ボーナスにかかる税金はどれくらい?手取りの計算方法を詳しく解説

公開日:2022/03/31
更新日:2025/11/07

ボーナスにかかる税金はどれくらい?手取りの計算方法を詳しく解説

あなたはボーナスにどれくらい税金等がかかっているのか把握していますか?

給与と同じように、ボーナスからは所得税と社会保険料(健康保険料・雇用保険料・厚生年金保険料)が控除されます。控除額はボーナスの額面などをもとに、扶養人数などを考慮して算出されます。控除額の目安はボーナス額面の2~3割です。

資金計画をスムーズにするためにも、ボーナスからどれくらいの金額を控除されているか知っておくことは大事です。

この記事では、ボーナスにかかる税金等の種類と、その計算方法、ボーナスの手取りを増やす方法について詳しく解説していきます。記事の後半では、具体的な例を挙げてボーナスの手取り額を計算しているので、ぜひ資金計画の参考にしてください。

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ボーナスから控除されるのは所得税と社会保険料

まずは、ボーナスから控除される税金等の概要を解説します。ボーナスの手取り額を知っておくメリットも、併せて見ていきましょう。

ボーナスから控除される金額は総支給額の約2~3割

毎月の給与と同じように、ボーナスからも税金等が控除されます。

ボーナスから控除されるものは、所得税と社会保険料の2種類です。控除される金額は、所得金額や、加入している健康保険組合の種類や住所地、扶養人数によって異なりますが、ボーナス総支給額の約2~3割が目安となっています。

多くの人にとって、ボーナスは大きな収入です。ただし、その全額をもらえるわけではない点に注意しましょう。

給与とボーナスの違い

給与とボーナスはどちらも給与所得に該当しますが、両者には違いもあります。

まず、給与は最低金額や支払方法が労働基準法や最低賃金法などの法律に定められています。一方で、ボーナスは法律による定めはありません。

そのため、ボーナスをいつどのように、どれくらい支払うのかは各企業の判断にゆだねられています。ボーナスは、夏と冬の年2回支給されることが多いものの、年3回の企業もあれば、ボーナスがない企業もあります。

ただし、ボーナスについて労働契約や就業規則などに明記されている場合、ボーナスも賃金の一部であるとみなされ、その支払いは労働基準法の対象となります。自分が勤めている企業にボーナスが明記されているかどうか、雇用契約書や就業規則をチェックしてみましょう。

なお、給与と違い、ボーナスからは住民税は控除されません。住民税は給与やボーナスを含めた前年総所得から計算され、算出した税額を12ヵ月で割り、月々の給与から天引きされているからです。

さらに、給与とボーナスでは、源泉徴収税額(所得税と復興特別所得税額を足したもの)の算出に使用する表も異なります。給与の源泉徴収税額の算出には「給与所得の源泉徴収税額表」を、ボーナスの源泉徴収税額の算出には「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用する形です。

同じ給与所得でも、給与とボーナスは、支払回数や控除される税金などが異なることを知っておきましょう。

出典:国税庁「令和7年分 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」
(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2024/data/15-16.pdf)

ボーナスの手取り額を
知っておこう

前述のとおり、ボーナスからは所得税と社会保険料が控除され、手取り額は額面のおよそ7~8割となっています。

ボーナスは年間における大きな収入源であり、住宅や車などの大きなローンで、ボーナス月に返済額を増やしている人も多いかもしれません。

ボーナスの手取り額を知っておけば、ローンの返済や将来への積立などの資金計画が立てやすくなります。ボーナスから控除される金額を知り、ボーナスを計画的に利用しましょう。

ボーナスから控除される税金等の計算方法

ボーナスからは所得税と社会保険料が控除されます。それぞれの概要と、金額の算出方法について詳しく見ていきましょう。

所得税

所得税は所得にかかる税金です。

所得税を計算するには、所得税率を調べなければなりません。所得税率は、ボーナス支給月の前月の給与から社会保険料を控除したものを国税庁が発表する「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて決定します。

