「付加年金」と「国民年金基金」は何が違うの?
公開日:2022/11/29
更新日:2024/07/02
現在、老後の生活に対して不安を抱えている人は少なくありません。公益財団法人生命保険文化センターが2019年に行った調査によると、全体の84.4%の人が「自分の老後に不安がある」と答えています。
では、なぜ不安なのでしょう。回答の詳細を見てみると、「公的年金だけでは不十分」という意見が78.7%と最も高くなっています。
とくに、公的年金が基礎年金だけの「第1号被保険者(農業従事者、自営業者、学生、フリーター、無職の人など)」の場合、20歳~60歳まで40年間保険料を支払った人でも、年間約80万円しか支給されません。つまり、1ヵ月あたり6.5万円になります。これだけでは、年金だけで老後の生活を支えるのは難しいと考える人が多いことがわかります。
年金額を増やすにはどうすればいいの?
近年、資産形成に関心を持ち、若いうちから株や投資信託をはじめる方が増えていますが、その背景にはやはり将来に対する不安があるのでしょう。基礎年金だけでは生活費を賄えないので、老後に向けて十分な貯蓄をしておくか、投資によって資産を増やしておかなければ、65歳を過ぎても働かざるを得ません。
ただし、第1号被保険者であっても、老後の生活費を自分で上乗せすることができます。具体的な方法としては、「付加年金」、「国民年金基金」、「個人型確定拠出年金(iDeCo(イデコ))」が挙げられます。第1号被保険者なら、ぜひとも活用したい制度です。
「付加年金」と
「国民年金基金」の違い
この3つの方法のうち、とくに混同しやすいのが「付加年金」と「国民年金基金」です。両者の概要と違いを見てみましょう。
- 【付加年金】
- 国民年金の第1号被保険者と任意加入被保険者※が加入できる制度です。国民年金保険料に「付加保険料」を上乗せすることで、受給する年金額を増やすことができます。保険料は月額400円ですが、将来受け取る付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」なので、2年間受給すれば元が取れます。手続きは、市区町村の役所窓口で行うことができます。
- ※60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合などで年金額の増額を希望するときに、60歳以降も国民年金に加入している方
- 【国民年金基金】
- 国民年金基金は、同じく国民年金の第1号被保険者と任意加入被保険者が加入できる制度です。住所や業種を問わない「全国国民年金基金」と、定められた事業または業務に従事している人向けの「職能型国民年金基金」があり、両者の保険料や給付の内容は同じで、いずれか一つを選択します。ただし、国民年金保険料を免除されている人や農業者年金の被保険者は、国民年金基金には加入できません。
国民年金基金の加入は「口数制」で、月額68,000円以内で給付の型と加入口数を選択します。自分が何口加入するかによって、将来受け取る年金額が決まります。詳しい給付の内容や年金額のシミュレーションは専用ホームページ(国民年金基金のサイトへリンクします)で確認できます。
付加保険料と国民年金基金の掛金は同時に納付できません
国民年金基金(の1口目)が付加年金を代行しています。このため、国民年金基金に加入する方は、付加保険料を納める必要がなくなります。
iDeCo(イデコ)を活用して受給額を増やす
iDeCo(イデコ)は、付加年金および国民年金基金のどちらとも併用できます。つまり、「付加年金とiDeCo(イデコ)」あるいは「国民年金基金とiDeCo(イデコ)」を組み合わせて利用できます。
付加年金とiDeCo(イデコ)、あるいは国民年金基金とiDeCo(イデコ)を併用する場合、掛金の上限額は合計で月額6万8,000円、年間81万6,000円です。ただし、付加年金と併用する場合のiDeCoの掛金上限額については注意が必要です。付加年金の月々の掛金は400円ですが、iDeCo(イデコ)の掛金は1,000円単位で設定するため、両者を併用して毎月定額で納付する場合のiDeCo(イデコ)の掛金上限額は月額67,000円となります。
まとめ
付加年金と国民年金基金は将来の受給額が確定しています。一方で、iDeCoは自分で金融商品を選び運用し、その結果によって受給額が変わります。iDeCoは掛金が全額所得控除となり、運用益は非課税になります。
※所得税・住民税の軽減効果は、ご本人の課税所得・掛金額により異なります。第3号被保険者など課税所得がゼロの方の場合、所得税・住民税の軽減効果はありませんので、ご注意ください。
口座管理手数料がかかりますが、運用結果次第では資産を増やすことが可能です。
付加年金、国民年金と合わせてiDeCoを活用し、将来に備えていきましょう。
- ※当記事は2022年11月29日現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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