「外貨預金はおすすめしない」といわれる理由は?初心者がはじめる際の注意点
公開日:2023/02/27
更新日:2024/11/26
近年、円安傾向の為替相場が続くなか、外貨預金の需要が高まっています。
とはいえ、「外貨預金はおすすめしないといわれる理由は?」「メリットや初心者が運用をはじめるときの注意点は?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
「外貨預金はおすすめしない」といわれるのは、元本割れの可能性や、為替手数料がかかるなどの理由があるためです。
ただし、外貨預金には、預入時よりも円安が進むと為替差益を得られる、円預金よりも高い金利が期待できるなどのメリットがあります。
外貨預金をはじめる際は、余裕資金を活用する、複数の通貨に分散させるなどに注意することが大切です。
この記事では、「外貨預金はおすすめしない」といわれる5つの理由や、外貨預金のメリット・デメリット、通貨別の特徴、初心者が外貨預金をはじめる際の注意点などについて解説します。
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元銀行員。若年層から高年層まで幅広い資産運用の提案を行なう。メディアを通じて、より多くのお客様に金融の知識を伝えたい気持ちが強くなり、退職を決意。
現在は、編集者として金融機関を中心にウェブコンテンツの編集・執筆業務に従事している。
- ※りそなグループが監修しています
「外貨預金はおすすめしない」といわれる
5つの理由・デメリット
まずは、「外貨預金はおすすめしない」といわれる5つの理由と、外貨預金のデメリットについて解説します。
元本割れのリスクがある
外貨預金は、日本円を外国の通貨に換えて預けるため、預金した時点の為替レートが重要です。
預入れしたあとに為替レートが円高(円の価値が上がること)に進むと、外貨預金を円に払戻しする際、同じ外貨量でも、預入時より少ない日本円にしか交換できません。元本割れが起こる具体的なケースは、次のとおりです。
- 1.1ドル100円の為替レートで1,000ドル(10万円)を預入れする
- 2.その後、為替レートが円高になり、1ドル90円になる
- 3.1ドル90円だと、10万円で預入れした円が9万円になる
- 4.払戻しした際、預入れしたときの10万円に対して、1万円の元本割れ(為替差損)が発生する
為替レートの変動による損失を避けるには、相場の動向を注視し、預入れと払戻しのタイミングを慎重に見極めることが大切です。
為替手数料がかかる
為替手数料とは、円を外貨に交換する際や、外貨を円に払戻す際にかかる手数料のことです。為替手数料は各金融機関によって異なり、円を外貨に交換・外貨を円に払戻す際のレートに含まれています。
レートにはTTSとTTBの2つがあり、違いは下記のとおりです。
種類 | 特徴 |
---|---|
TTS |
|
TTB |
|
外貨預金で頻繁に預入れや払戻しを行うと、その都度、為替手数料が発生するためコストがかさみます。
預金保険制度が適用されない
預金保険制度とは、預金保険制度の対象になる金融機関が破たんした場合、預金者の預金等を一定の範囲内で保護するための保険制度です。
預金保険制度では、利息の付く普通預金や定期預金、貯蓄預金などで、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと、破たん日までの利息等が保護されます。
外貨預金は預金保険制度が適用されません。金融機関が破たんした場合、外貨預金の支払いは破たんした金融機関の財産の状況に応じて行われます。
為替差益が発生すると税負担が増える可能性がある
為替差益とは、通貨の為替レートの変動によって得られる利益を指し、為替差益が発生した際は、一般的に「雑所得」として総合課税の対象となります。つまり、税負担が増えることが考えられるのです。
ただし、為替レートの変動による損失である「為替差損」が発生した場合は、ほかの雑所得のプラス分と相殺できます。
また、外貨預金の利息は「利子所得」として、20.315%の源泉分離課税の対象となります。これは、円預金をしたときも同様です。
為替相場の予想が難しい
外貨預金で為替差益を得るには、円高になったタイミングで外貨を購入し、円安のタイミングで払戻すことが重要です。
とはいえ、為替相場は経済指標や政治動向、国際情勢など、多くの要因が複雑に絡み合いながら変動するため、為替相場を正確に予想することは難しいでしょう。
外貨預金の4つのメリット
外貨預金にはメリットも存在します。ここからは、外貨預金の4つのメリットについて見ていきましょう。
円安になると為替差益が
得られる
