生命保険はいらないって本当?生命保険の必要性が高いのはどんな人?

2023/08/09最終更新

生命保険はいらないって本当?生命保険の必要性が高いのはどんな人?

生命保険の加入を迷っている方や、「生命保険は不要」と耳にしたことのある方のなかには、「生命保険は本当に必要ない?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。

生命保険に未加入のまま、万が一亡くなられた場合、残された家族に経済的負担がかかる、老後資金が不足するといった可能性があります。

たとえ、社会保険制度に加入していたとしても、病気やケガにより大きな手術や長期入院をし、医療費が高額になると自己負担額も増えるため、社会保障だけで足りるとは限りません。

そのため、生命保険の加入は、家族構成や加入している社会保険制度、資産状況などを考慮して検討することが大切です。

また、近年では社会保障制度も変化しているため、すでに生命保険に加入している方も含め、あらためて必要性を考えることが重要です。

生命保険は、社会保障の不足分を補うための自助努力(私的保障)であり、国としても国民が民間の生命保険に加入することを推奨しています。

この記事では、生命保険が不要といわれている理由や、生命保険に入らない場合のデメリット、生命保険の必要性が高い人と低い人の条件などを解説します。

私が書きました
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東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

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生命保険は本当に
不要なのか?

生命保険は、契約者が保険料を出し合い大きな準備金をつくり、万が一のときに保険金を支払う、経済的に助け合う「相互扶助の精神」で成り立っています。

生命保険の種類には、おもに死亡保険、医療保険、がん保険、個人年金保険があります。死亡保険は被保険者が死亡、高度障がい状態となったとき、医療保険はおもに手術、入院をしたとき、がん保険はおもにがんで手術、入院をしたときに保険金、または給付金が支払われます。

個人年金保険は、老後のために計画的に資金を積み立て、給付開始年齢になったら年金を受け取る生命保険です。

こうした役割を持つ生命保険は本当に不要でしょうか?事例をもとに考えてみましょう。

生命保険に加入している
日本人は約8割

生命保険文化センターの2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険の加入率は男性77.6%、女性81.5%です。加入率が最も高いのは、男女ともに50歳代です。

生命保険が不要といわれる
3つの理由

先述のように、多くの方が生命保険に加入していますが、それでも生命保険は不要といわれるのはなぜでしょうか?おもな理由について3つ紹介します。

日本は国民皆保険制度だから

日本は全国民が公的医療保険に加入する国民皆保険制度を採用しています。
公的医療保険に加入していれば、病気やケガで医療費が発生しても、多くの場合、自己負担は最大でもかかった医療費の3割。さらに一定額を超えれば高額療養費制度が利用可能です。

また、日本には遺族年金という制度があります。配偶者が死亡、高度障がい状態となったときも一定額までは国から保障を受けられるため、生命保険に加入する必要はないと考えられているかもしれません。

ただし、医療費は公的年金制度があっても自己負担がゼロになるわけではなく、子どものいない個人事業主は遺族年金が受け取れません。さらに、老後の公的年金同様、十分な生活費を受け取れるとは限らず、万全ではありません。

公的医療保険、公的年金の仕組みを理解したうえで、保険の必要性の有無を判断する必要があります。

保険を利用する機会が少ないから

生命保険は、おもに死亡したときや病気やケガをして手術や入院をしたときに保険金や給付金を受け取れますが、実際に自分が使う機会がないと考えている方もいます。

厚生労働省の「平成29年患者調査」によると、人口10万人に対して入院の総数は1,036人で入院する確率は1%。また、厚生労働省の「簡易生命表(令和元年)」によると、40歳男性の死亡者数は男性で1,000人につき0.93人。女性は0.56人です。

統計を見る限り、病気やケガで医療費がかかる確率や、死亡する確率は極めて低いため、加入の必要性は少ないと感じてしまいがちです。

しかし、医療費や死亡する確率は、年齢を重ねるごとに高まっていくことは考慮すべきです。

貯蓄しておけば困らないから

生命保険は病気やケガ、死亡時に保険金・給付金を受け取れる仕組みのため、普段から必要な備えをしていれば生命保険に加入する必要性は高くありません。

ただし、万が一のときの支出は予想以上に高額になることもあります。生命保険の必要性を検討する際は、十分な資産形成ができているかを慎重に考えることが必要です。

生命保険に入っていない場合のデメリットは?

