NISA口座の金融機関の変更方法は?メリット・デメリットも知っておこう

公開日:2022/07/08
更新日:2025/02/12

NISA口座の金融機関の変更方法は?メリット・デメリットも知っておこう

2024年1月から新NISAとして制度が変更されましたが、NISAの口座変更はできるのか、できるとすればどのように変更するのかなどを知りたい方もいるのではないでしょうか。

新NISA制度でも、NISA口座の金融機関を変更することは可能ですが、手続き期間が決まっていることや、変更手続きに数週間~1ヵ月ほど時間を要することなどいくつかの注意点があります。

本記事では、新NISA制度でNISA口座の金融機関を変更する方法や基礎知識、メリット・デメリット、変更手順について解説します。

※NISAの手続き方法に関しては、りそなではなく一般的な内容を記載しております。手続き方法は金融機関によって異なる可能性がありますので、ご留意ください。

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生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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新NISA制度でもNISA口座の金融機関を変更することは可能である

2024年1月から新NISA制度がスタートし、つみたてNISAが「つみたて投資枠」、一般NISAが「成長投資枠」として引き継がれています。旧NISA制度ではどちらか1つしか選択できませんでしたが、新NISA制度では2つの枠を併用できるように変更されました。

また、新NISA制度では非課税保有期間が無期限となり、新たに設けられた1,800万円の非課税保有限度額(総枠)は売却の翌年以降に再利用ができるなど、旧NISA制度と異なる部分がいくつかあります。

ですが、NISA口座の変更に関しては、旧NISA制度と同様に新NISA制度でも可能です。

NISA口座を変更する際に知っておきたい基礎知識

まずは、NISA口座の変更に関する基礎知識について解説します。

NISA口座の開設は一人につき1口座まで

NISA口座の開設は、一人につき1口座です。複数のNISA口座に申込みをした場合は、申込先の金融機関の手続きが最も早かったNISA口座のみが開設されます。

複数のNISA口座に申込むと、税務署のチェックが入るため、2つ目以降のNISA口座が開設されることはありません。NISA口座が開設されなかったときは、「非課税口座開設承認不可理由通知書」が金融機関からお客さまへ送付されます。

金融機関でNISA口座が一度開設されると、口座開設の取り消しはできないため、十分に考慮してから申込むようにしてください。

NISA口座は1年ごとに変更可能

NISA口座は、1年に1回しか変更できません。変更前のNISA口座にある投資信託や株式などの金融商品は、そのまま保有することができます。

例えば、2024年に新NISA口座を開設し、買付けをした金融商品は、金融機関を変更したあとも、変更前の金融機関で非課税での保有が可能です。

NISA口座の変更にはタイミングがある

NISA口座の変更が認められている期間は、NISA口座の変更を希望する年の前年10月1日から、変更を希望する年の9月30日までです。

仮に、2025年分におけるNISA口座の変更を希望するなら、2024年10月1日から2025年9月30日までに、NISA口座の変更手続きを行わなければなりません。

また、変更を希望する年の1月1日以降に、変更前の口座で買付けをした場合、その年分の口座変更ができなくなる点にも注意が必要です。

例えば、A銀行からB銀行に変更したい場合、A銀行で所有しているNISA口座で2025年に入ってから買付けすると、2025年分の口座変更はできません。その場合、2025年10月1日以降に2026年分の口座変更を行います。

さらに、A銀行で開設していたNISA口座で積立設定をしている場合、積立設定の解除をしておかなければなりません。そうしないと、年が明けた1月に自動買付されてしまい、その年は口座変更ができなくなります。

NISA口座を変更する3つのメリット

NISA口座を変更する3つのメリット

次に、NISA口座を変更する3つのメリットについて見ていきましょう。

1商品選択の幅が広がる場合がある

NISA口座の対象になる金融商品は、つみたて投資枠と成長投資枠でそれぞれ決められています。つみたて投資枠では、金融庁が定める基準を満たす公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)、成長投資枠では投資信託のほか、国内外の株式、不動産投資信託(REIT)などです。

特に成長投資枠では、幅広い商品から選択できます。実際に取扱われている商品は金融機関によって異なるため、金融機関を変更することで商品選択の幅が広がるでしょう(※りそなでは株式投資信託のみ)。

NISA口座の変更前に、金融機関の商品のラインナップを比較検討し、自分が投資したい商品がある金融機関を選ぶことが重要です。

2自分に合ったサービスを受けられる可能性がある

金融機関のWebサイトでは、NISA口座で運用した金融商品の運用レポートや資産の推移などを見ることが可能です。

金融機関のWebサイトの利用が快適であることや、アプリへの対応で使い勝手が良いことで、情報がスムーズに得られるようになり、今までより綿密な運用計画が立てられるかもしれません。