為替相場が円安に進むと、為替差益が得られます。為替差益が得られる具体的なケースは、次のとおりです。
- 1.1ドル100円の為替レートで1,000ドル(10万円)を預入れする
- 2.その後、為替レートが円安になり、1ドル130円になる
- 3.1ドル130円だと、10万円で預入れした円が13万円になる
- 4.払戻しした際、預入れしたときの10万円に対して、3万円の為替差益が発生する
このように、預入れしたあとに円安が進むと、払戻しした際に為替差益が得られます。
円預金よりも高い金利が期待できる
日本では2016年以降、マイナス金利政策が実施されてきました。2024年3月にマイナス金利政策は解除されましたが、それでもなお、通貨や預入金額、預入期間によっては、外貨預金のほうが円預金よりも高い金利が適用される場合があります。
特に、インフレ率が高い国や経済成長が著しい国の通貨は、金利が高い傾向にあります。
外貨預金を利用して、このような高金利の通貨に預入れることで、円預金よりも高い利息を得ることが期待できます。
資産のリスク分散ができる
為替レートの変動によって損失が発生するおそれがあることを、為替リスクといいます。外貨預金が資産のリスク分散になる理由は、異なる通貨で資産を保有することで、為替リスクを軽減できるためです。
例えば、日本円だけでなく米ドルやユーロで外貨預金をすると、特定の通貨に対する依存度を下げられます。
また、株式や債券など、ほかの金融商品と組み合わせて資産を保有することで、資産全体のリスクを分散することも可能です。
初心者でもはじめやすい
外貨預金は、銀行を通じて預金するという明快な仕組みのため、外貨建て金融商品のなかでもスタートしやすい点がメリットです。
一方、外国株式をはじめるときには、銘柄選びなどが必要不可欠です。一定の知識や手間は欠かせないため、外貨預金に比べると資産運用の難易度はやや高くなりがちです。
なお、外貨預金の種類は、以下のように大きく分けて2種類です。
種類 | 特徴 |
---|---|
外貨普通預金 | 預入期間の定めがなく、いつでも自由に預金を引出せるタイプで、金利は随時変動する |
外貨定期預金 | 原則、預入期間が満期になるまで預金を引出せないタイプで、金利は預入時のまま変わらない |
上表のとおり、外貨普通預金と外貨定期預金の特徴は異なるため、自身のニーズに適した運用方法を選びましょう。
外貨預金はどこがいい?通貨別の特徴とは
ここからは、外貨預金の投資先として選べる代表的な通貨の特徴を紹介します。
米ドル
米ドルは国際的な金融取引や貿易の決済に多用される世界の基軸通貨です。取引量が多いうえに流動性も高いため、相場の変動は小さい傾向で、おすすめ通貨の一つといえます。
運用に際しては、金融政策や経済指標をチェックすることが大切です。例えば、アメリカの金融政策に関わるものとしては、FRB(連邦準備制度理事会)が「FOMC(米国連邦公開市場委員会)」を年8回実施しています。
また、経済指標に関しては、「米国雇用統計」「GDP(国内総生産)」「消費者物価指数(CPI)」などで確認可能です。例えば雇用統計の非農業者部門の雇用者数が前年同月比を上回ったり、市場予想を大きく上回るなど景気の改善が確認できる場合は、政策金利の引上げが意識され、ドル買いが見込めます。一方、景気の悪化が確認できる場合は、「ドル売り」が進みやすいため、定期的な確認が欠かせません。
ユーロ
ユーロは、EU加盟国、非EU加盟国のユーロ圏で使われる通貨で、取引量は米ドルに次ぐ世界第二位です。通貨の管理は、ユーロ圏の中央銀行であるECB(ヨーロッパ中央銀行)が実施しています。
なお、ユーロで外貨預金を行う際は、米ドルの動向にも気を配りましょう。というのも、ユーロは「米ドルの対価」としての性質も持ち、経済動向などに合わせて「米ドル売りユーロ買い」もしくは「ユーロ売り米ドル買い」が行われやすいためです。
オーストラリアドル(豪ドル)
豪ドルは、石炭や鉄鉱石などが豊富なオーストラリアの通貨で、資源国通貨の代表格です。世界的な資源高や、移民受け入れや自然増による人口増加などの理由により、オーストラリア国内の経済・政治は安定的で、外貨預金としての不安要素は少ないといえます。
なお、オーストラリアの貿易総額は、中国が全体のおよそ3割を占めています。そのため、中国の経済指標にも注意することで、豪ドルによる外貨預金の運用リスクを減らすことが可能です。
ニュージーランドドル(NZドル)
ニュージーランドで流通しているNZドルは、豪ドルと同じく代表的な資源国通貨の一つといえます。ただし、一般的な資源国の輸出品が鉱物や原油であるのに対し、ニュージーランドの輸出品はおもに乳製品や食肉です。
