個人年金保険料控除の上限はいくら?適用条件についても詳しく解説

個人年金保険料控除の上限はいくら?適用条件についても詳しく解説

個人年金保険に加入している場合、個人年金保険料控除が適用され、所得税や住民税が軽減される場合があります。

そこで本記事では、個人年金保険料控除の概要や適用を受けるための条件、上限金額といった基本的な内容について解説します。実際に、保険料控除を受けるための申告手続き方法も説明しているので確認していきましょう。

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生命保険会社にて15年勤務したあと、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金について伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

個人年金保険料控除とは?

個人年金保険料控除とは?

まずは、個人年金保険料控除の概要について説明します。

所得税や住民税の節税効果を得られる制度

個人年金保険料控除は、1年間に払い込んだ保険料額に応じて一定額をその年の所得から差し引くことができる「生命保険料控除」の一つです。

生命保険料控除は、加入している生命保険契約の保障内容によって、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つに分けられます。

このうち、一定の条件を満たす個人年金保険に加入している場合に適用されるのが個人年金保険料控除です。支払った個人年金保険の保険料全額、または一部を所得から差し引くことができるため、当該年度の課税所得が少なくなり、所得税や住民税を軽減することができます。

国税庁の「民間給与実態統計調査(令和元年)」によると、給与所得者の中で生命保険料控除を使っている人の割合は、以下のとおりです。

  • 個人年金保険料控除を利用した人:約16.2%
  • 一般生命保険料控除を利用した人:約69.5%
  • 介護医療保険料控除を利用した人:約50.1%

参考:民間給与実態統計調査(令和元年)(国税庁のサイトへリンクします)

このように、個人年金保険料控除の利用は、他の控除に比べてかなり低い状況にあります。「個人年金保険料控除があまり認知されていない」「適用基準を正しく理解しておらず適用されていない」という理由が考えられます。

新制度と旧制度の締結時期

2010年(平成22年)の税制改正により、2012年(平成24年)1月1日から個人年金保険料控除を含め、生命保険料控除が新制度と旧制度に分かれています。

新制度と旧制度では、所得から差し引ける金額が異なるのが特徴です。それぞれに保険契約の締結時期により、適用される制度が異なります。ご自身の契約がどちらに該当するか確認しておきましょう。

  • 新制度:2012年(平成24年)1月1日以降に締結した保険契約
  • 旧制度:2011年(平成23年)12月31日までに締結した保険契約

個人年金保険料控除は
生命保険料控除の一区分

新・旧制度では、生命保険料控除の区分が違います。旧制度の生命保険料控除は、「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類あります。

一方、新制度の生命保険料控除では、上記2つに「介護医療保険料控除」が新たにプラスされました。全部で「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」の3種類です。

「2種類か3種類か」という違いはあるものの、どちらの場合も加入している生命保険契約の内容に応じた保険料控除を受けられます。そのため、例えば死亡保険と個人年金保険に加入していれば、「一般」と「個人年金」それぞれの保険料控除を別枠で受けることができます。

個人年金保険料控除の適用条件はしっかり確認する

個人年金保険料控除の適用を受けるには、加入している個人年金保険契約に「個人年金保険料税制適格特約(以下、税制特約)」が付加されている必要があります。

せっかく個人年金保険に加入していても、税制特約が付加されていなければ一般生命保険料控除の対象となり、他の死亡保険と別枠で控除を受けられません。

なかには、税制特約を知らないだけでなく、「特約」により保険料が上がると思って付加しない方もいるかもしれません。しかし、税制特約は、所得税法に定める「個人年金保険料」として、個人年金保険料控除の適用を目的としたものです。

入院特約や、手術給付金特約といった保障を上乗せするための特約とは違い、税制適格特約の付加では、保障の内容や支払う保険料額は変わりません。
個人年金保険に契約する際に、以下2点を確認しましょう。

  • 申込書上で「税制特約有」を選ぶ
  • 加入後なら保険証券や生命保険料控除証明書等できちんと付加されているか確認する

なお、「税制特約」を付加するためには、次の4つの条件を満たす必要があります。契約の仕方にも注意しましょう。

  • 1.年金受取人が契約者またはその配偶者であること
  • 2.年金受取人は被保険者と同一人物
  • 3.保険料の払込期間が10年以上であること
  • 4.確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降かつ受け取り期間が10年以上であること

上記1と2の条件についてイメージしやすいように、2つの契約パターンの例を紹介しましょう。

・契約者=夫、被保険者・年金受取人=妻
契約者 被保険者 年金受取者

これは、妻が60歳以降に年金を受け取れるように、夫が契約締結(契約者)および保険料支払うパターンです。

・契約者・被保険者・年金受取人=夫
契約者 被保険者 年金受取者

これは、自分自身が60歳以降に年金を受け取れるように、自分自身で契約締結(契約者)および保険料を支払うパターンです。

税制特約を付加する場合に注意すべきポイントを3つ紹介します。

  • 1.個人年金保険料税制適格特約だけの解約は不可
  • 2.上記4つの条件を満たさない契約内容への変更は不可
  • 3.契約途中で年金額を減額した場合の返戻金は受け取れず、年金支給開始で増額年金として支払われる

「契約時に税制特約が付加されていない」「上記4つの条件を満たしている」といった場合には、途中から付加できます。しかし、すでに付加されている税制特約を途中で外すことはできません。

個人年金保険料控除の適用限度額上限はいくら?

