリスクがある点に注意を要します。

【2026年改正】
マッチング拠出の
上限額はいくら?

2026年の年金制度改正により、マッチング拠出の拠出ルールと上限額が二段階で変わります。改正内容を順に確認しましょう。

【2026年4月1日施行】事業主掛金以下の制約が撤廃

従来、マッチング拠出にあった「従業員の掛金は会社(事業主)が拠出する掛金以下でなければならない」という制限が、2026年4月1日から撤廃されました。会社が拠出する掛金と従業員が上乗せする掛金を合計した掛金額の上限は引き続き月5万5,000円ですが、会社の掛金額にかかわらず、残りの枠を最大限に活用できるようになっています。

例えば、会社掛金が月3,000円の場合でも、従業員は最大5万2,000円まで自分で拠出可能です(※企業型DCのみ実施の事業所の場合)。
なお、改正後の制度を利用するには勤務先が企業型DC規約を変更する必要があるため、適用時期も含めて会社の担当部署に確認してください。

【2026年12月1日施行】上限額が月5万5,000円から月6万2,000円に引上げ

2026年12月1日以降、会社員、公務員等(第2号被保険者)の企業型DC・iDeCoの掛金上限額が月5万5,000円から月6万2,000円に引上げられます。2027年1月26日の引落分から適用される点に注意が必要です。

なお、確定給付年金などほかの企業年金制度を併用している場合は、その掛金相当額を差し引いた額が実際の上限になります。改正後の制度を利用するには勤務先が企業型DC規約を変更する必要があるため、適用時期も含めて会社の担当部署に確認してください。

マッチング拠出と
iDeCoの比較ポイント

マッチング拠出とiDeCoは、どちらも確定拠出年金の制度ですが、マッチング拠出を利用している場合はiDeCoを併用することはできません。

なお、マッチング拠出を利用していない場合には、一定の条件のもとでiDeCoを利用できるケースもあります。加入主体や掛金上限、手数料負担など、主な違いを以下の表で確認しましょう。

【企業型DCとの併用(2026年12月以降)】

比較項目 マッチング
拠出
iDeCo
加入主体 企業型DC加入者
(勤務先が制度を導入している場合)
個人で申込み
掛金上限 月6万2,000円から事業主掛金等を差し引いた額※1 最大月6万2,000円から事業主掛金等を差し引いた額
手数料
負担
原則会社負担※2 加入者本人が負担
商品の
選択肢
会社が選定したラインアップから選ぶ 自分で金融機関・商品を選べる
転職時の
扱い
転職時に資産移換が必要 転職後も継続しやすい
  • ※12026年12月以降の上限額(11月までは月5万5,000円)。導入企業によって異なります
  • ※2導入企業によって異なります

手数料は一見小さな差ですが、長期運用では積み重なりが生じます。マッチング拠出とiDeCoのどちらが有利かは、会社の事業主掛金額や商品ラインアップによって変わるため、まずは勤務先の制度内容を確認したうえで判断するとよいでしょう。

マッチング拠出とiDeCo、
どちらを選ぶべきか

マッチング拠出とiDeCoはどちらも老後資産の形成に有効ですが、加入条件や商品の選択肢など、それぞれに特徴があります。自分の状況に合った制度を選ぶために、以下を参考にしてください。

マッチング拠出がおすすめな人

マッチング拠出は、手間をかけず効率よく積立てたい方に向いています。以下に当てはまる方は、まず勤務先の制度を確認してみるとよいでしょう。

  • 手数料を抑えて積立てたい方(原則、手数料は会社負担※)
  • 積立の際に、管理の手間をかけたくない方
  • 会社の掛金が少なく、2026年改正後の上限額まで自分でも拠出したい方
  • 会社の商品ラインアップで十分と感じる方
  • 導入企業によって異なります

iDeCoがおすすめな人

一方、次のような方はiDeCoを先に検討するとよいでしょう。

  • 企業型DCの商品ラインアップに、魅力的な運用商品が見当たらない方
  • 転職・退職の可能性があり、制度の継続性を重視する方
  • 自分で金融機関や運用商品を自由に選びたい方

どちらの制度も、自分の状況に合った活用が大切です。まずは勤務先にマッチング拠出制度が導入されているかを確認したうえで、いずれを選ぶか検討してみましょう。

企業型DCとiDeCoの
併用についてもっと詳しく

企業型DC加入者の方へ

まとめ

マッチング拠出は、会社の掛金に上乗せして積立てられる制度で、拠出した掛金の全額が所得控除の対象として扱われます。運用益は非課税で、受け取り時にも税制優遇が適用されるため、老後資産を効率よく増やせる仕組みです。

一方で、原則60歳まで引き出せない点や、iDeCoとは併用できない点は、事前に確認しておく必要があります。

まずは勤務先でマッチング拠出が利用できるかを確認してみましょう。利用できない場合や、会社の運用商品のラインアップが物足りない場合は、iDeCoも有効な選択肢です。iDeCoについては、りそなでもオンラインで申込みできます。詳細はりそなのiDeCoページをご確認ください。

当記事は2026年6月8日現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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よくあるご質問

マッチング拠出を利用するメリットは何ですか
マッチング拠出で拠出した掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担が軽減されるのが大きなメリットです。また、運用によって得た利益(運用益)も非課税になるため、一般的な投資に比べて税制面で有利に資産を増やすことができます。

マッチング拠出にデメリットや注意点はありますか
主なデメリットは、原則として60歳まで途中解約や引出しができないことです。家族の病気や介護などで急にまとまった資金が必要になっても、拠出したお金をあてにすることはできません。そのため、家計の状況を把握し、無理のない範囲で掛金を設定することが大切です。

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