退職金の相場はどれくらい?大企業・中小企業、業種、勤続年数による違いも解説

退職金の相場はどれくらい?大企業・中小企業、業種、勤続年数による違いも解説

定年が近づいてくると「退職金がどれくらいもらえるのか」気になる方も多いのではないでしょうか。

退職金は老後の生活を支える大切な収入です。しかしその金額は「大企業か」「中小企業か」、また勤続年数が「20年か」「30年か」などによって異なります。

今回は、退職金制度の概要や金額、退職金の相場について、さまざまな調査結果をもとに解説します。

【大企業・中小企業別】退職金の平均相場

退職金の額は、会社の規模・勤続年数・職種・学歴・退職理由によって異なります。
まずは大企業と中小企業の平均相場を紹介します。

大企業

大企業

厚生労働省(中央労働委員会)は「賃金事情等総合調査(令和元年)」で、「企業規模別の平均退職金額」を公表しています。

大企業(※1)223社の回答をもとにした同調査。
大学卒は22歳、高校卒は18歳で入社し、同一企業に定年退職するまで勤務した場合(満勤勤続)の平均退職金額は次のとおりです。

大企業の平均退職金額(男性)

大学卒 2,289万5,000円
高校卒 1,858万9,000円

出典:厚生労働省(中央労働委員会)「賃金事情等総合調査(令和元年)」
調査の実施期間:令和元年8月2日~9月12日

  • ※1「大企業」についての明確な定義はなく、中小企業以外を指しています。「資本金3億円以上」を大企業とする場合もありますが、同調査では「資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上」としているため、「大企業」として紹介しています。

中小企業

中小企業

中小企業(※2)の退職金相場は、東京都産業労働局が「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」で公表しています。東京都内の中小企業1,407社を対象に調査結果を集計したものです。

卒業後すぐに入社し、同一企業に定年で退職するまで勤務した場合(満勤勤続)の「モデル退職金」は次のようになっています。

中小企業の平均退職金額(モデル退職金)

大学卒 1,118万9,000円
高校卒 1,031万4,000円

出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」
調査の実施期間:令和2年7月31日時点
調査対象企業:都内中小企業

  • ※2中小企業であるかは従業員数と資本金によって決まりますが、その基準は業種によって異なります。基本的には「従業員数は50人以下から300人以下まで、資本金は5,000万円以下から3億円以下までの範囲」としていますが、中小企業者の定義について詳しく知りたい人は、中小企業庁のホームページ でご確認ください

上記の2つの調査によると、大企業と中小企業では、学歴別に見ても退職金の差が大きいことがわかります。具体的に金額を比較すると、次のようになります。

また、同じ企業規模でも、学歴によって退職金額が異なります。ただ、中小企業では退職金の開きは大きくありません。

【企業規模別】平均退職金額の差

大学卒
(大企業-中小企業)
1,170万6,000円
高校卒
(大企業-中小企業)
827万5,000円

【学歴別】平均退職金額の差

大学卒
(大学卒-高校卒)
430万6,000円
中小企業
(大学卒-高校卒)
87万5,000円

【業種別】退職金の平均相場

退職金額は、業種によって異なります。前章で紹介した「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」では、業種別のデータも公表されています。

【業種別・学歴別】平均退職金額

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業種 高校卒 大学卒
建設業 1,177万円 1,313万8,000円
製造業 1,080万4,000円 1,148万7,000円
情報通信業 864万9,000円 1,154万5,000円
運輸業、郵便業 821万9,000円 893万2,000円
卸売業、小売業 1,019万4,000円 1,088万4,000円
金融業、保険業 1,725万5,000円
不動産業、物品賃貸業 1,353万7,000円
学術研究、専門・技術サービス業 1,007万1,000円
生活関連サービス業、娯楽業 1,129万6,000円 1,104万2,000円
教育、学習支援業(学校教育を除く) 656万9,000円
サービス業(他に分類されないもの) 1,019万2,000円 996万円

出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」

業種別に見ると、「金融業、保険業」が最も高く、「教育、学習支援業(学校教育を除く)」が最も低い金額になります。また、大学卒のほうが高校卒よりも退職金額が高い業種とそうではない業種があることがわかります。

【勤続年数別】退職金の平均相場

終身雇用制度が崩れつつある現在、一つの会社で定年退職まで勤め上げるケースは少なくなっています。勤続年数に応じた退職金の違いも気になるところです。

りそな年金研究所の「企業年金ノート(2019年3月)」には、厚生労働省(中央労働委員会)と東京都の調査をもとに、大学を卒業して入社してからの勤続年数に応じたモデル退職金の推移をまとめたデータが掲載されています。

