りそな銀行が発信するWEBマガジン RESONA STYLE

HOME > Vol.19 不動産売却による相続税の納税と物納
BACK

Vol.19 不動産売却による相続税の納税と物納

Q

私の財産のほとんどが不動産なので、将来の相続税の支払いは不動産を売却して支払うか、物納するかになると思っています。どちらが有利でしょうか。

兵庫県在住 会社経営 70歳 男性

A

租税は原則として金銭で納付することを建前としており、相続税についても同様です。しかし、相続税が財産税の性格を有しているところから、延納制度、物納制度が設けられており、一定の条件のもとに金銭納付の例外として物納が認められています。
今回のご相談は、不動産売却による手取額と、物納財産の収納価額を比較してもらうことになります。
不動産の譲渡所得税等を軽減する相続税の取得費加算と、不動産の物納について説明いたしましょう。

相続税の取得費加算の特例について

相続で取得した土地の取得費は被相続人のもともとの取得費を引継ぎますので、売却する場合、かなりの譲渡益が出ることがあります。
ただし、相続等により取得した財産を相続開始の日から相続税の申告期限後3年以内に売却した場合には、その相続について課せられたその者の相続税のうち、一定の金額を譲渡所得の計算上取得費に加算することができます。これを相続税の取得費加算の特例といいます。この相続税を取得費に加算することで譲渡所得が減少、ゼロになることもあります。

不動産の物納について

(1)次の要件をすべて満たすことが必要です。
相続税を延納によっても金銭で納付することが困難であること(相続による取得財産だけでなく、納税者自身の資産の所有状況や収入状況を総合的に勘案します)。
物納税額は金銭で納付することが困難である金額の限度内であること。
物納できる財産であること。
申請により税務署長の許可を受けること。
納期限までに物納申請書、測量図、境界確認書等関係書類を提出すること。
(2)物納できない主な不動産
相続等により取得したものでないもの。
抵当権等その他の担保権の目的となっているもの。
共有の不動産(共有者全員が申請する場合を除く)。
物納劣後財産(他に適当な価額財産がある場合に物納できない財産)。
境界が明らかでないもの。
耐用年数を経過している建物(通常の使用ができるものを除く)。
売却できる見込みのないもの。
国が管理処分するのに不適当なもの。
所有権の帰属などについて係争中のもの。
日本国外にあるもの。
(3)物納財産の収納価額
原則として相続税評価額です。ただし、小規模宅地等の特例の適用を受けた土地は、特例適用後の価額が収納価額になります。

事前の準備が大切

相続開始から相続税の申告期限の10カ月間に遺産分割協議を行い、不動産売却により納税するのか、それとも物納するのか決めて手続きすることになります。遺産分割協議に時間がかかり、物納等の検討が十分できなかったとか、不動産が物納の条件をクリアーしていないとの話はよく耳にします。不動産を売却しても譲渡所得税等がかからないケースもありますし、同族会社への売却であっても、相続税の取得費加算の特例は適用できます。小規模宅地等の特例については、不動産により適用の有無が判定されますし、相続する人によって減額される評価額が異なる場合もあります。
お客さまの場合、相続財産の配分方法、売却や物納する不動産をまだ決めておられないので、不動産を売却しての納税か物納のどちらが有利かは判断できません。事前にどの不動産を誰に相続させるのか、金融資産等をどう配分するのか、また不動産を売却した場合の手取額はいくらになるのか、物納の条件をクリアーしているのか等具体的に検討、試算されることをお勧めいたします。

(2009年1月現在)

ご意見・ご感想をお寄せください!

今回の回答者
りそな銀行ファイナンシャルプランナー 橋本 竜人氏
1982年入社 2006年よりプライベートバンキング業務に携わる。
1級FP技能士。現在ひょうご地域担当ファイナンシャルプランナー。
 
遺言信託及び相続手続代行サービスに関するお問合せは
りそなグループのお取引店もしくは最寄りの支店で承ります。
前の記事を読む 教えて!ファイナンシャルプランナーTOPへ 次の記事を読む
このページの先頭へ