給料の何割を貯金に回したらいいの?家計調査からひも解くお金の貯め方、貯め時
公開日:2023/08/16
いつまでにどんな目的でいくら貯める、といった目標を立てることはお金を貯めるための第一歩です。とはいえ、いくら目標を立てても「絵にかいた餅」になっては意味がありません。そうならないためにはお金を貯める過程も重要です。そこで今回は、世の中の人々が毎月の給料のうちどれくらいの割合を貯金に回しているのか、家計調査のデータをひも解きながら、上手にお金を貯める方法やタイミングを考えます。
- 私が書きました
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- 主なキャリア
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大手生命保険会社、証券会社勤務を経て、2019年りそな銀行入社。
- ※りそなグループが監修しています
平均では給料の3割程度を貯金に回している
人々が給料のうちどれくらいの割合を使わずに残しているのか、すなわち貯金しているのかがわかるデータとして、総務省が実施している家計調査(家計収支編)があります。同調査で2022年の勤労者世帯(単身世帯を含む総世帯)について見てみると、給与等の収入から税金や社会保険料を差し引いた手取り収入にあたる可処分所得は435,001円、消費支出は273,417円、可処分所得から消費支出を除いた黒字は161,584円(いずれも1カ月当たり平均)となっています。
可処分所得のうちで使わずに残っている黒字を貯金に回しているとしてその割合(貯蓄率)をみると37.1%となっています。
(注:家計調査では「黒字率」として発表されていますが、一般的には「貯蓄率」と呼ばれることが多いため、本コラムでも「貯蓄率」としています)
もっとも、コロナ禍の貯蓄率は、消費が手控えられた影響からそれ以前のトレンドに比べて上振れしている点には留意が必要です。そこで、コロナ前のトレンドをみると、貯蓄率は概ね3割程度となっています。
出所:家計調査年報 家計収支編 勤労者世帯(単身世帯を含む総世帯)
注:貯蓄率(%)=(可処分所得-消費支出)÷可処分所得
貯蓄率は年齢とともに低下する傾向
この3割程度という貯蓄率はあくまで全体の平均です。一般に独身のうちは自由になるお金が多いものの、結婚して子どもが生まれ教育費等がかさむようになると自由になるお金は少なくなる、というのが実感ではないでしょうか。
そこで2022年の年齢別のデータをみてみると、貯蓄率は勤労者世帯全体で37.1%ですが、世帯主年齢29歳以下では46.9%と最も高く、最も低い60代の23.5%と20ポイント以上の差があります。やはり年齢とともに貯蓄率は低下する傾向がみられます。
各年齢層の貯蓄率はコロナ禍の影響でそれ以前のトレンドより高めに出ていますが、コロナ禍前の2019年のデータをみても、年齢とともに貯蓄率が低下する傾向は変わっていません(29歳以下が38.7%、60代が19.1%)。
年齢別のデータからは、年齢とともに可処分所得は増えるものの、一方で支出も増えるために、貯金に回せる割合が低下することがうかがえます。
独身時代から子どもの教育費があまりかからない時期までが「貯め時」
社会人になった後、独身時代を経て、結婚、出産、育児、教育というライフステージを例に取ると、独身時代から子どもの教育費があまりかからない時期までが教育資金や住宅資金の「貯め時」と考えられます。もっとも、貯め時の長さは人ぞれぞれケースバイケースです。例えば、子どもの進学に関して、「中学まで公立」というパターンに比べて、小学校や中学校から私立への進学を予定している場合は貯め時は短くなります。
また、老後資金であれば、子どもが独立後、働いていてまだ収入がある時期は再び貯め時になります。
このように自分のライフステージを念頭に「貯め時」を見極め、タイミングを逃さない、貯めるべき時にしっかり貯めることが重要です。
お金を貯めるための目標の立て方
お金を貯めるには目標を立てて計画的に進めることが重要です。ここからはその方法を順を追って見ていきましょう。
ステップ1:いつまでにどんな目的でいくら貯めたいのか考える
漠然とお金を貯めたいということもあるかもしれませんが、貯める目的をイメージした方が励みにもなり、長続きしやすくなります。なお、ここでいう目的は1つに限る必要はありません。次の例のように思いつくものを挙げてみましょう。
