子どもの貧困の現状とは?日本の貧困率から考える貧困対策と私たちにできること
公開日:2026/04/06

日本では、約9人に1人の子どもが貧困状態と言われています。子どもの貧困は、教育の機会や将来の選択肢に影響を与える可能性があるだけでなく、社会全体にも影響をおよぼすおそれがあります。
では、私たちはこの問題にどのように向き合えばよいのでしょうか。
本記事では、日本の貧困の現状と社会に与える影響を整理したうえで、日本における支援制度や私たちが無理なく関われる支援の形を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
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日本の子どもの貧困率と現状
日本の子どもの貧困を考える際に、まず理解しておきたいのが「相対的貧困」という概念です。
これは、現在の生活水準において、大多数の世帯と比べて経済的に厳しい状態を指します。具体的には、その国の所得(等価可処分所得)の中央値の半分に満たない水準(以下、貧困線)で生活している状態です。
実際の数字で確認してみましょう。
厚生労働省「国民生活基礎調査(2022年)」によると、2021年の貧困線は年間所得127万円となっており、相対的貧困に陥っている世帯は、毎月10万円程度で生活している計算です。
住居費や食費といった生活の内訳を考えると、家計に大きな制約が生じやすい水準であることがうかがえます。
日本の子どもの貧困率は11.5%
同調査によれば、2021年の子どもの貧困率(17歳以下)は11.5%です。
これは、子どもの約9人に1人が該当します。30人学級に置き換えると約3人の割合で、毎月10万円程度の生活水準で育つ子どもが一定数いることがわかります。
自分の子どもが当てはまらなくても、同じ教室や地域にそうした状況の子どもがいる可能性は十分にあるでしょう。子どもの貧困率の年次推移を見ると、依然として課題が残っている状況といえます。

- ※2018年・2021年は新基準
また日本は、国際機関であるOECD※の調査において、子どもの貧困率の低さはデータのある37ヵ国中上から20番目の位置づけです(2024年時点)。一方、2024年の名目GDPにおいて日本は世界第4位の経済規模を有しており、依然として世界有数の経済大国です。
こうした状況から、経済規模の大きさに対して子どもの貧困率が相対的に高い傾向がうかがえると言えます。
- ※OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヵ国の先進国が加盟する国際機関。国際マクロ経済動向、貿易、開発援助、持続可能な開発、ガバナンス等の分野における加盟国間の分析・検討を行っている。
ひとり親世帯の子どもの貧困率は44.5%
特に深刻なのが、ひとり親世帯の子どもの貧困です。同調査では、ひとり親世帯の子どもの貧困率は44.5%に上り、約2人に1人が該当します。
ひとり親世帯の8割以上は就労していますが、子育てと仕事の両立が難しく、パートなどの非正規雇用に就かざるを得ないことも少なくありません。こうした就労構造が、結果として子どもの貧困につながっている側面もあると考えられます。
国際的に見ても、日本のひとり親世帯の子どもの貧困率は、データのあるOECD加盟国36ヵ国中ワースト3位と厳しい位置付けです(2024年時点)。
貧困が子どもに与える影響
子どもの貧困は、日々の生活や健康状態、将来の選択肢にも影響をおよぼす可能性があります。具体的には、次の問題が指摘されており、いずれも多くの調査で課題として挙げられています。
- 栄養不足になりやすい
- 教育格差を助長する
- 社会的に孤立する
それぞれデータをもとに見ていきましょう。
栄養不足になりやすい
貧困状態にある子どもは、十分な食事を摂ることが困難な可能性が指摘されています。
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調査では、18歳未満の子どもがいる住民税非課税世帯の9割以上が「物価上昇で十分な食料を買うお金がない」と回答しており、家計に余裕がない状況がうかがえます。
