iDeCoと住宅ローン控除の税制メリットはバッティングする?

2022/11/29最終更新

iDeCoと住宅ローン控除の税制メリットはバッティングする?

会社員は税金に関して対策できることが少ないと言われていますが、それでも生命保険料控除や住宅ローン控除、iDeCoなど、税金を軽減できる制度はいくつかあります。税金について勉強されている方なら、これらの制度を複数活用されているかもしれません。今回は、iDeCoと住宅ローン控除を組み合わせた場合について税負担軽減効果をシミュレーションしてみました。

住宅ローン控除とiDeCoの税軽減効果を知ろう

住宅ローン控除は、「税額控除」となります。これは、税額から直接差し引くことができるものです。所得税額が算出された後に、引かれます。

一方、iDeCoは「所得控除」になります。所得金額から差し引くことが出来るものです。iDeCoは、掛金として拠出した金額が全額所得控除になり、所得税と住民税を算出する際に、所得から引くことができます。税額控除よりも先に計算されます。

それぞれの控除について詳しく説明します。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

住宅ローン控除は、住宅ローンを借り入れて住宅を取得する人の金利負担を軽減するための制度です。年末の住宅ローン残高(上限あり)の1%(2022年1月1日以降に居住を開始した場合、0.7%)が10年間(居住開始時期等により13年間)に渡って所得税から控除されます。所得税から控除しきれない場合は、住民税からも一部控除されます。

iDeCoの所得控除

iDeCoでは、掛金として拠出した金額が全額所得控除になります。税金は収入ではなく所得にかかるので、収入が同じでも控除によって所得が減ると、その分納める税金も減ります。

例えば、iDeCoに毎月2万円(年間24万円)を拠出する場合、所得税率が10%の人であれば、所得税が年間2万4,000円軽減されます。また、翌年の住民税(所得割10%)も2万4,000円軽減されるので、収める税金は年間で4万8,000円減ります。

所得税率が高い人ほど税軽減効果が大きい

日本では課税される所得金額が多くなるほど所得税率が高くなるので、iDeCoの掛金額が同じ(課税所得の減少額が同じ)場合、元の所得税率が高い人のほうが税軽減効果は大きくなります。例えば、年間の掛金が同じ24万円でも、所得税率が10%の人の軽減額が2万4,000円であるのに対し、所得税率が33%の人は7万9,200円軽減されます(表1)。

横スクロールできます。

表1.所得税率とiDeCoの税軽減効果
課税される所得金額 税率 控除額 iDeCo(年間掛金24万円)
で控除される所得税額
195万円未満 5% 0円 1万2,000円
195万円~330万円未満 10% 9万7,500円 2万4,000円
330万円~695万円未満 20% 42万7,500円 4万8,000円
695万円未満~900万円未満 23% 63万6,000円 5万5,200円
900万円~1,800万円未満 33% 153万6,000円 7万9,200円
1,800万円~4,000万円未満 40% 279万6,000円 9万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円 10万8,000円

シミュレーション
してみよう

年収700万円、
住宅ローン残高2,000万円の場合

実際にどのくらい税金が軽減されるのか、以下の条件の会社員Kさんを例にシミュレーションしてみましょう。

<Kさんの情報>

  • 給与年収700万円
  • 2017年に住宅を購入し入居
  • 2022年末時点の住宅ローン残高は2,000万円

2017年に居住開始した場合、住宅ローン控除額は住宅ローン残高の1%(最大50万円)です。つまり、Kさんの場合年末の住宅ローン残高が2,000万円なので、1%の20万円が所得税から控除されます。では、年収が700万円のKさんはそもそもどれぐらい所得税を払っているのか、計算してみましょう。

基礎控除を48万円、給与所得控除を180万円、社会保険料控除を100万8,000円とし、他の控除がないとすると、課税所得は371万2,000円になります。課税所得371万2,000円の所得税は表1より、371万2,000円×20%-42万7,500円=31万4,900円と計算できますが、2037年まではさらに2.1%の復興特別所得税がかかるので、Kさんの所得税は合計で約32万1,500円になります。

Kさんは32万1,500円の所得税を払うべきところですが、住宅ローン控除で20万円控除されるので、納める所得税が12万1,500円に減額されるということになります。

所得税から控除しきれない場合は住民税からも引くことができる

今回のシミュレーションでは住宅ローン控除を全額所得税から引くことができましたが、住宅ローン控除は、所得税をすべて引いてもまだ控除枠が残っている場合、住民税からも引くことができます。住民税からの控除額は、①課税所得の7%もしくは②13万6,500円のいずれか小さいほうです。(2022年以降に居住を開始した場合、①課税所得の5%もしくは9万7,500円のいずれかとなります。)

iDeCoを併用すると
どうなる?

一方でiDeCoには掛金が全額所得控除になる、つまり課税所得が減ることで税金が軽減される効果があります。

上記で計算した年収700万円のKさんの課税所得は371万2,000円でしたが、Kさんが毎月2万円iDeCoに拠出すると年間で24万円が控除され、課税所得は347万2,000円になります。課税所得347万2,000円の場合の所得税は、復興特別税も含めて27万2,500円なので、iDeCoを利用しない場合の所得税32万1,500円に比べて、4万9,000円軽減されるのです。

ここで、iDeCoと住宅ローン控除を併用する場合を考えてみましょう。KさんはiDeCoを利用することで所得税が27万2,500円になり、さらに住宅ローン控除で所得税が20万円控除されるため、2020年納める所得税は7万2,500円ほどに減らすことができそうです。これは大きなメリットでしょう。

所得税の軽減効果は、ご本人の課税所得・iDeCoの掛金額により異なりますので、ご注意ください。

使える税制優遇は
活用しよう

今回はiDeCoと住宅ローン控除を利用した税負担額についてシミュレーションしました。住宅を購入するタイミングが生活費や教育費などの負担が増す時期と重なるケースも多いと思いますが、一方で将来のための備えも考えておきたいですね。

住宅ローン控除の額は残高の1%(2022年1月1日以降に居住を開始した場合、0.7%)なので、残高が減ると税負担軽減額も減っていきますし、適用期間も10〜13年です。一方iDeCoは、国民保険の第2号被保険者(会社員や公務員)や任意加入被保険者の方は65歳になるまで加入できる制度です。是非将来のためにiDeCoの利用を検討しましょう。

当記事は2022年11月29日時点の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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