所得税率は0%から45.945%まで幅広く、所得が増えるほど税率も高くなっていく仕組みです。

また、所得税率には、扶養親族が多いほど税率が低くなるという特徴もあります。例えば、前月の社会保険料控除後の給与が30万円の場合の税率は、扶養親族が0人で8.168%、1人で6.126%、2人で4.084%です。

所得税率を、ボーナス額面から社会保険料を控除した金額にかけると所得税を算出できます。所得税率をボーナス額面にかけるわけではないため、所得税額算出の際は注意しましょう。

所得税=(ボーナス額面-社会保険料)×所得税率

出典:国税庁「令和7年分 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」
(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2024/data/15-16.pdf)

社会保険料

社会保険料は健康保険料・雇用保険料・厚生年金保険料に分かれており、それぞれ算出方法が異なります。一つずつ見ていきましょう。

なお、社会保険料は被保険者資格を喪失した日の前月分が徴収されるため、退職日によってはボーナスに社会保険料がかからない場合があります。また、産前産後休業、育児休業中にボーナスを受け取る場合も、基本的に社会保険料はかかりません。

健康保険料

健康保険料は、加入者や扶養家族が病気やケガで治療を受けた際の治療費負担や療養給付、あるいは死亡時の給付のための財源となります。

健康保険料は、ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)に健康保険料率をかけて算出します。保険料率は、加入している健康保険組合や勤務地によって異なるため、保険料率が知りたい場合は、加入組合に問合せてみてください。

健康保険料は、全額を労働者が支払うのではなく、労働者と事業者が保険料を半分ずつ支払う労使折半です。算出した保険料が1万円なら、労働者と事業者が5,000円ずつ支払います。

また、40歳以上になると、健康保険料に介護保険料が加わり、それにともない料率も変化するので注意しましょう。

健康保険料=ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)×健康保険料率

  • 健康保険料率は加入している健康保険組合や住んでいる地域によって異なります

雇用保険料

雇用保険料は、失業手当や育児休業給付金などの財源となる保険料です。

雇用保険料(令和7年度)は、ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)に1.45%をかけて算出します。健康保険料と同じように、雇用保険料も労働者と事業主の両方が負担しますが、折半ではなく、労働者負担0.55%、事業主負担0.9%となっています。

なお、農林水産・清酒製造および建設事業の場合は、料率が異なるため注意しましょう。

また、保険料率は年度によっても異なる可能性があります。

(控除される)雇用保険料=ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)×0.55%

厚生年金保険料

厚生年金保険料は公的年金の保険料で、支払い保険料に応じた保険金が老後に支払われる老齢年金や、障がい者になった場合に支払われる障害年金などの財源です。

保険料は、ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)に保険料率18.3%をかけて算出します。

保険料率は、年金制度改正に基づいて2004年から段階的に引上げられ、2017年を最後に引上げが終了し、現在は18.3%で固定されています。住んでいる地域や勤めている企業に関わらず、保険料率は一定なので、厚生年金保険料の計算は比較的容易です。

なお、健康保険料と同様に、厚生年金保険料も労使折半です。

厚生年金保険料=ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)×18.3%÷2

ボーナスの手取りはいくら?実際に計算してみた

ここまで、ボーナスにかかる所得税と社会保険料の計算方法について解説していきましたが、ここではボーナスの手取り額を具体的に計算していきましょう。

東京在住で協会けんぽに加入している方を例に、年齢や扶養親族の人数、ボーナス額面を変えて、ボーナスの手取り額を試算してみました。

東京在住30歳、加入組合:協会けんぽ

まずは、東京在住30歳・協会けんぽ加入・前月の社会保険料控除後の給与が24万円の人について、扶養親族がいない場合と扶養親族が2人の場合のボーナス手取り額を見てみましょう。