そのため、NZドルを外貨預金で運用する際は、乳製品や食肉の価格動向に注意を払うことが重要とされています。
また、主要な貿易相手国が中国とオーストラリアであることから、豪ドルに似た値動きをしやすいことも特徴です。NZドルで外貨預金を行う際は、豪ドルと同様に、中国の経済指標を定期的に確認しておきましょう。
外貨預金を上手に運用するためのポイント4つ
続いて、外貨預金を上手に運用するための4つのポイントを見ていきましょう。
複数の外貨に分けて保有する
一口に外貨といっても、国ごとに為替相場は異なります。そのため、外貨預金を運用する際は1つの国の外貨のみに絞るのではなく、複数の外貨に分けて保有することが大切です。
そうすれば、為替相場のリスクが分散され、仮に1つの外貨が預入時より円高になったとしても、他の外貨でのリカバリーが可能になります。
預金のタイミングを分散させる
政治情勢や経済状況で、為替相場は変動するため、預金のタイミングを分散させることは必要不可欠です。預金のタイミングを分散すると、為替相場のリスクを減らして外貨預金を行えます。
例えば、固定的な金額を定期的に預金すれば、円安のときは少なく、円高のときは多く外貨を預入れられます。これが平均購入単価を平準化して、外貨預金を安定的に運用しやすくなる「ドル・コスト平均法」と呼ばれる方法です。
余裕資金で運用する
余裕資金で運用することで、外貨預金の引出しで発生する為替手数料を抑えることが可能になります。
また、外貨預金からお金を引出す必要性がなく、長期運用が可能です。長期運用は為替レートの値動きを平均化させ、運用リスクを抑えます。
預金の最低金額は、金融機関ごとに異なるため、最初に確認したうえで運用をスタートさせましょう。
りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行の場合、外貨普通預金は「原則10通貨単位以上、または1,000円相当額以上」、外貨定期預金は「10万円相当額以上」で預入れできます。なお、どちらも1補助通貨単位(通貨単位の100分の1)まで預入れが可能なので、例えば米ドルの預入時は1セント単位で設定できます。
値動きにつながる情報を
確認する
外貨預金の安定性を高めるには、外国の政治・経済や為替相場に関する情報を、こまめに確認することが重要です。そうすれば、預入れている外貨に不安要素が見つかった場合も、他国の外貨の割合を増やすように早い段階で対処できます。
りそななら、銀行に出向かなくても、ホームページやアプリから為替情報やマーケット情報を得られます。
例えば、「りそなマーケットフラッシュデイリー&ウィークリー」で、国内外のマーケットに関するレポートが閲覧可能です。週初発行分には、週間のマーケット情報が掲載されているので、忙しくて時間が取れない方も手軽に活用できます。
外貨預金をおすすめできる人の特徴
ここからは、外貨預金をおすすめできる人の特徴について解説します。
リスクを許容できる
外貨預金をおすすめできるのは、為替リスクを理解し、資産が目減りするリスクを許容できる方です。
為替レートは市場の動向によって変動するため、預けた外貨の価値は増減します。
たとえ為替レートの変動で元本割れの可能性があっても、そのリスクを許容できる方には、外貨預金は有効な資産運用の選択肢といえるでしょう。
長期的な視点で資産運用を考えている
外貨預金は短期的な利益を期待するものではありません。長期的な視点で為替差益や利息を得るための投資手段です。
そのため、短期的な為替変動に左右されることなく、時間をかけて資産運用を考えている方に適しています。
資産の分散投資を目的と
している
外貨預金は、資産を異なる金融商品に分けることで、リスクを分散したいと考える方に向いています。
すでに株式や円預金などの資産を保有し、ポートフォリオ全体のバランスを考慮する方にとって、外貨預金は有効な金融商品の一つです。
海外に行く機会が多い
金融機関によっては、外貨普通預金口座を開設すると、その国のATMで現地通貨を直接引出すことが可能です。
現地で外貨普通預金口座から現金を引出す際は、為替手数料がかからないため、両替所に出向く手間や手数料を削減できます。
外貨預金をはじめる3つの方法
ここからは、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行で外貨預金をはじめる3つの方法を見ていきましょう。
方法1.アプリでスタート
まず紹介するのは、アプリを使ってスタートする方法です。りそなグループアプリなら、外貨預金の口座開設や取引きが簡単にできるうえ、普通預金口座の残高、入出金明細も確認できます。
また、リアルタイムの為替レートを確認しながら24時間365日いつでも手続き(※)できるため、タイミングを逃しづらいこともメリットです。
