サラリーマンなどの個人ができる節税対策10選

サラリーマンなどの個人ができる節税対策10選

サラリーマンは給料から所得税、住民税が毎月差し引かれていますが、税金の仕組みを理解すると、個人でも節税をして、手取り収入を増やせることがあります。

しかし、節税方法には適用要件があるので、それぞれしっかり確認しておく必要があります。

この記事では、サラリーマンでも利用できる10種類の節税方法の概要について解説します。自分でも活用できる制度があれば積極的に活用して手取り収入アップに役立ててください。

私が書きました
主なキャリア

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

  • りそなグループが監修しています

サラリーマンが支払う
「税金」の種類

サラリーマンは毎月の給料から、以下の税金と社会保険料が差し引かれた金額を手取りとして受け取ります。

税金 所得税・住民税
社会保険料 健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料

毎月の給与から、上記の社会保険料や税金を差し引いた金額のことを、「可処分所得」といいます。

給与-(税金+社会保険料)=可処分所得(実際に自由に使えるお金)

サラリーマンは給料アップを目指すだけではなく、節税することによってこの可処分所得を増やすことが可能です。

サラリーマンができる
節税対策10選

サラリーマンができる節税対策10選

サラリーマンの所得税は、個人の所得と、所得に応じた税率を乗じ、控除額を差し引いて算出します。

例えば、課税される所得195万円超330万円以下の方の税率は10%。この仕組みで所得200万円の方と300万円の方の税率を計算してみると、所得200万円のほうが税金は安くなることがわかります。

つまり、課税される所得が低ければそれだけかかる税金が安くなり、節税につながることになるのです。サラリーマンの節税のほとんどは、「利用することによって所得を減らす所得控除」を活用した方法です。ここからは、その具体的な控除制度について解説します。

各制度に関しては国税庁のサイトから最新の情報を得るようにしましょう。

扶養控除

子や親など控除対象の扶養親族がいる場合は、所得控除を受けられます。控除対象の扶養親族に該当する人の範囲は、以下の要件にすべて該当する人です。

  • その年の12月31日の時点で16歳以上であること
  • 配偶者以外の親族であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)であること
  • 青色申告者の事業専従者としてその年給料を受け取っていないこと、または、白色申告者の事業専従者でないこと

具体的な控除額は、以下のとおりです。

区分 要件(※1) 控除額
一般の控除対象扶養親族 16歳以上 38万円
特定扶養親族 19歳から23歳未満 63万円
老人扶養親族 70歳以上で同居老親等以外の者 48万円
70歳以上で同居老親等の者 58万円

(※1)その年の12月31日時点での年齢

なお、老人扶養親族の場合、病気で入院しているなどの理由で納税者と別居となり、その期間が1年以上の長期にわたるものであっても、同居として扱うことができます。ただし、老人ホームに入所している場合は、居所は老人ホームとなり、同居扱いとはなりません。

医療費控除

納税者がその年の1月1日から12月31日の間に自分または、自分と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費が一定額を超える場合、所得控除の対象です。

医療費控除額の計算方法は次のとおりです。

【医療費控除額の計算方法】
  • 医療費控除額(上限200万円)=実際に支払った医療費の合計から民間の医療保険などで補填された額を引いた金額-10万円
  • 総所得金額が200万円以下の場合、10万円ではなく総所得金額の5%が控除されます。

控除対象の医療費には、出産費用や入院費用なども含めることができます。
なお、未払いの医療費があるときは、実際に支払った年の医療費控除となるので注意が必要です。

医療費控除の医療費に含まれるおもな項目は、次のとおりです。

  • 医師、歯科医師による診療・治療の対価(健康診断の費用や医師への謝礼などは対象外)
  • 治療、療養に必要な医薬品の購入費用(ビタミン剤などの健康増進に用いるものは対象外)
  • あん摩マッサージ、はり師、きゅう師などの施術の対価(体調を整えるなど治療と直接関係ないものは対象外)
  • 医師などによる診療や治療を受けるために直接必要な義手、義足、松葉杖、補聴器、義歯など

セルフメディケーション税制

薬局やドラッグストアなど、自分で選び、対面で購入できるOTC医薬品を購入費用のうち、1万2,000円を超える部分が所得控除の対象です。所得控除の上限は8万8,000円です。