紹介した適用条件は、新制度と旧制度のどちらの場合も同じです。一方、新・旧どちらの制度かで所得から控除できる上限額が異なるため、確認しておきましょう。

なお、ここでは個人年金保険料控除の適用額として記載しますが、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除の適用額の算出方法もそれぞれに個人年金保険料控除と同じです。

新制度の適用限度額

新制度での「個人年金保険料控除」の適用額は、1年間(暦年)に払い込んだ保険料総額により、所得税・住民税、それぞれ下表のように算出します。

横スクロールできます。

所得税 住民税
年間払込保険料 控除される金額 年間払込保険料 控除される金額
2万円以下 払込保険料全額 1万2,000円以下 払込保険料全額
2万円超 (払込保険料×2分の1)
+1万円
1万2,000円超 (払込保険料×2分の1)
+6,000円
4万円以下 3万2,000円以下
4万円超 (払込保険料×4分の1)
+2万円
3万2,000円超 (払込保険料×4分の1)
+1万4,000円
8万円以下 5万6,000円以下
8万円超 一律4万円 5万6,000円超 一律2万8,000円

所得税の個人年金保険料控除の上限額は4万円です。一般生命保険料と介護医療保険料にもそれぞれ適用されるため、生命保険料控除全体では12万円を上限に控除できます。

また、住民税では上限2万8,000円です。
しかし、個人年金保険料および一般生命保険料、介護医療保険料の各控除額を合計しても生命保険料控除全体で7万円が上限です。8万4,000円(2万8,000円×3)ではありませんので注意してください。

旧制度の適用限度額

同様に、旧制度では所得税・住民税のそれぞれで下表のように算出します。

横スクロールできます。

所得税 住民税
年間払込保険料 控除される金額 年間払込保険料 控除される金額
2万円以下 払込保険料全額 1万2,000円以下 払込保険料全額
2万円超 (払込保険料×2分の1)
+1万円
1万2,000円超 (払込保険料×2分の1)
+6,000円
4万円以下 3万2,000円以下
4万円超 (払込保険料×4分の1)
+2万円
3万2,000円超 (払込保険料×4分の1)
+1万4,000円
8万円以下 5万6,000円以下
8万円超 一律4万円 5万6,000円超 一律2万8,000円

旧制度での所得税の個人年金保険料控除上限額は5万円となり、一般生命保険料と合わせて生命保険料控除全体での上限は10万円です。

住民税では上限3万5,000円となり、個人年金保険料控除を一般生命保険料控除と合わせた生命保険料控除全体では7万円が上限です。

旧制度と新制度の両方に
加入している場合

新・旧制度のそれぞれに該当する契約がある場合にはどうなるのでしょうか。新・旧制度で、それぞれに上限額が異なるため、できれば控除額が大きいほうを選びたいものです。

新・旧制度の両方に加入している場合は、以下の3通りの方法で計算し、控除額が一番大きいものを選べます(介護医療保険料控除を除く)。

  • 1.新生命保険料のみで計算
  • 2.旧生命保険料のみで計算
  • 3.両方の適用額の合計で計算(ただし上限は所得税4万円・住民税2万8,000円)

個人年金保険料控除の
申告の流れ

最後に、個人年金保険料控除の適用を受けるための申告手続きの流れについて説明します。

「生命保険料控除証明書」を受け取る

確定申告の際には、生命保険会社から契約者へ郵送される「生命保険料控除証明書」が必要です。保険会社によっては、税制適格特約付加の場合「個人年金保険料控除証明書」の名目で発行される場合もあります。保険会社や契約状況によって異なりますが、一般的には毎年10月中旬から発送される傾向にあります。

なお、2019年(平成31年)1月からは電子的控除証明書の利用も可能です。これは、申告の際に紙面の控除証明書ではなく、電子データとしての控除証明書を提出するものです。

具体的な取得方法は、保険会社ごとに異なります。多くの場合、各保険会社の契約者個人ページにアクセスし、控除証明書の電子データをダウンロードして入手できます。

郵送されてくる前に控除証明書が必要な場合や、紛失等で再発行が必要な場合に便利です。ただし、電子的控除証明書を利用する場合には、年末調整や確定申告時の提出方法が変わるため、注意しましょう。

給与所得者は年末調整

給与所得者は、通常12月に行われる会社の年末調整で申告手続きをします。会社で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員(一部例外あり)が対象です。

年末調整の際に会社から渡される「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入、個人年金保険料控除証明書を添付し会社に提出します。

個人事業主やフリーランスは確定申告

年末調整で申告手続きをしない・できない方は、確定申告で手続きをします。おもに、自営業者やフリーランスの人たちが対象です。しかし、給与所得者でも条件によっては確定申告が必要な場合もあります。

また、会社の年末調整時に個人年金保険料控除が手元にない、失念するといった申告をしなかった方でも、確定申告であらためて申告可能です。

確定申告書の生命保険料控除の欄の該当する部分(新・旧、一般・個人年金)に支払った保険料や控除額を記入して、個人年金保険料控除証明書を添付し提出します。

なお、2011年(平成23年)12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)で1契約の年間保険料が9,000円以下のもの、および年末調整ですでに控除を受けた契約については、控除証明書の添付は必要ありません。

まとめ

個人年金保険料控除は、一般の生命保険料控除と別枠で一定額を所得から控除できる制度で所得税や住民税を軽減することができます。

ただし、個人年金保険料控除適用のためには、いくつかの要件を満たす必要があるため、契約の仕方を事前に確認しておきましょう。

個人年金保険料控除について気になることがあったら、身近にあるりそなの窓口で、ご相談が可能です。
なお、りそなでは、保険商品のほかにも多くの金融商品の中からお客さまに合った資産づくりの提案もしています。個人年金保険について興味がある方は、老後資金準備全体について、相談されてみてはいかがでしょうか。

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本記事は2021年10月29日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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