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Vol.33 相続の承認・放棄について教えて

Q

相続する時に借金が多い場合、相続しないことも選択できる制度があると聞きました。どのようなものですか?

枚方市在住 60代 男性

A

承認か放棄かは相続人の意思表示

相続人は、相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利義務を引継ぐことになります。しかし、被相続人の死亡により、相続が発生した場合に、相続人は必ず相続しなければならないということになると、被相続人の債務が積極財産を上回る場合には相続人に全てを承継させるのは酷な事といえます。そこで、民法では相続の効果を全面的に承認する(単純承認)か、相続財産を限度に債務の責任を負う条件で承認する(限定承認)か、相続の効果を全面的に拒否する(相続放棄)かを、相続人が自由に選択できることになっています。

熟慮期間は3ケ月

相続人が承認・放棄するには、相続財産の内容を知る必要があるので、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月間の熟慮期間が設けられています。熟慮期間が3ケ月とされる理由は相続関係の早期安定と相続人の利益保護のバランスに配慮したためです。相続人はこの熟慮期間内に相続財産の内容を調査し、承認または放棄をしなければなりません。一度、承認・放棄をした場合はたとえ熟慮期間であっても、その撤回は原則できないことになっています。相続財産の調査に時間を要する場合などには、家庭裁判所への申立により、3ケ月の期間伸長をしてもらうこともできますので合算すると相続開始より6ケ月以内となります。

相続放棄は家庭裁判所の手続き

では、あきらかに借金債務の方が多い場合はどうすればよいでしょうか。家庭裁判所に申立て、プラス財産、マイナス財産も引継がないという、「相続放棄」をすればよいのです。
相続放棄をするには3ケ月以内に被相続人の最後の居住地を管轄する家庭裁判所へ申立てしなければなりませんが、この期間を経過しますと、単純承認をしたものとみなされ、プラス財産もマイナス財産も相続することになります。また、相続人が相続放棄をする前に相続財産を処分したり、放棄後相続財産を隠匿した場合は単純承認したものとみなされ、放棄が無効となりますので注意が必要です。相続の放棄は家庭裁判所が放棄の申述を受理する旨の審判をすることによってその効力が生じ、その相続人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。したがって、その子や孫への代襲相続をすることもありません。ところで、相続放棄を相続開始前にすることができるでしょうか?相続放棄は相続開始後に一定の手続きをした場合に効力を生ずるものであって、相続開始前に相続人間で相続放棄の約束を行ったとしても効力は生じません。

限定承認

プラス財産よりマイナス財産が明らかに多い場合には、相続放棄をすればよいのですが、どちらが多いか分からない場合には、相続した債務(マイナス財産)を相続した積極財産(プラス財産)から弁済し、債務超過の場合には相続人固有の財産で弁済する責任を負わないとされるのが限定承認です。限定承認する場合にも3ケ月以内に家庭裁判所に申立てを行わなければなりませんが、一部の相続人が期間を経過していても、他の相続人の期間が満了していなければ、最後に期間満了する相続人を基準にしてよいとなっています。限定承認は合理的な制度であるものの、手続き面の大変さと相続人全員で行わなければならない等から、あまり活用はされていないようです。平成18年の司法統計によると、相続放棄の申述受理件数は、約15万件、限定承認の申述受理件数は、約1000件となっています。

(2010年3月現在)

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今回の回答者
りそな銀行ファイナンシャルプランナー 大久保信一氏
1991年入社。2007年よりPB業務に携わる。2級FP技能士。現在、大阪地域(市外北)担当FP。
 
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