定年直前で相場が崩れた……
iDeCo(イデコ)の場合はどうすればいい?

公開日:2022/11/29
更新日:2025/11/18

定年直前で相場が崩れた……iDeCo(イデコ)の場合はどうすればいい?

老後資金の柱として積み立ててきたiDeCo(イデコ)の年金資産が、いざ受け取る直前に大きく目減りしてしまったら…。想定していた生活設計が一気に崩れる不安を感じる方も少なくありません。

実際、2008年のリーマン・ショックでは日本株式が急落し、2020年のコロナショックや2025年の米国の政策変更による相場変動が起こりました。

こうした急激な相場変動のリスクに備えるには、定年直前のタイミングでiDeCoの受け取り方や資産配分を見直し、受取開始に向けて準備を整えておくことが欠かせません。

本記事では、iDeCoを受け取る前に検討すべきポイントや、リスクを抑えながら運用を工夫する方法を解説します。安心して退職後を迎えるための参考にしてください。

私が書きました
主なキャリア

元銀行員。若年層から高年層まで幅広い資産運用の提案を行う。メディアを通じて、より多くのお客さまに金融の知識を伝えたい気持ちが強くなり、退職を決意。
現在は、編集者として金融機関を中心にウェブコンテンツの編集・執筆業務に従事している。

  • りそなグループが監修しています

相場が大きく下がっても
冷静に対処

株式型などリスクのある投資信託で運用した状態で、定年直前に株式相場が急落してしまった場合、資産が減ってしまう可能性は否定できません。給付金を「一時金」で受け取る予定にしていた方は、受け取るタイミングや受け取り方を変更できないか考えてみましょう。急落した場面で売却してしまうと、長期間、掛金を支払い運用してきた資産を大幅に目減りさせたまま受け取ることになってしまいます。

スイッチングは慎重に検討する

定年直前に株価が急落した際、慌ててスイッチングしてしまうケースがあります。

スイッチングとは、これまで積み立ててきた購入済みの資産を一度売却し、その資金で別の商品を購入して運用先を切り替えることです。

スイッチングは、iDeCoの資産配分を見直すリバランスのために行われるほか、十分な利益が出た際に元本確保型商品へ乗り替えて利益を確定させる目的でも利用されます。

しかし、例えば株価急落時に投資信託から定期預金へスイッチングすると、損失が確定してその後の利益回復のチャンスを逃してしまう可能性があります。

急落時には「なにか対策が必要では」と焦ってしまいがちですが、慌てて売却し、スイッチングすることには留意が必要です。

給付金の受取開始時期を
調整してみる

予期せぬ急落に直面してしまった場合、給付金の受取開始時期を先延ばしにすることを検討しましょう。一時的に価格が下がることはあっても、いつまでも下がり続けるということは考えにくく、断言することはできませんが、過去の相場サイクルの一般的な傾向として、5~10年以上の期間があれば相場は回復する可能性が高いのです。

例えばリーマン・ショック直後は株式相場が急落しましたが、その後は株式相場が上昇して急落前の水準を回復しました。

iDeCo(イデコ)の場合、受取は原則60歳からですが、60歳以降も運用指図者として75歳になるまで運用を続けることができます最長75歳になるまでに、相場などの状況に合わせて受取開始のタイミングを考えればよいのです。

年金形式を選択して運用しながら分割して取り崩す方法も

iDeCo(イデコ)の老齢給付金の受取方法には「一時金」と「年金」があります。

受取時に相場が崩れていた場合、一時金で全額を受け取ってしまうと損失が確定してしまいます。しかし「少しでもいいから給付金を受け取りたい」という場合は、受取方法として「年金」を選択することで、運用資産を分割しながら受け取ることが可能です。その場合、運用指図者となり資産運用を継続できるので、相場の回復を待ちつつ給付金を受け取ることができます。

ただし、金融機関によっては、年金を受け取るたびに受取時手数料がかかります。その場合、受取回数を増やすほど費用がかさんでしまいますので、年に1度受け取るなど、回数は最小限にしましょう。

ちなみに、りそなのiDeCoの場合はこの受取時手数料が無料です。
そのため、受取回数について考慮する必要はありません。

また、時期を見計らって「一時金」で受け取る場合も、分割して「年金」で受け取る場合も、年金資産を運用している間、口座管理手数料がかかる点にも注意しましょう。金融機関(運営管理機関)によって異なりますが、年間1,000~5,000円程度が必要です。

定年直前の株価急落に備えあらかじめiDeCo(確定拠出年金)でできる対策

iDeCo(確定拠出年金)の受取時になって株価急落に悩むことがないよう、定年が見えてきたらあらかじめ心がけておきたい対策があります。

iDeCoは「ほったらかしでよい」と思わず、口座管理サイトなどで資産残高や損益率の確認をしましょう。口座管理サイトはご自身が口座を開設している金融機関で提供されています。

