外貨預金にかかる税金とは?確定申告が必要なケース・不要なケース

公開日:2024/11/26

外貨預金にかかる税金とは?確定申告が必要なケース・不要なケース

外貨預金をはじめる際に、税金の取扱いや確定申告がどのようになるのかは、気になるポイントの一つです。

外貨預金の場合、利息や為替差益に対して税金が課されます。また、為替差益については金額などに応じて確定申告が必要になります。

この記事では、外貨預金における利息や為替差益に関する税金の取扱いをわかりやすく解説し、確定申告が必要なケースや不要なケースを紹介します。

確定申告が必要なのに申告していないという事態を避けるためにも、外貨預金の税金についてしっかり理解してから始めましょう。

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外貨預金にかかる税金は2種類

外貨預金で課される税金は、下記の2種類に分けられます。

  • 利息に対する税金
  • 為替差益に対する税金

ここでは、それぞれの税金について解説します。

利息に対する税金

日本円での預金と同じく、外貨預金でも預入れた金額に対して利息がつきます。利息は利子所得として扱われ、所得税や住民税の対象です。

利息に課される税金の税率は、次のように決められています。

  • 国税(所得税):15%
  • 地方税(住民税):5%
  • 復興特別所得税:0.315%

これらをすべて合わせると、外貨預金の利息に課される税金の税率は20.315%です。

ただし、日本国外の金融機関で預金している場合には税率が異なる可能性があるため、個別に確認する必要があります。

為替差益に対する税金

外貨預金により生じた為替差益にも税金が課されます。為替差益とは、預入時よりも円安方向に動いた為替相場で、外貨を円に交換した際に得られる利益です。

為替差益は、一般的に雑所得として扱われます。雑所得は総合課税の対象となるため、ほかの所得と合算され、その合計額に応じて税率が変わる累進課税方式が適用される仕組みです。つまり、所得の合計額が大きいほど、適用される税率も大きくなります。

外貨預金の税金に確定申告は必要?

外貨預金に課される税金に関して確定申告が必要かどうかは、利息と為替差益で異なります。

ここでは、それぞれのケースにおける確定申告の必要性について詳しく解説します。

利息は確定申告が不要

外貨預金につく利息は利子所得として扱われ、源泉分離課税の対象です。源泉分離課税とは、利息を受け取る際にほかの所得とは別に税金が源泉徴収され、その時点で納税が完了する課税方式です。

つまり、利息に対する税金は自動的に徴収されるため、確定申告を行う必要はありません。この仕組みは、税金を効率的に徴収し、税金に関する手続きを簡素化することを目的としています。

為替差益は確定申告が原則必要

一方、為替差益に関しては、原則として確定申告を行う必要があります。為替差益は雑所得として扱われ、勤務先で行われる年末調整の対象外になるためです。

確定申告が必要になるのは、以下のようなケースです。

  • 外貨預金を円やほかの外貨に交換した際に、為替差益が発生した場合
  • 外貨を使って外国株式を購入した際に、為替差益が発生した場合

なお、「含み益」とは、口座残高を円換算した際に預入時よりも残高が増えている状態を指しますが、この場合には確定申告は不要です。確定申告が必要となるのは、「米ドルから円」や「米ドルからユーロ」など、外貨預金の資金を円または他の外貨に交換し、為替差益が生じた場合になります。

また、為替差益だけでなく、為替差損が発生したときにも注意が必要です。為替差損とは、外貨を円に交換した際に、為替レートの変動により生じる損失のことを指します。この損失をほかの利益と相殺(損益通算)する場合にも、確定申告を行わなければなりません。

為替差損は、雑所得内での損益通算が認められていますが、ほかの所得(例:給与所得や不動産所得など)との損益通算はできない点に注意が必要です。

外貨預金の為替差益・為替差損を計算する方法

外貨預金を行う際には、為替レートの変動により為替差益や為替差損が生じます。この変動について理解し、為替差益や為替差損の計算方法を把握しておきましょう。

為替差益や為替差損を求める式は、次のとおりです。

「預入金額×(払戻時の為替レート-預入時の為替レート)」

  • プラスの場合は為替差益、マイナスの場合は為替差損

それでは具体例を使って、為替差益と為替差損がどのように発生するかを解説します。

為替差益が発生する例

日本円100万円を、外貨預金として米ドルに交換して預入れたケースを例に考えてみましょう。

預入時の為替レートが1米ドル=100円の場合、100万円は1万米ドルに換算されます。その後、為替レートが1米ドル=110円に上昇した時点で円に払戻すと、1万米ドルは110万円に換算されます。

