妊娠・出産に関わる費用を徹底解説!制度の活用や自己負担額を抑える方法
公開日:2025/10/28

妊娠・出産に関わる費用は多くの妊婦やその家族にとって大きな悩みの一つです。この記事では、具体的な費用の内訳や分娩方法、公的制度を活用することによる自己負担額を抑える方法などを解説します。出産に対する不安を軽減し、安心して出産に臨むことができるよう、ぜひ参考にしてみてください。
妊娠・出産に関わる3つの費用

妊娠や出産に関わる費用は大きく分けて3つあります。以下で内訳を見ていきましょう。
出産費用(入院・分娩費用等)
出産にかかる費用の中で大きな部分を占めるのが、出産費用です。これらは分娩方法や地域、医療機関等によって異なりますので、できるだけ早い時期からしっかりと計画を立て、予算管理を行うことが重要です。事前に医療機関の料金体系を確認し、自分に適した医療機関等を選びましょう。
妊婦健診の費用
妊婦健診は、妊娠中の母体と胎児の健康状態を確認するために必要な定期的な健康診断です。妊娠初期から出産直前までの期間にわたり、合計14回程度行われることが一般的です。妊婦健診では、母体の血圧や体重の測定、血液検査、尿検査、超音波検査などが含まれています。
妊婦健診の費用は、住んでいる地域や医療機関等によって費用が異なるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
妊婦用品や赤ちゃん用品の費用
妊婦用品や赤ちゃん用品の費用準備も必要です。まず、妊婦用品はマタニティウェアや妊娠帯、授乳服などがあります。赤ちゃん用品にはベビーベッドやベビーキャリアなどが該当し、これに加えておむつなどの消耗品を用意する必要があります。これらの費用を考慮し、計画的に準備を進めることが出産時の安心につながります。
分娩方法によって異なる
出産費用
出産自体にかかる費用は分娩方法によって大きく異なることがあります。分娩方法ごとの費用を解説します。
正常分娩の場合
正常分娩は一般的に保険適用外となるため、全額自己負担となります。病院や地域によって異なりますが、厚生労働省「出産費用の状況等について」(令和6年)によると、2023年度の平均出産費用は、正常分娩で約50.6万円です。全国で最も高いのは東京都の約62.5万円、最も低いのは熊本県の約38.8万円です。
無痛分娩の場合
無痛分娩は産痛を軽減するための麻酔を使用する分娩方法であり、自然分娩に比べて費用が高くなります。無痛分娩も正常分娩と同様に保険適用外で、正常分娩の費用に対してさらに10万円~20万円ほど追加されることが一般的です。ただし、病院によっては無痛分娩に対応していない場合もありますので、事前に医療機関の対応状況を確認することが大切です。
異常分娩の場合
医療行為が必要となる帝王切開や吸引分娩、鉗子分娩などを異常分娩と言います。異常分娩は保険が適用されることがあり、その場合、全額自己負担とはなりません。しかし、状態によっては正常分娩と比べて入院日数が長くなる可能性もあるため、差額室料や食事代などで費用がかさむ可能性があります。
公的制度を活用して出産費用に係る負担を軽減する
出産費用に係る負担を軽減するためには、公的制度の活用が不可欠です。ここでは3つの制度を解説するので、これらをうまく利用しましょう。
出産育児一時金
出産育児一時金は、公的医療保険に加入している被保険者又はその被扶養者が出産した場合に支給される制度です。妊婦による出産費用の負担を軽減するための支援金として、多くの世帯で利用されています。
2023年には、出産育児一時金が42万円から50万円に増額され、この増額により出産時の経済的負担はさらに軽減されました。
出産育児一時金は、申請を行うことで所定の手続きのもと支給されます。また、出産一時金を医療機関等へ直接支払う制度(直接支払制度)もありますので、利用する場合は事前に医療機関等に確認してみましょう。
出産手当金
出産手当金は、健康保険の被保険者が出産前後の一定期間において休業する場合に、給与の一部を補償する制度です。出産日以前の42日から出産日の翌日以降56日までの計98日間が対象期間となりますが、出産予定日が遅れて産休期間が延びた場合は、その日数分も対象になります。
休業期間中に支給される金額は標準報酬月額の約3分の2に相当する額です。給与の減少をある程度補填できるため、経済的不安を軽減することができます。ただし、国民健康保険は対象外です。
申請手続きは、医師等による証明書や申請書を提出した後、所定の審査を経て支給されます。手続きが複雑な場合もありますが、健康保険組合等の健康保険事業者や勤務先からのサポートを受けることでスムーズに進めることができます。
出産費貸付制度
出産費貸付制度は、出産育児一時金が支給されるまでの間に出産にかかる費用を一時的に貸付ける制度です。ただし、出産育児一時金の直接支払制度を利用される場合は対象外です。
貸付けですので最終的には返済が必要です。貸付金額や返済条件は、健康保険組合や市区町村等の健康保険事業者によって異なりますので、それぞれお問い合わせください。申請手続きには、出産費貸付金借用書や健康保険証などが必要です。
妊娠・出産に関わる
その他公的制度
妊娠・出産に関しては、その他さまざまな公的制度が存在します。これらの制度を活用することで、出産に関連する経済的負担を軽減することができます。以下で代表的な制度を3つ解説します。
医療費控除
医療費控除とは、年間の医療費が一定額を超えた場合に所得控除が受けられる制度です。この制度は、妊娠・出産に関わる費用も対象となり得るため、高額な医療費が発生した場合に有効です。具体的には、支出した医療費の合計額から保険金などの金額を差し引き、さらに「10万円」または「総所得金額等の5%」のどちらか低い方の金額を差し引いて算出されます。
例えば、自己負担の医療費が40万円で保険金が10万円補填される場合、40万円 - 10万円 = 30万円が基準になります。ここから、10万円を差し引いた20万円が医療費控除の対象額となります。なお、妊娠・出産にかかる医療費については、出産一時金を除いた後の金額が自己負担の医療費となります。
ただし、妊娠・出産に関わる費用全額が医療費控除の対象となるものではありませんので、詳細や具体的な申請手続き等については、国税庁のウェブサイトや税務署にお問い合わせください。