- ※平日10~17時以外の時間は予約受付
- 【アプリで外貨預金をはじめる手順】
-
- 1.アプリをダウンロードし、「マイページ」から「運用資産」をタップする
- 2.預金先の通貨を選択し、必要事項を入力する(口座開設が完了)
- 3.金額を入力後、必要事項を入力する(取引きが完了)
このように、スマートフォンがあれば3つのステップではじめられるので、銀行に足を運ぶ時間が取りづらい方にもおすすめです。
方法2.マイゲートでスタート
2つ目は、インターネットバンキング「マイゲート」を使う方法です。マイゲートは、外貨預金や振込、投資信託などにも利用できるシステムで、アプリと同様、リアルタイム為替レートの確認や、24時間365日の手続き(※)にも対応しています。
- ※平日10~17時以外の時間は予約受付
- 【マイゲートで外貨預金をはじめる手順】
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- 1.マイゲートのトップ画面から、外貨預金を選ぶ
- 2.「外貨普通預金」もしくは「外貨定期預金」を選び、必要事項を入力する(口座開設が完了)
- 3.預入金額を入力して、内容を確認する(取引きが完了)
- ※定期預金の場合は、預入期間を1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年から選択する
上記のとおり、3ステップで完結できるので、パソコンやスマートフォンがあれば簡単に取引きを開始できます。
方法3.店舗でスタート
3つ目に紹介する、りそなの実店舗で取引きを開始する方法のメリットは、担当者に相談しながら通貨を選べる点です。
また、アプリ・マイゲートの場合は、一部取扱っていない通貨がありますが、店舗の場合は最大10種類以上の通貨で取引きできる点もポイントといえます。
さらに、口座開設から取引きまで、最短即日で実行可能です。りそなの最寄りの店舗は簡単に検索できるため、Webで来店予約しておけばスムーズに手続きしやすくなります。
まとめ
外貨預金は、元本割れの可能性や為替手数料がかかることが理由で「おすすめしない」といわれることがあります。ただし、為替変動によっては為替差益を得られる、資産のリスク分散ができるなどのメリットもあります。
初心者が外貨預金をはじめる際は、余裕資金の活用や複数の通貨への分散、預入時期の分散などに注意が必要です。
なお、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行で外貨預金をはじめる場合、アプリ・マイゲートを使えば、リアルタイム為替レートで取引きできるうえ、24時間365日手続き可能(※)です。
- ※平日10~17時以外は予約受付
また、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行の口座をお持ちでない方は店舗で手続きすれば、最短即日で口座開設から取引きまで実行でき、通貨は最大10種類以上から選べます。さらに、預入れによってポイントがたまり、20社以上の交換先から好きなポイントやマイルへ交換できるのも魅力です。
これから外貨預金をはじめたい方は、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行で運用をスタートしてみてはいかがでしょうか。
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口座をお持ちでない方はこちら
- アプリで口座開設
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口座をお持ちの方はこちら
- アプリで外貨預金をはじめる
本記事は2024年10月6日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。
外貨預金に関する注意事項
- ※外貨預金には、為替相場の変動により為替差損が生じ、お引出時の円貨額がお預入時の払込円貨額を下回り、元本割れが生じるリスクがあります。(為替変動リスク)
- ※円を外貨に交換する際(お預入時)および外貨を円に交換する際(お引出時)は為替手数料がかかります。お預入時およびお引出時には、この為替手数料を含んだ当社所定の為替レートをそれぞれ適用します。
- ※お預入時とお引出時の為替相場に変動がない場合でも、往復の為替手数料がかかるため、お引出時の円貨額がお預入時の払込円貨額を下回り、元本割れとなるリスクがあります。
- ※外貨預金は預金保険の対象ではありません。
- ※詳細については、契約締結前交付書面や説明書等をよくお読みください。