ここからは、生命保険に加入していない場合に起こりえるデメリットについて見ていきましょう。

残された家族の生活維持が困難になる可能性がある

一家の大黒柱の方が亡くなると、残された家族は公的保障や貯蓄、遺族の収入などで生活をしなければなりません。

十分な貯蓄がない場合や、遺族の収入が少ない場合は、生活費の大部分を公的保障に頼らざるを得なくなります。

専業主婦の方に万が一のことがあったとしても、家事代行や育児に関するアウトソーシングサービスを利用すると、経済的負担が大きくなることが予想されます。

子どもがいる家庭では、教育資金の捻出が厳しくなる可能性もあり、進路の選択肢が狭まることも考えられます。

万が一の際の公的保障とは?

一家の大黒柱の方に万が一のことが起こった際の公的保障には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。

遺族基礎年金の受給対象者は、亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。「子」の要件は、「18歳になった年度の3月31日までにある方」、または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方」です。

遺族基礎年金は、以下のように子どもの人数によって受給できる年金額が異なります。

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子どもの数 年額 月額
1人 102万3,700円 約8万5,000円
2人 125万2,400円 約10万4,000円
3人 132万8,600円 約11万円

※月額は1,000円未満を切り捨て

遺族厚生年金では、死亡した方に生計を維持され、受給条件を満たす妻・子・夫・父母・孫・祖父母のうち、優先順位の高い方から遺族厚生年金を受け取ります。

遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の「報酬比例部分の4分の3」です。そのため、年金額は死亡した方の生前の給与や賞与の金額、加入期間によって異なります。

下記の表は、家族構成が夫(42歳・厚生年金加入月240ヵ月)・妻(42歳)・子ども(10歳)の場合の、平均標準報酬月額別における遺族厚生年金の年額です。

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平均標準報酬月額 遺族厚生年金(年額) 遺族基礎年金との合計(年額)
25万円 30万8,306円 133万2,006円
35万円 43万1,629円 145万5,329円
45万円 55万4,951円 157万8,651円

※年額は1円未満四捨五入

大きな手術や長期入院で家計に負担がかかる可能性がある

ケガや病気で療養した場合、患者は医療費の1~3割を負担します。大きな手術や長期入院をし、医療費が高額になると自己負担額も大きくなります。

公的医療保険(国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度)の対象外となるものについては、「高額療養費制度」の対象外となり、全額自己負担しなければなりません。高額医療費制度の対象外になる項目には、以下のようなものが挙げられます。

  • 差額ベッド代
  • 先進医療(陽子線治療や重粒子線治療など)
  • 入院中の食事代
  • 自由診療

健康状態が理由で保険に入りたいタイミングで加入できない可能性がある

医療保険やがん保険に加入する際は、原則告知が必要となり、保険会社の審査基準をクリアしなければなりません。そのため、健康状態によっては保険に入りたいタイミングで加入できないことがあります。

昨今では、所定の告知項目にあたらなければ契約できる「引受基準緩和型」の医療保険が販売されています。健康状態の理由により一般的な医療保険に入れず「引受基準緩和型」に加入した場合、次のようなデメリットが想定されます。

  • 一般的な医療保険よりも保険料が高めになる
  • 付加できる特約が少ない
  • 一定期間給付額が制限される

老後資金が不足する可能性がある

公的年金や貯蓄で老後の生活費をまかなう場合、老後資金が不足する可能性があります。自分や家族に介護が必要になると、生活費とは別に介護資金も用意しなければなりません。

生命保険文化センターの2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送る際の最低日常生活費は月額平均23万2,000円、ゆとりある老後生活を送るためには月額平均37万9,000円が必要とされています。

公的年金の月額受給額の平均は?

