奨学金と教育ローンの違いは?併用できる?それぞれのメリットとデメリットも解説
2022/02/08最終更新
教育資金を調達するときの代表的な方法が、教育ローンと奨学金です。どちらも「教育資金を借りる」という点では同じですが(給付型奨学金を除く)、それぞれにメリット・デメリットがあります。
また、奨学金と教育ローンは併用することも可能ですが、併用する場合も各特徴に応じた使い分け方法があります。
今回は、奨学金と教育ローンの違い、それぞれのメリット・デメリット、併用した場合の使い分け方法などを解説します。
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ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそ、お客様にとってのメリットを最大化するプランを提案することができることを強みとする。保険だけ、投資だけに片寄ることなく、今の生活も将来の生活も可能性に満ちたものにするようアドバイスすることを心がける。
- ※りそなグループが監修しています
奨学金と教育ローンの
違いは?
教育資金を準備したいときに活用できるのが、奨学金と教育ローンです。それぞれ、どのようなものでしょうか。まずは、奨学金と教育ローンの概要や違いを紹介します。
奨学金と教育ローンの概要
奨学金で最も知られているのが、日本学生支援機構の奨学金です。ほかにも、地方自治体や民間企業による奨学金、新聞奨学生制度などがあります。教育ローンは、公的な国の教育ローン(教育一般貸付)が一般的です。
銀行や信用金庫、信用組合などで申込みできる民間の教育ローンもあります。奨学金と教育ローンは、それぞれ名称は異なるものの、給付型の奨学金を除けば、いずれも返済が必要な借入れであることに変わりません。
借りる人の違い
奨学金は、学校に通う子ども本人が債務者となり、借入れと返済を行います。ただ、親が連帯保証人となるケースが一般的です。
教育ローンは、ローン申込者が借入れと返済を行いますが、審査で「安定収入があること」が求められるため、保護者が債務者となります。
借入金の受取り方の違い
奨学金を受取る場合、在学中に毎月分割で受取ります。しかし、国の教育ローン(教育一般貸付)の場合は、一括で借入金を受取ることが可能です。
また、民間の教育ローンの場合は、一括受取りのほかに分割で受取るなどの方法もあります。
返済開始期間と最大返済期間の違い
奨学金の返済は卒業後に開始します。返済期間は借入金額によって異なり、最長20年です。一方、教育ローンは、借りた翌月から返済しなければなりません(在学中は元金据置が選択できる場合あり)。
返済期間は国の教育ローン(教育一般貸付)では最大15~18年(世帯年収や子どもの数によって異なる)、民間の教育ローンでは最大10~20年など金融機関によって異なります。
金利の違い
貸与型の奨学金には、第一種奨学金と第二種奨学金があります。
- 第一種奨学金:学力や家計についての条件があるが無利子
- 第二種奨学金:有利子で利率は「利率固定方式(固定利率)」「利率見直し方式(変動利率)」から選択できる。いずれの利率も年3.0%が上限
国の教育ローン(教育一般貸付)の金利は、固定金利です。2022年2月現在の利率は年1.65%で、在学中は利息のみの返済を選択することもできます。民間の教育ローンの金利や固定金利・変動金利の選択は、金融機関によって異なるため、注意しましょう。
民間の教育ローンは、奨学金や国の教育ローン(教育一般貸付)の金利よりも利率が高い傾向にあります。
奨学金のメリット・
デメリット
奨学金を利用するメリット・デメリットには、どのようなものがあるでしょうか。
メリット
奨学金の一番のメリットは、在学中は無利息となることです。利用にあたって審査はあるものの、経済的に苦しい家庭の学生を支援するために、このような仕組みになっています。
例えば、2022年2月現在に金利が決定された場合、奨学金の金利(利率固定方式)は、基本月額部分で年0.268%と、教育ローンよりも低い水準です。さらに、在学中の利息がかからないため、教育ローンを利用するよりも負担が少なくて済みます。
デメリット
奨学金のデメリットは、借入れする人(債務者)が子ども本人となるため、子どもが自分で返済しなければならないことです。例えば、就職後の給与が少ない場合、卒業後の経済的負担が大きくなります。
奨学金の借入金利は、申込時にはわかりません。適用される金利は、貸与終了時の金利で決定されます。
近年の超低金利下では、あまり金利負担を心配する必要がないかもしれません。しかし、卒業後にどれくらいの金額を返済しなければならないかがわかりにくい仕組みです。
また、「申込時期が限られている」「入学後に受取るため、入学前の資金として使いにくい」などはデメリットといえます。
教育ローンのメリット・
デメリット
一方、教育ローンのメリット・デメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
メリット
教育ローンは、一般的に保護者が債務者となるため、子どもに返済負担をかけなくて済む点がメリットです。
