長期優良住宅とは?メリット・デメリット・条件を詳しく解説!

2024/02/13最終更新

長期優良住宅とは?メリット・デメリット・条件を詳しく解説!

新築の戸建て住宅の購入を考えている方のなかには、「長期優良住宅とはなにか」「長期優良住宅のメリットやデメリットにはどのようなものがあるか」、などの疑問を持つ方もいるかもしれません。

購入する住宅が長期優良住宅に認定されると、税金の軽減や住宅ローンの金利優遇などのメリットを受けられます。

ただし、入居後も定期的なメンテナンスが必要になるため、十分に考慮したうえで「認定を受けるかどうか」を決めることが大切です。

この記事では、長期優良住宅の概要や認定を受けるための条件、メリット・デメリットを解説します。併せて、長期優良住宅の手続きの流れや、認定を検討する際のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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長期優良住宅とは「長く住み続けるための性能を備えた住宅」のこと

長期優良住宅とは「長く住み続けるための性能を備えた住宅」のこと

長期優良住宅とは、「長く良好な状態で住み続けるための措置を講じた性能の高い住宅」を指し、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定されるものです。

長期優良住宅は、新築または既存住宅の増築や改築を対象とし、2022年3月末時点で累計135万戸以上が認定を受けています。長期優良住宅のおおまかな認定基準は、以下のとおりです。

  • 1.長期に使用するための構造および設備がある
  • 2.一定面積以上の住戸面積がある
  • 3.居住環境などへの配慮が行われている
  • 4.自然災害への配慮が講じられている
  • 5.維持保全の期間、方法を定めている

具体的な認定基準について、次の章で詳しく見ていきましょう。

【新築戸建て】長期優良住宅の8つの認定基準

【新築戸建て】長期優良住宅の8つの認定基準

新築の戸建て住宅における、長期優良住宅の認定を受けるための詳しい基準について見ていきましょう。

1居住環境

住宅の良好な景観や、その他の地域における住居環境の維持や向上に配慮されていることが求められます。
景観計画・地区計画・建築協定・景観協定・条例によるまちなみ等の計画などの区域内の場合は、これらの計画内容と調和を図らなければなりません。

2住戸面積

長期優良住宅は、良好な居住水準を確保するため、一定以上の住戸面積が定められています。戸建て住宅の基準は75平方メートル以上とされ、階段部分を除き、少なくとも1階の床面積が40平方メートル以上必要です。

3省エネルギー性

住宅の断熱性能などを高め、冷暖房の負荷を軽減する省エネルギー性能が以下の基準を満たす必要があります。
断熱等性能等級「等級5」かつ一次エネルギー消費量等級「等級6」

4劣化対策

住宅が劣化対策等級(構造躯体等)「等級3」に該当し、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造に応じた基準のクリアも必要です。また、数世代にわたって居住できることが求められます。

5耐震性

極めて稀に発生する地震において、住宅を継続利用するための改修がしやすいように、損傷レベルの低減が求められます。
住宅品質確保促進法(品確法)に定める免震建築物に該当すること、または住宅の構造などによって耐震等級1~3(倒壊等防止)に該当する必要があります。

6維持管理・更新の容易性

耐用年数が短い配管設備において、メンテナンスや定期点検を容易に行うための必要な措置が講じられていなければなりません。なお、新築戸建て住宅の基準は、維持管理対策等級(専用配管)「等級3」です。

7維持保全計画

住宅を長く使用するために、以下の3点における定期点検や補修などに関する計画を立てる必要があります。

  • 住宅の構造耐力上主要な部分
  • 住宅に設ける給水または排水のための設備
  • 住宅の雨水の浸入を防止する部分

8災害配慮

災害が発生する危険性のある地域では、その危険性の高さに応じて所管行政庁が定めた措置を講じなければなりません。災害配慮の措置については、長期優良住宅を申請する所管行政庁に確認してください。

長期優良住宅の
5つのメリット

長期優良住宅の5つのメリット

ここからは、長期優良住宅の5つのメリットについて解説します。

1長期にわたり安全かつ快適な暮らしができる

長期優良住宅は、長期にわたり安全かつ快適な暮らしができるほか、数世代にわたって住み続けることもできます。
これは、劣化対策や災害対策が講じられていることや、高い耐震性能や省エネルギー性能を持ち合わせていることが理由です。
長期優良住宅は長く住むことを前提に造られているため、資産価値が落ちにくく、売却する際も一般住宅に比べ高値が付きやすくなります。

2税の特例措置がある

長期優良住宅の税の特例措置は、以下のとおりです。

2023年12月31日までに
入居した場合

2023年12月31日までに長期優良住宅に入居すると、所得税の減税措置を受けられます。

住宅ローン減税
  • 控除対象限度額5,000万円(3,000万円からの引上げ)
  • 控除率0.7%、控除期間最大13年、最大控除額455万円
投資型減税
  • 標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%を所得税額から控除

