ボーナスの平均はいくら?手取り額の決まり方と業種・企業規模・年齢別の支給額
公開日:2022/03/31
更新日:2025/02/12

「自分以外の人たちは、ボーナスをどれくらいもらっているのだろう?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
ボーナスの平均支給額は、業種や企業規模、年齢によって異なり、なかにはボーナスが支給されない場合もあります。
この記事では、ボーナスにおける最新の平均支給額を、業種・企業規模・年齢別に詳しく解説します。ほかにも、手取り額がどのように決まるのか、有効な使い道はどんなものがあるのかについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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- 主なキャリア
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生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
- ※りそなグループが監修しています
ボーナスの種類
ボーナスとは、通常の給与とは別に、定期的または臨時的に支払われる賃金のことで、「賞与」とも呼ばれます。計算方法などによって以下の3種類に分けられます。
基本給連動型賞与
基本給連動型賞与は、「基本給の2ヵ月分」や「基本給の200%」といった計算方法で支給額が決まる賞与です。日本の企業が支給する賞与は、多くが基本給連動型賞与であるといわれています。
支給額は、企業の業績や個人の業務成果などにかかわらず一律で、全従業員が平等に受け取れる点が特徴です。従業員が収入額の予測を立てやすいメリットもあります。一方で、業績や個人の成果が反映されにくいため、モチベーションアップにつながりにくい場合もあるでしょう。
業績賞与
業績賞与は、業務の成果に連動して支給額が決まる成果主義型の賞与です。個人の業績以外に、組織や部署単位の業績で計算する企業もあります。一般的に、業績が好調であれば支給額が増えるため、従業員のモチベーションアップにつながりやすいでしょう。
しかし、業績悪化時などには支給額が減少、または支給されない場合があります。
決算賞与
決算賞与は、一般的な賞与とは別に、その年度の企業業績に応じて支給される賞与です。決算の結果、業績が好調な場合は大きな金額が支給されることもあります。一方、業績が低迷した年度には支給額が減少、または支給されない場合があるなど、変動的な要素が強いのが特徴です。
ボーナスはいつ何ヵ月分支払われる?

つぎに、ボーナスの計算方法や手取り額の概要など、ボーナスの基本について解説します。
ボーナスの支給日と支給額は企業によって異なる
民間企業では、ボーナスに関する法律の規定がありません。そのため、支給の有無や基準、計算方法は各企業が自由に決められます。
一般的に、ボーナスは夏(6~8月)と冬(10~12月)の年2回支給されますが、年3回ボーナスを支給する企業や、なかには一度も支給しない企業もあります。多くの企業では、就業規則に支給条件が記載されていますが、就業規則の文言によっては、業績次第で支給額が変動し、支給されないこともあるのです。
また、ボーナスがない企業よりボーナスの回数が多い企業のほうが、年収が高いと思う方も多いでしょう。しかし、ボーナスの回数が多い企業のほうが年収が高いとは、一概にはいえません。
ボーナスがない企業のなかには、ボーナスを支払わない代わりに、月々の給与を増額している企業もあるためです。年収が高い企業を探す場合は、ボーナスだけでなく給与にも注目するとよいでしょう。
なお、ボーナスの支給額や支払い方法は法律に定めがありませんが、毎月支払われる給与の金額や支払い方法は、最低賃金法や労働基準法などに、定めがあります。
公務員のボーナスは法的な基準に則って支給される
公務員のボーナスは、法律で支給基準日が定められているため、安定的かつ計画的に支給されます。
例えば、国家公務員の場合、夏のボーナスは6月30日、冬は12月10日が支給日です。地方公務員の場合、各自治体の条例によって支給日や支給額が規定されています。
公務員のボーナスには法的な基準があるのに対して、民間企業のボーナスには柔軟性がある一方で不確実性が伴うなど、ボーナスの仕組みに大きな違いがあるのです。
ボーナスの基準は基本給
冒頭で基本給連動型賞与について解説しましたが、日本の多くの企業において、ボーナスは「基本給の○ヵ月分」など、基本給を基準として計算されます。
例えば、基本給が20万円、ボーナスが基本給の3ヵ月分なら、ボーナスは60万円です。同じ企業に勤めていても、基本給が異なればボーナスも異なるので注意しましょう。
ボーナスの金額の目安は、公務員の場合で約4ヵ月分、大企業で約2~3ヵ月分、中小企業で約1ヵ月分といわれています。
なお、企業の業績や人事評価などによっては、ボーナスが加算・減算されることもあります。
ボーナスの手取り額とは?