この場合、払戻時の110万円から預入時の100万円を差し引いたプラス10万円が為替差益です。ただし、この例では税金や為替手数料は考慮していないため、実際の利益額とは異なる場合があります。

為替差損が発生する例

同じく、日本円100万円を、外貨預金として米ドルに交換して預入れたケースを例に考えてみましょう。

預入時の為替レートが1米ドル=100円の場合、100万円は1万米ドルに換算されます。その後、為替レートが1米ドル=90円に下落した時点で円に払戻すと、1万米ドルは90万円に換算されます。

この場合、払戻時の90万円から預入時の100万円を差し引いたマイナス10万円が為替差損です。ただし、この例でも税金や為替手数料を考慮していないため、実際の損失額とは異なる場合があります。

外貨預金の為替差益に税金がかからない・
確定申告が不要なケース

外貨預金によって為替差益が生じた場合でも、特定の条件下では確定申告が不要となるケースがあります。

ただし、確定申告が不要な場合でも、地方自治体に納める住民税の申告は必要であるため注意しましょう。

ここでは、外貨預金によって発生した為替差益に税金がかからない・確定申告が不要となるケースを紹介します。

給与所得者でほかの所得が20万円以下の場合

給与所得者の場合、給与所得と退職所得以外の所得(例:外貨預金の為替差益や副業の所得、投資による所得など)の合計が20万円以下であれば、確定申告は原則必要ありません。

ただし、下記の場合は例外となり、為替差益を含むすべての所得に対して確定申告が必要です。

  • 給与を2ヵ所以上の会社から受け取っている場合
  • 給与収入が2,000万円を超える場合

例えば、正社員としての給与のほかに、アルバイトなどで別の会社から給与を受け取っている場合は、給与所得の合算が必要です。この場合、為替差益も含めたすべての所得に対して確定申告を行う必要があります。

また、年間の給与収入が2,000万円を超えると、たとえ為替差益などの副収入がわずかな金額であっても、確定申告義務が生じる点に注意しましょう。

年金受給者で年金収入が400万円以下かつほかの所得が20万円以下の場合

年金受給者で公的年金等の収入金額が400万円以下、かつ為替差益を含めたほかの所得の合計が20万円以下であれば、原則確定申告は不要です。

ただし、これらの条件を1つでも満たしていない場合には確定申告の必要があるため、自身の年金収入とほかの所得をしっかりと確認しておきましょう。

年間の所得が48万円以下の場合

年間におけるすべての所得の合計が48万円以下であれば、原則確定申告の必要はありません。これは「基礎控除」が適用されるためです。

基礎控除とは、所得税の計算をする際に、総所得金額から48万円を差し引く制度です。例えば、給与所得や外貨預金の為替差益、年金収入などすべての所得を合算しても、48万円以下であれば、基礎控除の48万円が適用されて課税所得がゼロになり、結果として確定申告の必要がなくなります。

まとめ

外貨預金では、利息や為替差益に対して税金が課されます。利息に課される税金は、金融機関で源泉徴収されるため確定申告は不要です。一方、為替差益に関しては原則として確定申告を行う必要があります。

また、会社員であっても、「雑所得」は年末調整の対象外であるため、原則確定申告が必要です。ただし、為替差益の金額や他の所得の状況によっては、確定申告が不要な場合もあります。

「確定申告が必要なのに申告していない」という事態を避けるためにも、外貨預金の税金について十分に理解してから外貨預金を始めることが重要です。

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本記事は2024年11月26日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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  • 外貨預金には、為替相場の変動により為替差損が生じ、お引出時の円貨額がお預入時の払込円貨額を下回り、元本割れが生じるリスクがあります。(為替変動リスク)
  • 円を外貨に交換する際(お預入時)および外貨を円に交換する際(お引出時)は為替手数料がかかります。お預入時およびお引出時には、この為替手数料を含んだ当社所定の為替レートをそれぞれ適用します。
  • お預入時とお引出時の為替相場に変動がない場合でも、往復の為替手数料がかかるため、お引出時の円貨額がお預入時の払込円貨額を下回り、元本割れとなるリスクがあります。
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