iDeCo+(イデコプラス)とは?メリットや導入手順を紹介

iDeCo+(イデコプラス)とは?メリットや導入手順を紹介

福利厚生を充実させることは、新しい人材の確保や既存の従業員のモチベーションを上げるうえで欠かせません。「どういった福利厚生なら従業員に喜ばれるのだろう」とお考えの経営者の方も少なくないのではないかと思います。そんな方にお勧めしたいのが「iDeCo+(イデコプラス)」です。

2018年に導入されたiDeCo+(イデコプラス)は、従業員加入のiDeCo(個人型確定拠出年金)に上乗せ拠出するだけで従業員の福利厚生を拡充させることが可能です。今回は、そんなiDeCo+のメリット・デメリットや導入手順についてご紹介します。

1. iDeCo+(イデコプラス)とは

iDeCo+(イデコプラス)とは?メリットや導入手順を紹介

iDeCo+(イデコプラス)は、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している従業員が拠出する加入者掛金に追加して拠出できる「中小事業主掛金納付制度」の愛称です。

確定拠出年金には、企業型と個人型があります。企業型は各企業が運営管理機関を決めて制度を導入し、掛金の積立ては企業が行います。商品の運用は従業員が行うのが原則です。

一方の個人型は、加入の検討や運営管理機関の決定、運用商品の決定、運用までを個人が一貫して行います。これを個人型確定拠出年金と言い、iDeCo(イデコ)という愛称で呼ばれています。

iDeCo+(イデコプラス)は、iDeCo加入者の掛金に事業主の掛金を上乗せできるので、従業員は効率的に老後資金の積立てができます。また、企業側もiDeCoの仕組みを利用することで、企業型確定拠出年金と比べて手軽に福利厚生を充実させることができます。

iDeCo+(イデコプラス)については下記のページでより詳しく紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)について もっと詳しく

iDeCo+について

iDeCo+導入の流れ
iDeCo+(イデコプラス)とは?メリットや導入手順を紹介

1.1iDeCo(イデコ)との違い

iDeCo加入者の掛金に事業主が掛金を上乗せすることで、従業員の老後の資産形成を支援する仕組みがiDeCo+(イデコプラス)です。”iDeCo”と”iDeCo+”は、加入者にとっては、事業主の上乗せ掛金があること以外に違いはありません。

1.2企業型確定拠出年金(企業型DC)との違い

iDeCo+(イデコプラス)と企業型確定拠出年金(企業型DC)は、「従業員(加入者)が運用すること」において違いはありません。掛金を事業主が納付する点も同じです。

ただし、制度に加入する主体が「事業主」か「従業員」かという違いがあります。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は事業主が主体なので、事業主の掛金拠出が必要です。また運営管理手数料なども事業主が負担するケースが大半です。事業主掛金に従業員が上乗せする「マッチング拠出」もあります。

一方のiDeCo+(イデコプラス)は従業員が主体であり、従業員が加入しているiDeCo(イデコ)に事業主が掛金を上乗せして拠出します。運営管理手数料等などは従業員の負担です。

2. iDeCo+(イデコプラス)の概要

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では、iDeCo+(イデコプラス)の概要を見てみましょう。以下の表に各種条件をまとめてみました。

横スクロールできます。

項目 内容
対象事業主 ・企業型確定拠出年金(企業型DC)、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金のいずれも実施していない事業主。
・従業員(使用する第1号厚生年金被保険者)300人以下の事業主。
対象従業員 ・iDeCoに加入している従業員であり、事業主掛金の上乗せ拠出に同意した加入者。
労使合意 ・労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対して提案・協議のうえで同意が必要。※実施にあたっては、就業規則など社内規程の見直しが必要。
掛金の設定 ・加入者の掛金と事業主掛金の合計額が月額5,000円以上23,000円以下の範囲になるように、加入者と事業主が1,000円単位で決定する。
※ただし、加入者掛金をゼロにすることはできない。
・事業主掛金の額は一般的には対象者全員が同額になるように設定するが、一定の資格(職種・勤続期間)で掛金額を変えることが可能。
また、事業主の掛金が加入者の掛金を上回ることはできる。
掛金の納付方法 ・従業員の加入者掛金は給与天引き(事業主払込)によって納付する。
・事業主は加入者掛金と事業主掛金をあわせて国民年金基金連合会に納付する。