ボーナスは基本給によって決まりますが、その全額が支給されるわけではありません。給与から税金などが控除されるのと同様に、ボーナスからは所得税と社会保険料が控除されるためです。
基本給から算出したボーナス額を「額面」、額面から所得税と社会保険料を控除した金額を「手取り額」と呼びます。手取り額は額面のおよそ7~8割が目安です。
控除額は、所得や扶養親族の人数、加入している健康保険組合などによって変わります。ボーナスを含めた資金計画を立てる際は、控除額がどれくらいかを把握しておくとよいでしょう。
なお、住民税は、給与とボーナスを合わせた年間所得にかかる住民税額を12ヵ月で割って、毎月の給料から支払われています。そのため、ボーナスから住民税は控除されません。
ボーナスの平均支給額はいくら?
ここからは、政府の統計資料をもとに、ボーナスの平均支給額についてさまざまな角度から解説します。
まずは、厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査をもとに、業種・企業規模別のボーナスの平均支給額を見ていきましょう。
業種別の平均支給額
毎月勤労統計調査によると、業種別の労働者一人あたりの平均支給額は、以下のとおりです。
業種別 労働者一人あたりの平均賞与額
横スクロールできます。
業種 | 2024年 夏季賞与 | 2023年 年末賞与 |
---|---|---|
電気・ガス業 | 881,533円 | 803,194円 |
情報通信業 | 739,621円 | 713,851円 |
学術研究等 | 645,387円 | 630,490円 |
金融業、保険業 | 703,753円 | 645,024円 |
教育、学習支援業 | 567,828円 | 535,395円 |
不動産・物品賃貸業 | 588,824円 | 548,808円 |
建設業 | 543,670円 | 499,260円 |
製造業 | 547,928円 | 523,946円 |
鉱業、採石業等 | 558,769円 | 581,210円 |
複合サービス事業 | 429,741円 | 459,608円 |
卸売業、小売業 | 382,412円 | 367,165円 |
運輸業、郵便業 | 395,736円 | 411,790円 |
医療、福祉 | 282,874円 | 290,826円 |
その他のサービス業 | 241,311円 | 239,074円 |
生活関連サービス等 | 186,504円 | 170,269円 |
飲食サービス業等 | 75,897円 | 69,234円 |
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査
「令和6年9月分結果速報等 ≪特別集計≫令和6年夏季賞与(一人平均)」
「令和6年2月分結果速報等 ≪特別集計≫令和5年年末賞与(一人平均)」
どの業種も、夏季賞与と年末賞与の金額には差があり、夏季賞与の金額のほうが高い業種もあれば、年末賞与の金額のほうが高い業種もあります。
ボーナスが最も多いのは、電力会社や発電所、ガス会社などが分類される電気・ガス業で、夏季賞与が88万1,533円、年末賞与が80万3,194円です。
一方で、ボーナスが最も少ないのは、レストラン等の飲食店などが分類される飲食サービス業等で、夏季賞与が7万5,897円、年末賞与が6万9,234円です。
業種によって、賞与額に大きな差があるといえるでしょう。
企業規模別の平均支給額
続いて、企業規模別の平均支給額を見ていきましょう。毎月勤労統計調査によると、企業規模別の労働者一人あたりの平均支給額は、以下のようになっています。
企業規模別 労働者一人あたりの平均賞与額
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企業規模 | 2023年 夏季賞与 | 2022年 年末賞与 |
---|---|---|
5~29人 | 271,429円 | 274,651円 |
30~99人 | 348,192円 | 354,645円 |
100~499人 | 455,878円 | 452,892円 |
500人以上 | 664,508円 | 642,349円 |
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査
「令和5年9月分結果速報等 ≪特別集計≫令和5年夏季賞与(一人平均)」
「令和5年2月分結果速報等 ≪特別集計≫令和4年年末賞与(一人平均)」
労働者一人あたりの平均賞与額は、夏季賞与・年末賞与ともに、企業規模が大きくなるほど金額が増えています。
また、企業規模別の総事業所数における、賞与支給事業所数の割合も見てみましょう。
企業規模別 賞与支給事業所数割合
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企業規模 | 2023年 夏季賞与 | 2022年 年末賞与 |
---|---|---|
5~29人 | 62.3% | 67.3% |
30~99人 | 89.2% | 90.1% |
100~499人 | 91.7% | 93.6% |
500人以上 | 96.5% | 97.4% |
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査
「令和5年9月分結果速報等 ≪特別集計≫令和5年夏季賞与(一人平均)」
「令和5年2月分結果速報等 ≪特別集計≫令和4年年末賞与(一人平均)」
企業規模が大きくなるほど、総事業所数に対するボーナスを支払う事業所の数が増えていることがわかります。ボーナスがある企業に就職・転職したい場合、企業規模の大きい企業から探すとよいでしょう。
年齢別の平均支給額
年齢別のボーナスの平均支給額も見ていきましょう。
厚生労働省が実施した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、年齢別の年間賞与その他特別給与額の平均値は以下のとおりです。
年齢別 年間賞与その他特別給与額
年齢 | 2023年 年間賞与その他特別給与額 |
---|---|
~19歳 | 148,700円 |
20~24歳 | 378,900円 |
25~29歳 | 663,100円 |
30~34歳 | 802,100円 |
35~39歳 | 938,100円 |
40~44歳 | 1,030,900円 |
45~49歳 | 1,119,800円 |
50~54歳 | 1,196,300円 |
55~59歳 | 1,219,100円 |
60~64歳 | 723,600円 |
65~69歳 | 362,000円 |
70歳~ | 270,300円 |
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
50代までは、年齢が上がるごとにボーナスも増えていき、55~59歳の121万9,100円がボーナスのピークとなっています。60代になるとボーナスは減り、定年退職者が増えてくる60代後半以降は金額が大きく減少、70歳以降のボーナスは27万300円です。
勤務年数に応じて給与が増える企業が多いため、勤務年数の短い若年層より、勤務年数の長い高年齢層のほうがボーナスの金額が増えているといえるでしょう。
公務員の平均支給額
公務員に支給されるボーナスの平均額も見てみましょう。内閣官房内閣人事局の報道資料によると、民間企業のボーナスに相当する期末・勤勉手当の平均支給額は、一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員)の場合、以下のとおりです。
2024年6月期 | 2023年12月期 |
---|---|
約65万9,400円 | 約67万4,300円 |
ボーナスの使い道は?計画を立てて有効活用しよう