例えばりそなのiDeCo(確定拠出年金)の口座管理サイトは、以下のような画面から、JIS&T口座番号とインターネットパスワードでログインし、利用できます。

りそな銀行確定拠出年金の加入者ログイン画面

また、りそなグループの銀行口座をお持ちの場合は、りそなグループアプリ、マイゲートからも残高確認ができます。

iDeCoの管理について知りたい方は、こちらも併せてご覧ください。

iDeCoの「配分変更」と「スイッチング」の違いとは?運用見直しのタイミングや注意点

以下では、定年前にiDeCoで実施したい対策について、順に解説します。

ポートフォリオを見直す

口座管理サイトでは、まず現在のiDeCoのポートフォリオ(運用商品の構成比率)を確認しましょう。ハイリスク・ハイリターンの商品、元本保証型の商品など、内容と構成をチェックします。

定年が見えてきたら、株式投資信託といったリスク性商品の比率を徐々に減らし、値動きが小さい比較的安全性の高い商品の比率を上げるのもよいでしょう。定年直前の値崩れを防止し、リスクを抑える効果があります。

スイッチングで資産配分を調整する

ポートフォリオを見直し、運用商品の構成比率を変えたい場合、iDeCoではすでに購入した運用商品の切り替えができます。前章でも取り上げた、変更したい商品を売却して買い替える「スイッチング」と呼ばれる方法です。

利益が出ているタイミングで株式投資信託等のリスク性商品を売却し、定期預金やバランスファンドなど、比較的安全性が高く値崩れしにくい商品へスイッチングしましょう。

スイッチングで資産配分を変更する場合、対象の商品をいったん売却して買い替えることになりますが、スイッチングには一定の日数を要します。そのため、ポートフォリオの変更を急ぐあまり一度にすべて切り替えると、タイミング次第では損失が確定する可能性があります。

したがって、スイッチングを行う際には、複数回に分けて少しずつ実施することで、価格の上下による影響を平均化し、リスクを抑えるとよいでしょう。

ただし、商品によっては売却ごとに手数料が発生する場合があるため、事前に確認しておきましょう。

今後の投資分も商品を見直す

スイッチングは、すでに保有している商品を切り替えるものです。そのため、新たに投資する部分については、見直したポートフォリオに合わせ、商品を選択し、掛金を配分する必要があります。これを商品別配分変更と呼びます。

あらかじめバランスファンドを取り入れておく

資産配分の調整がよくわからない・不安だという場合は、定年直前かどうかにかかわらず、あらかじめバランスファンドにしておく方法があります。

バランスファンドとは、運用の専門家が株式や債券、不動産などさまざまな資産を組み合わせて分散投資してくれるファンド(投資信託)のことです。

バランスファンドのなかには、定年に近づくにつれて、自動的に安全性が高く値崩れしにくい資産の割合を増やす仕組みの商品があります。

定年が近づいてきたら出口戦略を検討しよう。

ここまでは直前に相場が急落してしまった、または相場急落に備える場合の対処法について解説してきました。しかし定年直前の価格急落リスクを避けるためには、「何歳からどのような形で受け取るか」を計画的に考え、運用商品のリスク資産の割合を調整することが一番の対策です。

もし60歳から受け取るのであれば、50代では売却時点の価格急落を避けるため、リスクの高い商品を徐々に減らしていくことも考えましょう。株式投資信託を売却して債券型投資信託や元本確保型の商品に切り替えていくことで、短期的な相場変動による影響を抑え、定年直前の損失のリスクを回避できます。

iDeCo(イデコ)の給付金の受け取りについては、以下のような内容を考えましょう。

  • 受取開始前のリスク回避方法
  • 何歳から受け取るか
  • 一時金で受け取るのか
  • 年金で受け取るのか
  • 年金の場合は何年間で受け取るか
  • 60歳以降も運用を継続するかなど

受取方法により税金の取扱いや各種費用負担も変わります。他の企業年金(退職金)や公的年金の受給額や貯蓄額なども併せて検討し、ご自身にとってベストな選択を総合的に判断しましょう。

まとめ

定年直前(受取直前)に株価が急落した場合、長年積み立てたiDeCoの運用資産を大きく目減りさせないためには、受取方法を変更するなどの対策方法があります。

また、定年に備え、あらかじめポートフォリオの見直しなどをしておくと安心です。

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  • 当記事は2025年11月18日現在の税制・関係法令などに基づき記載しております。今後、税務の取扱いなどが変わる場合もございますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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