横スクロールできます。

扶養親族 いない 2人
ボーナス額面 30万円 30万円
所得税 1万5,684円 5,228円
社会保険料 健康保険料 1万4,865円 1万4,865円
雇用保険料 1,650円 1,650円
厚生年金保険料 2万7,450円 2万7,450円
控除額計(所得税+社会保険料) 5万9,649円 4万9,193円
手取り額(ボーナス額面-控除額計) 24万351円 25万790円
手取り額÷ボーナス額面×100 80.1% 83.6%

扶養親族がいない場合の手取り額は24万351円、扶養親族が2人の場合の手取り額は250,807円であり、差額は10,456円となっています。

扶養人数が変わる場合、所得税の算出に使用する源泉徴収税額の算出率が変わりますが、社会保険料は変わりません。基本的に、扶養親族が多いほど源泉徴収税額算出率は低くなるため、ボーナスの額面が同じでも、所得税が変わり、結果として手取り額に差が出ています。

東京在住40歳、加入組合:協会けんぽ

続いて、東京在住40歳・協会けんぽ加入・扶養親族2人の方について、ボーナス額面と前月の社会保険料控除後の給与が異なる場合のボーナス手取り額を見ていきましょう。

横スクロールできます。

前月の社会保険料控除後の給与 24万円 44万円
ボーナス額面 30万円 50万円
所得税 5,166円 5万1,703円
社会保険料 健康保険料 1万7,250円 2万8,750円
雇用保険料 1,650円 2,750円
厚生年金保険料 2万7,450円 4万5,750円
控除額計 6万1,888円 12万8,080円
手取り額(ボーナス額面-控除額計) 23万8,112円 37万1,920円
手取り額÷ボーナス額面×100 79.4% 74.4%

ボーナス額面が30万円の場合の手取り額は23万8,112円、ボーナス額面が50万円の場合の手取り額は37万1,920円となっています。手取り額は額面が多いほど高いものの、ボーナス額面における手取り割合は、額面が少ないほうが高いことがわかるでしょう。

ボーナス額面が異なる場合、所得税と社会保険料の両方が変わります。特に所得税は、所得が高いと税率も高くなるため、ボーナス額面30万円と50万円の場合で所得税に大きく差が出ている点に注意してください。

また、先ほど計算した30代の試算と比較すると、40代では健康保険料に介護保険料が加わるため、社会保険料の金額も増えています。

ボーナスの手取りを増やす

ボーナスの手取り額を増やすことはできませんが、給与を含めた収入から控除額を増やすことで税負担を抑え、結果として実質的に手取り額を増やすことは可能です。ここでは、控除額を増やす方法として、以下の4つを解説します。

  • 医療費控除を活用する
  • 各種保険料控除を活用する
  • ふるさと納税を活用する
  • 扶養控除や配偶者控除を活用する

医療費控除を活用する

その年の1月1から12月31日までに支払った医療費のうち、総所得金額等の5%または10万円のいずれか低いほうを超える医療費に対して、確定申告をすることで医療費控除(上限200万円)を受けられます。控除により所得税算出の元となる課税所得金額が下がるため、払い過ぎた税金が還付されます。

医療費控除の対象となる費用には、病院での診療費や入院費、医薬品の購入費、通院にかかった交通費、歯の治療費などがあります。また、医療費控除の対象者には、生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれます。

各種所得控除を活用する

所得控除は、社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除などさまざまな種類があり、所得税を計算する際に所得金額から一定額を差引くことができます。これらを支払っている場合には、年末調整や翌年の確定申告により所得税額が再計算されて払い過ぎた税金の還付を受けられます。

控除の種類 概要
社会保険料控除 生計を一にする家族の国民健康保険料や国民年金保険料等を支払った場合に、支払った金額の全額が控除対象となります。
生命保険料控除 生命保険、介護医療保険、個人年金保険で支払った保険料のうち一定額を所得から控除されます。所得税の控除限度額は各控除種類で4万円、合計で12万円です。
地震保険料控除 地震保険で支払った保険料のうち一定額が所得から控除されます。控除額は最大5万円です。
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)、企業型確定拠出年金で拠出した金額が所得から控除されます。控除額の上限はありません。(iDeCo(個人型確定拠出年金)については企業年金の有り無し等で掛けることが出来る上限額が違います)