公的年金には、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」があります。厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金受給者平均年金月額は以下のとおりです。

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年度 老齢基礎年金 老齢厚生年金(老齢基礎年金を含む)
令和元年度 5万5,946円 14万6,162円
令和2年度 5万6,252円 14万6,145円
令和3年度 5万6,368円 14万5,665円

出典:「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(厚生労働省)

生命保険に入る
2つのメリット

生命保険に入る2つのメリット

生命保険はいらないといわれることもありますが、ここでは生命保険に加入するメリットを紹介します。

1いざというときに
備えられる

生命保険の最も大きいメリットは、毎月の保険料を負担することでいざというときに備えられることです。具体的には次のようなケースです。

ケガや病気をしたときに生命保険に加入していれば保険金を受け取れる

ケガや病気、がんに罹患して入院や手術をしたときに給付金を受け取れて、特約を上乗せすれば、保障内容をさらに充実させられます。

おもに次のような特約が挙げられます。

通院特約 入院だけではなく、通院も保障
がん診断
給付金
がんと診断されると一時金を受け取れる
先進医療
特約
健康保険の対象とならない先進医療にかかった技術料を保障

死亡はもちろん、ケガや病気で働けなくなった場合の経済的負担の回避

一家の大黒柱が死亡、または高度障がい状態になると、世帯の収入は激減してしまいます。

死亡保険に加入していれば、万が一のことがあっても、遺族は収入が途絶えることによる経済的負担を回避できるので安心です。また、葬儀費用をカバーする目的でも生命保険を活用できます。

死亡時以外にも、障がい状態で働けなくなったときの生活費を保障する、就業不能保険も近年、必要性が高まっている生命保険です。

2所得税と住民税の
負担が減る

生命保険に加入していると、保険料の一部または全部が所得税と住民税の控除対象です。

例えば、個人年金保険を活用すると、決まった金額を積立できるだけでなく、所得税・住民税の控除も受けられるため、より効率的な貯蓄が可能です。

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所得税 住民税
年間払込保険料 控除額 年間払込保険料 控除額
2万円以下 払込保険料全額 1万2,000円以下 払込保険料全額
2万円超 (払込保険料×2分の1)
+1万円
1万2,000円超 (払込保険料×2分の1)
+6,000円
4万円以下 3万2,000円以下
4万円超 (払込保険料×4分の1)
+2万円
3万2,000円超 (払込保険料×4分の1)
+1万4,000円
8万円以下 5万6,000円以下
8万円超 一律4万円 5万6,000円超 一律2万8,000円

なお、生命保険料控除は改正が行われており、契約日が2012年(平成24年)1月1日以降の保険契約は上記制度が適用されます。

契約日2011年(平成23年)12月31日までの旧制度の控除額は以下のとおり。旧制度は「一般生命保険料控除(死亡保険、医療保険など)」と、「個人年金保険」それぞれ控除が受けられます。最大控除額は所得税10万円。住民税7万円です。

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所得税 住民税
年間払込保険料 控除額 年間払込保険料 控除額
2万5,000円以下 払込保険料全額 1万5,000円以下 払込保険料全額
2万5,000円超 (払込保険料×2分の1)
+1万2,500円
1万5,000円超 (払込保険料×2分の1)
+7,500円
5万円以下 4万円以下
5万円超 (払込保険料×4分の1)
+2万5,000円
4万円超 (払込保険料×4分の1)
+1万7,500円
10万円以下 7万円以下
10万円超 一律5万円 7万円超 一律3万5,000円

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生命保険の必要性が
高い人

生命保険に加入する必要性の高い人はどのような人でしょうか?ここでは4つのケースを紹介します。

扶養する家族がいる人

扶養家族がいる人は、生命保険の加入の必要性が高いです。一家の大黒柱が死亡した場合、遺族は収入を失ってしまいます。そのため、遺族の生活費を保障するために、死亡保険への加入が必要です。

