りそな銀行が発信するWEBマガジン RESONA STYLE

HOME > Vol.89 相続税軽減の特例を活用するために
BACK

Vol.89 相続税軽減の特例を活用するために

Q

 私には、妻と子ども2人がいます。自宅は東京郊外にあり、私たち夫婦と長男家族が同居していて、広さは300平米です。将来の相続については、自宅の評価を減額する特例を活用すれば相続税がさほど掛からないと楽観しています。事前に準備しておくと良いことはありますか。

Tさん 70歳 男性

A

○自宅等居住用財産の相続税の特例

 皆さまもご存じのように、税制改正により相続税の基礎控除が引き下げられ、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となりました。この改正によって、相続税の申告が必要な方が従来の2倍にもなると言われています。
その一方で、同時に相続人の自宅などの特定居住用宅地等について「小規模宅地等の特例」が拡充されましたので、特例の適用を検討されるという方も多いでしょう。「小規模宅地等の特例」とは被相続人の自宅敷地の相続税評価額を330平米まで80%減額できる特例です。相続人が居住を継続できるようにするために、大きな減額が認められる特例なのですが、この特例を受けるためには一定の要件を満たすことが必要です。
一定の要件とは、相続開始直前まで被相続人の居住の用に供された宅地等で、かつ取得者の要件を満たすことです。その要件は例えば、配偶者や同居の子が取得した場合等があります。この他にも要件はあるのですが、Tさんの場合、同居されている奥さまとご長男が自宅を相続されるのであれば、この要件2つを満たしており、特例の適用が受けられるということになります。
相続税の特例には他にも「配偶者の税額軽減特例」や「農地等の納税猶予の特例」などがあり、活用される方も多くいらっしゃいます。

○相続税の特例を受けるために必要なこと

 相続税には納付期限があり、相続が開始した日の翌日から10カ月以内に申告・納付しなければならないことになっています。相続税納付税額の計算には、相続を受ける各人の相続財産の具体的な分割方法が確定していることが必要です。分割割合が未確定の場合は、法定相続分により相続税の申告・納付を期限までに行うことになりますが、その際に「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減特例」等をはじめとした特例を適用できません。
ここでご注意頂きたいのは、遺産分割がまとまらないと、特例が使えずに事前に想定した以上に納税資金が必要になるということです。

○特例を使えなかったAさんの事例

 Aさんは農地や共同住宅を多数所有する地主でした。ご家族は妻、長男・長女・次男の4人だったのですが、次男は家族間のトラブルが原因で家を飛び出して、数十年間音信不通でした。
同居して面倒を見てくれる長男をゆくゆくの跡取りと考えていたAさんは、事前に専門家と相談し、「配偶者の税額軽減特例」、「小規模宅地等の特例」、「農地等の納税猶予の特例」等をうまく活用することを配偶者や長男・長女としっかり話し合っており、相続発生時の対策は万全だとお考えでした。
ところが実際にAさんが亡くなり、相続が発生した時に問題が起こりました。音信不通だった次男が現れて自宅の相続を主張したのです。金融資産の配分を長男からお願いしても、もともと兄弟仲が悪く、言うことを聞いてはくれませんでした。
結局、遺産分割協議はまとまらず、家庭裁判所での調停から訴訟へと長期化し、Aさんが生前に考えていた相続税の特例は、何ひとつ使えませんでした。その上、予想以上の納税額のために、Aさんが大切にしていた先祖代々引き継いできた土地を手放すことになったのです。

○遺言で、相続人に苦労させない対策を

 もしAさんが、生前に遺言書を作成されていたならば、相続人の間で遺産分割協議をする必要がなく、トラブルを回避できたかもしれません。円滑な財産分割に、遺言は確実で有効な方法となります。その遺言にも、作成においては将来円滑な相続を実現させるために、遺留分(相続人の最低限相続できる財産)を侵害しない等留意すべきことがあります。
相続対策には、円滑な承継や税金対策等があり、これらの対策を同時並行で総合的に考慮して進めなければ、苦労して講じた対策が無駄になってしまうこともあります。
特に時代と共に家族の在り方もさまざまに変化しており、円滑で円満な資産承継のために遺言の必要性は年々高まっているようです。お元気なうちに、将来のご自身の承継についてお考えになってみてはいかがでしょうか。

りそなグループの経験豊富な専門スタッフがご相談を承っております。お気軽にりそなグループ窓口にお問合せください。

(注意事項)

個別の税務取扱いについては、税理士等専門家にご相談ください。

(2015年6月現在)

ご意見・ご感想をお寄せください!

今回の回答者
りそな銀行ファイナンシャルプランナー 大野 博之氏
1987年入社、2004年より相続業務に携わる。現在久米川デスク駐在。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、日本証券アナリスト協会検定会員
 
遺言信託及び相続手続代行サービスに関するお問合せは
りそなグループのお取引店もしくは最寄りの支店で承ります。
前の記事を読む 教えて!賢い遺産相続TOPへ 次の記事を読む
このページの先頭へ