また、長期休暇中などの給食がない期間の昼食について、「あまりとれていない」「とれていない」とする回答は54.5%です。十分な量や栄養バランスの良い食事を確保することが難しい世帯が一定数あることが示されています。
教育格差を助長する
経済的に困窮していると、教育費の不安から進学を断念する、習い事や体験活動に参加しにくいといった状況も生まれかねません。その結果、学ぶ意欲や将来の選択肢に影響する可能性が指摘されています。
文部科学省の「令和6年度学校基本調査」によると、2024年の大学(学部)進学率は59.1%、短期大学や専門学校も含めると87.3%です。また、こども家庭庁「令和7年版こども白書」によると、2021年の生活保護世帯の子どもの大学などへの進学率は42.9%でした。
それぞれ別の調査ですが、子どもの貧困が進学に影響をおよぼしているということがわかります。
また、OECDのレポートでは、幼児期からの教育・保育がその後の学習意欲や学力形成に長期的なプラスの効果をもたらすとされており、早い段階での学びの土台づくりが重要です。
社会的に孤立する
習い事や地域活動、友人との交流は、子どもの居場所となるだけでなく、人間関係を広げる大切な機会です。
しかし、経済的・時間的な制約により、こうした経験を十分に得られない場合、社会的な孤立や自己肯定感の低下につながる可能性があります。特にひとり親世帯では、子どもに向き合う時間を確保したくても難しい状況があるかもしれません。
神奈川県が子どもの支援者・相談者を対象に実施した「子どもの貧困に関する意識調査(2017年)」では、支援者が感じる子どもの困難として「自己肯定感・自尊感情が低いこと」が上位3位内に挙げられています。
また、社会的孤立と自己肯定感の低下には関連性があるといった指摘もあり、貧困問題が子どもの内面にも影響をおよぼす可能性は否定できないでしょう。
子どもの貧困が社会全体に与える経済的影響
子どもの貧困は、特定の家庭に限った問題ではなく、社会全体に関係すると指摘されています。
日本財団の「子どもの貧困の社会的損失推計(2015年)」では、貧困状態にある15歳の子ども1学年(約18万人)において、生涯にわたり約2.9兆円の所得損失、約1.1兆円の財政収入減少を試算しています。
この状態が続いた場合、社会全体では数十兆円規模の経済的損失につながる可能性があるとされています。
背景には、子どもの頃に十分な教育や成長の機会を得られないことで、進学や就職の選択肢が狭まり、安定した収入を得にくくなることがあります。その結果、経済的に自立することが難しくなり、貧困が次の世代へ引き継がれる可能性もあるのです。
そうなると、税金や社会保険料を負担する側が減少する一方で、生活支援を必要とする人が増える可能性があり、社会保障費に影響を与えると考えられています。
子どもの貧困は決して他人事ではなく、社会全体に関係する課題として認識されるようになっています。
子どもの貧困対策の現状は?日本で行われている支援
子どもの貧困に対しては、国や自治体だけでなく、地域やNPO・NGOなどの団体も積極的に活動しており、学習支援や食事の提供、居場所づくりなど支援の形はさまざまです。
教育費の負担を軽減する支援
日本では、家庭の経済状況に左右されずに学び続けられる環境を整えるため、教育費の負担を軽減する制度が段階的に整備されてきました。
ここでは、「高校授業料の無償化(高等学校等就学支援金)」と「高等教育の修学支援新制度」について確認していきましょう。
高校授業料の無償化(高等学校等就学支援金制度)
高校授業料の無償化は、国が授業料を支援することで経済的な理由による進学断念を防ぐことを目的とした制度です。
2025年度に所得制限が撤廃され、公立高校の授業料相当額である年額11万8,800円が支給されます。これにより、公立高校の授業料は実質無償化となりました。
さらに、2026年度からは私立高校の所得制限も撤廃され、支給限度額が45万7,000円まで引上げられる予定です。
また、高校生活は授業料だけでなく、制服代や教科書代、修学旅行費なども準備しなければなりません。こうした費用については、高校生を対象とした「高校生等奨学給付金」、また小・中学生には「就学援助制度」が設けられています。
