第4話じっくり選びたい人向け!投資信託の選び方④

ここに注意!投資信託を選ぶうえで間違いやすいポイント

「基準価額は高い方が割高で、安い方が割安?」「信託報酬って、低ければ低いほどいいんだよね?」「純資産総額は少ないと危ない?」皆さんが思い込んでいる内容には、合っているものもあれば、間違っているものも・・・。投資信託を選ぶうえで間違いやすいポイントについて、お伝えしていきます。

ケイスケさん

ケイスケさん

ご自身で色々と情報収集し、納得するまで考えてから決めたい派のケイスケさん。
投資信託を選ぶうえでケイスケさんが感じている疑問にお答えしていきます。

基準価額の高い・低いはどんな意味がある?

ケイスケさん

ここまで話を聞いて、まずはインデックスファンドで投資を始めてみようと思っているのですが。インデックスファンドを選ぶうえで、気になるポイントを最後にいくつか聞いてもいいですか?
投資信託には基準価額という、ファンドの価格みたいなものがありますよね。ファンドを色々と見ていると、基準価額が1万円台のものもあれば、3万円台のものもあったのですが、基準価額が高いものよりも安いものを買う方が、安い価格でたくさん買えていいんでしょうか?

いえ、基準価額の高い・低いは、そのファンドが割安か・割高かには全く何の関係もありません。すべてのファンドは、設定時の価額が10,000円でスタートし、そこから運用によって価額がどんどん変わっていくのですが、現在の価額はファンドがいつ設定されたかによって大きく変わります。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

ふむふむ。

例えば、同じ日経平均に連動するファンドでも、10年前に10,000円でスタートしたものと、3年前に10,000円でスタートしたものとでは、現在の基準価額は全く異なることになりますよね。ただ、基準価額が違っても、ファンドの運用が同じであれば、同じ期間での値動きはほぼ同じになります。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

なるほど。では、基準価額はファンドの比較に使うものではなくて、あくまで自分が買った値段から上がっているか、下がっているかを判断するために使ったらいいんですね。

そうですね。ただ、ファンドの中には分配金を出すものもあるので、この場合は基準価額が上がったか下がったかだけでなく、受け取った分配金も含めてトータルで考える必要があります。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

私の場合は、分配金が入ってくると、その分使ってしまいそうですし、管理も面倒になりそうなので、分配金の無いタイプでいいかな。

信託報酬の高い・低いはどんな意味がある?

ケイスケさん

あと、ファンドを選ぶときには、信託報酬を見るのが大事なんですよね。信託報酬は、投資家が負担するコストだから、低ければ低いほど良いと聞いたんですが、コストの一番低いものを選べば良いんでしょうか。

半分は合っていますが、半分は必ずしもそうではありません。まず、ファンドの運用には、適正なコストというものが存在します。この適正なコストというのは、運用方法や投資対象資産によって異なります。例えば、以前の回でアクティブファンドはインデックスファンドよりも高いパフォーマンスを上げるために存在しているので、コストが高くても正当化されるという話をしました。このように、運用方法が異なるもの同士でコストの比較を行うのは、あまり意味がありません。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

アクティブとインデックスでは、運用にかかるコストが違いますもんね。

また、同じインデックスファンドでも、日本株式に投資をするものと、新興国株式に投資をするものでは、やはり適正なコストは違います。日本の株式よりも新興国の株式の方がアクセスしづらく、様々な法規制や税制の違いがありますので、インデックスに精緻に連動させようと思うと色々な手間が増えるためです。でも、新興国なので、日本株式よりも高いリターンが狙える可能性がありますよね。なので、必ずしもコストが低いものを選べば良い、というわけでも無いんです。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

なるほど。そうすると、同じ運用手法で、同じ投資対象であれば、やはりコストの低いものを選んだ方がいいということですよね。

はい。最近は、各運用会社が様々な企業努力を行い、効率的な運用を行うことで、運用にかかる適正なコストを徐々に切り下げていっています。このような中、コストが高いまま放置されているファンドもまだ多数ありますので、そういったファンドはやはり適正なコストとはいえないでしょう。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

ふむふむ。

ただ、全てのファンドには運用する人が携わっており、法定開示資料の作成なども義務づけられていますので、ファンドの運営費用がゼロということはあり得ません。なので、もしファンドの信託報酬がゼロに近いようなファンドがあれば、そのファンドではなく他のファンドを持っている人が支払っているコストで運用をまかなっていることになります。こういう構造は、あまり健全とは言えないと思います。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

たしかに、逆の立場で考えると、自分が持っているファンドのコストが他のファンドの運用にも使われていて、そのファンドを持っている人がコストを払っていないとしたら、なんだか不公平な感じがするかも・・・。

そうですね。当然、インデックスファンドでコストが高すぎるのはもってのほかですが、コストの切り下げには限界点がありますので、同一の投資対象のインデックスファンドの中である程度低い水準であれば、そこまで神経質に考える必要性は無いかなと思います。

りそなアセットマネジメントスタッフ

純資産総額の大きい・小さいはどんな意味がある?

ケイスケさん

最後に一ついいですか。ファンドの残高(純資産総額)も、出来れば大きい方がいいと聞きました。ファンドの残高が少なすぎると、効率的な運用は行えなかったり、途中で運用をやめてしまう(償還する)ケースがあったりするんですよね。

そうですね、それも半分は合ってます。たしかにファンドの残高が小さい状態が続くと、償還してしまうケースは結構ありますので、注意が必要です。
ただ、インデックスファンドなどは、「ファミリーファンド」と呼ばれる形態で運用されているものが多いです。この形態では、皆さんが目にしているファンドは「ベビーファンド」と呼ばれ、ベビーファンドを取りまとめて運用するものが「マザーファンド」と呼ばれます。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

普段目にしている投資信託には「マザー」がいたんですね。

同じマザーファンドから、複数のベビーファンドを作っているケースが多いので、皆さんが見ている投資信託(ベビーファンド)の残高が少なかったとしても、他にもベビーファンドが複数あれば、マザーファンドの残高は相応に大きくなります。運用はこのマザーファンドで取りまとめて行っていますので、マザーファンドの残高が相応にあれば、効率的な運用を行うには問題ありません。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

なるほど。ファンドの残高が少ないと必ずしもダメということではないんですね。

ただ、実際に運用会社によっては残高が少ないファンドをどんどん償還してしまうケースもあるので、その運用会社が長い間しっかり運用を継続してくれそうな会社かどうか、過去の償還事例などを見てみるのも良いかもしれませんね。

りそなアセットマネジメントスタッフ
ケイスケさん

たしかに、せっかく投資を始めたのに、すぐ運用をやめられてしまうと困りますね。そのあたりもしっかり確認してみます。