高額療養費制度
高額療養費制度は、医療費が一定額を超える場合に自己負担額が軽減される制度です。医療機関で発生した自己負担額が高額になった場合、一定の自己負担額を超えた部分が申請により払い戻されます。ただし、自費診療や自然分娩のような健康保険が適用されないケースは対象外となるため、注意が必要です。
申請方法や条件については、加入している健康保険組合や市区町村等に確認しましょう。
妊婦健診費用の助成
妊婦の健康管理を支援するために、各自治体は補助券等を提供し妊婦健診費用の助成を行っています。妊婦検診は、定期的に行われる重要な健康チェックであり、その費用を一部自治体が補助する形で支援しています。
補助内容や条件は自治体によって異なるため、自分の住んでいる地域の役所などで確認することが必要です。補助券等を適切に利用することで、安心して健診を受けることができ、健康な妊娠期間を過ごす手助けとなります。
出産後の家計管理に役立つアドバイス

出産後の生活は、赤ちゃんの成長とともに新たな出費が増えるため、計画的な家計管理が重要です。育児用品や子供服等の購入においては、長期的に使用できるアイテムを優先して購入したり、レンタルを活用したりすることなどによって節約が可能です。
また、育児休業給付金や保育所の利用料補助など、地方自治体や企業が提供する公的制度が利用できるのであれば、これを最大限に活用することが大切です。これらの制度は、経済的な負担を軽減してくれるため、積極的に情報を収集して利用しましょう。具体的な申請方法や問合わせ先についても、事前に調べておくことが大切です。
さらに、家計簿を記録することで、不必要な浪費を防ぎ、計画的な支出を行うことができます。日々の出費を具体的に把握することで、どの項目で節約できるかが見えてきます。スマートフォンアプリなどを利用すれば、簡単に家計簿をつけることができるのでおすすめです。
標準的出産費用の自己負担無償化の検討
厚生労働省にて、少子化対策や分娩時の費用負担軽減を目的として、出産費用の標準的な自己負担額を無償化することが検討されています。
現在の制度では出産育児一時金として50万円が支給されていますが、地域や医療機関等によっては実際の出産費用が50万円を超えるケースもあり、自己負担額が発生することが課題となっていました。
2026年度での導入を目指しており、実現すれば経済的負担の軽減が期待されます。
まとめ
この記事では、妊娠・出産に関わる費用について解説しました。妊娠から出産、産後に至るまで、費用は多岐にわたります。それぞれの費用を把握し、適切な公的制度や利用可能な制度を活用することで、経済的負担を軽減することが可能です。
また、分娩方法の選択においても、費用面等を考慮しご自身やお子さんにとって最適な方法を選べるとよいですね。さらに、妊婦健診や赤ちゃん用品の購入費用も想定し、無駄のない支出を心掛けましょう。
出産や子どもの成長に備えて、今のうちにしっかりと家計管理をしておくことが大切です。りそなグループアプリでは、口座残高や入出金明細の確認はもちろん、振込をはじめとするさまざまなお取引がスマホで完結できます。出産はご自身やお子さんにとって大切な出来事ですので、安心して出産を迎えるためにしっかりと準備しましょう。
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本記事は2025年10月28日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。





