賃貸と持ち家どっちが得?それぞれのメリット・デメリットを比較

2023/03/31最終更新

賃貸と持ち家どっちが得?それぞれのメリット・デメリットを比較

「賃貸」と「持ち家」どちらが得なのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

新しい住居を探す理由は人それぞれですが、結婚、出産、子どもの進学、就職などのライフイベントをきっかけに考えはじめる人が多いようです。

今回は、老後の生活まで見据えたうえで、賃貸と持ち家のメリット・デメリットを比較します。どのような人におすすめなのかも併せて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

私が書きました
主なキャリア

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

  • りそなグループが監修しています

賃貸のメリット・デメリット

賃貸住宅を選ぶのは、進学や就職を機に一人暮らしをはじめる人や結婚を控えたカップルや高齢者などが多い傾向にあります。では、賃貸住宅に住むメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

賃貸に住むメリット

賃貸住宅に住むメリットは、1.気軽に住み替えができる、2.メンテナンスを気にしなくて良い、3.固定資産税などの税金を払う必要がない、の3つが挙げられます。

気軽に住み替えができる

賃貸住宅は、ライフスタイルの変化に合わせて気軽に住み替えが可能です。結婚や出産、転勤、子どもの進学や独立によって希望の立地や部屋に求める広さが変わっても、柔軟に対応できます。

収入が少ないうちは家賃を安く抑えて、収入が増えてきたらグレードの高い部屋に引っ越すこともできるでしょう。

メンテナンスを気にしなくて良い

賃貸住宅であれば、設備の不具合やメンテナンスは管理会社やオーナーが対応してくれます。借主に過失がない設備トラブルや故障なら、費用の負担なく修理してもらうことも可能です。

また、建物の老朽化の対応や、災害時の修繕費用も管理会社やオーナーが負担するため、住む人にとってはメリットといえます。

固定資産税などの税金を払う必要がない

不動産を所有すると、固定資産税や都市計画税のほか、不動産取得税、登録免許税などの税金がかかります。

賃貸の場合は、基本的に賃料や共益費、更新料の支払いのみで、追加で税金の負担を求められることはありません。

賃貸に住むデメリット

賃貸住宅に住むデメリットとしては、1.内装などを自分で決められない、2.退去時の原状回復義務、3.老後の家賃負担、4.高齢の場合は新しく借りることが難しい、の4つが挙げられます。

内装や間取り、設備などを自分で決められない

賃貸の建物はオーナーの所有物です。釘などを使って壁や床に家具を固定したい場合は、オーナーの許可を取らなければなりません。リフォームできるケースも少ないでしょう。

退去時は原状回復が必要

賃貸住宅の借主は、退去時に原状回復する義務があります。原状回復とは「入居時の状態に戻す」という意味です。

家具を置いていた場所の床やカーペットのへこみ、設置跡、家電製品の後ろの壁が黒ずんでいる部分などは、「通常損耗や経年変化に当たるもの」として、原状回復義務はありません。

一方で、引越し作業でできたキズや、タバコのヤニ・においなどは、通常損耗・経年変化には当たらないため、費用が増える可能性があります。

なお、原状回復義務は、2020年4月に民法が改正された際の条文に明記されました。民法改正以前も、通常損耗や経年変化の原状回復義務はないとされていたのですが、条文に明記されていなかったため、退去時にトラブルになっているケースが多くありました。民法改正で明確化されたことで、今後このようなトラブルは減ると考えられます。

老後も家賃を払い続ける必要がある

賃貸住宅に住み続けている間は、家賃を支払い続けなければなりません。老後も家賃を支払う必要があり、収入が減った状態での支払いが負担になる可能性があります。また、賃貸契約を継続するときに更新料が必要な場合には、毎月の家賃以外の負担も必要です。

高齢の場合、新しく賃貸を借りることが難しいケースがある

部屋を貸すかどうかの判断は、賃貸を管理している大家(オーナー)に委ねられます。収入がない人や保証人を立てられない人に加えて、高齢者も、大家(オーナー)の判断基準によっては賃貸を断られてしまう可能性があるのです。

そのため、高齢になってから新しく賃貸住宅を借りようとする際、部屋探しが難航するおそれもある点に注意してください。

持ち家のメリット・デメリット

結婚して子どもが生まれたのを機に、「子どもをのびのび育てたい」などの理由で、マイホームの購入を検討する人は多いです。では、持ち家にするメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

持ち家に住むメリット

持ち家に住む場合のメリットとしては、1.資産になる、2.リフォームなどが自由、3.住宅ローン契約時に保険加入ができる、4.ローン完済後は負担が減る、5.税優遇制度を活用できる、の5つが挙げられます。

