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Vol.94 人的事業承継(事業計画書)の必要性

Q

私も65歳になり、自分が創業した会社の事業承継が気になるものの、何から手を付ければよいのか分かりません。どうすればよいのか教えてください。

Aさん 65歳 男性

A

 事業承継は、内容として、物的承継と人的承継に大別できます。両者は完全に別々で進捗するときもありますし、錯綜する場面もあります。現在どの時点にいるか確認しながら進めないと、方向感を見失う恐れがあります。

物的承継

 物的承継とは、一言で言えば、自社株の後継者への移転です。①自社株評価をいかに引き下げるか ②引き下げた自社株を後継者にどのように引き継ぐか ③自社株移転の資金負担およびコストにどう対応するか、の3点がポイントとなります。

人的承継

 物的承継を検討するにしても、後継者候補が未定であると対策が立てられません。また、対策途中で後継者候補の変更があると、時間と費用を浪費することになりかねません。つまり、物的承継を検討・実行するには、事前に人的承継の道筋をつける必要があるのです。
 人的承継とは、いわゆる世代交代のことで、スキル・人脈・経験・カリスマ性といった無形資産を、誰に、いつ、どのように引き継ぐかといった問題です。人的承継の特徴は、一般的に時間がかかることです。後継候補者選定をスタートとすると、5〜10年かけての取組みとなります。

●後継者候補の決定

 ①経営者としての志 ②経営者としてのスキル ③社内外の人脈 ④リーダーシップ ⑤先代への理解・共感、などの要素を総合的に勘案して後継者を決定します。かつては先代への理解・社内外から共感を得やすいことから、親族内での承継が多かったのですが、近年では親族外への承継も増加傾向となっています。いずれにしても、ここに挙げた要素を全て備えている後継者候補はまずいないと思われます。不足している点を補完するために、長期的な対策が必要になるのです。

●中期事業計画・事業承継計画策定

 人的承継では、現経営者(特に創業者)から見ると、後継者候補がいつまでたっても満足いくレベルに達しないといった不満が生じがちです。そこに親子関係が介在すると、その感情が増幅されることがあります。解決策としては、後継者候補が決まったならば、会社の中期事業計画を策定するのがよいでしょう。その際、後継者候補1人に任せるのではなく、後継者を支えていく経営幹部候補とのチーム作業にすべきです。事業計画書は事業環境(外部要因・内部要因)の分析からはじめて、5年後に会社をどうしたいかを可視化できる効果があります。ここで注意すべき点は、策定する事業計画は社長への提言や研修の意味合いでの作業ではなく、後継者候補が達成する計画とすることです。経営者として、当事者意識を醸成するプロセスとしての役割もあります。
 事業計画書策定と平行して、事業承継計画書も作成することをおすすめします。これは、事業承継に関しての現経営者と後継者候補間での合意事項となります。進捗に応じて変更もあり得ますが、5年後、10年後を見越して、いつまでに何をするかをリストアップするところからはじめ、そこで抽出された課題(取扱い商品についての知識習得、現場の把握、財務スキル習得、社内外人脈の引継ぎなど)をいつまでに履行するかを計画書に落とし込みます。合わせて、物的承継のスキーム、タイミングを落とし込めれば、なお良いでしょう。

【図】

最後に

 完璧な人間がいないように、完璧な後継者も存在しません。その意味で、人的承継は終わりのないゴールを目指さなければならない、物的承継より時間も労力もかかる大変な仕事です。事業承継計画書を策定して、定期的に進捗具合を確認しながら、現経営者と後継者候補間で意思統一して、事業承継計画を進めていくことが重要だと思います。
 りそなグループでは経験豊富な専門スタッフがご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

(注意事項)

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(2016年6月現在)

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今回の回答者
埼玉りそな銀行ファイナンシャルプランナー 池田 光氏
1994年入社。2002年より埼玉りそな銀行プライベートバンキング室所属。現在、戸田支店のお客さまを担当。1級FP技能士、宅地建物取引士。
 
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