ボーナスにかかる税金はどれくらい?手取りの計算方法を詳しく解説

2022/03/31最終更新

税金

あなたはボーナスにどれくらい税金がかかっているのか把握していますか?

給与と同じように、ボーナスからは所得税と社会保険料(健康保険料・雇用保険料・厚生年金保険料)が控除されます。資金計画をスムーズにするためにも、ボーナスからどれくらいの控除額を引かれているか知っておくことは大事です。

この記事では、ボーナスにかかる税金等の種類と、その計算方法について詳しく解説していきます。記事の後半では、具体的な例を挙げてボーナスの手取り額を計算しているので、ぜひ資金計画の参考にしてください。

私が書きました
主なキャリア

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。

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ボーナスから控除されるのは所得税と社会保険料

まずは、ボーナスから控除される税金等の概要を解説します。ボーナスの手取り額を知っておくメリットも、併せて見ていきましょう。

ボーナスから控除される金額は総支給額の約2~3割

毎月の給与と同じように、ボーナスからも税金等が引かれます。

ボーナスから控除されるものは、所得税と社会保険料の2種類です。控除される金額は、所得金額や、加入している健康保険組合の種類や住所地、扶養人数によって異なりますが、ボーナス総支給額の約2~3割が目安となっています。

多くの人にとって、ボーナスは大きな収入となりますが、その全額をもらえるわけではない点に注意しましょう。

給与とボーナスの違い

給与とボーナスはどちらも給与所得に該当しますが、両者には違いもあります。

まず、給与は金額や支払い方法が労働基準法や最低賃金法などの法律に定められていますが、ボーナスは法律によって金額などが定められていません。

そのため、ボーナスをいつどのように、どれくらい支払うのかは各企業の判断にゆだねられているのです。ボーナスは、一般的には夏と冬の年2回支払われることが多いですが、ボーナスが年3回支払われる企業もあれば、ボーナスがない企業もあります。

ただし、ボーナスについて労働契約や就業規則などに明記されている場合は、ボーナスも賃金の一部であるとみなされ、労働基準法の対象です。自分が勤めている企業にボーナスが明記されているかどうか、雇用契約書や就業規則をチェックしてみましょう。

なお、給与と違い、ボーナスからは住民税は控除されません。住民税は給与やボーナスを含めた前年総所得から計算され、算出した税額を12ヵ月で割り、月々の給与から天引きされているからです。

さらに、給与とボーナスでは、源泉徴収税額(所得税と復興特別所得税額を足したもの)の算出に使用する表も異なります。給与の源泉徴収税額の算出には「給与所得の源泉徴収税額表」を、ボーナスの源泉徴収税額の算出には「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使用します。

同じ給与所得でも、給与とボーナスは、支払回数や控除される税金などが異なることを知っておきましょう。

ボーナスの手取り額を
知っておこう

前述のとおり、ボーナスからは所得税と社会保険料が引かれ、手取り額は額面のおよそ7~8割となっています。

ボーナスは年間における大きな収入源であり、住宅や車などの大きなローンで、ボーナス月に返済額を増やしている人も多いかもしれません。

ボーナスの手取り額を知っておけば、ローンの返済や将来への積立などの資金計画が立てやすくなります。ボーナスから控除される金額を知り、ボーナスを計画的に利用しましょう。

ボーナスから控除される税金等の計算方法

計算方法

ボーナスからは所得税と社会保険料が引かれます。それぞれの概要と、金額の算出方法について詳しく見ていきましょう。

所得税

所得税は所得にかかる税金です。

所得税を計算するには、所得税率を調べなければなりません。所得税率は、ボーナス支給月の前月の給与から社会保険料を控除したものを国税庁が発表する「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて決定します。

所得税率は0%から45.945%まで幅広く、所得が増えるほど税率も高くなっていく仕組みです。

また、所得税率には、扶養親族が多いほど税率が低くなるという特徴もあります。例えば、前月の社会保険料控除後の給与が30万円の場合の税率は、扶養親族が0人で8.168%、1人で6.126%、2人で4.084%です。

所得税率を、ボーナス額面から社会保険料を控除した金額にかけると所得税を算出できます。所得税率をボーナス額面にかけるわけではないため、所得税額算出の際は注意しましょう。

所得税=(ボーナス額面-社会保険料)×所得税率

出典:国税庁「令和3年分 源泉徴収税額表」

社会保険料

社会保険料は健康保険料・雇用保険料・厚生年金保険料に分かれており、それぞれ算出方法が異なります。一つずつ見ていきましょう。

健康保険料

健康保険料は、病気やケガで治療を受けた際に治療費負担を軽減したり、死亡などを保障したりできる医療保険の財源となります。

健康保険料は、ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)に健康保険料率をかけて算出します。保険料率は、加入している健康保険組合や勤務地によって異なるため、保険料率が知りたい場合は、加入組合に問い合わせてみてください。

健康保険料は、全額を労働者が支払うのではなく、労働者と事業者が保険料を半分ずつ支払う労使折半です。算出した保険料が1万円なら、労働者と事業者が5,000円ずつ支払います。