【勤続年数別】モデル退職金・定年退職金の水準

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勤続年数
(年齢)
3年
(25歳)
5年
(27歳)
10年
(32歳)
20年
(42歳)
30年
(52歳)
定年
中央労働委員会
(大企業・2017)
会社都合 72万1,000円 124万4,000円 329万7,000円 1,010万6,000円 2,183万6,000円 2,694万7,000円
自己都合 31万7,000円 61万5,000円 191万5,000円 822万4,000円 1,970万7,000円
東京都
(中小企業・2018)
会社都合 37万9,000円 64万円 157万4,000円 435万8,000円 852万3,000円 1,203万4,000円
自己都合 23万7,000円 43万9,000円 121万5,000円 373万3,000円 785万2,000円

出典:りそな年金研究所「企業年金ノート」

このデータから、勤続年数が長いほど退職金の水準が高くなることがわかります。
ただ、勤続30年を超えたあたりから、金額の伸び幅が小さくなる傾向があるようです。

また注意しておきたい点が2つあります。

1つ目は「勤続年数が短期間(3年未満など)」だと、会社によっては退職金が支給されない場合があること。
2つ目は「自己都合退職」の場合、退職金額が少なくなることです。

退職には「自己都合退社」と「会社都合退社」の2パターンがあります。
「自己都合退社」とは、転職や結婚、病気などを理由に、自分の意志で退職を申出る場合をいいます。

「会社都合退社」とは会社側の事情から退社する場合を指し、経営破綻や業績不振・事業縮小に伴う整理解雇(リストラ)などがこれに該当します。

そもそも退職金の仕組みとは?

勤続年数ごとの退職金のグラフ

ここまで退職金の相場について解説してきましたが、そもそも退職金はどのように支給されるのでしょうか。退職金の仕組みをあらためて理解しておきましょう。

退職金の支給方法には2パターンある

退職金の支給方法には「退職一時金制度」と「企業年金制度」の2つがあります。

退職一時金制度は、退職時に一括で支給される形式です。

一方、企業年金制度は定期的に支給されます(支給期間が一定期間のものもあれば、一生涯支給されるものもあります)。

一括 分割

以上どちらかの制度を設けている企業と、2つの制度を併用している企業があり、運用方法は企業によってさまざまです。

なお退職金は「支給する義務がある制度」ではないため、退職金制度を設けていない企業もあります。
東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によると、調査対象のうち20.9%の企業が退職金制度を設けていません。

自分の勤務している企業に退職金制度があるのか、就業規則・賃金規定・退職金規定などを確認しておきましょう。

退職金はいつ受け取れる?

退職金は、退職と同時に受け取れるわけではありません。働いている企業が退職金をどのように準備しているのかによって、受け取れるタイミングは変わります。退職金の原資を自社で管理しているのであれば、比較的早く支給されます。

外部の金融機関(保険会社・信託銀行・共済など)で運用しながら準備している企業も多く、その場合は退職金支給のための手続きが必要のため、支給まで時間がかかります。

退職金が、会社の規定で定められた期日になっても支給されない場合は、会社に請求しましょう。労働基準法第23条では「権利者から請求があった場合には7日以内に支払わなければならない」と定められているため、遅い場合には速やかに対応してもらうことが期待できます。

税金はどれくらいかかる?

退職一時金は「退職所得」として扱われるため、所得税や復興特別所得税、住民税を支払う必要があります。

ただ、税金の負担が少なくなるよう配慮されており、退職所得控除を活用して退職一時金の税負担を軽減できるようになっています。勤続年数に応じて所得控除額は異なるので、勤続年数を確認しておきましょう。

また退職する会社を通して「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」を提出すれば、税金が源泉徴収され、確定申告をする必要がなくなります。

年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除額」が適応され、公的年金と合わせて「公的年金等に係る雑所得」として税額が計算されます。

退職金をきっかけに老後生活を考えよう!

退職金は、長い老後生活を支える大切な資金のため、計画的に使っていかなければなりません。

例えば、老人ホームへの入居や、病気やケガで通院・入院が増えることもあるでしょう。そういった場合の支出に備えておくことが大切です。

退職金の一部を、預貯金よりも高い利回りが期待できる投資信託などの金融商品で運用することも一つの選択肢といえます。

ただし「リスクが低く原資を減らす可能性が少ない投資」を意識しましょう。
退職金の預け先・運用の注意点については、以下の記事をご参考ください。

退職金の預け先は?定期預金と投資、どっちがいい?

退職金運用で失敗しないための注意点とリスク回避法

まとめ

退職金がどれくらいもらえるのかは、会社の規模・勤続年数・職種・学歴・退職理由などで異なります。自分が勤めている会社の規定を確認しましょう。

「退職金を受け取るのはまだまだ先」という方も、将来に向けての準備は早いに越したことはありません。「退職してから」考えるよりも「退職前から」考えはじめましょう。

退職金の仕組みを理解するだけでなく、運用方法を考えておくことも大切です。

特に、退職金は一時金で受け取る場合は、自分で管理・運用する必要があるため、信頼できる金融機関に相談することをおすすめします。

りそなでは資金運用プランとして「退職金コース」を用意しています。
このコースは対象のお取引により、定期預金の金利がアップします。
豊かな老後生活を送るために、りそなの退職金コースを検討してみてはいかがでしょうか。

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本記事は2021年3月5日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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