小規模企業共済等掛金控除の対象であるiDeCo(個人型確定拠出年金)は、20歳以上65歳未満である公的年金の被保険者が利用できる国の制度です。掛金が所得控除の対象となるほか、運用益を非課税で再投資でき、受け取るときも公的年金等控除または退職所得控除を受けられます。

控除額を増やしたい方や、将来に向けて資産形成をしたい方はiDeCoの活用がおすすめです。

iDeCoの仕組みや所得税控除の効果については、下記関連記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

関連記事:iDeCo(イデコ)の所得控除の効果はどのくらい?税制優遇金額のシミュレーション

ふるさと納税を活用する

ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に対して寄付することで所得税および個人住民税から控除を受けられる制度です。ふるさと納税による控除を受けるには、ふるさと納税ワンストップ特例を申請する方を除き、原則として確定申告が必要です。

また、ふるさと納税制度を用いず、国や地方公共団体などに寄付をした場合も、確定申告を行うことで控除を受けられます。

ふるさと納税による控除額の上限は、収入や家族構成によって異なります。総務省のふるさと納税ポータルサイトや、ふるさと納税関連商品を取扱うショップのサイトなどで、控除額を事前にシミュレーションしておくのがおすすめです。

参考:ふるさと納税の仕組み|総務省 ふるさと納税ポータルサイト

扶養控除や配偶者控除の適用で税負担を軽減する

扶養控除は一定の条件を満たす子や両親などを扶養している場合に適用されます。また、配偶者控除は、納税者の合計所得が1,000万円以下かつ生計を同じくする配偶者の合計所得が58万円以下である場合に適用されます。

扶養控除および配偶者控除の控除額は以下のとおりです。

扶養控除の控除額

控除対象扶養親族の区分 控除額
一般の控除対象扶養親族(16歳~18歳・23歳~69歳) 38万円
特定扶養親族(19~22歳) 63万円
老人扶養親族 同居老親等以外の者(70歳以上) 48万円
同居老親等(70歳以上) 58万円

配偶者控除の控除額

控除を受ける納税者本人の合計所得金額 控除額
900万円以下 38万円
900万円超950万円以下 26万円
950万円超1,000万円以下 13万円
  • 控除対象者のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の場合は控除額が異なります

まとめ

ボーナスからは所得税と社会保険料が控除されますが、住民税は控除されません。控除される金額は、扶養親族の人数や住んでいる地域、加入している健康保険組合等によって異なりますが、額面のおよそ2~3割です。

医療費控除や保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、扶養控除、配偶者控除などの控除制度を活用すれば、ボーナスの手取り額を増やせます。今回紹介した制度を上手に活用して手取りを増やせないか考えてみましょう。

ボーナスにかかる税金や金額を知っておくと、ボーナスをどのように利用するか計画が立てやすくなります。貯金する、資産運用するなど、ボーナスの使い道は人それぞれです。使い道をしっかりと決めて、計画的にボーナスを活用しましょう。

ボーナスが入る時期は、資産運用のはじめどきです。これまで資産運用したことがない方でも、投資信託などの運用初心者向けの手法を選択すれば、無理なく資産運用に挑戦できるでしょう。

また、目的に合わせてボーナスを確実に管理したい方には、信頼性の高いサービスを受けられるりそなの利用がおすすめです。

金融のプロである銀行員に窓口で直接相談できるため、一人ひとりに合ったボーナスの使い道を丁寧に教えてもらえます。

下記記事では、おすすめのボーナスの使い道を紹介していますので、ボーナスの使い道が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
銀行員が教える!ボーナスの上手な使い道

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本記事は2025年11月7日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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