住宅ローンの固定金利のメリットや今後の推移は?向いている人の2つの特徴
公開日:2024/12/20

住宅ローンを検討する方のなかには、「固定金利にはどのような特徴やメリットがあるのだろうか」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
住宅ローンの固定金利とは、借入時の適用金利が全期間、または一定期間変わらないタイプの金利を指します。
固定金利の主なメリットは、毎月の返済額が変わらないため家計管理が容易で、金利上昇リスクを心配する必要がないことです。
この記事では、住宅ローンにおける固定金利の概要、メリットや注意点について解説します。併せて、固定金利の決まり方や今後の推移、固定金利に向いている人の特徴などについても紹介するので、参考にしてください。
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元銀行員。若年層から高年層まで幅広い資産運用の提案を行なう。メディアを通じて、より多くのお客様に金融の知識を伝えたい気持ちが強くなり、退職を決意。
現在は、編集者として金融機関を中心にウェブコンテンツの編集・執筆業務に従事している。
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住宅ローンの
固定金利とは?
まずは、住宅ローンにおける固定金利の概要を解説します。
全期間または一定期間を通して金利が変わらない
住宅ローンにおける固定金利の特徴は、全期間または一定期間を通して金利が変わらないことです。
固定金利は、返済期間中の経済状況や市場金利の変動の影響を受けないため、長期的に安定した返済計画を容易に立てられます。
固定金利・2つの種類
住宅ローンの固定金利には、次の2種類があります。
- 全期間固定金利型
- 固定金利期間選択型
全期間固定金利型とは、借入時から完済までの全期間にわたって金利が変わらない住宅ローンのことです。
一方の固定金利期間選択型は、3年、5年、10年などの一定期間は固定金利が適用され、特約期間終了後に再度固定金利とするか、変動金利に変えるかを選択できる住宅ローンです。
原則として、固定金利が適用されている期間中は金利タイプを変更できません。また、金利を固定する期間が長いほど、適用される金利は高くなるのが一般的です。
住宅ローンの固定金利と変動金利の違い
住宅ローンにおける変動金利の特徴は、市場の金利動向に応じて金利が定期的に見直されることです。
市場金利が低下した場合、変動金利もそれに応じて金利が下がるため、固定金利と比べて月々の返済額は低くなることがあります。しかし、市場金利が上昇し続けると、変動金利では固定金利より月々の返済額が増えるリスクを考慮しなければなりません。
このように、月ごとの返済額が市場金利に影響されるか否かという点で、固定金利と変動金利には違いがあります。
住宅ローンの固定金利・3つのメリット

ここからは、住宅ローンにおける固定金利の3つのメリットについて見ていきましょう。
返済額が一定で家計管理がしやすい
固定金利は、借入期間中の適用金利が変わらず、毎月の返済額も変動しません。そのため、金利上昇による返済額の増加を避けられ、家計全体の収支も把握が容易になります。
また、教育費や老後の資金など、将来の支出に備えた資金計画を容易に立てられることもメリットです。
金利上昇リスクを心配する必要がない
固定金利は返済期間中、契約時の金利が継続して適用されます。そのため、市場金利が上昇しても返済額の増加を心配する必要はありません。
対して、変動金利では市場金利の上昇にともない、返済額が増加する可能性もあります。
特に大きな金利変動が見込まれる環境下だと、金利が変わらないという安心感は大きなメリットになるでしょう。
固定金利選択型では金利動向に応じた柔軟な選択が可能
固定金利選択型の利用では、特約期間終了後、変動金利に切り替える選択肢もあります。
当初は固定金利で金利上昇リスクを避け、将来的には市場金利の動向に応じて柔軟に金利タイプを変更できるため、より適した返済計画を立てることが可能です。
住宅ローンの固定金利・3つの注意点
次に、住宅ローンの固定金利における注意点を3つ解説します。
市場金利が下がっても恩恵を受けられない
例として、住宅ローンを組んだあとで市場金利が下がったとしましょう。このような場合でも、固定金利では契約時そのままの金利が適用され、返済額は減りません。
住宅ローンの固定金利は、金利上昇リスクを避けられる一方で、柔軟性に欠けるというデメリットがあります。
「固定金利選択型」では原則として特約期間中のプラン変更ができない
固定金利選択型では原則として、固定金利の適用されている特約期間中にプラン変更ができません。
プラン変更を希望する場合は、適用期間の終了後に手続きを行うか、新たに借換えの検討が必要です。
変動金利よりも金利が高い傾向にある
住宅ローンの固定金利は、金利が変動金利より高めに設定されていることが一般的です。経済状況や市場の動向によって変動金利が低く推移している場合、固定金利を選択することで、変動金利よりも返済総額は多くなる可能性があります。
住宅ローンの固定金利は今後どうなる?
ここからは、住宅ローンの固定金利の決まり方や、今後の推移について解説します。
固定金利は長期プライムレートに影響される
長期プライムレートとは、金融機関が企業に対して1年以上の融資を行う際に適用する最優遇貸出金利のことです。
一般的に、住宅ローンの固定金利は長期プライムレートに影響を受けるため、長期プライムレートが上昇すると、住宅ローンの固定金利も上昇する傾向にあります。
長期プライムレートの推移
日本の長期プライムレートは、2015年から2019年にかけて1.10%から0.95%へと低下し、低金利が続く時期がありました。
しかし、2022年以降は上昇に転じ、特に2023年以降は上昇ペースが加速しています。2024年には急激な金利上昇が見られ、10月時点で1.75%に達しています。
長期プライムレートは、直近約10年において上昇傾向にあるものの、2024年においては横ばいです。
ただし、2024年3月18日と19日に開かれた「日銀金融政策決定会合」でマイナス金利政策の解除が決定されたため、今後の長期プライムレートは上昇する可能性があります。
参考:日本銀行「統計」「長・短期プライムレート(主要行)の推移」
長期プライムレートは、直近約10年において上昇傾向にあるものの、2024年においては横ばいです。
ただし、2024年3月18日と19日に開かれた「日銀金融政策決定会合」でマイナス金利政策の解除が決定されたため、今後の長期プライムレートは上昇する可能性があります。
フラット35の金利の推移
フラット35とは、住宅金融支援機構と全国300以上の民間金融機関が共同で提供している、全期間固定金利型の住宅ローンです。
フラット35は、返済期間中の金利が一定かつ保証人が不要、繰上返済手数料が不要といった特徴があり、最長35年の返済期間が設定されています。フラット35の金利は、マイナス金利政策解除後でもほぼ上昇は見られません。
住宅ローンの固定金利は今後上昇する可能性がある
住宅ローンの固定金利には多様な要因が複雑に絡み合っているため、上がるか下がるかを一概に予測することは困難です。
先述のとおり、日本銀行は長年続いていたマイナス金利政策の解除を決定しました。これは物価が上昇傾向にあり、2%の物価安定目標達成が見込まれる状況になってきたためです。
このような要因によって、住宅ローンの固定金利は今後上昇する可能性があります。ただし、利上げが行われてもその調整幅は小さいため、景気に対する影響は限定的と考えられるでしょう。
住宅ローンの固定金利に向いている人の特徴は?

