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Vol.81 資産管理会社の活用について

Q

私は会社員で、給与所得と父から相続した賃貸アパートの不動産所得があります。資産管理会社を活用すると良いと聞いたのですが、どういうことでしょうか。

Sさん 50歳 男性

A

 賃貸物件を保有される方々には、空室リスクや建物老朽化対策など賃貸経営上の様々な課題に加え、税務や資産承継の問題でのお悩みも多いと思います。Sさんのご質問にある資産管理会社は、最近、相続・資産承継対策の観点から賃貸物件保有者の活用が増えてきており、私どもでもよくご相談を承っています。これは、昨今のいわゆる「富裕層増税」の流れを反映した動きとも考えられ、不動産オーナーの高額所得者にとってはいずれ「一人一法人」の時代がくる、と仰る識者もいるようです。

<資産管理会社活用のメリット>
・相続発生を展望した場合、不動産を共有持分等で承継するよりも、生前に法人に売却することで現金や法人株式として金融資産化しておいた方が円滑に分割承継しやすい。
・個人所得が高額の場合には、所得税と法人税の税率差により税負担が軽減されることがある。
・家族を含め法人からの役員報酬等の支払を受けることにより、不動産所得を給与所得に転換し所得分散を検討できる。

<資産管理会社活用のデメリット>
・個人から法人へ不動産を移転する際、含み益のある土地を譲渡すると従前所有者に譲渡所得税が課税される。
・法人への不動産移転に伴う不動産取得税・登記費用等が必要となる。
・新たに法人税の申告が必要となり、税理士報酬等の諸費用が増加する場合がある。

税務上の違いとは

 給与所得と不動産所得の合計の課税所得金額(各種所得控除額控除後)が1,800万円超の高額所得者の場合、全額を個人所得として申告すると、所得税・住民税・事業税を含めた実効税率は最大約52%ですが、資産管理会社では、法人税・住民税・事業税・地方法人特別税を含めた実効税率は約36%になります。もちろん、前掲のようなメリット・デメリットがありますから、所得水準の高い不動産保有者が税率差のみに着目して資産管理会社設立を実行することは早計です。

将来の相続・資産承継対策として

 むしろ、資産管理会社の設立を検討する場合に考慮すべきは相続・資産承継からの観点です。
 一般的に、不動産は金融資産と比べ換金性・処分容易性に劣ります。特に賃貸住宅など居住者がいる不動産ですと賃借人の借地・借家権が発生し処分時に多額の費用が見込まれたり、持分共有者がいれば修繕や改築の際に合意形成に難航するケースが散見されるなど、「切り分けにくい資産」としての性格を持っています。この資産の特性が円滑で円満な相続を妨げ、争族化する原因となることすらあります。不動産を資産管理会社に移転し、オーナーは代わりに売却資金やその法人の株式を保有することができます。これにより、相続発生時の分割承継などが行いやすくなることが期待されます。
また、お子さまが資産管理会社の役職員として業務に従事する場合、業務実態に応じた報酬を受け取ることができ、将来の相続に備えて必要となる資金の準備を早い段階から始められることもメリットと言えるでしょう。(お子さまの所得税負担の増加要因となることには注意)

資産管理会社の設立を検討するにあたって

 法人を新設する場合の諸費用や維持費、個人所得と法人所得の区分計算や社会保険等の事務負担の増加等、税務面以外の部分で負担は増えるのが通例です。資産管理会社の設立にあたっては目的に応じて総合的に検討することが肝要です。また、個人所有の不動産を法人へ譲渡する際には、買取資金の調達方法や法人の資金繰りなど、税務面のみならず企業経営上の検討が不可欠であり、短期・長期両面から慎重な検討が望まれます。
 不動産の有効活用や承継対策等のお悩みがございましたら、信託銀行としてのノウハウも豊富なりそな銀行へご相談ください。お借入れや資金運用のみならず、信託・不動産業務にも精通したスタッフが、お客さまにあったプランのご提案をさせていただきます。

※実際のプランの実行にあたっては、税理士・公認会計士・弁護士等の専門家に必ずご相談ください。
※平成26年1月現在の税制に基づき概略を示しております。

(2014年3月現在)

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今回の回答者
りそな銀行ファイナンシャルプランナー 中村 良久氏
平成4年入社、平成24年4月よりプライベートバンキング部に所属。現在、奈良地域のお客さま担当。
 
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