出典:厚生労働省|iDeCo+イデコプラス

3. iDeCo+(イデコプラス)のメリットとは

iDeCo+(イデコプラス)は事業主にとってメリットになるだけでなく、従業員にとってもメリットが多くあります。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

3.1事業主のメリット

iDeCo+(イデコプラス)を導入することによって、事業主側には以下のようなメリットがもたらされます。

  • 福利厚生を確保することで人材確保や人材定着にもつながる
  • 事業主が拠出した掛金の全額が損金(経費)に算入される

福利厚生は、求職において多くの学生や転職希望者が重視する項目です。福利厚生を拡充すれば優秀な新入社員の獲得が期待できますし、既存の従業員のモチベーションが上がり、業務効率の向上にもつながります。平均勤続年数を伸ばす効果も期待できるでしょう。

また、事業主掛金が全額損金算入されるため事業主にもうれしい制度です。iDeCo(イデコ)自体の口座管理手数料等は加入者自身の負担になるため、会社側にコスト負担が発生しない点もメリットです。導入・維持で発生するコストや事務負担によって企業型確定拠出年金の導入が難しい企業でも、福利厚生として導入しやすい仕組みとなっています。

さらに、iDeCo(イデコ)の資産は将来確定給付年金や企業型確定拠出年金に非課税で移換できるため(確定給付年金への移換は確定給付年金の規約において受換を認めている場合に限ります。)、企業の成長・拡大を見越した「つなぎ」の制度としても活用できます。

3.2従業員側のメリット

iDeCo+(イデコプラス)の導入は従業員にも以下のようなメリットをもたらします。

  • 事業主掛金が加入者掛金に上乗せされるので、資産形成がしやすくなる。
  • 事業主の上乗せ分は給料に算入されず、税金や社会保険料等への影響はない。

従業員の側から見れば「自分の掛金に上乗せして事業主が掛金を拠出してくれるので積立てがしやすくなる」というのが最大のメリットです。事業主の上乗せ拠出により、従業員は将来の受取額を増やせるため、福利厚生としてメリットを感じやすいでしょう。会社からお金を出してもらったことで税金が増えてしまってはメリットを感じられなくなってしまいますが、iDeCo+(イデコプラス)は、事業主の上乗せ拠出が給与として算入されない仕組みとなっています。

さらに、年末調整の提出書類が減る点もメリットです。iDeCo(イデコ)に加入し個人払込で掛金を拠出している会社員の方は「小規模企業共済等掛金払込証明書」を年末調整時に会社に提出する必要がありますが、iDeCo+(イデコプラス)では事業主払込となり年末調整は不要です。iDeCo+では当該加入者の給与から加入者掛金の天引きを行う事業主が、その給与から加入者掛金額を控除した上で、給与等の源泉徴収税額を算出することになります。給与天引きの都度所得控除のメリットを受けているので、「小規模企業共済等掛金払込証明書」は発行されません。

4. iDeCo+(イデコプラス)の注意点

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制度の導入にあたって、企業側が注意しておきたいポイントがいくつかあります。代表的なポイントは以下の2点です。

  • 従業員間で不公平感が出ることがある
  • 労使での話し合いが欠かせない

iDeCo+の対象は厚生年金の第1号被保険者に限定されています。またiDeCoは一定の年齢以上の方は加入できない仕組みとなっており、iDeCo+の対象となる方と対象とならない方で不公平感がでる可能性があります。不公平さを解消させるために追加で福利厚生の導入を求められる可能性もあります。

また、iDeCo+を導入するには「労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の同意」が必要となっています。ただ、基本的に社員にデメリットはないので、しっかり説明をして理解を得ましょう。

5. iDeCo+(イデコプラス)の導入手順

iDeCo+(イデコプラス)とは?メリットや導入手順を紹介

次に、iDeCo+(イデコプラス)の導入手順を紹介します。

5.1制度の導入を検討する

iDeCo+(イデコプラス)を実施できる事業主の条件を確認し、開始時期や拠出対象者の資格範囲を検討しましょう。具体的には「対象範囲をどこまでにするのか」、あるいは「上乗せ金額はいくらに設定するか」の2点を企業ごとに定めることになります。