次に、住宅ローンで固定金利を選ぶのに向いている人の特徴について解説します。
毎月の返済額を確定させたい人
住宅ローンにおける固定金利の特徴は、借入時の適用金利が返済期間中、または一定期間変わらず、毎月の返済額も一定であることです。
その結果、将来の金利変動リスクを避けられ、家計管理が容易に行えます。特に、安定した収入が見込まれる人や、将来の家計の見通しを立てたい人にとって固定金利は有効です。
金利上昇リスクを
懸念している人
将来の経済状況に対する不安や、安定した生活を求める思いなどから、金利上昇リスクを心配する人も、住宅ローンで固定金利を選ぶのに向いているでしょう。
金利上昇が予測される局面では、変動金利よりも固定金利を選ぶことで、返済額の増加を避けられます。また、住宅ローンの固定金利は、金利変動に振り回される心配がないため、心理的な安定を得たい人向けの選択肢です。
住宅ローンを考える際の金融機関の選び方・3つのポイント
住宅ローンを選ぶ際は、金融機関の選び方が重要です。住宅ローンを組む金融機関を選択する際に押さえておきたい、3つのポイントについて解説します。
金利タイプや適用金利
住宅ローンには、大きく「固定金利」と「変動金利」の2つがあり、固定金利は「全期間固定金利型」と「固定金利選択型」に分かれます。
各金融機関で提供している金利のタイプや適用金利は異なるため、複数の金融機関を比較検討することが重要です。その際は、自分のリスク許容度やライフプランに合った条件かどうかをしっかり確認しましょう。
金利優遇キャンペーンも各社で実施している場合があるので、適用金利とともに、キャンペーンの実施条件も確認することが大切です。
手数料や諸費用
住宅ローンを組む際は、金利以外にも手数料や諸費用などが発生します。これらの費用は金融機関によって異なり、総支払額にも影響を与えるため注意が必要です。手数料や諸費用が低い金融機関を選ぶことで、総費用を抑えられる可能性があります。
サポート体制や
サービスの充実度
住宅ローンは長期にわたる契約であるため、返済期間中に金融機関のサポートを必要とする場面が出てくるかもしれません。
例えば、ライフイベントに応じた返済計画の相談や、金利タイプの見直しなどが必要になることもあるでしょう。担当者の対応や相談窓口の利便性、オンラインサービスの充実度といった、金融機関のサポート体制もしっかりチェックすることが重要です。
まとめ
住宅ローンの固定金利には、家計管理がしやすい、金利上昇リスクを心配する必要がない、といったメリットがあります。ただし、市場金利が下がった際でも恩恵は受けられない、変動金利よりも金利が高い傾向にある、といったポイントに注意しなければなりません。
りそなの住宅ローンには、主に変動金利型と固定金利選択型の2つがあり、自分に合った金利プランを選んで申込めます。手続き方法は「マイゲート」「店頭」「テレビ窓口」の3つで、金利タイプの選択に迷った際は店舗で相談することも可能です。
住宅ローンの金利について詳しく知りたい、または専門家に相談したいという方は、ぜひお気軽にりそなへご相談ください。
気になる物件の毎月の返済額は?
本記事は2024年12月20日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。