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Vol.18 相続発生前の相続放棄

Q

私達夫婦には息子が二人いますが、長男が家業を継がず、また反対を押し切り結婚もしてしまいました。長男には生前(相続開始前)に相続放棄をさせたいのですが念書を書かせておけば大丈夫ですか。また、家庭裁判所の許可を貰えばよいと聞いた事がありますがどのようにするのですか。

目黒区在住 70代 男性

A

生前の相続放棄

法律によれば生前(相続開始前)の相続放棄は出来ないとされています。生前に相続放棄の合意をしても、また、ご質問の念書や契約書で書面に残しても無効となります。
家庭裁判所の許可についてのご質問は、遺留分の放棄の事と思います。遺留分の放棄は法律上認められていて、あとで詳しくご説明しますが、今回のケースでは長男が家庭裁判所へ申立て、許可されてはじめて認められるものですので、ご主人の意思で行なえるものではありません。なお、遺留分の放棄ですからあくまで遺留分は主張しないという事ですので今回のケースの場合には長男の遺留分(法定相続分の半分で8分の1)を主張しないという事で、相続放棄ではありませんので相続開始後は依然相続人であることに変わりませんから注意してください。

遺留分の放棄

遺留分の放棄は必ず家庭裁判所の許可を得ておかなければなりません。親と子供間での遺留分の放棄を認めると、親の権威で相続の自由意思をおさえて、無理に遺留分を放棄させる恐れがあるため、放棄は本人(今回のケースでは長男)の意思であること、本人の利益を不当に害するものでないかどうかを家庭裁判所で審理し、許可を受けた場合に限り遺留分の放棄としての効果があります。

家庭裁判所の許可する基準は
申立てが本当に遺留分権利者(長男)の自由意思に基づいてなされているかどうか
放棄の理由に合理性・必要性が認められるかどうか
放棄と引換えに贈与等の代償給付がなされたかどうか

でこれらを審理する事になります。

たとえば、今回のケースでは
親などの強制でなく長男自ら自由な意思で申立てをした
家業は次男に継ぐ事が決定し、財産も次男が引き継がないと家業を引き継ぐ事ができない。長男もそれを納得の上で遺留分の放棄の申立てをした
父親から将来相続で受け取れるであろうそれ相応の生前贈与を受けている

等が一応の目安となると思います。

実際の申立ては、
申立人・・遺留分を持っている相続人
申立て先…被相続人の住所地の家庭裁判所
必要書類等…申立書、申立人・被相続人の戸籍謄本・申立人の財産目録・申立て費用となります(詳細につきましては家庭裁判所にご確認ください)。

平成19年度の全国の遺留分放棄の許可件数を見てみると、1093件となっています。同年の相続放棄受理件数150049件と比較すると、相続開始前の放棄は非常に少ないと言えます。(家事審判・調停件数の事件別新受理件数―全家庭裁判所より)

遺留分の放棄と遺言

今回のケースで、長男の遺留分の放棄が許可されたと仮定します。
前に述べましたが、遺留分の放棄はあくまでも遺留分を主張しないという事であり、遺留分を放棄した後でも相続人である事に変わりありません。相続開始後の相続放棄が相続人の地位を失う事と違いますのでご注意ください。繰り返しになりますが、遺留分の放棄と相続放棄は違います。
長男の遺留分の放棄が許可されたのであれば、家業を引き継ぐのに必要な財産は全て次男に相続させる旨の遺言を作成しておきましょう。結果、遺留分の放棄が相続開始後の相続放棄と実質的に同じになります。

よくある質問

相続開始後でこれから遺産分割協議に入る方から、「自分は財産を貰わない・貰うつもりはないが家庭裁判所に相続放棄の申立てしないといけないか。」とよく質問がありますが、遺産分割において自分の取得分をゼロとすることに合意して分割協議を成立させるのであれば事実上の相続放棄となり、家庭裁判所への申立ては必要ありません。

(2008年12月現在)

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今回の回答者
りそな銀行ファイナンシャルプランナー 新井 敏文氏
昭和61年入社。
世田谷地域担当FPより現在本部にて地方独立店担当。
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