まとまった収入であるボーナスが手に入ると、ついすぐに使ってしまうという方もいるでしょう。大切な収入を無駄にしないよう、ボーナスをどのように利用するか計画を立てることが大切です。
ここでは、ボーナスの使い道と、使う際の注意点を解説します。
ボーナスの使い道はさまざま
自分へのご褒美のほか、両親やパートナー、子どもへのプレゼント、自己投資など、ボーナスの使い道は人によってさまざまです。車や住宅のローン返済に充てる場合もあるでしょう。
ボーナスの使い方は自由ですが、ボーナスが入ったからといって、無計画に趣味や生活費につぎ込むのはおすすめしません。まとまったお金だからこそ、その使用方法についてはしっかりと計画を立てましょう。
ボーナスは貯蓄にも回そう!みんなの平均貯蓄額は?
ボーナスをすぐに使わずに、将来のために貯蓄に回すこともおすすめです。
厚生労働省が実施した「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、各年代における1世帯あたり平均貯蓄額は以下のようになっています。

出典:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
29歳以下の平均貯蓄額が、各世代のなかで最も低い約245万1,000円となっています。
子育て世帯である30代から40代では、平均貯蓄額が少しずつ増えているものの、教育費や住宅ローンなどの返済のためか、1,000万円には達していません。
子どもが独立し、自身も仕事で要職に就くことの多い50代と60代では、平均貯蓄額は1,000万円を超えており、60代で貯蓄額のピークを迎えています。
70歳以上は、退職してこれまでの貯蓄を使って生活する人が多く、60代と比べると平均貯蓄額が減少していることがわかるでしょう。
このように、ライフステージによって必要となる資金額は異なり、それによって貯蓄額も変わります。早めにライフプランを立て、それに沿ってボーナスや給与を貯蓄していくことは、将来の不安を取り除く有効な方法です。
投資信託などの資産運用も検討しよう
貯蓄に余裕がある場合は、投資信託などの資産運用がおすすめです。上がり始めたとはいえ、低金利が続く昨今、ただお金を銀行に預けているだけでは、資産を増やすのが難しくなっています。お金を増やしたい場合は、貯蓄するだけではなく、投資にも挑戦してみましょう。
資産運用には、債券投資・金投資・株式投資・不動産投資などさまざまな種類があり、なかでも初心者におすすめなのは投資信託です。
投資信託なら、資産運用をプロに任せられるうえ、少額からの投資が可能なので、投資の知識が少ない初心者でも安心して資産運用ができます。
将来のためにお金を増やしたい場合は、まずは投資信託から検討してみましょう。
ボーナスの使い道に不安がある場合は、資産の管理運用のプロである銀行員への相談もおすすめです。
まとめ
ボーナスの平均支給額は、企業の規模が大きくなればなるほど、年齢が上がれば上がるほど高くなる傾向です。民間企業におけるボーナスの支給条件は法律に定めがない一方で、公務員におけるボーナスの支給条件は、法律や各自治体の条例によって規定されています。
ボーナスの使い道としては、将来の教育費や住宅費、老後資金のために貯蓄するほか、投資信託などの資産運用を検討するとよいでしょう。
なお、ボーナスを適切に管理し、資産運用を行うなら、りそなの利用がおすすめです。
りそななら、口座開設や残高照会・定期預金・投資信託などの各種手続きをアプリから簡単に行えます。資産運用について銀行員に窓口で直接相談できるため、ボーナスの使い道について迷っている方は、気軽に相談してみるとよいでしょう。
資産運用のプロである銀行員がおすすめするボーナスの使い道については、下記記事にまとめられているので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
本記事は2025年2月12日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等または制度の改正等を保証する情報ではありません。