セルフメディケーション税制は、自分自身で健康管理を行い、軽い症状ならOTC医薬品を利用して健康を管理するセルフケアを推進することが目的です。
そのため、セルフメディケーション税制を利用するとき、予防接種や健康診断の受診など、健康のための取り組みを行っていることが要件です。

注意点として、先述の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないことが挙げられます。

生命保険料控除

生命保険料などを支払っている場合は、所得控除を受けられます。

所得控除を受けられる項目は次のとおりです。

  • 生命保険料控除 死亡・高度障がいなど万が一に備える生命保険の保険料
  • 個人年金保険料控除(※2) 個人年金に加入をしたときの保険料
  • 介護医療保険料控除 入院・通院・介護などを保障する医療保険や介護保険に支払う保険料

(※2)個人年金保険料控除を受けるには、以下の要件をすべて満たし、かつ「個人年金保険料税制適格特約」をつけることが必須です。

  • 年金受取人が契約者、その配偶者のいずれかであること
  • 年金受取人=被保険者であること
  • 保険料払込期間が10年以上あること
  • 年金種類が確定年金や有期年金の場合、年金の受け取り開始年齢が60歳以上、かつ、受取期間が10年以上であること

また、上記3つの控除は契約日が2012年(平成24年)1月1日以降か2011年(平成23年)12月31日以前かで控除額が異なります。

【2012年(平成24年)1月1日以降の契約の場合】
年間の支払保険料 所得税の控除額
2万円以下 支払保険料全額
2万円超4万円以下 支払保険料×1/2
+1万円
4万円超8万円以下 支払保険料×1/4
+2万円
8万円超 一律4万円

生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除それぞれ上記控除額が適用となるので、最大12万円の控除を受けられます。

【2011年(平成23年)12月31日以前の契約の場合】
年間の支払保険料 所得税の控除額
2万5,000円超5万円以下 支払保険料×1/2
+1万2,500円
5万円超10万円以下 支払保険料×1/4
+2万5,000円
10万円超 一律5万円

2011年(平成23年)12月31日以前の契約について、医療保険・介護保険の保険料は生命保険料控除として扱われます。

地震保険料控除

納税者、または納税者と生計を一にしている配偶者やそのほかの親族が所有している居住用の建物や家財を保険の対象とする地震保険の保険料は、地震保険料控除の対象です。

地震保険料
控除
保険料 控除額
5万円以下 支払保険料全額
5万円超 5万円

特定支出控除

サラリーマンのような給与所得者でも、仕事に関連する以下の項目で自己負担が一定額を超えると、特定支出控除を受けられます。

通勤費 通常必要であると認められる通勤費用
職務上の
旅費
勤務する場所を離れて職務を遂行するための旅行費用のうち、通常必要と認められる経費
転居費 転勤にともなう転居のために通常必要と認められる経費
研修費 職務に必要な技術や知識をえるために受講した研修費
資格取得費 職務に必要な資格をえるための支出(2013年(平成25年)分以後は、弁護士、公認会計士、税理士などの取得費も特定支出の対象になる)
帰宅旅費 単身赴任などで勤務地や居所と自宅を移動する費用のうち、通常必要と認められる支出
勤務
必要経費

以下の項目については支出の合計が65万円を超える場合は、65万円が上限

  • 職務に関連する書籍・定期刊行物の購入費用(図書費)
  • 制服、事務服、作業服など着用が必要とされる衣服の購入費用(衣服費)
  • 交際費、接待費、得意先や職務上関連する者への接待、贈答、またはこれに類する行為に要した費用(交際費)

出典:給与所得者の特定支出控除(国税庁のサイトへリンクします)

なお、特定支出控除を受けるためには、給与支払者の証明が必要です。

住宅借入金等特別控除
(住宅ローン控除)

マイホームの購入やリフォームのために、住宅ローンを利用して一定の要件を満たした場合に所得税と住民税の一部が控除される制度です。年間で最大40万円、最長で約10年間、年末残高の1%を所得税や住民税から控除できます。

住宅ローン控除を受けるためには、住宅ローンを利用して購入する物件の床面積が50平米以上、借入金の返済期間が10年以上、住宅ローンを利用する人の年収が3,000万円以下であることが必要です。