また、扶養する家族がいる人が考慮する必要があるのは、死亡したときだけではありません。

病気やケガで手術や入院をした場合も、医療費の負担が生じるうえ、入院が長期化すれば医療費は増加し、収入が減少することもあります。

病気やケガの医療費を保障する医療保険やがん保険、働けなくなったことによる収入減少をカバーする就業不能保険も検討しましょう。

貯蓄状況に不安がある人

扶養家族がいなくても、自分がケガや病気をしたときの備えが不足していると感じる方も生命保険が必要です。健康保険や、高額療養費制度を利用したとしても、医療費の自己負担がゼロになるわけではありません。

また、入院時には、公的医療保険の対象にはならない日常生活費や食事代の費用も必要です。さらに休職することになれば、生活費も不足してしまいます。

十分な貯蓄ができていないうちは、医療保険やがん保険、就業不能保険で備えておくことも検討しましょう。

老後資金を積み立てたい人

貯蓄性のある生命保険を活用すると、死亡保障で備えながら、保障が不要な年齢になったら解約をして解約返戻金を受け取れます。解約返戻金とは、保険を解約したときに戻ってくるお金のことです。

また、個人年金保険に加入すれば、死亡に備えつつ老後に向けた資産形成ができます。

日々の生活費から貯蓄をしようとしてもつい使ってしまい、老後資金が残せないという人は貯蓄性のある生命保険を活用するのもよいです。

相続税対策を考えている人

生命保険に加入して、保険金を相続人が受け取った場合は生命保険金の非課税制度があるため、生命保険は相続税対策として活用できます。相続税の非課税額は以下のとおりです。

保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数

ただし、相続放棄をした人や法定相続人以外が取得した場合は非課税制度を利用することはできません。

なお、生命保険金は遺産分割協議の対象とならず、生命保険金受取人となった相続人固有の財産です。しかし、特定の相続人の保険金だけが著しく多く、相続人間で不公平が生じた場合は、特別受益と判断され、相続財産に持ち戻して算定されることがありますので、注意が必要です。

個人事業主やフリーランスなど公的保障が薄い人

雇用契約によらない事業活動を行う個人事業主やフリーランスの場合、公的医療保険は「国民健康保険」、公的年金は「国民年金保険」に加入します。

国民健康保険には、会社勤めの方などが加入する全国健康保険協会や健康保険組合が支給する「傷病手当金」に該当するものがありません。そのため、病気やケガをした際に、公的保障だけでは日常生活の維持が難しくなることが考えられます。

また、会社勤めの方などは、国民年金保険と厚生年金保険の2階建てで老後資金を備えますが、個人事業主やフリーランスの場合は、原則国民年金保険のみです。老齢年金だけでなく、遺族年金や障害年金の支給額も少なくなる可能性があります。

生命保険の必要性が
低い人

生命保険の必要性が低い人のケースも2つ紹介します。

独身の人

独身の人は扶養する家族がいないケースが多いため、生命保険で保障を備えておく必要性が低いと考えられます。自分に万が一のことがあった場合の葬儀費用や、病気やケガをしたときの当面の生活費や医療費を貯蓄しておけば対処できるためです。
また独身の人であっても若いうちから保険に加入しておけば保険料が安くなるため、加入しておくメリットは十分にあります。

いざというときに備えた
貯蓄がある人

ケガや病気、死亡したときでも対応できる十分な貯蓄がある人は生命保険に加入する必要性が低いといえるでしょう。生命保険はいざというときの金銭面の保障をしてくれるものです。自分が入院、手術したとき、死亡した場合でも十分な貯蓄があるなら、生命保険に加入する必要性は低いでしょう。

まとめ

生命保険の必要性は本人の家族構成や、加入している社会保険制度、資産状況によって異なります。「生命保険はいらない」といわれることもありますが、自身の状況と照らし合わせて慎重に検討することが必要です。

りそなには国内最大級の有人店舗網があり、ライフステージや収支状況に合わせ、すでに加入している他社の保険の見直しなどを含め、生命保険の相談に応じています。生命保険についてお考えの方は、お気軽にりそなへご相談ください。

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本記事は2023年8月9日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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