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vol.49 自筆証書遺言の落とし穴

Q

最近、父が遺言書を作成し、「私が死んだら遺言書を家庭裁判所に持っていって、財産を皆で分けるように。」と言われました。
特に誰にも相談せずに一人で書いたようですが、問題はないのでしょうか。

Kさん 神戸市在住 50代 男性

A

 遺言は、遺言者の自由な意思によってなされるものですが、残された方々の生活に多大な影響を与えるものであるため、民法で要式が決められています。
 お父さまがお一人で遺言書を作成されたということですが、自筆証書遺言は一人で気軽に作成できるメリットがある反面、公正証書で作成する場合に比べて要式不備があったり、遺言内容が不明瞭だったりするケースが多くあります。このような場合、遺言者の考え通りの遺言の執行ができなくなることがあるため注意が必要です。

 一般的な不備の例として、以下のようなものが挙げられます。

○遺言書の要式不備
  • パソコン・ワープロなどを使用して書かれている。
  • 日付が入っていない。
  • 修正液などで訂正されている。
○遺言の内容が不明瞭
  • 預貯金の記載はあるが、投資信託や株式などの記載が漏れている。
  • 土地の記載はあるが、その上の建物の記載が漏れている。
  • 一つの財産を複数人に相続させる場合で、各相続人の相続分を明記していない。
  • 「配分は皆で相談して決めてください」などと書かれている。

 遺言者ご本人は、「これくらいわかってもらえるだろう」と思い込みがちですが、このような不備がある場合、最終的に相続人全員の合意が得られなければ有効な遺言と認められません。
 また、相続人にもさまざまな事情があり、必ずしも合意するとは限りません。配分に納得しない相続人がいると、多少の不備を理由に遺言書の無効を主張して、大きなトラブルに発展する可能性もあります。
 次に、「検認」についてご説明します。Kさんのお父さまのように公正証書以外の遺言書を作成された場合、相続開始後に遺言書を家庭裁判所に提出し検認を受ける必要があります。
 検認の目的は、相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、検認の時点における遺言の内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止することです。
 つまり、検認は遺言書の本文が法的に有効であることを保障するものではありません。また、遺言者に十分な意思能力があったのか、一部の相続人が強制的に書かせたのではなく自発的に書いたものか、といった遺言書そのものの有効性に関わる事実関係を確証するものでもありません。
 一般的に「検認=家庭裁判所のお墨付き」というイメージを持たれることが多いのですが、検認を経た遺言書であっても、前述のように要式不備により無効となることがあります。さらに相続人の間で話し合いがつかなければ、遺産分割の調停や審判に持ち込まれる可能性もあります。

 遺言書があったためにかえってトラブルが起きてしまうといった事態を避けるには、遺言書が法的に有効であることはもちろん、遺言内容が明確で、相続人にとって信頼できるものである必要があります。
 お父さまは、円満に相続が行われることを願って遺言書を作成されたのだと思いますが、万が一「家庭裁判所に検認してもらえば安心だ」と思い込まれているとすれば、自筆証書遺言にはこれまで述べてきたような落とし穴があることをお伝えする必要があるかもしれません。お父さまがお元気なうちに、遺言書の書き方についてお話しされてはいかがでしょうか。
 なお、Kさんが直接聞きづらい話題については、利害関係のない専門家の力を借りることも効果的です。りそな銀行の各支店では、「相続と資産承継相談会」を随時開催しております。専門のファイナンシャルプランナーが遺言や相続に関するご相談を承りますので、お父さまにご参加をお勧めしていただくのも一つの方法です。

 

(2011年7月現在)

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今回の回答者
りそな銀行ファイナンシャルプランナー 田中直樹氏
平成4年4月入社。
平成21年10月より
ひょうご地域・
神戸エリア担当FP。
 
遺言信託及び相続手続代行サービスに関するお問合せは
りそなグループのお取引店もしくは最寄りの支店で承ります。
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