また、投資をはじめるときや、はじめたあとにわからないことに直面した場合など、直接相談できる窓口を設けている金融機関だと、サポートを受けながら投資ができるので安心です。

そのほか、金融機関によっては、運用商品の買付けでポイントが付与され、たまったポイントを投資に利用できるなど、サービスが充実しているところもあります。

NISA口座を変更する際は、使い勝手の良さや自分に合ったサービスが受けられるかどうかも考慮しましょう。

3手数料を下げられる可能性がある

NISA口座を利用して、株式や投資信託などの取引をする際の手数料は、同じ金融商品でも金融機関によって異なるのが一般的です。よって、NISA口座の金融機関を変更することで、取引手数料を下げられる可能性があります。

また、投資信託を保有していることで生じる信託報酬は銘柄ごとに異なるため、信託報酬が低めの銘柄を多く取扱っている金融機関に変更することで、全体的に手数料を抑えられるかもしれません。

少しの手数料の差でも、投資期間が長くなると最終的な利益への影響は大きくなります。したがって、手数料体系や商品ラインナップを比較検討することが大切です。

NISA口座を変更するデメリット2つ

NISA口座の変更では、デメリットも十分に把握しておきましょう。

変更前の保有商品を移管できない

変更前のNISA口座で保有する金融商品は、新しいNISA口座へ移すことができません。そのため、変更前のNISA口座で保有している金融商品および銘柄を変更後のNISA口座でも保有したい場合には、変更前のNISA口座で一度売却して現金化し、変更後のNISA口座で同じ金融商品・銘柄を再購入することが必要です。

売却や再購入をするとなると、価格変動や手数料によって利益が影響を受ける可能性があります。

また、変更前のNISA口座にある金融商品を売却せずに、そのまま変更前の口座で保有し続けることもできますが、変更後のNISA口座で買付けをした金融商品と併せて管理する手間が必要です。

NISA口座の変更では、新しい口座が増えることにともない、利益への影響や口座管理の手間が増える可能性を考慮し、変更前のNISA口座で保有している金融商品を保有し続けるか、タイミングを見て売却するかの戦略を考えておくとよいでしょう。

投資の機会損失になる可能性がある

NISA口座の変更は、金融機関と税務署での審査・確認が行われ、手続きが完了するまでに数週間~1ヵ月ほど時間がかかる点も、デメリットの一つです。その間は、NISA口座を利用できないので、投資機会を逃してしまう可能性があります。

NISA口座を変更する場合は、先に説明した変更可能期間に加えて、ある程度時間がかかることも考慮し、変更のタイミングを考えることが重要です。

NISA口座を変更する3つのステップ

ここからは、NISA口座の金融機関を変更するときの、おおまかな手順を3つのステップに分けて解説します。

詳しい手続き方法は、金融機関によって異なるため、NISA口座変更の際は現在利用している、またはこれから利用を検討している金融機関に確認してください。

ステップ1.
現在利用中の金融機関に「申請」をする

現在利用中のNISA口座がある金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出します。

ステップ2.
現在利用中の金融機関から「非課税管理勘定廃止通知書」を受け取る

「金融商品取引業者等変更届出書」に必要事項を記入し、本人確認書類などの必要書類とあわせて現在利用している金融機関に提出してください。提出した書類を金融機関が確認すると、「非課税管理勘定廃止通知書」が交付されます。

ステップ3.
新しい金融機関に「非課税口座開設届出書」を提出する

新しいNISA口座の開設を希望する金融機関にNISA口座開設の申請をし、「非課税口座開設届出書」を受け取りましょう。

「非課税口座開設届出書」に必要事項を記入し、変更前の金融機関から交付された「非課税管理勘定廃止通知書」と一緒に新しい金融機関に提出すれば、口座開設手続きは完了です。

NISA口座を開設した金融機関を忘れた場合の対処方法

NISA口座を開設してからずっと取引をしていないなどで、どの金融機関で口座開設していたか忘れてしまった方もいるかもしれません。その場合は、国税庁の国税電子申告・納税システム(e-Tax)で、どこの金融機関にNISA口座を開設したかを確認できます。

e-Taxで確認するためには、以下の2つをすべて満たしていることが必要です。

  • e-Taxの利用者識別番号を所有していること
  • マイナンバーを記載した申告書等を税務署へ提出したことがあること

e-Taxで確認できない場合は、最寄りの税務署で確認することも可能です。税務署に「非課税口座の開設先金融機関に関する確認依頼書」を提出すれば、後日、該当金融機関から連絡が来ます。

NISA口座の変更に関するよくある質問

最後に、NISA口座の変更に関する3つの質問について解説します。

NISA口座の変更にはどれくらい時間がかかる?

