介護費用の総額はいくら?保険や医療費控除など制度利用後の自己負担額を解説!

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もし自分に介護が必要な状態になった場合、何にどれくらいの費用が必要になるのか、ご存じでしょうか?

公的介護保険や医療費控除を利用した後の自己負担がどれくらいになるか知っておくことで、そのときに備えることができます。元気なうちに介護費用の対策ができるよう、今回は介護費用の相場について説明します。

私が書きました
主なキャリア

生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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介護費用の総額は平均約500万円!

介護費用の総額は平均約500万円!

介護費用とは、介護にかかる費用全般のことです。さまざまなものがありますが、例えば、介護施設利用料や在宅介護サービス利用料、介護のために自宅をリフォームする費用、介護用ベッドの購入、おむつ代や介護食代などです。

公的介護保険の介護サービスを受ける際、実際に払うのは自己負担分のみですが、それでも多額の費用が必要です。これらをまとめた介護費用総額に平均で約500万円かかるという調査結果もあります(平成30年度・生命保険文化センター調べ)。

要介護の状態によっては、介護期間が長期になることもあり、肉体的・精神的・経済的負担は大きくなることも考えられます。そのため、事前に介護の備えをしておくと安心です。

介護にかかる年数と
費用の内訳

総額約500万円というのは、介護期間中に要する月々の介護費用および一時的な介護費用を合わせた合計額です。

前出、平成30年度の生命保険文化センターの調査結果によると、介護期間の平均は54.5ヵ月、月々の費用が平均7万8,000円、一時的な費用が平均69万円となっています。これらの合計が約500万円です。

介護期間

2018年度における介護期間の平均は、54.5ヵ月(約4年7ヵ月)ですが介護期間には個人差があります。最も多いのは「4~10年未満」で28.3%です。しかし、医療技術の進歩により平均寿命は延びており、介護期間が延びる可能性もあります。

一時的な介護費用

介護がはじまると、介護用に自宅のリフォームやベッドなどの購入が必要になることがあります。これらの一時的に発生する費用は、平均69万円です。

要介護度(要支援を含む)によっても差がありますが、要介護度3「自立歩行が困難な人で、杖・歩行器や車いすを利用しており、手段的日常生活動作や日常生活動作で、毎日何かの部分でも全面的に介助が必要な人」で最も高く約93万円となっています。

介護費用の自己負担額はどれくらい?

要介護・要支援の認定を受けると、介護サービスの利用料などに公的介護保険が適用され、自己負担割合は1~3割となっています。

介護保険サービス費用の自己負担割合

自己負担割合は、本人の所得や同一世帯における65歳以上の人数、年金収入額などに応じて次のような流れで決まります。

  • 1.本人の合計所得金額が
    220万円以上: 1~3割のいずれか
    160万円以上220万円未満:1~2割
    160万円未満:1割
  • 2.本人の合計所得が160万円以上の場合、世帯における65歳以上の人の「数」と「年金収入額+その他の合計所得金額」により判定されます。

「年金収入額+その他の合計所得金額」は、65歳以上の人が同一世帯に1人だけか、2人以上かによってそれぞれに決められています。詳しくは自治体の窓口で確認してみましょう。

介護保険が使えるサービスとは

在宅および施設サービスの利用料などは、公的介護保険の適用対象です。しかし、保険が適用されず全額自己負担となるものもあります。

例えば、食費や通所介護における交通費、日常生活費(日用品やおむつ代など)などは全額自己負担です。

介護保険の年間限度額について

公的介護保険からの給付額には、介護等級ごとに年間限度額(区分⽀給限度基準額)が設定されています。限度額を超えてサービスを受ける場合は、超える部分の全額が自己負担になります。

居宅サービスの年間利用上限額の目安は次の通りです。

要介護度 1ヵ月あたりの
支給限度額
要支援 1 50,320円
2 105,310円
要介護 1 167,650円
2 197,050円
3 270,480円
4 309,380円
5 362,170円

出典:厚生労働省「区分支給限度基準額について」

※注:実際の支給限度額は金額ではなく「単位」で決められており、目安として1単位あたり10円で計算しています。

同一世帯の自己負担が一定額を超えると、超えた金額が市区町村から払い戻される「高額介護サービス費」という制度もあります。自己負担限度額は次のように決められています。

横スクロールできます。

区分 自己負担限度額
現役並み所得者に相当する方がいる 44,400円(世帯)
世帯の誰かが市区町村民税を課税されている 44,400円(世帯)
世帯の全員が市区町村民税を課税されていない 24,600円(世帯)
  うち、前年の合計所得と公的年金収入の合計額が年間80万円以下の方等 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
生活保護を受給している方等 15,000円(個人)

出典:厚生労働省「月々の負担の上限(高額介護サービス費の基準)が変わります」

なお、上から2番目の「世帯の誰かが市区町村民税を課税されている」というのは、例えば本人(65歳以上)は市区町村民税が課税されていなくても、同居の子ども(例:45歳)が市区町村民税を課税されている場合などのことを指します。

負担が大きくなれば、本人だけでなく家族の生活環境に影響する可能性もあります。早めの対策を心がけましょう。

介護費用は早めの準備が大切!

介護費用の総額は平均で約500万円発生する!

介護費用負担が必要になる場合のことを考えて、早めに準備と対策をしておくことが大切です。

事前の備えが大切な理由

銀行預金等は、原則として名義人以外がお金を引出すことはできません。

判断能力が低下し要介護状態になった場合でも、家族は簡単にお金を引出せず、医療・介護費用や生活費に苦労することも少なくありません。

費用負担をめぐる家族同士のトラブルを避けるためにも、資産承継信託などを活用し、自分が元気なうちに家族にお金の管理を託すための準備が大切です。

資産承継信託の仕組み

資産承継信託とは、一般的には自分が持っている資産の管理・運用を信託銀行などに託し、あらかじめ設定した条件のもと本人や家族がお金を引出せるようにできるサービスです。

介護費用に限らず、あらかじめ資産を分けて支払い目的を決めておくことで、振り込め詐欺の対策になるものもあります。

万一、本人が死亡した場合でも煩雑な相続手続きを行わずに、相続人がすぐにお金を受け取れるタイプもあり、便利な仕組みです。

まとめ

要介護認定されると公的介護保険が使えますが、1~3割程度の自己負担が必要です。介護費用総額は平均約500万円というデータもあります。早めに介護の備えをしておきましょう。

確定申告を行い、医療費控除を申請すれば、自己負担を減らすことができますが、還付を受けられるまでには時間もかかります。そのため、高額な介護サービスなどを利用した場合、家族が立て替え負担しなければならないケースも少なくありません。必要なお金について介護状態になってから慌てることがないよう、事前に備えをしておくことが大切です。

りそなでは、ケガや病気、判断能力の低下などにより、自分でお金の管理が難しくなる場合に備えられる「介護・認知症対策信託 ~資産承継信託~」を提供しています。将来の介護費用が気になる人は、りそなに相談してはいかがでしょうか。

本記事は2021年4月6日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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