なお、住宅ローン減税と投資型減税は併用できません。

2024年3月31日までに
新築した場合

2024年3月31日までに長期優良住宅を新築した場合の税の特例措置は、次のとおりです。

横スクロールできます。

登録免許税 税率の引下げ
  • 保存登記 0.1%(本来0.15%)
  • 移転登記 戸建て0.2%
  • マンション 0.1%(本来0.3%)
固定資産税 減税措置(1/2減額)の適用期間の延長
  • 戸建て1~5年間(本来1~3年間)
  • マンション1~7年間(本来1~5年間)
不動産取得税 課税標準からの控除額の増額
  • 控除額1,300万円(本来1,200万円)

3住宅ローン金利が
引下げられる

長期優良住宅の取得による住宅ローンの特例措置には、以下の2つがあります。

フラット35S(金利Aプラン)および
維持保全型
  • 当初5年間:年0.75%引下げ
フラット50
  • 長期優良住宅を取得する場合に利用可能
  • 最長50年の全期間固定金利ローン
  • 住宅ローン付きで売却可能
  • 住宅売却の際、購入者へ金利を引継ぎ可能

4地震保険料が割引きされる

耐震等級割引き、または免震建築物割引きのどれかに該当する場合、地震保険料の割引きを受けられます。

耐震等級割引き
  • 耐震等級2:30%割引き
  • 耐震等級3:50%割引き
免震建築物割引き
  • 50%割引き

5「地域型住宅グリーン化事業」の補助金が受けられる

地域型住宅グリーン化事業の採択を受けたグループに属する、地域の中小工務店などが整備する木造の長期優良住宅を建てる場合に補助金を受けられます。補助金は、住宅1戸あたり最大140万円です。

長期優良住宅の
3つのデメリット

長期優良住宅の購入では、デメリットについても十分に考慮しましょう。

1長期優良住宅の認定を
受けるために時間・
手数料がかかる

長期優良住宅の申請は、着工前に行わなければなりません。申請の手続きは、所定の手順を踏む必要があるため、時間がかかる点に注意が必要です。

また、申請では申請先の所管行政庁や状況によって異なる手数料が発生します。

2一般住宅より建設費が高くなる可能性がある

長期優良住宅の認定を受けるためには、高い耐震性能や省エネルギー性能の充実、劣化対策などが必要です。長期優良住宅に適した設計や、良品質な材料の使用などが理由となり、一般住宅に比べ建設費が高くなる可能性があるのです。

3入居後も定期点検・メンテナンスが必要

長期優良住宅の工事が完了し、入居後も認定を受け続けるためには、維持保全計画に従った定期点検やメンテナンスが必要です。

維持保全計画による定期点検では、住宅の維持保全が必要な期間は30年以上、点検時期の間隔は10年以内などと定められています。

住宅の維持保全を怠る、改善命令に違反するなどした場合は、長期優良住宅の認定の取り消しや、補助金や優遇を受けていた税金の返還を求められることがあります。

長期優良住宅の認定手続きの流れ

長期優良住宅の認定手続きは、建築主や分業事業者などが申請者となり、工事着工前に行います。ここからは、長期優良住宅の認定手続きの流れについて見ていきましょう。

1登録住宅性能評価機関の技術的審査を受ける

建築予定の住宅が長期優良住宅の認定基準を満たしていることを確認するため、登録住宅性能評価機関の技術的審査を受けます。

登録住宅性能評価機関に対し、確認申請書または設計住宅性能評価申請書、添付図書(設計内容説明書、各種図面、計算書など)の提出が必要です。

2登録住宅性能評価機関から確認書等の交付を受ける

登録住宅性能評価機関の技術的審査で、長期優良住宅の基準を満たしていると判断されると、確認書等(確認書または住宅性能評価書(長期使用構造等であることの確認結果が記載されたもの)が交付されます。

3所管行政庁の
適合審査を受ける

所管行政庁に認定申請書と添付図書(確認書等、各種図面、所管行政庁が必要と認める図書)を提出し、適合審査を受けます。

4所管行政庁から認定通知書の交付を受ける

所管行政庁の適合審査に通過し、認定通知書が交付されることにより、長期優良住宅の着工が開始されます。長期優良住宅の申請を着工前に行っていれば、所管行政庁から認定通知書の交付を受ける前に着工したとしても、着工後に認定を受けることが可能です。

長期優良住宅を検討するときのポイントは?

長期優良住宅は、一般住宅より建築費が高くなる、入居後のメンテナンスに手間がかかるなどの可能性があるため、費用対効果が得られずに後悔する場合があります。

そのため、長期優良住宅の認定は、将来の生活も見据えて十分に考慮したうえで決定しなければなりません。

また、長期優良住宅の認定を受ける場合は、実績のある工務店や住宅会社の選択が重要です。長期優良住宅の実績があれば、建築における技術力の高さや、長期優良住宅の手続きについての豊富な知識が期待できます。

まとめ

まとめ

長期優良住宅は、長期に安全かつ快適に住むことを目的とする、環境にも配慮された住宅です。長期優良住宅の購入を考える際は、メリット・デメリットを十分に把握し、将来に向けての長期的な居住スタイルや、住宅維持のための運用を考える必要があります。

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りそな銀行・埼玉りそな銀行
関西みらい銀行

本記事は2023年2月16日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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