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Vol.25 事業後継者への経営承継と遺言

Q

「私は株式会社を興して30年、高齢になり、そろそろ後継者を決めておきたいと思うようになりました。株式の大部分は私の名義のままです。相続人は妻、長男、二男のみです。長男は公務員となり全く別の道を進んでいますが幸い、二男が私と一緒に一生懸命に頑張ってくれており、経営手腕は未知数ですが何とかして後継者として育てたいと思っています。『次期社長を二男にする』ためには、そういう内容の遺言を作れば安心でしょうか?」

名古屋市在住 70代 男性 Aさん

A

結 論

二男に発行済株式の過半数が引き継げる内容の公正証書遺言を作成することが、望ましいと考えます。事業後継者である二男の経営基盤確保のために、自社株だけでなく会社へ貸付けている土地・建物等の経営関連資産を、二男に配分しましょう。遺言で定める配分割合は民法で定める法定相続割合に優先しますから、このようにすることによって円満・円滑な事業承継の実現が容易となります。

議決権の確保

Aさんは、幸い二男が一緒に頑張ってくれているとのこと、後継者難の悩みを抱えるオーナーが多い昨今、何よりのことと拝察いたします。
一般的に、オーナーが社長を務める会社ではご本人から子供や孫に、さらには「この人にこそ」と見込んだ人材に経営権を譲り渡したい、あるいは逆に、会社にとって好ましくない第三者に譲りたくない…など様々な考え方があります。
ご質問のように同族会社の代表取締役であるAさんが株式のほとんどを取得しておられる場合、「二男に会社の経営権を譲り渡したい」ということであれば、遺言書で二男を会社の後継者に指名することも、決して無意味なことではありません。
しかし会社法においては代表取締役の選任は、あくまでも取締役会の決議事項です。残念ながら後継者指名だけでは、強制力はありません。あくまでも株式を二男に相続させ発行済株式数の過半数を確保するようにしましょう。これによって、はじめて取締役選任に必要な議決権を与えることが可能になります。
その際には「○○万株」等の具体的な株式数ではなく、将来、起こりうる増資等の資本変動に備えて「○分の○」という割合表示で記載するようにすることをおすすめします。

「争族」とならないために

たとえ「事業を継続する」ために必要なことだと分かってはいても、やはり血の通った人間です。経営責任とリスクの「代償」という大義名分はあるにせよ、二男に大きく偏った配分となり、二男だけが多額の財産を承継することになりますから、他の相続人からの不満や不公平感が十分に想定されます。ですから遺言作成にあたっては、各相続人の心情や遺留分への配慮を忘れないようにしましょう。
遺言の作成にあたっては専門的知識を有する第三者から検討・吟味を得られれば、遺言の方式や内容は、より万全になるでしょう。
また、もしも二男の経営手腕や能力に自信がもてない場合には、それまで忠実に自分に仕えてきた有能な幹部がいれば、その者に株式の一部を譲り、二男を補佐するよう付言事項で依頼しておく方法もあります。そうすれば、その幹部は会社への忠誠心と帰属意識を高め、二男の強い支えとなり、頼もしい味方となってくれるのではないでしょうか。

最近の税制改正が朗報

ところで最後に、公正証書遺言と税制に関連するホットな(?)話題にふれておきましょう。
従来、自社株式の相続では高い相続税評価を背景に納税資金確保がネックとなり円満・円滑な事業承継の実現が困難となる事例が後を絶ちませんでした。
なかには、後継者が先代社長から自社株式等の経営資産を引き継ぐ際に莫大な贈与税または相続税を課され、それが原因で事業承継を断念した事例もあります。
しかし平成20年10月1日に「経営承継円滑化法」が施行され、自社株にかかる「相続税の納税猶予制度」が実施されました。この制度で納税猶予を受けるためには、経済産業大臣から「事業計画への計画的な取組が行われていること」への「確認」を受ける必要があります。この「確認」には「事業承継計画」にかかる各種の添付書類を含む多数の提出資料を要します。このため、人によっては「手続きが面倒だ」と感じられる方もおられるかもしれません。
しかし、ここで朗報があります。

やはり、公正証書遺言!

公正証書遺言によって株式を後継者に相続させることにより、過半数の取得割合となる場合には、経済産業大臣の「確認」が不要となります。
このことからも、公正証書遺言を作成することの有用性が一層、強まったと言えます。
(本稿は一般的な会社形態を前提としています。特殊事例も含め、実際の運用にあたっては顧問税理士等から確認を受けながらお取扱いただきますよう、お願いいたします。)

(2009年7月現在)

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今回の回答者
りそな銀行ファイナンシャルプランナー 桑元紳氏
1986年入社。一級FP技能士。社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。1999年よりPB業務に携わる。現在名古屋地域・独立店(三重県)担当FP。
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