奨学金は借入れの入金が入学後ですが、教育ローンは入学前に借入れできるため、入学前に必要な資金としても活用可能です。
ほかにも、教育ローンは、資金使途が入学金や授業料だけでなく、教材費やアパートの敷金など、幅広く設定されていることもメリットです。
デメリット
教育ローンのデメリットの一つは、奨学金よりも金利が高いことです。現代は、低金利とはいえ、金利負担が大きくなると、総返済金額も大きくなります。一般的には返済が翌月から発生することもデメリットでしょう。
金融機関によっては、在学期間中に元金据置が選択でき、利払いのみとしているところもあります。
しかし、元金据置対応をしていない金融機関の場合、在学中も返済が発生するため、家計の負担が大きくなります。借入れの前には、十分な資金計画を立てなくてはなりません。
奨学金と教育ローンに向いているのはこんな人
上記のようなメリット・デメリットのある奨学金と教育ローンですが、それぞれの特徴に合わせた活用方法があります。
奨学金と教育ローン、それぞれに向いている人は以下のとおりです。
奨学金
奨学金には、返済が不要なものと必要なものがあります。返済が必要な場合でも少ない負担で利用できるため、「少しでも負担を少なくして教育資金を確保したい人」に向いています。
「経済的な問題で進学や修学をあきらめたくない人」にも適しているでしょう。ただし、日本学生支援機構が定める学力基準と家計基準を満たさなければいけません。
教育ローン
教育ローンは、奨学金とは異なり入学前でも借入れができます。「入学前の準備にかかる資金も含めて準備したい人」に最適な手段です。
では、国の教育ローン(教育一般貸付)と民間の教育ローンは、どのような使い分けができるでしょうか。
国の教育ローン(教育一般貸付)は、民間の教育ローンよりも低金利です。年収の上限など、利用条件を満たしているのであれば、金利負担を抑えることができます。
国の審査基準を満たさない場合は民間の教育ローンを検討してみましょう。多くの場合、審査スピードも速く、使い道にも細かい制限がありません。例えば、入学金や授業料だけではなく、制服代や部活動の費用にも利用できます。
奨学金と教育ローンは併用OK!使い分け方は?
奨学金と教育ローンのどちらに向いているかを考えたとき、「どちらのメリットも活用したい」と思う方もいるかもしれません。実は、奨学金と教育ローンは併用もできるため、両方を使い分けて、上手に教育資金を調達することも可能です。
ここでは、奨学金と教育ローンの使い分けをする場合の注意点を解説します。
奨学金と教育ローンは併用可能
上述したように、奨学金と教育ローンは併用可能です。しかし、別々に申込みが必要となるため、各審査に通過しなければなりません。
また、申込時には、申込金額を決めなければならないため、事前にしっかりと計画を立てる必要があります。
その際は、金利や融資方法、返済(返還)方法の特徴を十分に把握したうえで、返済の負担が重くならないように、バランスの良い申込金額の決定が必要です。
長期の返済を見据えて
計画を立てよう
奨学金も教育ローンも、繰上返済をしない限り返済期間は長期間続きます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえて、奨学金と教育ローンでいくらずつ借りたほうが良いのか、慎重に検討しましょう。
まずは、現在の家計状況から「毎月無理なく返済が続けられるか」をイメージします。以下のようなケースでは、子どもも交えてしっかりと話し合って決めることが大切です。
- 用意できる教育資金で進学できる学校を限定しないといけない場合
- 子どもが返済することになる奨学金を活用する場合
奨学金と教育ローンの
使い分けのコツ
奨学金と教育ローンの特徴は、以下のとおりです。
- 奨学金:低金利で借入れできる
- 教育ローン:受験前・入学前の資金として借入れできる
それぞれの特徴を踏まえ、使い分け方法を決めることができます。例えば、入学金や1年目の前期授業料など入学前に必要なお金は、教育ローンで準備し、その後の学費などは奨学金でまかなうことも可能です。
返済の負担をできるだけ小さくしたい場合は、低金利の奨学金で資金をまかなったうえで、不足部分を教育ローンで準備しましょう。
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まとめ
教育資金を準備する方法には、奨学金と教育ローンがあります。金利は奨学金のほうが低い傾向にありますが、「借入金の受取りが入学後になる」「子どもが返済しなければならない」などの特徴を考えると、教育ローンのほうが望ましい部分もあります。両方のメリット・デメリットをしっかりと押さえておきましょう。
また、奨学金と教育ローンは併用もできますが、借入金額が大きくなると、毎月の返済負担が重くなります。どちらを利用する場合でも、申込前に借入金額と返済金額のシミュレーションを行い、無理なく返済できる資金計画を立てるようにしましょう。
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本記事は2022年2月8日の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。