ただし、要件や支援内容は自治体によって異なるため、事前に確認しましょう。
高等教育の修学支援新制度
大学などの高等教育の修学支援新制度では、世帯年収や扶養する子どもの数などに応じて、返還不要の給付型奨学金の支給や、授業料・入学金の減額、免除を受けられます。進学意欲があれば、家庭の経済状況に左右されずに大学や専門学校などへの進学機会を得られる可能性があります。
なお、文部科学省によると、本制度の実施によって対象世帯の子どもたちの大学などへの進学率は約29ポイント上昇したと推計されており、進学を諦めずに済む子どもが増えています。
また、2025年度からは多子世帯の学生を対象に、大学などの授業料・入学金を一定額まで減免する制度も開始されました。
生活・子育て費用の負担を軽減する支援
子どもがいると教育費以外にも食費や日用品などの生活費が継続的に必要です。これらの費用負担を軽減するために「児童手当」と「児童扶養手当」があります。貧困家庭に限定した支援ではありませんが、子どもの生活を守るための大切な支援ですので、理解を深めておきましょう。
児童手当
児童手当は、高校生年代までの子ども(18歳に達する日以降の最初の3月31日まで)がいる家庭に支給される制度です。2024年10月からは所得制限が撤廃され、支給対象や支給額も拡大されました。
| 子どもの年齢 | 支給額(月額) | |
|---|---|---|
| 第一子・第二子 | 第三子以降 | |
| 3歳未満 | 1万5,000円 | 3万円 |
| 3歳以上〜高校生年代まで | 1万円 | |
児童扶養手当
児童扶養手当は、高校生年代までの子ども(18歳に達する日以降の最初の3月31日まで※)がいるひとり親世帯が対象です。
- ※障害児の場合は20歳未満
支給額は所得と扶養する子どもの数によって異なり、第二子以降は加算もあります。
| 手当の種類 | 支給額(月額) | 加算額(月額) |
|---|---|---|
| 全部支給 | 4万6,690円 | 1万1,030円 |
| 一部支給 | 4万6,680円~1万1,010円 | 1万1,020円~5,520円 |
私たちにできる子どもの貧困対策|無理のない社会貢献の形
「子どもの貧困対策に協力したいけれど、何をすればよいのかわからない」という方もいるかもしれません。
難しく思うかもしれませんが、支援団体への寄付や、地域の学習支援、ボランティアへの参加、子どもの居場所づくりを支える活動への参加など、支援の形はさまざまです。
例えば、子ども食堂は食事の提供に加え、人とのつながりを育む場として重要な役割を担っています。
無理な支援をする必要はありません。日々の生活のなかで、自分ができる支援の形を見つけてみましょう。
りそなソーシャルインパクト預金という選択も
先に紹介したOECDのレポートでは、幼児教育・保育が子どもの学力や将来に長期的な好影響を与えると示されています。高校や大学の無償化効果を最大化するためにも、早期からの土台づくりが有効です。
支援方法でお悩みの方は、りそなの「ソーシャルインパクト預金(愛称 教育プラス預金)」という取組みもあります。
この定期預金は、預入金額の0.1%※相当額をりそな銀行が株式会社公文教育研究会に寄付し、経済的に困難な状況にある小学生を支援する仕組みです。学ぶ楽しさや自己肯定感を育む機会を株式会社公文教育研究会を通じて無償で提供することで、「誰もが未来に希望をもって踏み出せる社会」を目指しています。
預金者の追加負担はなく、子どもたちの声や成果が預金者に届けられる仕組みになっている点が特徴です。
- ※預入期間に応じた年率換算
まとめ
日本では約9人に1人の子どもが貧困状態にあり、ひとり親世帯では約2人に1人に上ります。貧困は教育格差や栄養状態への影響にとどまらず、将来の社会的損失にもつながる深刻な問題です。
だからこそ、一人ひとりが無理なくかかわる視点が欠かせません。
りそなの「ソーシャルインパクト預金」は、預金を通じて子どもの学びを支えられる仕組みです。社会貢献を身近にする第一歩として、検討してみてはいかがでしょうか。
本記事は2026年4月6日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。