<例>
- 海外旅行の資金として、1年後に〇万円貯めたい
- 結婚資金として、5年後に〇万円貯めたい
- マイホームの頭金として、5年後に〇万円貯めたい
- 子どもの大学進学にかかる費用として、10年後に〇万円貯めたい
- 老後への備えとして、30年後に〇万円貯めたい
ステップ2:毎月どれくらい貯金に回すべきかを考える
次に自分の可処分所得や消費支出の現状を踏まえて、毎月どれくらい貯金に回すべきかを考えてみましょう。その際には、毎月一律ではなく、例えばボーナス月は多めに貯金に回すといった工夫もできそうです。
無理のない範囲で貯金に回すという考え方もありますが、冒頭でご紹介した家計調査の年代別貯蓄率のデータなどを参考に、無駄な支出を見直して貯金に回す分を増やせないかどうかも考えてみましょう。
ステップ3:何で貯めるべきかを考える(金融商品の選択)
最後にそれぞれの目的に照らして、何でお金を貯めたらよいのか、すなわちどの金融商品が適しているのかを考えましょう。
金融商品の中には、変動が少ない(=リスクが低い)半面、収益性は期待しにくい定期預金のようなものから、株式や投資信託など変動が大きい(=リスクが高い)けれども収益性が期待できるものまで、さまざまな選択肢があります。それぞれの目的に合った金融商品を選択することが重要です。
短期間で資金が必要になる場合
例えば、1年後に使う予定のあるお金を貯めるのには変動の大きい(=リスクの高い)金融商品を使うことは避け、安全確実な定期預金等が適しています。
中長期で資金が必要になる場合
10年後、20年後といった使う予定が相当先になるお金であれば、リスクをとって収益性の高い商品を選ぶことも検討できそうです。
ステップ4:シミュレーションしてみる
商品が決まったら、過去の実績などを参考に期待リターンを想定し、目標が達成できそうかシミュレーションをしてみましょう。投資信託の中にはあらかじめ期待リターンが示されているものもあります。
目標が達成できそうもない場合は、貯金に回す金額を増やすことや、さらにリスクを取ることが可能ならより収益性の高い商品を選択する、といった見直しを検討しましょう。
計画的にお金を貯めたい人を
サポートしてくれるアプリの活用がおすすめ
目標を立てて計画的にお金を貯めるためのステップをご紹介しましたが、これらをすべて一から自分でするのは難しいと感じた方も多いのではないでしょうか。そんなときにはお金を貯めるプロセスをサポートしてくれるアプリの活用がおすすめです。
りそなの「つみたてボックス」は、目標を立てて計画的にお金を貯めたい人を強力にサポートする便利なアプリで、初心者にもとても使いやすくなっています。
着実にお金を貯めるには
積立の活用が有効
どんなに完ぺきな目標を立てたとしても、実行が伴わなければ「絵にかいた餅」になってしまいます。毎月これだけ貯金に回そうと考えても、実際にはつい使いすぎてしまい、計画どおりにいかないこともありそうです。
そんな方には積立の活用が有効です。積立とは、金融機関とあらかじめ契約し、毎月決まった金額を決まった日に自動的に口座から引き落として買付ける仕組みです。定期預金や株式、投資信託など幅広い金融商品で積立の仕組みが利用できます。
給料日の直後に引き落とし日を設定しておけば、使い過ぎを防止する効果も期待できます。また、ボーナス月に引き落とし金額を増額できる場合もあります。
まとめ
お金を貯めるコツは、いつまでにどんな目的でいくら貯めたいのか、目標を立てることに加え、貯める過程も重要です。家計調査によると、給料(可処分所得)のうち使わずに貯金に回す割合(貯蓄率)はコロナ禍前のトレンドでみると3割程度。また、年齢とともに貯蓄率は低下する傾向にあります。一般に独身時代から子どもの教育費があまりかからない時期までが「貯め時」といえそうです。
こうした「貯め時」を意識しながら、計画的にお金を貯めるにはアプリなども活用してみましょう。りそなの「つみたてボックス」は初心者にもおすすめのアプリです。
また、使い過ぎを防ぎ、目標へ向けて着実にお金を貯めるには、積立型の金融商品の活用が有効です。
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本記事は2023年8月16日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。