また導入にあたっては、社内規定の整備や従業員への説明、労働組合または従業員の代表者との合意などのプロセスが必要です。不明点は国民年金基金連合会コールセンターに問い合わせるなどして、事後の手続きがスムーズに進むように準備を進めます。

5.2事業主払込の事業所登録の申請

制度を導入する際は事前に「事業主払込の事業所登録」をして「事業所登録番号」を取得します。 ※既に「事業主払込の事業所登録番号」を取得されている企業さまはこの手続きは不要です。

また導入にあたっては、社内規定の整備や従業員への説明、労働組合または従業員の代表者との合意などのプロセスが必要です。不明点は国民年金基金連合会コールセンターに問い合わせるなどして、事後の手続きがスムーズに進むように準備を進めます。

  • 中小事業主掛金納付事業所登録申請書(事前登録用)
  • 預金口座振替依頼書兼自動払込利用申込書

5.3事業主掛金の拠出対象者・金額を設定する

続いて事業主掛金の拠出対象者・金額を決定します。事業主掛金の金額は加入者掛金と合計で月5,000円以上23,000円以下になるように1,000円単位で決定します。「一定の職種」「一定の勤続期間」などによって資格(条件)ごとに事業主掛金を決めることもできますが、同一資格の拠出対象者であれば同額の事業主掛金にする必要があります。

5.4労使合意・拠出対象者の同意

iDeCo+(イデコプラス)の実施及び実施内容について、厚生年金保険の被保険者の過半数を代表する者(厚生年金保険の被保険者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合)の同意を得ます。
労使合意に達したあとは下記の書類を作成しますが、労働者側の代表者の署名が必要です。
※書類は拠出対象者の範囲によって異なります。

  • 中小事業主掛金を拠出すること及び中小事業主掛金の額の決定に関する同意書
  • 中小事業主掛金の拠出の対象となる者に一定の資格を定めることに関する同意書

5.5届出書類を作成し、提出する

拠出開始月(初回引落予定月)の前々月の20日までに以下の申請書類を国民年金基金連合会に提出します。

【2部提出する書類】※所定の送付状を、届出書類に添付します

  • 中小事業主掛金納付開始・終了届
  • 中小事業主掛金対象者登録届
  • 中小事業主の資格に関する現況について
  • 中小事業主掛金を積立てること及び中小事業主掛金の額の決定に関する同意書
  • 労働組合の現況について、または過半数を代表する者の証明書
  • 中小事業主掛金の積立ての対象となる者に一定の資格を定めることに関する同意書
  • 資格別中小事業主掛金届
  • 一定の職種及びそれ以外の職種の労働条件、又は一定の勤続期間以外の資格ごとの労働条件が規定されている労働協約又は就業規則などの写し

引用元:国民年金基金連合会|iDeCo+導入ガイド

5.6制度開始後の対応

初回の事業主掛金の引落し前に「中小事業主掛金制度決定通知書兼引落予定のお知らせ」が届いて運用が開始されます。このとき、届いた書類に記載された以下の2つの内容に間違いがないかを確認しましょう。

  • 拠出対象者の引落し予定額
  • 労使合意の際に拠出対象者に通知した拠出開始年月及び1月から12月に納付する事業主掛金の合計額

6. iDeCo+(イデコプラス)を上手に活用しよう

iDeCo+(イデコプラス)とは?メリットや導入手順を紹介

ここまで、iDeCo+(イデコプラス)の概要やメリット、導入の注意点について紹介しました。
従業員がiDeCo(イデコ)に加入していないと上乗せできませんがiDeCo+を活用すれば、掛金を損金として計上しつつ従業員の福利厚生を充実させることができます。
導入をお考えの場合は、ご紹介した注意点や導入の要件をしっかり確認し、メリットをしっかり把握した上で検討するようにしましょう。

制度説明から導入手続きまでしっかり解説

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iDeCo+(イデコプラス)制度説明から導入手続きまでしっかり解説

※当記事は2022年6月現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取り扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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