【住宅ローン控除額】
控除額は入居した時期によって異なります。

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居住開始時期 ~2014年(平成26年)3月 2014年(平成26年)4月から2021年(令和3年)12月 2019年(令和元年)10月から2022年(令和4年) 12月(消費税10%で取得した場合)
控除期間 10年 10年 13年
控除率 1% 1% 1%
最大控除額 2,000万円×1%×10年=最大200万円 4,000万円×1%×10年=最大400万円 【1年目から10年目】4,000万円×1%×10年=最大400万円
【11年目から13年目】(※3)
住民税からの控除上限額 9万7,500円/年 13万6,500円/年 13万6,500円/年
(前年度課税所得×5%) (前年度課税所得×7%) (前年度課税所得×7%)

(※3)以下のうち、いずれか少ない方の金額が3年間にわたり所得税から控除されます。

  • 1.住宅ローン残高、または住宅の所得対価(上限4,000万円)のうち、いずれか少ない金額
  • 2.建物の取得価格(上限4,000万円の2%÷3)

ふるさと納税

ふるさと納税は、自分の好きな地方自治体に寄付をすることで、寄付金控除を受けられる制度です。控除上限額の範囲内であれば、寄付をした金額が翌年の住民税額から控除されます。

ふるさと納税の仕組みとしては、翌年の住民税を前払いしているため、実質節税効果はありません。
しかし、寄付をした金額に応じて、自己負担2,000円で地方自治体から寄付額の最大3割相当の名産品などが手元に届くので、お得な制度といえます。

ふるさと納税について更に詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。

ふるさと納税とは?仕組みやメリットをわかりやすく解説

確定拠出年金
[個人型(iDeCo)・企業型DC]

確定拠出年金は老後の資産形成を目的とした、自助努力の制度です。金融機関を自分で選んで加入します。毎月積み立てながら、あらかじめ用意された運用商品を自分で選んで60歳まで運用していく制度です。

確定拠出年金には個人型(iDeCo)と企業型DCがあります。個人型(iDeCo)は自分の老後のために自分で掛け金を拠出し運用する制度で、企業型DCは会社の退職金制度の一つです。
それぞれの違いは次のようになります。

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個人型(iDeCo) 企業型
加入 任意加入 会社が退職金制度として導入している場合に加入
掛金 自分で掛金を拠出する 会社から掛金が拠出される
金融機関 自分で金融機関を選択可能 会社が選択する金融機関
運用できる商品 金融機関で用意している商品から選ぶ 会社が用意した商品から選ぶ

出典:確定拠出年金とは? 個人型と企業型の違い(個人型確定拠出年金ナビ「iDeCo(イデコ)ナビのサイトに移動します。)

掛金は全額所得控除で、運用によって運用益が出ても収益に税金がかからないため、節税効果は大きいといえます。

また将来、積み立てた金額を受け取る場合でも、年金形式で受け取っても、一時金で受け取ってもそれぞれ税制優遇が用意されています。ただし、60歳まで引出しができません。

NISA
(少額投資非課税制度)

NISAとは少額投資非課税制度のことで、今まで紹介した控除制度とは異なりNISA口座を利用して運用して得られた収益に税金がかからない(非課税)制度です。

NISAには少額からの積立てで利用できる「つみたて投資枠」と、自分のタイミングで投資信託等が購入でき、対象商品も幅広い「成長投資枠」があります。それぞれの枠は併用可能です。違いは以下の通りです。

横スクロールできます。

  成長投資枠 つみたて投資枠
購入方法 一括・積立 積立のみ
非課税保有限度額
(生涯での投資可能額)
1,800万円
  • うち成長投資枠は1,200万円まで
1年間の投資可能額 240万円 120万円
非課税の対象期間 無期限
投資対象商品 一定の基準を満たした投資信託
つみたて投資枠より商品数は多い
一定の基準を満たした投資信託
長期の積立・分散投資に適した投資信託
  • 投資対象商品はりそなグループ各社で取扱いのあるものを記載しています。

まとめ

手取り額を少しでも増やしたいと考えているサラリーマンは、今回ご紹介した医療費控除やふるさと納税などの節税方法を検討しましょう。

納める税金が減ると、手取り額が増え、自由に使えるお金も増えます。そのお金を教育費や老後資金、資産運用に充てて、将来に備えることも可能です。
まずは節税制度を使って、できるところから自分の手取り額を増やしてみてはいかがでしょうか。

りそなでは、節税対策に有効な商品の提案が可能です。ぜひお近くのりそなの窓口で相談してみてください。

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本記事は2021年10月29日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。なおNISAに関連する記載は2024年1月4日時点の情報をもとに作成しています。

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