資産になる

持ち家は資産です。売却や親族へ渡すことも可能です。
また、家を担保にして銀行から融資を受けることもできます。

例えば、リバースモーゲージ型住宅ローンを利用すると、自宅を担保にして住宅ローンを組むことができます(契約内容により多少異なりますが、毎月の支払いは利息のみ。借入人が亡くなった際に一括で返済)。ライフステージが変わり、リフォームが必要になったときなどに活用できます。

リフォームや建て替えが自由にできる

持ち家ならオーナーに許可を取らずに、家具を自由に固定することができます。もちろん、家族構成やライフスタイルに合わせて間取りの変更も可能です。リフォームや増改築も予算が許せば思い通りにできます。

住宅ローン契約時に団体信用生命保険に加入できる

住宅ローンを組む際に、団体信用生命保険への加入が可能です。団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者に万が一のことがあった場合、住宅ローンの残高分の保険金が、保険会社から金融機関に支払われる、というものです。住宅ローンの残高がゼロになるため、家族は安心して持ち家に住み続けられます。

また、団体信用生命保険のなかには、死亡や高度障害になった場合だけではなく、三大疾病・病気やケガ・要介護状態など、所定の状態に該当する場合に住宅ローンの残高がゼロになる、特約が付いた団信もあります。

住宅ローン完済後は負担が減る

住宅ローンが残っているうちは、賃貸住宅と同じように毎月の費用負担があります。しかし、完済後は、固定資産税などの負担のみになり、住居費の負担が大幅に減るでしょう。

働いているうちに完済できれば、これまでローンに充てていた分のお金を貯蓄に回すことができ、より安心して老後の生活を送ることができるでしょう。

もちろん、住宅ローン完済後もリフォームや修繕費用などの支払いは必要です。ただし、賃貸契約の内容にもよりますが、家賃を支払うよりも負担額は少ない傾向にあります。

税優遇制度を活用できるケースがある

個人が住宅ローンを用いてマイホームの新築や増改築を行った場合、一定の要件を満たすことで、一定額を所得税から控除する以下のような制度を利用できることがあります。

  • 住宅借入金等特別控除
  • 特定増改築等住宅借入金等特別控除

これらの控除は住宅ローンの利用が前提のため、持ち家ならではのメリットです。

持ち家に住むデメリット

持ち家に住むデメリットとしては、1.メンテナンスは自分でする、2.相続時に負担になる場合がある、3.簡単に引っ越しができない、4.火災や自然災害のリスクに備える必要がある、の4つが挙げられます。

メンテナンスは自分で行う

家の設備のトラブルがあった場合や内外装のメンテナンスが必要な場合は、すべて自分で手配しなければなりません。業者の選定から連絡、打ち合わせ、支払いまで行う必要があるため、手間と負担がかかってしまいます。

また、建物の修繕にはまとまったお金が必要になることもあります。計画的に貯蓄しておくことが大切です。

相続の際に負担になることがある

子どもが複数いる場合や、独立して遠方に住んでいる場合などは、合意がスムーズに取れず、トラブルの種になったり、処分に時間がかかったりする場合があります。

簡単に引っ越すことができない

持ち家に住むと、住宅ローン返済の都合も含め、容易には引っ越せないことに留意すべきです。したがって、家族がいて、転勤など仕事の都合で転居の必要がある場合、単身赴任が選択肢に入るケースもあるでしょう。

火災や自然災害のリスクに自分で備える必要がある

火災や地震、台風、豪雨といった自然災害のリスクには、持ち家の所有者自身が備えておかなければなりません。

リスクへの備えとしては火災保険や地震保険への加入が一般的ですが、保険料の負担が生じるうえ、保険でカバーできない範囲は自己負担です。賃貸も火災保険は必要ですが、多くの場合、持ち家と比較して、負担は大きくなりません。

また、加入する保険の種類によっては、保険料の値上げが継続して起こるおそれもあるため、負担が増えてしまう可能性がある点もデメリットとなり得ます。

賃貸と持ち家のそれぞれで発生するコスト

次に、賃貸と持ち家で発生するコストにはどのようなものがあるのか、それぞれでかかる費用について見ていきましょう。

賃貸に住む場合にかかるコスト

以下は、賃貸に住む場合に発生し得るコストです。これらのコストの具体的な金額は、どのような物件を借りるかによって変動します。

賃貸契約時に発生するコスト

  • 敷金や礼金:いずれも家賃1ヵ月程度が目安です。敷金は退去時の原状回復費用に充てられ、回復にかかった金額の差額が退去時に戻ってくる点が特徴。
  • 仲介手数料:家賃0.5ヵ月~1ヵ月+消費税が目安です。物件案内や契約手続きを担った不動産会社に支払います。
  • 火災保険:加入時

賃貸契約後に発生するコスト

  • 家賃:毎月
  • 管理費、共益費、駐車場代:毎月
  • 契約更新料:契約更新時
  • 火災保険:契約更新時
  • 家財保険:契約更新時

退去時に発生するコスト

  • 退去費用:修繕費とも呼ばれ、入居時の家具搬入などによる傷の修繕、タバコなどによる壁の変色の回復に使われる費用。費用相場は、部屋の状態により変動します。
  • 引越し費用:家具の量や引越しの時期、次の物件との距離などの条件により費用相場は変動します。