NISA口座の変更が完了するまでの日数は、金融機関によって異なりますが、数週間~1ヵ月ほどを想定しておきましょう。

「金融商品取引業者等変更届出書」を変更前の金融機関へ提出してから、「非課税管理勘定廃止通知書」が手元に届くまでのおおよその目安は約1週間です。また、「非課税口座開設届出書」や「非課税管理勘定廃止通知書」を新しい金融機関に提出し、税務署がこれらの書類を確認するまでには、約2週間がかかります。

税務署の書類確認後、新しい金融機関における確認作業も必要なため、NISA口座の変更は時間に余裕をもって行いましょう。

NISA口座を変更する年に取引はできる?

NISA口座を変更する年に、保有しているNISA口座で商品の取引をすると、その年にNISA口座の変更はできなくなります。

金融商品の購入や売却以外にも、積立商品や再投資買付も取引に該当するため、買付状況を把握しておくことが大切です。

NISA口座を変更すると新NISA制度の非課税保有限度額はどうなる?

新NISA制度では非課税保有限度額(総枠)が新設され、買付額ベースで最高1,800万円(成長投資枠の上限1,200万円とつみたて投資枠の上限600万円の合計)まで、非課税で金融商品を保有できます。

この1,800万円は一人あたりの非課税保有限度額のため、NISA口座の変更があった場合は、変更前の金融機関と変更後の金融機関の合計で1,800万円までです。

なお、非課税保有限度額の利用状況は、NISA口座を利用している金融機関のWebマイページや金融機関窓口で確認できます。

  • 成長投資枠を利用しない場合は、つみたて投資枠だけで1,800万円まで投資可能

まとめ

新NISA制度において、NISA口座を他の金融機関に変更することは可能です。口座変更を行うことで、商品ラインナップやサービスの拡充が期待できるほか、手数料を抑えられる可能性があります。

一方、NISA口座変更では、1年に1回という制限や、手続きを行うタイミングなどに注意が必要です。また、変更前のNISA口座で保有している金融商品を新しいNISA口座へ移すことはできないので、メリット・デメリットを理解したうえで検討しましょう。

りそなでは、金融のプロが丁寧にサポートしてくれるので、安心してNISAを利用することが可能です。また、NISA口座での取引に応じてポイントがたまるサービスや、各種保険・住宅ローンなど、ライフイベントに合わせた金融商品がそろっています。NISA口座の開設を含め、金融商品のトータルサポートを受けられるのが魅力です。

特に、店舗では口座開設方法から購入商品についての相談まで受け付けているため、安心して手続きを進められます。

さらに「りそなグループアプリ」を使えば、24時間365日、投資信託口座とNISA口座の開設手続きが可能なうえ、運用状況の確認も簡単です。

NISA口座の開設をお考えの際は、りそなへ相談してみてはいかがでしょうか?

本記事は2025年2月12日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等または制度の改正等を保証する情報ではありません。

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  • 日本にお住まいの個人のお客さまで成年に達した方(口座開設年の1月1日時点)が口座を開設できます。
  • NISA口座は全金融機関を通じて、同一年において一人一口座のみの開設となります(金融機関変更をした場合を除く)。金融機関の変更を行い、複数の金融機関にNISA口座を開設したことになる場合でも、各年において1つのNISA口座でしか購入することができません。
  • NISA口座内の株式投資信託等を変更後の金融機関に移管することもできません。なお、金融機関を変更しようとする年分の非課税投資枠で、すでに株式投資信託等を購入していた場合、その年分について金融機関を変更することはできません。
  • りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行でのNISA口座対象商品は株式投資信託のみです。
  • NISA口座は他の口座との損益通算、損失の繰越控除はできません。
  • NISA口座は中長期投資のための制度であることから、短期間での売買(乗換え)を前提とした商品には適しません。
  • 投資信託における分配金のうち元本払戻金(特別分配金)は従来より非課税であり、NISA口座での制度上のメリットは享受できません。
  • 非課税年間投資枠は、つみたて投資枠(120万円)と成長投資枠(240万円)を併用することで年間360万円までとなります。
  • 非課税保有限度額は、購入残高(簿価残高)で、1,800万円(うち成長投資枠の上限は1,200万円)となります。
  • 解約ファンドの簿価分の非課税枠を、翌年以降新たな投資に再利用できます。
  • つみたて投資枠においては、定期的かつ継続的に対象商品を購入いただきます。つみたて投資枠として1回限りとする購入は契約できません。
  • つみたて投資枠を契約した日から10年を経過した日、および同日の翌日以後5年を経過した日ごとに、お名前とご住所を確認させていただきます。当該日より1年以内に確認できない場合は、対象商品の受入れができなくなります。
  • 成長投資枠対象ファンドは、信託期間20年未満、毎月分配型、高レバレッジ型などは除外されます。