また、40歳以上になると、健康保険料に介護保険料が加わります。介護保険料追加にともない、税率も変化するので注意しましょう。

健康保険料=ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)×健康保険料率

※健康保険料率は加入している健康保険組合や住んでいる地域によって異なります

雇用保険料

雇用保険料は、失業手当や育児休業給付金などの財源となる保険料です。

雇用保険料は、ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)に0.9%をかけて算出します。健康保険料と同じように、雇用保険料も労働者と事業主の両方が負担しますが、折半ではなく、労働者負担0.3%、事業主負担0.6%となっています。

なお、農林水産・清酒製造および建設事業の場合は、算出に使用する値が異なるため注意しましょう。

雇用保険料=ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)×0.3%

厚生年金保険料

厚生年金保険料は公的年金の保険料で、支払い保険料に応じた保険金が老後に支払われる老齢年金や、障害者になった場合に支払われる障害年金などの財源となります。

保険料は、ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)に保険料率18.3%をかけて算出します。

保険料率は、年金制度改正に基づいて2006年から段階的に引上げられ、2017年を最後に引上げが終了し、現在は18.3%で固定されています。住んでいる地域や勤めている企業に関わらず、保険料率は一定なので、厚生年金保険料は比較的計算しやすいといえるでしょう。

なお、健康保険料と同様に、厚生年金保険料も労使折半です。

厚生年金保険料=ボーナス額面(1,000円未満切り捨て)×18.3%÷2

ボーナスの手取りはいくら?実際に計算してみた

銀行員の女性

ここまで、ボーナスにかかる所得税と社会保険料の計算方法について解説していきましたが、ここではボーナスの手取り額を具体的に計算していきましょう。

東京在住で協会けんぽに加入している方を例に、年齢や扶養親族の人数、ボーナス額面を変えて、ボーナスの手取り額を試算してみました。

東京在住30歳、加入組合:協会けんぽ

まずは、東京在住30歳・協会けんぽ加入・前月の社会保険料控除後の給与が24万円の人について、扶養親族がいない場合と扶養親族が2人の場合のボーナス手取り額を見てみましょう。

横スクロールできます。

扶養親族 いない 2人
ボーナス額面 30万円 30万円
所得税 1万491円 5,245円
社会保険料 健康保険料 1万4,760円 1万4,760円
雇用保険料 900円 900円
厚生年金保険料 2万7,450円 2万7,450円
控除額計 5万3,601円 4万8,355円
手取り額(ボーナス額面-控除額計) 24万6,399円 25万1,645円
手取り額÷ボーナス額面×100 82.1% 83.9%

扶養親族がいない場合の手取り額は24万6,399円、扶養親族が2人の場合の手取り額は25万1,645円であり、差額は5,246円となっています。

扶養人数が変わる場合、所得税の算出に使用する源泉徴収税額の算出率が変わりますが、社会保険料は変わりません。基本的に、扶養親族が多いほど源泉徴収税額算出率は低くなるため、ボーナスの額面が同じでも、所得税が変わり、結果として手取り額に差が出ています。

東京在住40歳、加入組合:協会けんぽ

続いて、東京在住40歳・協会けんぽ加入・扶養親族2人の方について、ボーナス額面と前月の社会保険料控除後の給与が異なる場合のボーナス手取り額を見ていきましょう。

横スクロールできます。

前月の社会保険料控除後の給与 24万円 44万円
ボーナス額面 30万円 50万円
所得税 5,190円 5万1,905円
社会保険料 健康保険料 1万7,460円 2万9,100円
雇用保険料 900円 1,500円
厚生年金保険料 2万7,450円 4万5,750円
控除額計 5万1,000円 12万8,255円
手取り額(ボーナス額面-控除額計) 24万9,000円 37万1,745円
手取り額÷ボーナス額面×100 83.0% 74.3%

ボーナス額面が30万円の場合の手取り額は24万9,000円、ボーナス額面が50万円の場合の手取り額は37万1,745円となっています。手取り額は額面が多いほど高いものの、ボーナス額面における手取り割合は、額面が少ないほうが高いことがわかるでしょう。

ボーナス額面が異なる場合、所得税と社会保険料の両方が変わります。特に所得税は、所得が高くなるほど算出率も高くなるため、ボーナス額面30万円と50万円の場合で所得税に大きく差が出ている点に注意してください。

また、先ほど計算した30代の試算と比較すると、40代では健康保険料に介護保険料が加わるため、社会保険料の金額も増えています。

まとめ

ボーナスからは所得税と社会保険料が控除されますが、住民税は控除されません。控除される金額は、扶養親族の人数や住んでいる地域、加入している健康保険組合等によって異なりますが、額面のおよそ2~3割です。

ボーナスにかかる税金や金額を知っておくと、ボーナスをどのように利用するか計画が立てやすくなります。使い道をしっかりと決めて、計画的にボーナスを活用しましょう。

目的に合わせてボーナスを確実に管理したい方には、信頼性の高いサービスを受けられるりそなの利用がおすすめです。

金融のプロである銀行員に窓口で直接相談できるため、一人ひとりに合ったボーナスの使い道を丁寧に教えてもらえます。

下記記事では、おすすめのボーナスの使い道を紹介していますので、ボーナスの使い道が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

銀行員が教える!ボーナスの上手な使い道

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本記事は2022年3月31日時点の情報に基づいて作成しておりますが、将来の相場等や市場環境等、制度の改正等を保証する情報ではありません。

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