持ち家に住む場合にかかるコスト

続けて、持ち家にかかるコストを紹介します。賃貸と同様、発生する金額は購入する家や土地価格、保険加入の有無によって異なる点に留意しましょう。

住宅購入時に発生するコスト

  • 住宅、土地などの購入代金
  • 各種税金の支払:不動産取得税や登録免許税、印紙税など
  • 住宅ローンにまつわる諸費用:事務手数料、保証料、印紙代、団体信用生命保険の保険料など
  • 諸費用:仲介手数料や地盤改良費、外構工事費用など

住宅購入後に発生するコスト

  • 住宅ローンの返済:毎月
  • 固定資産税、都市計画税:一般的に年4回
  • 火災保険の保険料:毎年、もしくは保険契約の更新時
  • メンテナンス費用およびリフォーム費用:必要に応じて発生
  • 管理費:必要に応じて発生
  • 修繕積立金、管理費、駐車場代(分譲マンションのケース):毎月

老後を考えるなら賃貸と持ち家どちらがおすすめ?

「老後を考えたとき、賃貸と持ち家のどちらが自分に合っているのか」、それぞれのメリット・デメリットをふまえ、確認していきましょう。

老後に賃貸で暮らすほうが向いている人

老後に賃貸で暮らすほうが向いているのは、以下の人です。

今後住む場所が変わる可能性のある人

転勤が多い仕事に就いており転居の機会が多い人や、転職を検討しているなど、ライフスタイルが変わる可能性がある人は、持ち家よりも賃貸がおすすめです。また、田舎への引越しを考えている人や、老人ホームへの入居を考えている人は、住み替えがしやすいので、持ち家より賃貸のほうが向いているといえます。

加えて、特定の場所に留まるよりも色々な場所に住んでみたい、と考えている人も賃貸が適しているでしょう。

出費をコントロールしたい人

老後の生活費を抑えたい場合は、年金などの収入に見合った賃貸物件に住むことで出費をコントロールできるでしょう。

ただし、住む地域によっては、住民税の額や生活必需品の物価、水道料金が割高になります。
また、高齢者の場合、賃貸住宅を借りたくても保証人の手配が難しいケースもあります。新規契約や契約更新を断られることもあるので注意が必要です。

老後に持ち家で暮らすほうが向いている人

老後に持ち家で暮らすほうが向いているのは、以下の人です。

「資産」として残したい人

配偶者や子ども、孫などに不動産を相続財産として残したい人は、持ち家で暮らすほうが向いているでしょう。マイホームは幅広い使い道がある資産です。
例えば、カードの申込み時などに持ち家かどうかの記載が必要なように、持ち家があることは社会的信用にもつながります。

ローンを完済した後は、固定資産税やマンションの管理費、修繕積立金などを除けば、毎月かかる住居費の負担も少なくなるでしょう。住居に困ることがなく、安心して老後の生活を過ごせます。

建て替えで家を新しくしたい人

「老後はバリアフリーの家にリフォームしたい」という場合は、持ち家が向いているでしょう。持ち家の場合、自分好みのリフォームが可能です。

また、リバースモーゲージを活用すれば、持ち家の価値を査定してもらうことで一定の範囲まで借入れができます。借入れた資金でリフォームすることも可能です。二世帯住宅を建てて子どもと同居すれば、子どもの住居費も抑えられます。

将来のライフスタイルがある程度定まっている人

すでに結婚して子どもがいる場合や、ペットを飼いたい、同じ場所に定住したいなど、ライフスタイルの方向性が定まっている人は持ち家がおすすめです。持ち家は十分な部屋数を確保しやすいため、子ども部屋を作るなど、希望のライフスタイルを実現しやすいでしょう。

また、DIYやリフォームなど、自分好みの居住空間を作りたい人にも、カスタムの自由度が高い持ち家が向いています。

加えて、仕事や収入が安定している、貯蓄が十分にあるという人も、ローンの返済プランが立てやすいことから持ち家がおすすめです。

まとめ

賃貸住宅と持ち家は、双方にメリット・デメリットがあり、「こちらが良い」と言い切ることはできません。
理想のライフスタイルや老後の暮らし方、コスト、資産の活用方法によって、どちらに向いているかは異なります。

持ち家を購入する場合は、自分のライフスタイルに合った住宅ローンを選ぶことが大切です。
例えば、りそなの住宅ローンには次のような特長があります。

  • 魅力的な金利
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「賃貸と持ち家、どちらにするか」。
答えは人によって異なります。自分のライフプラン・マネープランと照らし合わせ、十分に検討することが大切です。

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本記事は2023年3月31日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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